現実逃避超空間

作者/ 風そら



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「どうやらCSAは昼間の間に超能力探知機を仕掛けたみたいね」

パソコンを操作しながら颯爽と走る美佳は言った。


「すげぇな、俺たち誰一人としてそんな奴ら見てないぜ」

対して直人は自転車を全力でこいでいる。


「各地点とのデータを合わせると、エネルギーは線状に放出されてるわ」
「てことは、エネルギーを出しながら移動したか、かめはめ波でも撃ったかだな」

美佳は苦笑した。




しばらくすると目的地に着いた。


「悠斗はまだ来てないみたいね」
「…そのようだな」

あたりをキョロキョロさせていると、違和感のある物体が駅への入り口にころりと転がっていた。



直人は無言で美佳に伝える。



お互いにうなずき合った二人はゆっくりとその物体に近づいていく…





「んーーーーーーーーzzZ」










思わず身を引いたが、やがてそれがいびきであったことに気づき、もう一度……





































「…ルティアではないな」

その眠っている少女を見下ろしながら直人は言った。

髪は黒いし、長さも全然短い。



っていうか小さい。





「残念ね、とりあえずもどって『ガサッ』

美佳が言い終える前に近くで物音がした。
直人が銃を構える。

美佳も鎌を握りしめ、ゆっくりと近づく。そこには…













































??「あ?」
直人「あ?」

??「あ?って、お前ら…!?」

そこにいたのは紛れもない、


さっきぶりのキャンデーである。






「偶然だな、もしかしてあんたらもルティア目当てかい?」
脇からひょっこり現れたデイソンが言った。

「あぁ、だが残念だ。ここにはいねぇよ」

直人が言った。


「なんだ、違うのか。ったく無駄足だったぜ。

 まぁ、そんな無駄足を無駄じゃなくしてくれそうな面してるやつらがいるなぁ、金時」

「そうだねぇ」

金時は胸ポケットから取り出して黒光るそれをいたわるように撫でた。



デイソンはにやりと笑うと、拳の血管を浮き立たせた。

「金時……



















 帰るぞ」


「えええええええええええええぇぇっ!!?」



金時が叫んだ。

「いや、そこまで言っておいて帰るはないでしょ!
 なんか銃出した俺の立場ねぇジャン!!」

「やりたきゃ一人でやれ。
 ついでに待機させといた偵察部の輩も全員回収しろよ」


「え、ちょ、デイソンッ、えぇー!?」


一人残された金時は二人に向き直った。



「しゃぁーねぇなぁ。。。
 ま、そういうつもりならパッパと終わらせようぜ」

「あったりまえだ、夕方の貸しはきっちり返してもらうぜ」

直人は銃を構え、美佳は距離をとる。





「はっ、手一本使えないやつに負ける気はねぇよ」






「そうだな、だが、ハンデとしてこっちは三人でやらせてもらうぜ」

金時は背後からの気配に気づかなかった。







「悠斗……」
直人が言った。



「ふあぁぁあ。。。寝む・・・」

その時寝袋に収まっていた少女が起き上がった。










「見つけたぜ、咲子ェ!俺の勝ちだッ!!!」

「あれ、見つかっちゃったの?自信あったのになぁ」
「いや、それならもっと動き続けろよ!」



「まぁ、今回はボク見学ね。眠いし」

そういって咲子は再び寝袋に収まった。




「なんだ?知り合いか?」
直人がきいた。


「まぁ、ちょっとな」

「ごちゃごちゃ言ってないで始めるぜ?」


そういって金時は二つ銃を取り出した。








『闇戦』、開幕――