現実逃避超空間

作者/ 風そら



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「だーかーらー、俺ら別に怪しくないし!もう30秒以上たってるし!!」
「残念だな少年。どちらにしろこの車は二人乗りだ」

ルティアとかいうやつは意地でも俺らを乗せないらしい。


もう切り上げて別の策を取った方が…と、言おうと口を開いた時―
「狙われてるわ… 直人、今何時?」

美佳があたりの上空を眺め、監視カメラを探しながら言った。


「11時27分、後3分で放送が流れるな…」
「それがどうかしたのか?」

尋ねると美佳は苦悩の表情を浮かべた。


「今から逃げてももう遅いわ…」
「集中的に狙われてるのか?」


美佳の独り言に応えたのはルティアだった。

「なぜそれを?」
美佳が不思議そうな顔をして聞いた。


千里眼で見通したというのは大方予想がつくが、ルティアはそれを知らないはずだ。


ルティアは微妙な笑みをこぼした。

「分かるんだよ、同じ感染者としてね」


「だが、逃げてももう遅いというのは間違いだ」

直人が二丁のマグナム銃を両手にした。


なるほど…

俺はニヤリと笑うとアサルトライフルを握りしめる。




「逃げながらぶっ潰してやる」