おいでませ、助太刀部!! 野宮詩織 /作

第7章 「高校生には見えないんですけど!?」(part3)
※相斗視点です
「風葉さん、風葉さん!!」
1時間目の日本史の授業の後、クラスメイトの轟さんに話しかけられた。
僕、なんかネタになるようなことやったけ?
身に覚えがありすぎてどれだか分からない。
「Aクラスに知り合いはいますか!?」
何故か鬼気迫る形相で尋ねられた。
Aクラス関連で旬なネタと言えば今日の転入生かな? 美人だっていう噂だし。
「いるよ」
素直に答える。
Aクラスには、翔と四月朔日と伊野さんと桜さんがいる。
「それなら、今すぐ、私とAクラスに来てください!」
「いや、1人で行きなよ」
ネタが欲しいなら、1人で行った方が効率いいだろうしね。
「何を言っているんですか! Aクラスは別棟にあるから、先生に見つかった時の言い訳が欲しいんです!」
確かにこの学園は教室数の関係で各学年Aクラスとx以降のクラスは別棟にあるけど………。
でも、休み時間なら怒られないと思うんだけどなぁ。
「授業遅刻用に!」
「なおさら、巻き込まれたくないよ」
轟さんはネタの為に僕まで授業遅刻にしようとしているらしい。
ある意味、凄い人だなぁ。
「そう言わずに! 遅刻しないように頑張りますから!」
「頑張ってどうにかなる問題じゃないと思うんだけど……」
しかも、結果に触れていないあたり、遅刻する気満々だね。
断らないと僕まで遅刻しちゃうじゃないか。
「お願いします! 昼休みでいいですから!」
「それならいいよ」
昼休みなら暇だし、問題ないから、了承した。
翔がいたら、轟さんが取材してる間も暇にならないし問題ない。
「助かります! 私にはAクラスに知り合いがいないから困ってたんですよ~」
九条学園のAクラスはBクラス以降のクラスに比べて他クラスとの交流が少ないため、委員会や部活が同じにならない限り、交流することがかなり少ない。
やっぱり、特待生とその他大勢とでは格段に扱いが違うね、うん。
「やっぱり、転入生の話?」
「勿論です!」
轟さんが元気に答えた。
この人は、ネタがらみの話だと一段と元気になるから扱いやすい。 ちなみに、一番扱いづらいのは桜さんと四月朔日だ。 2人共、我が道を進みすぎちゃってて、何をしでかすか分からないからね。
「風葉さん、昼食後、すぐに行きますから、早めにお昼食べておいてくださいね」
「分かったよ。 4時間目の内に食べておくよ」
今日の4時間目の物理の先生は老眼や痴呆が進んで、早弁をしたり寝ていたりしても全く気付かない。 なんで、九条学園の学園長はこの先生を採用し続けているのか疑問なくらいだ。
まぁ、来年、定年だからっていう理由の可能性が高いけど。
この日、相斗は本当に早弁をしました。

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