現実逃避超空間

作者/ 風そら



6



「「なっ!?」」

二人して声を上げて、銃声のした方を振り返る

一日の40パーセントは【SPACE】で遊んでばかりいる俺らが、
銃声の音を聞き間違えるわけがない

これはリボルバーでマグナムを撃った時の音だ


マグナムは普通の弾より強化されていて、貫通に優れている
普通は絶対使わないし、入手も出来ない


マニアが発砲してるにしてもこんなところでやるはずがない
永久アクセス拒否されるんだぞ

『ズガガガガン!!』


人々の叫び声と響く銃声
だが、発砲している人物が見当たらない

「結構いるな」
直人が冷淡に言った

驚きつつも余裕が持てるのは、ここが仮想空間だからである
撃たれても死なないし、どうせ犯人は一発で捕まる

「あぁ、普通連射できないし」

とか言ってるうちに発砲音は近づいてくる


『ドスッ!!!!』

「うっ!」
弾丸の一発が直人の左足首をかすった

仮想空間といえど、精神はあるから痛みもある

「おい、大丈夫か!?
 強制ログアウトってどうやんだっけ・・・」

俺は直人のポケットあたりを探る


「あった・・・」

緊急時【SPACE】離脱装置

この紐を引っ張れば…



ヒュン――



直人の体はもうなかった

「うおぉぉ!!!」

これは・・・!
さっきのおっさんの声

まさかとは思うが・・・


『ズガガガ!!』


ちっ、俺も・・・



俺は目を閉じて暗証コードを思い浮かべる









てぃー
ぴー
わい
さんじゅう
ろく