現実逃避超空間
作者/ 風そら

26
「だーかーらー、俺ら別に怪しくないし!もう30秒以上たってるし!!」
「残念だな少年。どちらにしろこの車は二人乗りだ」
ルティアとかいうやつは意地でも俺らを乗せないらしい。
もう切り上げて別の策を取った方が…と、言おうと口を開いた時―
「狙われてるわ… 直人、今何時?」
美佳があたりの上空を眺め、監視カメラを探しながら言った。
「11時27分、後3分で放送が流れるな…」
「それがどうかしたのか?」
尋ねると美佳は苦悩の表情を浮かべた。
「今から逃げてももう遅いわ…」
「集中的に狙われてるのか?」
美佳の独り言に応えたのはルティアだった。
「なぜそれを?」
美佳が不思議そうな顔をして聞いた。
千里眼で見通したというのは大方予想がつくが、ルティアはそれを知らないはずだ。
ルティアは微妙な笑みをこぼした。
「分かるんだよ、同じ感染者としてね」
「だが、逃げてももう遅いというのは間違いだ」
直人が二丁のマグナム銃を両手にした。
なるほど…
俺はニヤリと笑うとアサルトライフルを握りしめる。
「逃げながらぶっ潰してやる」

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