現実逃避超空間
作者/ 風そら

9
「……なんだよ、色々知ってんじゃねぇかよ」
長い沈黙の後に発した言葉がそれだった
「ここで何が起きてるのか知らないっつってんだ。
あと、【SPACE】にいる人間…「人質」の所在地はテロリスト側に把握されている。
ログアウトしようとしたらその周辺にいる奴らに狙われる。
無理すんなよ。」
なーにを偉そうに…
ちょっと命助けてもらったからって…
「いたぞーーーーーーーーー!!!!」
「「!!」」
ヤベッ! てかしつこいぞ!! 人質なら殺すなよ!
「人質なら山ほどいるんだ。殺したほうがいい奴は殺したほうが上にいる人間のいい薬だ」
おい!!テレパシーかよ!!それ俗にいうテレパシーってやつだよな?!
「死ね」『ドフッ!!!』
直人君、アサルトライフルは単発で撃つものではありません
「いいからお前もさっさとやれよ!!俺に任せる気か!?」
あ、そうか!ここは【SPACE】だった!
ニヤリと口の両端を持ち上げると俺の手にはサブマシンガンが握られていた。
「俺たちオタクをなめんなよ!!」
『ガガガガガガガガガッ』
敵は5,6人といったところ――
乱射すれば動きは止められる。
『ドッ!!』「ウッ!!」
「直人!!!」
直人の胸に弾丸が命中した。
防弾チョッキで威力は激減するが、鈍い痛みが走る
俺もやっとかないと…
物陰に隠れて必要なものを頭の中から呼び出す
防弾スーツ、ヘルメット、分厚い手袋
これぐらいそろってれば大丈夫だろ…
「よし!」
前衛に飛び出そうとしたその時
『ザシュ!!!』
頭の上を弾丸が通過する。
「ああああああああぁっ!!!!!」
味わったことのない恐怖。
狙ってる……
いや、
こんなことでビビってる場合じゃねぇ
直人だって… 直人だって…
俺はしゃがんだままSMGを構えると無我夢中で撃ちまくった。
もう音なんて聞こえやしない
直人が何言ってるのかもわからない
気付いた時には、薄暗い倉庫には俺たちのほか、
何者も存在していなかった

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