現実逃避超空間
作者/ 風そら

13
『ドサッ』
コンクリに転がったトッドのもとへと歩いていく
「さて、おっさん。約束通り裏世界への入り口を教えてもらおうか」
勝ったら気分がよくなるのは人間のセオリーだ
「ふふっ…そうだったな!!!!」
「「!!」」
トッドは握っていたもう一つのピストルで俺に狙いをつけた
『ガガキン!!!!!!』
刹那―――
目の前が真っ暗になった――
痛みさえも感じない――
死ぬってこういうことなのか―――
いや…違う――
黒く見えるのは漆黒のマント、いやローブ
それで視界が遮られ、前で何が起きてるのか全く分からない
「な、なんだ貴様っ!!」
トッドの声が聞こえる
「あら、約束を守らないクズ男に口をきく権利はないと思うけど?」
!!・・・・女!?
たまらず横に転がって何とか見ようとする
そこには、長いストレートの髪と大鎌・・・って鎌!?
目の前の事情が全く理解できない 直人もピクリとも動かない
へこたれたトッドの前に100キロはありそうな大鎌がどっかりとおかれ、それを持っているのが女…
いったいどうやって…
女はトッドの手首をぐっとつかむ
「な、何しやがる!!」
「動かないで」
言われなくてもトッドは動ける状態ではない
女は左手で手首をつかみ、右手でポケットから注射器のようなものを取り出した。よって大鎌は倒れる
『ガーーーーーーーーーーーーーン』
耳に残る音さみたいな音 俺はこれが大嫌いだ
「やめろ!っ!何する気だ!!」
「注射するだけ、大の大人が注射におびえてみっともないわよ」
女は針を手首に当てた
あれ?トッドの皮膚は圧力がかかると固くなるんじゃ…
『プスッ』
えええええええええええーーー!?
なんだそれーーーーーーー!!!!
「麻酔よ、これであんたは当分動けない」
女はこっちを振り返った
「ケガ、ありませんか?」

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