おいでませ、助太刀部!! 野宮詩織 /作

第7章 「高校生には見えないんですけど!?」(part10)
「じゃあ、俺、兄貴がいない隙に少し出かけてくる」
兄貴の暴走を止めてくれた中子と四月朔日と花薇、それと兄貴が果てしなく迷惑をかけた深間と相斗にケーキとかのお菓子を買ってこようと思い、俺は立ちあがった。
「じゃあ、私もついてくわぁん♪ また、忍が湧いて出るかもしれないしねぇん」
中子が言った。
中子の中では兄貴は虫と同レベルらしい。 どう考えたって、虫より低い位置に設定されると思うんだが………。
「行ってきてもいいけど気をつけてねっ! それと、5時には帰ってきてねっ」
「分かった」
現在時刻は4時15分。
一番近い店は往復で20分弱といったところだから、選ぶのに時間をかけすぎなければ問題ないだろう。
「じゃあ、行ってくるわねぇん」
* * * * * * * *
「中子、好きなの1つ選べ」
「あら、奢ってくれるのかしらぁん?」
「兄貴が迷惑かけてるからな。 深間たちにも買うつもりだ」
結構、痛い出費となるがやむを得ない。
正直言って、ケーキじゃ足りないと思うが、四月朔日辺りが「お前の命をよこせ」とか言い出しそうだから、なんでも有りっていうのはムリだ。
流石に命を差し出すのはムリなんだ………!!
「そしたらコレがいいわぁん」
中子が果物とクリームが沢山のったホールケーキ(店で1番高いと思われる)を指差した。
いや、金額はギリギリだけど足りるぞ? 足りるけど、コレ、一番高いんだが………?
「全員で切り分けるのか?」
「私、1人で食べるのよぅ」
「すみません、マジ、勘弁して下さい………」
まさか、ケーキ屋の中で土下座することになるとは思わなかった。
この店の床がキレイでよかった……!!
「冗談よぅ」
「よかった……!! 心臓に悪かったぞ……!!」
1人に3000円(正確には3300円)使ったら、他の人のが買えなくなってしまうからな……。
「本当はこっちよぅ」
そう言って中子が期間限定と表示があるチョコレートケーキを指差した。 他のに比べて少し高めだが、さっきのよりかは遥かにマシだ……!
「他には誰に買うのぅ? 私が選んであげるわよぅ♪」
「あんまり高いのばっかり選ぶなよ? 四月朔日と深間と花薇と相斗と……稲田先生と眸にも買ってくか」
眸のは兄貴による被害どころか、本人が俺に被害をもたらした気もするが、ケーキで機嫌を直してもらえるなら安いもんだろう。
「メイドちゃんにはちゃんと謝らなきゃダメよぅ」
「……後で謝っとく」
眸の件は、俺、そんなに悪いことしてないはずなのにな………。

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