現実逃避超空間

作者/ 風そら



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「「!?」」

美佳と直人は身を引いた。
んなこと言われなくたって分かってらぁ…


「幕僚長、このままでは計画が…」
デイソンが真剣な眼差しで伊藤を見つめた。

「計画ってなんだよ」
伊藤より早く口をあけたのは直人だった。

「あれ?聞いてないの?そこのパソコンに詳しい娘が知ってたと思うんだけど」
伊藤は美佳を指差した。

「……」
美佳は黙り込む。

「ま、それは後にして… お前ら本部戻っとけ」
伊藤はデイソンと甘味を顎で指した。

「ほ、本部に…?しかし緊急時以外は…」
「いいから行けっつってんだよ」

渋々二人はゴソゴソとポケットに手を突っ込むと筒状の機械のようなものを取り出した。
そしてその上部にある赤いボタンを押した。

『カチ』
という音とともに二人は消えていた。



そして……

『ゴッ』「!?」

紫炎が顔面右側を通過した。

伊藤が手から放った球…           デストロイ・ショット
それは、自分以外の細胞を破壊、いや、消失する 滅却弾 …


「相手、しろよ」

伊藤のするどい、獣のような眼は挑発的に俺を見つめていた。


「いいよ、やってやっても」

俺は手に力を込めた。

淡い黄色の炎がパッと燃え上がる。


「美佳、直人。ルティア探してきてくんねぇかな?」
「「…了解」」

伊藤はニヤッ笑うと手を後ろに回した。


「せめて最後まで抗えよ」