おいでませ、助太刀部!!   野宮詩織 /作



第6章 「タネが分かったらつまらないじゃないか」(part2)



「…で、出雲さん、依頼内容は?」

花薇は何事もなかったかのように出雲に質問した。
この状況をスルーできるのはかなり凄いと思う。

「ボクの依頼は簡単だよ」

そういうことを言う時に限って厄介なものを頼んでくるフラグが立った。
面倒くさい依頼だということは確定したな。

「友達が欲しいんだよ」

その程度なら予想よりは簡単に済みそうだな。
……………それにしても、こいつ友達いないんだ…。
寂しい奴だな。

「そうだな、偽善者で常識的じゃない良い人がいいな」

一気に依頼の難易度が上がった。
グラフに書いたら物凄い不自然な跳ね上がりかたをするだろう。

「常識的じゃないのは沢山いるんだけどな」

四月朔日の意見に同意する。
常識的じゃないというよりは奇人変人な気がするが、まぁ、そんなに変わらないからいいだろう。

「…問題は偽善者の方」
「桜はどうだ?」

桜はなんか本心では違うことを考えてそうだしな。
それに、日本刀やら銃やらの凶器を用いてクラスメイトを殺しにかかるような奴が善良ということはないだろう。

「…歩は善に徹しすぎてると思う」
「どこが!?」

どの辺が善に徹してるんだ!?
帯刀の時点で善とは言い難い状態なのに、性格も短気なんだぞ!?

「…命を奪わないように手加減してる辺り」
「普通の人は命を奪うような行為に及ばねぇーから!!」

周りの人が全員凶器を持って襲いかかってくる環境にいるような人はいないだろう。
とりあえず、九条学園周辺にないはずだ。

「ついでに言うと、さっきの条件さえ当てはまれば他学年でも構わないよ」

出雲が少しだけだが条件の緩和をしてくれた。
もとのハードルが高いからそんなに意味が無い気がするが。



この無理難題を無事にこなせるかがすごい不安な月曜日だった。