二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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(吹雪物語)  世界への挑戦!編 完結 
日時: 2016/11/08 00:24
名前: しろお (ID: Gu5gxE0Z)

時々URLが光っていますが、アフロディのサイドストーリー以外はyoutubeです。なので音量注意です! 世界編からは、吹雪っぽい曲以外にもサイドストーリーのキャラごとのイメージ曲をつけて遊んだりしてますので、よかったら聞いてみてくだされ

しろお別作品リンク
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[イナズマイレブン4 呪われたフィールド]
イナズマイレブンの高校生編。中学生編でスポットの当たらなかったサブキャラクターたちがメインです。主人公は豪炎寺の従兄弟。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22282

[イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー]
不動明王の高校卒業後のエピソード。卒業後海外クラブへ挑戦するための旅費、お金稼ぎの時期の話。こちらもサブキャラクターたちがメイン
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29765

[吹雪兄弟の事件簿]
吹雪兄弟の子供のころの短編。吹雪好きはぜひ
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22087


[イナズマイレブン×REBORN! 神の復活]
こちらはアフロディのお話です。わりとREBORN好きな方向けですかね。イナズマイレブンGOの世界がメインかもです。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=21867


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Re: ブリザードイレブン  (吹雪物語) ( No.43 )
日時: 2011/10/30 23:10
名前: しろお (ID: eR9v1L6x)







 試合後のミーティング。
「試合は不甲斐ない結果に終わったけれど、慢遊寺の学校を完全に破壊されてしまうところを防いだのはとても大きいわ、国の重要文化財に認定されている建物が数多くあるから。各自、今日の試合を通して自分達に足りないところは見えてきたと思う。次の襲撃予告までたった十日。たったそれだけの日数でどこまで成長できるかはあなた達の努力次第よ。個人能力の向上も必要だけれど、イプシロンに勝つには徹底した戦略とゲームメイクが必要よ。鬼道くん、わかってるわね?」
「はい。では、一時間目を始めましょう」
 イナズマキャラバンに参加している生徒達は、週に一回作戦会議を含むミーティング兼授業代理の時間を設けてある。
 学校で授業を受けられないため古株さんが国語と社会を、瞳子が数学と理科を、アメリカに住んでいた経験のある一之瀬や土門、木野が英語を教えている。
 朝早くから試合があったが三分で終わり、膝をすりむいたりしている部員が多かったため今日がその日となった。
 一時間目は作戦会議だ。試合後のミーティングも兼ねている。
「まず、イプシロンの戦い方はこうだ。相手のFWに人数をかけて封じることにより相手MFの負担をあげさせ、カウンターで一気に得点する。それで俺たちは余計に疲弊し、迫りくる怒涛の攻撃を防げずに試合を支配させてしまった。俺たちはジェミニストームがスピードで押してくるチームだったために、自然と少人数で攻めるカウンターサッカーが主なプレースタイルになってしまっていた。かつ、プレッシングサッカーでもある。スピードでは相手の守備を崩せないとわかりすぐさま俺は中盤でのボール回しにこだわったが、ボールを奪うことがおろそかになってしまっていた。所詮付け焼刃では通用しなかった、ということだ。内容はこんな感じだろう。ここまで質問は?」
「はい」と円堂が手をあげる。
「はい、円堂。何だ?」
「全然鬼道の言ってることが意味わからん!」
「な、なに!? そ、そうか。説明の仕方が悪かったか」
「そうかな? アメリカじゃ、このくらい普通だよ?」
 と一之瀬。
「そうね。円堂くんには後で私がみっちり個別指導しておくわ。キーパーって言っても、や、やっぱり戦略の理解は重要よね!」
 夏未は頬を赤らめながら言う。円堂との二人きりの時間を狙っているのだろうが、お嬢様な気質の彼女はわざわざこういう機会を作らないと気になる殿方に声をかけられない。
「な、なあ塔子。俺も円堂と同じで良くわからなかったんだが、塔子はわかるか? わ、わからないよな、それが普通だよな」
 風丸はおどおどとした態度で塔子に訪ねる。
「私は結構わかったよー」
「何!?」
 さすがに総理大臣の娘なだけはあるな、と風丸は思ったに違いない。
「壁山。今の、分かったでやんすか?」
「もちろんっす! 今日のお昼は焼きそばってところまで聞いてたっす!」
「全然聞いてないでやんす……」
「あのさあ」と言って染岡が手をあげる。
「実際どうなんだよ? 戦略云々以前によお、実力の違いってもんがあったんじゃねえのか?」
「僕もそう思うな。難しいことは考えないで、もっと楽しくやらなきゃ!」染岡の意見に吹雪が合わせる。
「まあそう慌てるな、染岡、吹雪。話はここからだ。今日の試合内容をふまえ、イプシロン相手には多人数でコンフォータブルに攻めラインの押し上げをはかり、吹雪と染岡をやや下がり気味のポジションをとってサイドから積極的に攻めるサイドアタックが有効的ではないかと俺は考えた。ポゼッションの意識は前より少しあげる感じ、だな。で、ここで俺が言っておきたいのは」
 ばん、と鬼道が机をたたく。
「絶対に百パーセント勝てる戦略など無いということだ! 必ずどこかに穴はあり、時間とともにそれははっきりとしてくる! 俺達は十日後、あいつらに勝つためにも、有効な戦術を見つけ出して行こう! ……もっと見るべき深みを瞳に感じるんだ。俺たちの瞳の中に、勝利はある!」
(ふっ、決まった……! 見ててくれたか春奈!)
「吹雪さん、ケガはありませんか?」
「大丈夫だよ音無さん。音無さんが近くに来てくれただけで、ケガなんて治っちゃったよ」
「ふふっ」
(は、春奈……! 無念だ……)
 一時間目終了。
 二時間目、数学。
「机の上のプリントに目を通して。十五分あげるわ。十五分後、テストを行うから、満点をとれなかった場合地獄の特訓メニューをやってもらうから覚悟しておいて。一応、二年生と一年生で問題の内容は分けてあるから、気にせずやってちょうだい」
「め、めちゃくちゃすぎるよ監督……」
 そう言った円堂はもちろん、壁山、栗松、土門の四人が満点を取れていなかった。
 三時間目、英語。
「Hello,everyone! How are you!」
「一之瀬……頼むから英語でしゃべってくれ……」と円堂。
「え。今のも駄目なの。今のは、『やあみんな。調子どうだい?』みたいな意味なんだけど」
「うー……。そうなのか……」
「あ、円堂君には私が後で教えとくから大丈夫だよ一之瀬君」
(夏未さんと二人きりになんてさせられないわ!)
「なっ。ふ、フランス語とイタリア語ならわかるのに……!」
 木野と夏未の間に見えない火花が散る。
「え!? 木野と夏未が教えてくれんのか? へへっ、ありがとな!」
 罪づくりな男である。
 



 今日の授業はお昼までだった。
 昼食を済ませた後、午後の練習を行うまでに一時間の昼休みがあった。京都の街にでかける者が大勢だったが、円堂はキャラバンに残って木野と夏未に挟まれて居残り学習をしていた。
 地獄の特訓とやらは、通常の練習後に行われるようだ。

Re: ブリザードイレブン  (吹雪物語) ( No.44 )
日時: 2011/10/31 22:33
名前: しろお (ID: eR9v1L6x)



  


      第七話   夏目友人帳






 同日。某田舎にて。雷門イレブンがイプシロンと戦っていたときの話である。
「ん……なんだよニャンコ先生。今日は起きるの早いね」
 少年はけだるそうに布団から出た。この少年は夏目貴志。妖怪が見えるという特異体質の人間だ。両親が他界しているため遠い親戚の藤原夫妻の家で寝泊まりしている。
「あほう。もう六時だぞ。いつまでもダラダラ寝ていると、寝込みを妖に襲われてしまうぞ」
 ニャンコ先生と呼ばれる猫が言った。体はずんぐりと、丸く、顔は招き猫のようでおもしろい。なぜ言葉が喋れるのかというと、このニャンコ先生自身も妖怪だからである。遠い昔に招き猫の人形に封印されてしまってから事故で夏目によって封印が解かれたが、媒体である人形に魂が同化してしまい今もこの猫もどきの格好をしている。
 一応夏目の用心棒だ。
「それともわしが食べていいのかな……」
 口からよだれを垂らして間の抜けた招き猫の顔で言われても、迫力に欠け「ぷっ」と夏目は笑ってしまう。
「とりあえず、顔洗って朝ごはん食べなきゃな」
 



「おはよう貴志くん。ご飯できてるわよ」
「おはようございます塔子さん。いただきます」
 席に座ってごはんを食べ終えると、夏目は歯を磨いて学校に向かった。
「おいしかったです。行ってきます」
「気をつけてね」
 夏目は塔子に手を振る。用心棒であるニャンコ先生は、夏目の後ろからとことことついてきている。ニャンコ先生は足が短く、寸胴なため猫よりも狸に近い容姿をしている。狸よりも足は短いが。
 学校につくと、校門で夏目の友人が夏目に声をかける。
 たわいもない会話をしながら、教室についた。
「夏目知ってるか? 今京都に、宇宙人が来てるらしいぞ。なんでも、全国の中学校だけを狙って破壊しまくってんだとさ!」
「ふーん。どうせこんな田舎にはこないだろ」
「何!? 宇宙人だと!?」
 ニャンコ先生が窓の外から入ってくる。
「え? 今夏目なんか言った?」
「いやなんも言ってないなんもいってない! ……先生、バレたらまずいだろうが。わ、わりい。ちょっとトイレ行ってくるわ」
「おう。俺も行こうかな」
「あ、いや、その、大の方だから! じゃな!」
「お、おう」
 だーっと夏目はニャンコ先生を抱えてトイレに駆け込む。朝からトイレにいる生徒はいないようだ。
「だから先生、学校は動物禁止なの! わかる!? しかも言葉を喋る猫なんていないんだから……!」
「決めたぞ夏目。宇宙人がどんなものなのか気になる。京都に行くぞ! ちょうど生やつはしが食いたかったところだ!」
「は!? いや俺学校だし無理———ってうわっ」
 ニャンコ先生は普段溜めている妖力と解放し、かつての龍と虎の間の生き物のような神々しい姿になり、夏目をくわえてトイレのガラスを破って空中を駆けて行った。







「はあ、はあ……。死ぬかと思った」
 あっと言う間に京都の街へついていた。と言ってももう十二時近くを回っていたが。
 せっかく来たというのに、ニャンコ先生はそわそわしている。
「どうした、ニャンコ先生」と夏目が声をかけると、ニャンコ先生は少し間を置いて、「とんでもない妖気を感じる……。羽衣狐が動き出したか? いや、懐かしいこの畏れの感じ……あのぬらりひょんとかぬかすはげじじいか!? それにしてはまだ弱い気もするが……ううむ」
「何言ってんだよ。宇宙人見に来たんだし、どこにいるのか街の人に聞いてみようよ」
「ん。ああ、そうだったな」
 とりあえず夏目は、話しかけやすそうな若いサラリーマン風の男に話しかけてみた。
「あの、ここらへんに宇宙人が来てるって聞いたんですけど……」
「来てたね。場所は、あの山の近くにある慢遊寺中ってところだったんだけど、もう試合は終わったみたいだよ」
 試合ってなんの試合だろうと夏目は思ったりしたが、聞かなかった。
「じゃあ、まだそこにいるんですか?」
「いや、もうどこかに行ってしまったそうだよ。かくいう僕もこんな服装だけど雑誌の記者でね、宇宙人を追っているんだ。僕も、京都に宇宙人が来てるって聞いて東京から飛んできたんだけど、ちょっと遅かったみたいだ」
「そ、そうですか……」
「君、まだ学生でしょ? 今日は学校休み?」
「え!? あ、ああ、まあそうです。じゃあ、これで失礼します。ありがとうございました」
「いやいや」
 男から逃げるようにして夏目は去って行った。
「ちっ。一足遅かったか。まあ、まだ生やつはしというものがある」
「そうだな、お腹減ったし。でもお金足りるかな」 




 一方その頃雷門イレブンは———— 
 
 






 




Re:ブリザードイレブン ( No.45 )
日時: 2011/11/02 01:18
名前: 郁(いく) (ID: nA0HdHFd)

キャラの個性もちゃんとあるしストーリーが面白い!
吹雪兄弟がかわいすぎです☆

夏目友人帳が混ざってるじゃないですか!あれ面白いですよね♪
ニャンコ先生好きですよ!
これからちょくちょく混じるのでしょうか、楽しみです!

Re: ブリザードイレブン×ちょっと夏目 ( No.46 )
日時: 2012/09/27 01:14
名前: しろお (ID: kEMak/IT)

 郁さん、ありがとうございます! ニャンコ先生かわいいっすよねー! 
 

 ま、今回、木暮の出番は少ないですね。はい。吹雪が主人公なんでそこはもうね。すんませんでした。
 とりあえず夏目友人帳を最近見始めてとてもおもしろかったため、ちょっと友人帳のキャラ登場させていいかな……? と思ったんす。ほんのちょっぴり、ほんのちょっぴり登場するだけなんで……許して下さい。 
 いやあの、自分じゃうまくあの世界観を出せないよなーっと思ったんです。はい、すんませんでした……。
 タイトルに「ちょっと」ってつけてるから許してください! 
 





                
 一方その頃雷門イレブンは————
 集団で京都の街を散策していた。
 人の多い通りに行けば、雷門イレブンでも騒がれることはないようだ。むしろ、雷門イレブンが騒いでいて周囲の人に迷惑がかかっている。
「すごいね……。都会って、こんなに人がいるんだね」
「東京はもっとすごいですよー。もうまさに人ごみって感じですから! 人がごみのようだー、なんつって」
 音無は笑っているが、人がごみのようだというギャグを吹雪は知らないらしく『?』という文字を頭の上に浮かべて笑って首をかしげた。
「吹雪さんもしかして、都会にきたの始めてなんですか?」
「うん。僕は北海道が大好きだからね。まさか僕が都会にくることになるなんて、思ってもみなかったよ」
 北海道の都市札幌は、意外と都会らしい。
「へえ、そうなんですか。あっそうだ! エイリア学園との戦いが終わったら、東京に遊びに来てくださいよ! すごいですよ東京はー!」
「本当? 東京かあ……」
 吹雪は東京のイメージを頭に浮かべる。たくさんの人々、犯罪、薬物、暴力、政治、ヤクザ、交通事故、痴漢、満員電車、差別、詐欺、汚染された川、酔っ払い、汚い空気……。吹雪はどうもマイナスなイメージばかりを持っているようである。
「なんだか、嫌なイメージしかないや」
「うーん。気持ちはわかりますよ。でも、東京ならどこもかしこも新宿とか原宿とか、渋谷とか池袋とか歌舞伎町とかみたいになってる訳じゃないですし、雷門中がある稲妻町はそれなりに平和なところですよ」
「へーえ。ねえ一之瀬くん、アメリカから見た東京ってどんな感じだったの?」
「ん? そうだなあ……。やっぱり駅とか電車とかはすごいと思ったよ。最初雷門に転校する時飛行機から電車で稲妻町に向かったんだけど、死ぬんじゃないかと思ったね、あの満員電車の中で。あ、あと、オタクって実在するんだ、って思ったかな。久しぶりに日本に戻ってきたら流行が変わりすぎてて、本当に驚いたよ。ムーヴメントの激しさはアメリカにも全く負けてないんじゃないかな」
「そうなんですか。NYとかは、満員電車ってないんですか?」
「あることはあるけど、ほら、アメリカって犯罪がすごく多いから、『俺に近寄るな』っていうオーラを皆が出してるんだよね。っていうか、出してなきゃ本当に生きていけないから。だから、満員っていっても人と人との間は結構空いてるよ。それに皆時間にルーズだから、混んでたら乗らない、空いてて気が向いたら乗る、そんな感じじゃないかな。車内はアメリカの方が数倍汚いよ。日本の電車は綺麗すぎるくらいだよ。街も綺麗だしね。NYからゴミを抜いたら何も残らないよ」
「犯罪とかって、東京とアメリカ、どっちの方が多いのかな? やっぱりアメリカなんでしょ? あたりまえだよね」
「うん。遠征でNYに行ったとき、荷物からちょっと目を離した隙に持ってかれてたくらいだから、やっぱりすごいよあそこは。まあボールしか入ってない鞄を持ってったから、そういうお馬鹿なところもアメリカらしいよね。日本にきたとき驚いたことは、いちいち些細なことをニュースで報道してることだよね。あっちじゃ人が死んだって、いちいちニュースになんかならないよ? なんとなく想像つくと思うけどさ。だってさ、アメリカじゃ、三分に一回盗難が、十分に一回暴行が、一時間に一人が死んでるんだよ?」
「こ、怖いなあ……」
「ですね……。日本人で良かったです」
「アメリカと日本の違いなんて、あげればキリがないよ。こっちの女性は本当におしゃれだと思うよ。逆に、男性のファッションは黒とか紺とか多すぎるよ。もっと個性だしてこうよ! 黒目で黒髪だから、しょうがない気もするけどさ」
「で、でも、私、路地裏で血だらけで倒れてる人見たことありますよ!」
「HAHA。そんなの日常茶飯事だよ。公になってないだけで、色んな国から色んな人が集まってくるのに、アメリカから殺人犯罪を抜いたら人で溢れかえっちゃうよ。まあ、それも考えればわかることだけどさ。NYに住んでる人は本当にすごいと思うよ」
 怖いことを平気でさらっという一之瀬に畏怖し、音無と吹雪はそれっきり黙ってしまった。
「あ、あのさ一之瀬、もっと気持ちのいい話をしてやれよな。もっと日本のことほめたりさ……」
 隣で話を聞いていた土門が苦笑いを浮かべて一之瀬に助言する。
「おお、そうだな。なんだろう、日本の人は皆とても親切だと思うな。東京の人は、誰かが道に迷っていても忙しすぎて道を教えることはできないけど、ほとんどの人が心の中ではその人に道を教えてあげたいと思ってる」
 怖い人達は別にしてね、と一之瀬は最後に付け加えた。

Re: ブリザードイレブン×ちょっと夏目 ( No.47 )
日時: 2011/11/02 19:01
名前: しろお (ID: eR9v1L6x)

 
「ふむ。風丸、京都と言えばなんだろうか」
「なんだよ鬼道、急に。京都か、なんだろうな。源義経とかか? 食べ物だったら、やつはしとかさ」
「義経か。悪くないな。義経が最後どうなったか、知っているか?」
「兄の頼朝に殺されたんだろ? 小学生でも知ってるよそのくらい。でも、頼朝ってひどいことするよな」
「ああ。だが、兄弟というのは、所詮そういうものなのかもしれんな。いつだって兄が優遇される。生き残るのは兄だ」
 吹雪はこの二人の話を隣で聞いていた。
 兄が生き残る。兄が生き残る。吹雪の頭の中で鬼道の言葉が何度も繰り返される。
(生き残ったのは、僕……)
「た、助けてくださいっすー!」
 集団の後ろから、壁山の声が聞こえた。
 白いスケッチブックを持った外国人に捕まっている。肌は浅黒く、目が丸くて大きい。日本人ではないだろう、タイやフィリピン人だと思われる。
 外国人の青年は英語で壁山に向かって何かを訴えているように見えた。スケッチブックの白紙のページを見せて、ペンを壁山に押し付けている。何を言っているのか早口で聞きとれず、脅されているようにも見える。
 一之瀬が通訳をしに、近くまで寄って行った。短い会話を終えると、一之瀬は説明をした。
 なんでも、日本へ留学してきているらしく、日本の文化を探るために通行人に『好きな漢字を教えてください』と聞きまわっていたが、下手なカタコトのせいで通行人に変人だと誤解されていて誰からも相手されず、たまたま会った壁山に聞こうとしたらしい。
「俺達が書いてあげようよ。まだ時間もあるし」
 一之瀬は言った。部員達もおおいに賛成する。早速一之瀬はペンを持つ。
「俺の好きな漢字は『復活』かな。何回失敗しても、復活って言葉がある限り何回でも復活できる気がするんだ。復活……と」
 ケガと戦う一之瀬らしい漢字である。
「オー。フッカツ。フッカツ。メッチャクールデゴザイマスネ! リボーンッテイミデスネ! ニッポン人ノアキラメナイキモチヲヨクアラワシテマース」
 と外国の青年は嬉しそうに言った。次に塔子がペンをとる。
「あたしはやっぱり、『仲間』かな。なんかそれしか思い浮かばないや」
「オーブラザーデスネ? チームワーク、ニッポン人ラシイデース」
「俺も書くとしよう。何があっても動じない意志の強さ、『確固不抜』……。司令塔たるもの、何が起きても冷静でいなければならないからな」
「いいね鬼道。俺は『疾風』……っと」
「風丸さん、次俺かくっす。『食』、はいOKっす。次、土門さんどうぞっす」
「おお、悪いな。俺は、なんだろうな。『楽』でいいや。目金も書くか?」
「待ってましたよ! ふふふ、こういうこともあろうかと温めておいたかっこいい言葉があるんですよ……! そう『天上天下唯我独尊』です!」
「オー。モットミジカクシテクレルトタスカリマース」
「え、短くですか。え、えっと、じゃあ、えっと……」
「目金さんは『二次元』ですよね! はい『二次元』っと……! じゃあ次私かきまーす!」
 音無が目金からペンを奪って勝手に二次元と書いた。
「あ、ああああ……。いや、確かに好きですけど、漢字が好きなわけじゃなくてですねえ……。まあ、魔女っ子でも良かったかもしれませんね。あ、ちなみにさっきの漢字の意味はですね、天」
「私は『春』ですかね! はい、吹雪さんどーぞ」
「ちょっと! まだ僕の説明が終わってませんよ……ってこら聞きなさいよお!」
「ありがとう。僕はなんだろうな……」
 少し考えた後、『完璧』と吹雪は丁寧にスケッチブックに書いた。
 鬼道が時計を見ると、もうすでに一時間が経とうとしていた。外国人の青年がカタコトでお礼を言うと、一同はその場を後にした。
「俺、書いてないでやんス……」
「もう時間がないんだから仕方がないっす」
 イプシロンとの戦いで、雷門イレブンの気持ちは一層引き締まっているようだった。


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