現実逃避超空間

作者/ 風そら



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直人と美佳は影を長くのばして大通りを平然と歩いていた。

と、いっても歩道だが。



「ったく、あんな奴探して何になんだよ?」
「さぁね」

直人は首の後ろで手を組み、美佳はパソコンとにらめっこしている。


「何してんの?」
「CSAのヘルメット探索プログラム。うちらは徹底的にマークされてるからどこにいるかは一目瞭然。
 もともと【SPACE】には上空に衛星カメラがあって、そのデータは制御センターに転送されるの。

 ルティアを探すならうちらの近くのヘルメットを片っ端からそのデータと照合して行くのがベストよ」

「…なるほど」

直人が本当に心の底から思っていたのかは不明だが、直人は一つ気になっていたことがあった。


「なぁ、さっき伊藤ってやつが言ってた計画ってなんだ?」
「あぁ…」

美佳は思い出すように空を見上げて立ち止まった。


「こないだCSA発足についての資料を見てたんだけど、その中にある計画内容が記されていたの」
「なんて?」

「『日本政府所持のコンバーター奪還、および世界各地への設置、起動』…」
「コンバーターってどっかで聞いたことあるな」

直人は顔をしかめた。

「首相官邸で話してたやつよ、この前見た。CSAが欲しがってるって言う

「あぁ、あれか…」


「それを世界各地に設置して起動させようっていう計画らしいわ」
「そのコンバーターはどんな役割があんだ?」
「分からない。それについての資料は何処にもないの」


しばらく沈黙が続いた。


「ま、今はただルティアを探すってだけか」

直人が再び歩き出す。


「それが……」
ルティアはそのまま立ちすくんでいる。

「どうした?」
直人は振り返る。







「ルティア・ヴィレイトリムがCSAの名簿に乗ってるわ」