現実逃避超空間
作者/ 風そら

23
意外にも、東京駅付近は大混雑だった。
それもそうか、ここは東京だ←
「走ってそうだけどなー…」
直人は、何をしようとしているのかもわからない人ごみを見つめながら言った。
「どうする?この中通って入るか?」
「そうね…」
美佳は手を顎に当てて考えたそぶりを見せると、それっきり黙り込んでしまった。
「お~い、美佳さ~ん ノシ」
俺は美佳の顔の前で手を振る。反応するどころか、まばたきもしない。
「走ってないわ、行きましょう」
不意に美佳が顔を上げると、今来た道をまた戻っていった。
なーるほど、千里眼ね…
直人と俺は、美佳の後をついて行った。
「それじゃ、これからどうするんだ?
新幹線がだめなら…」
「ヒッチハイクだな」
えー… 俺たち一文無しみたいじゃん…
俺の明らかな「不満」の表情を読み取ったのか、
それともテレパシーを使ったのかはわからないが、直人は美佳にも意見を求めた。
「美佳は?」
「それもいいけど確実性が少ないわね。
タクシーかなんかがあればいいんだけど…」
と、言っているところに、向こうの交差点をスポーツカーが横切った。
速度で言えば20kmぐらいだろうか?
「行ってくる」
美佳はコートを脱いで直人に投げると、道路を一蹴りする、
と、美佳は上空10cmあたりで水平飛行した。
とも思えるぐらいのスピードで交差点まで跳ぶと、左側のビルに足をつけ、今度は90°回転して左に曲がった。
もう美佳の姿は見えない。
「俺たちも行くか」
俺はうなずく。
俺たちは全速力で美佳の後を追った。

PR
小説大会受賞作品
スポンサード リンク