現実逃避超空間

作者/ 風そら



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「……」


しばらく沈黙が続いた。



「おいおい、それで終わりかよ?」
目の前で伊藤がつまらなそうな顔をした。

「まだ…終わってねぇよ!!」

俺は右手に炎を宿すと勢い任せに伊藤を殴った。



『バッ』「!?」

俺の金の拳は伊藤の紫の手に収まっていた。



「お前がどんなに適合力が高かったとしても、スピードと強さがなければ俺には勝てない」


次の瞬間、伊藤は消えた。









「また会おう。萩原君」


もはや声はどこから聞こえるのかわからない。



「待てよッ!!
 計画ってなんだよ!なんなんだよちきしょう!!!」





声はむなしくオレンジ色の空に響いた。




もう夕方になっていた。


もう他の地域では犠牲者が出ているのだろうか。





それともこの東京のように虚しく廃墟と化したのだろうか。







ただ、とるべき手は一つしかない。




俺は手の上に見慣れたノートパソコンを出現させた。