おいでませ、助太刀部!!   野宮詩織 /作



第2章 「え!? 本当に依頼とか来るのか!?」(part8)



いよいよ、笠井先輩と相坂先輩をくっつけるためのデートの当日だ。
成功するか少し不安だが、考えてばかりでも仕方がない。 行動あるのみだよな。

「岡崎。 来るのが早すぎる」

伊野が集合場所であり、俺が立っている駅の改札前へとやって来た。
ちなみに服装について説明すると、伊野はグレーのワンピース腰のあたりにりぼんベルトを着け、割と歩きやすそうなパンプスを履いていた。
そして、いつもかけている黒ぶちの眼鏡をかけていなかった。

「あれ? お前、眼鏡は?」
「今日はコンタクトにした。 コーヒーカップみたいなものは眼鏡が飛んでいく可能性があるから」

さりげなくノリノリらしい。
この手の類の施設に行くことはあまり無いのだろうか?
そう言ってる俺もそんな行ったことが無かったりする。
お化け屋敷とかがダメなんだ。 というより、幽霊とかがダメなんだ。
あいつら、常識通じなさそうだし、怖いし、怖いし、怖いし。
……とにかく、怖いだけなんだがな。

「まだ、集合25分前」

伊野が駅に備え付けてある時計を指さして言った。

「コンビニでも行って、なんかお菓子買っておくか?」
「そうする」

駅の近くにコンビニで、そこでチョコやら飴やら結構な量のお菓子と飲み物を買った。
伊野に払わせるわけにはいかないので、全額、俺が払っておいた。 今月は少し節約しないとなぁ……。

よしっ! これで準備万端だな。
あとは、笠井先輩たちを待つだけだ。
2人は俺たちが駅についてから5分も待たずに来た。

「岡崎くん、伊野さん。 今日はよろしくお願いしますわ」
「こちらこそ」

笠井先輩の挨拶に伊野が答える。
笠井先輩、落ち着いているように見えるけど、本当はすごい緊張してるんだろうな。

笠井先輩の服装についても説明すると、上品なピンク色のパフスリーブのワンピースに白いカーディガンを羽織り、こちらもまた割と動きやすそうなパンプスを履いていた。

「俺は、お前たちとは初めましてだよな? 俺は相坂真だ。 よろしくな」
「「よろしくお願いします」」

俺と伊野が軽く頭を下げた。
生徒会にもまともな人がいたことに対して、すごい驚いた。

「そんなかしこまらなくてもいいぜ。 真って呼んでくれてもいいぜ?」

久しぶりに一般人と話した気がする。
あれ? 目に塩水が溜まってたぞ……?

「えーと、真先輩。 予定早いけど、もう行きますか?」
「いいぜ。 アトラクションとか沢山乗りたいしな」

伊野と笠井先輩も賛成してくれたから、早めに電車に乗り移動を開始した。

1時間30分程度で目的地にたどり着いた。
平日ということもあり、人はまぁまぁ少ない。
それでも、流石、有名アトラクションパーク。 意外と人がいる。

「空いてるな~。 ラッキー!」
「ですわね!」

2人から早く遊びたいオーラが出ている。
笠井先輩、目的を忘れていないといいんだが。



その心配が杞憂で終わるか終わらないかが心配で仕方がない木曜日の午前9時だった。