二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- (吹雪物語) 世界への挑戦!編 完結
- 日時: 2016/11/08 00:24
- 名前: しろお (ID: Gu5gxE0Z)
時々URLが光っていますが、アフロディのサイドストーリー以外はyoutubeです。なので音量注意です! 世界編からは、吹雪っぽい曲以外にもサイドストーリーのキャラごとのイメージ曲をつけて遊んだりしてますので、よかったら聞いてみてくだされ
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[イナズマイレブン4 呪われたフィールド]
イナズマイレブンの高校生編。中学生編でスポットの当たらなかったサブキャラクターたちがメインです。主人公は豪炎寺の従兄弟。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22282
[イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー]
不動明王の高校卒業後のエピソード。卒業後海外クラブへ挑戦するための旅費、お金稼ぎの時期の話。こちらもサブキャラクターたちがメイン
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29765
[吹雪兄弟の事件簿]
吹雪兄弟の子供のころの短編。吹雪好きはぜひ
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22087
[イナズマイレブン×REBORN! 神の復活]
こちらはアフロディのお話です。わりとREBORN好きな方向けですかね。イナズマイレブンGOの世界がメインかもです。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=21867
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- Re: ブリザードイレブン (吹雪物語) ( No.285 )
- 日時: 2012/09/22 12:02
- 名前: しろお (ID: kEMak/IT)
とうとう施設内に潜入する。警備のマシンをサッカーボールで撃退しながら、キャラバンはエイリア石のある部屋を探す。円盤の中はとても複雑な構造だった。そしてやっと、その部屋らしき大きな扉の前に来た。
瞳子の連絡が入る。
『今その扉を開けるわ』
扉が開く。照明が点灯し、広い部屋を照らした。真っ先に目に入るのは部屋の奥の大きな空間にある、半透明で、妖美な桃色の光を放つ巨大な石と、そのまわりを囲む相当な数の装置だった。
「な、なんだあこれ!」
思わず円堂が素っ頓狂な声をあげる。その隣でリカが目を輝かせて、なにか呟き、よろよろと石に歩み寄った。
「なんてキレイなんや……怖いほどやで……」
そう言っている。
『それにさわってはダメよ!』
瞳子の声を聞いて急いで鬼道がリカを呼び止めるが、リカは何かに取り付かれたかのようにゆらりゆらりと進んでいく。一之瀬が、「リカ、どうしたんだ!」と叫び、やっと正気に戻った。
「はっ。う、ウチ今、何を……?」
『それこそがこの基地の、エイリアの全てのエナジーの源……。それを破壊すればジェネシスのエネルギー源はなくなるわ』
「残念でしたね、瞳子」
声はどこからともなく聞こえた。おそらく、施設内放送だろう。
『父さん……!』
「来ると思ってましたよ瞳子。ですが残念でしたね、エイリア石の制御装置にはすでにロックがかかっています。おまえの考えることなどお見通しです」
『ロック……』
「制御装置とか難しいこたぁよくわかんねーけどよ、普通に戦って勝ちゃいいじゃん。いままでどおりさ!」
「綱海の言うとおりです、監督。俺達はやれます。勝って見せますよ」
『綱海くん……一之瀬くん……』
部屋の中の明かりが消え、光が一点に集中する。そこに、小太りで顔の大きな、やや歳のとった老人が着物姿で映し出された。立体的である。それよりも、瞳子がそれを父さんと呼んだことで、彼が吉良だと部員たちはすぐに気づいた。
「各国首脳陣の皆様。今日は、エイリア学園の事実について話しましょう。自らを星の使従と名乗る彼らですが、彼らは本当は宇宙人ではないのです」
部員たちはざわめく。一方、作戦失敗を悟った瞳子と響木たちも、この部屋へ向かっていた。吉良の姿はこの部屋だけにあるが、施設中に音声は流れていた。
「五年前、すべては富士山麓に落ちた隕石から始まりました。吉良財閥の研究により、この隕石には人間の能力を飛躍的に高める効果があることが判明したのです。我々はこの石をエイリア石と名づけ、財前総理に強い戦士をつくることを提案しました。日本は武力を持たないせいか、他国に舐められている。富国強兵。エイリア石の力を使えば、日本は世界を支配する。支配できる! それがハイソルジャー計画です。しかし若く、正義感というくだらないものが好きな財前総理はこの計画を撥ね付けました。誘拐されてもなお意志を変えないとは愚かですな。そして私はハイソルジャー計画の2ステップ、エイリア学園を誕生させました。エイリア石の力を利用しサッカーを媒介にして日本、そして世界に見せつけた。エイリアの正体はエイリア石の力で戦士と化した子供たちだったのですよ。ハイソルジャーの力を今日、雷門中を相手に世界に見せ付けてやるのです! 今日は最大のデモンストレーションなのですよ! ハイソルジャー計画最終段階、ザ・ジェネシスの11人と試合です!」
部員たちは言葉も出ない。
いつのまにか部屋に追いついていた瞳子が、「これが真実よ」と呟いた。
「エイリア学園の選手は、人工的に強化された人間なの。そして、あなた達も少なからずエイリア石の影響を受けている」
- Re: ブリザードイレブン (吹雪物語) ( No.286 )
- 日時: 2012/09/22 12:10
- 名前: しろお (ID: kEMak/IT)
「えぇえええぇ!? 俺たちもッスか!?」
「あなた達はジェミニやイプシロンの選手が汗と一緒に放出したエネルギーを吸収していたの。だから試合のたびに強くなれた。今のあなたたちの実力はもはや、プロと遜色無いわ。もちろんドーピングと同じようなものであることに変わりないし、影響力の個人差もある。たとえば、サッカー能力が飛躍的にアップしたのは立向居くん、浦部さん、塔子さん、木暮くん、綱海くんの五人。返って精神面に悪い影響がでたのは風丸くん、栗松くん、吹雪くんの三人。さらに研究から、エイリア石の影響を受けやすいのはちょうどあなた達中学生ほどの年齢ということが分かっているわ。しかし現時点では地上最強の中学生でも、エイリア石から離れて生活すれば、だんだんと元の能力に戻るのよ」
「かまうもんか! 努力してまた強くなればいいんだ! だから、あの吉良星二郎に思い知らせてやろうよ! ねえ監督!」
塔子の目は熱い。瞳子には、それがときどきまぶしくうつる。
「塔子さん……。そうね。お父さん。ハイソルジャー計画は、私達がひっくり返してみせるわ。地上最強のチームでね」
「はは。どうやらわかってないようですねえ。瞳子。最大のデモンストレーションと言ったでしょう? あなた達の存在も計画の一部なのです」
「え……!?」
「あなた達は今や日本中の注目の的だ。世界にだって宇宙人の事件は認知されている! そうなってもらうには、イプシロンやジェミニなどの捨て駒と戦って、ある意味ヒーローごっこをしてもらう必要があった。そして今、ハイソルジャー1stランクのジェネシスと、その雷門が試合するとなれば、デモンストレーションにはもってこいだったのですよ。瞳子、おまえは期待通りの働きをしてくれました。野放しにしておいて正解でしたよ」
瞳子は目を見開いて、珍しく動揺を隠せなかった。そんな瞳子を見るのは、部員達は初めてだった。
たしかにいまや宇宙人騒動は、国境を越えて外国にも多少認知されるまでになっていた。瞳子達の活躍は、情報が広がるのを止めていたつもりが、逆に広げ、作戦を止めるつもりが、作戦に加担していたのだ。瞳子が悔しさと己の無知への怒りを噛み締めているのは、震える背中が物語っていた。
「わ……私のしていたことは、ぜんぶ、エイリア学園のためだった、というの……!?」
私が新監督の吉良瞳子よ、覚悟しておいて。
勝つための作戦よ。
今のあなた達じゃ、相手のスピードにはついていけない。
私の使命は、地上最強のチームをつくること。
選手を守るのが監督の役目。口ではそう言っておきながら、やっていることは自分の意志をつらぬき通すため、けっきょく父親と同じなのかもしれない。
帝国の佐久間くん、源田くん、怪我で倒れたアフロディくんや染岡くん。私がなまじ采配に自信があったあまりに、あんな結果を呼んでしまった。
エイリア学園に勝てれば、吹雪くんがどうなってもいいんですか!
私のやっていることは……
「では待ってますよ瞳子。この階のうえの、スタジアムでね」
瞳子は部員の方を向くが、視線を落とし、か細い声で喋りだした。
「私の……していたことは、あなた達を利用していただけだったのかもしれない。父の手の平で踊って、未来ある子供に傷を負わせて……エイリア石を悪用する父と、やっていることはなにも変わらない。私は……私には、あなた達の監督をやる資格は……」
違う。と円堂が大声で一喝した。
「……監督は、俺達の監督だ! 監督は俺達に勝つための指示をくれた! 作戦を考えてくれた! 次に繋がる負け方を教えてくれた! 挑戦を見守ってくれた!」
「わ、私も監督を信じます!」
音無だった。これによって鬼道もうんうんと大きく頷く。
瞳子は部員達を見渡した。目が合った者は全員、こくりと頷いた。
「みんな……」
「最初は監督のやり方が好きじゃなかったけど、今なら分かる。監督は、俺達のことをいつも考えてくれてたんだって」
「す、スパイとかいうて、ごめんなさい!」
「監督のこと疑って、すみませんでした!」
一之瀬、リカ、土門はまっすぐ瞳子を見ている。
「あたし達は、瞳子監督に鍛えてもらったんだ!」と塔子。
「そうです! エイリア学園のためじゃない、俺達のために」と立向居。
「ふ、ふん。俺は信じてねーからな」と木暮。
「監督」吹雪は短く、「監督に感謝しています」と言った。
「吹雪くん……みんな」
- Re: ブリザードイレブン (吹雪物語) ( No.287 )
- 日時: 2012/09/22 12:15
- 名前: しろお (ID: kEMak/IT)
部員達は決戦の舞台へと向かう。途中、土門はある人物にメールを送る。
『とうとうGとRの試合が始まります。どちらが勝つにせよ、エイリア石の回収は滞りなく進められそうです』
また、別の人物にも違う内容のものを送る。どうやら吉良に向けたもののようである。
『雷門の近況報告、以上であります。予定通り瞳子様と雷門イレブンを引き離します。すべてはエイリア皇帝陛下と世界平和のために』
上の階へ続く階段へ来た。いきり立つ部員達が先頭に立ち、瞳子やマネージャーは後からついていく形だった。
突然のことだった。階段の前の入り口にある扉が閉まり、部員と瞳子たちを分断した。
吉良の音声が響く。
「必要なのはジェネシスと戦う選手のみ。邪魔者はいりませんよ」
慌てたのはむしろ、後方をふさがれた部員達であった。豪炎寺が円堂に、チームの意向を訪ねる。
「決まってるじゃないか! 瞳子監督たちはきっと追いついてくれる。俺達は、監督も、古株さんも、マネージャーも、みんな含めてイナズマキャラバンなんだ。誰一人欠けちゃいけないんだ」
「みんな、円堂の言うとおりだ。サッカーは11人ではできない。多くの人の支えがあって初めて、フィールドに立てるんだ。おそらくあの吉良という男は、俺達の精神状態に揺さぶりをかけている。ここで強行突破しては相手の思うツボだと俺は思う」
円堂と豪炎寺の言葉に従い、待つことに、全員が一致した。
もう一方では、瞳子が扉の横にあるパネルの配線を繋ぎなおし、扉の解除を試みていた。
「これで……」
ピーッと、解除音のようなものが鳴った。
木野が扉の取っ手に手をかけた。瞬時に、熱さに驚いた体が、思考よりも早くその手をひっこめた。
「あつっ……!」
指が真っ赤に腫れている。むりに解除すると、ドアがショートする仕組みになっていたようだ。
「どうしたら……」夏未がつぶやく。瞳子がドアの前に立ち、二つの取っ手を両手で掴んだ。
「くっ……っっ……ああぁっ!」
声にならない悲鳴と皮膚の焦げる音がした。音無が「やめてください監督! ヤケドしますよ!」と叫んで止めようとしたが、瞳子は腕に力をかけ続ける。
「くっ……ダメよ……もう誰も犠牲になんてしないわ……みんな……守ってみせる!」
「瞳子監督、あんた……!」
響木が声をかけたと同時に、ドアが開かれた。そして部員達が無事に、待っていてくれたのを見て、全員ほっと胸をなでおろす。真っ赤になった手に、塔子が気づいた。
「監督、その手は!? どうしたんですか!?」
「たいしたことはないわ」
「たいしたことあります! 監督は高熱のドアを無理やりこじあけたんです! はやく冷やさないと」
「木野さん……ありがとう。さあみんな。スタジアムの前には選手控え室があるわ。まずはそこに行きましょう」
- Re: ブリザードイレブン (吹雪物語) ( No.288 )
- 日時: 2012/09/26 17:07
- 名前: しろお (ID: kEMak/IT)
第二十七話
ザ・ジェネシス
昔を考えるとき、思い出すのはいつも真冬の空の下で転がるサッカーボールと、それを蹴る自分と、弟だった。
いつも雪景色だった。家族を失った後は、真っ白でただ広い空間にひとり、閉じ込められたような息苦しさを感じていた。
『本当に完璧になりたいのなら、必要なものを間違えないことだ』
雨の日鉄橋の下で豪炎寺に言われた言葉の意味を、選手控え室のベンチに座りながら吹雪は考えていた。サッカーにおいて、完璧になるために絶対に必要なもの、それはなんだ? マフラーを握り締め自問自答する。貪欲なオフィンスでも、鉄壁のディフィンスでもなかった。
他の選手達は各々で、入念に柔軟体操をしたり、スパイクの紐を結びなおしたり、気合や集中を練ったりしている。壁山は雷門中サッカー部の写真をじっと見つめ、豪炎寺は妹の写真が入ったペンダントを見つめている。みな、くもりのない目で何かを見つめている。
響木と瞳子は、そんな選手達をじっと見つめている。
「すまなかったな。裏切り者などと呼んでしまって……私は、本当に君が、ジェネシスのデモンストレーションのためだけに今まで彼らを指揮してきたのだと勘違いしていた。だが君は、立派な監督だったよ、瞳子監督」
もともと瞳子が、雷門の監督を志願したのである。
「いえ。私こそ、この子達を任せていただいたことに感謝しています」
吉良の放送が入り、選手達は試合前のミーティングを始める。が、もはやここまで来て、なにか語る必要はないだろう。キャプテンの円堂、副キャプテンの鬼道だけ喋った。
「みんな。この試合は絶対に負けられない、地球の、日本の命運を賭けた試合だ。絶対に勝つぞ!」
「今度こそ、最終決戦というわけだ」
そして選手の前に向かって立っていた円堂は回れ右して、瞳子の言葉を待つ。
「あなた達は地上最強のチームよ。だから私の指示はただひとつ。勝ちなさい!」
選手達は、「はい!」とおおきな返事を返す。
- Re: ブリザードイレブン (吹雪物語) ( No.289 )
- 日時: 2012/09/26 17:59
- 名前: しろお (ID: kEMak/IT)
いよいよだった。
スタジアムに来た。この宇宙船の最上階らしく、円堂たちが到着すると屋根が変形しはじめ、曇天の空をあらわにした。さらにピッチには、灰色のユニフォームをまとった決戦の相手、ザ・ジェネシスが待っている。
そして実況の角馬もスタンバイ済みだ。
「みなさん! とうとう世紀の最終決戦のときがやって参りましたァ! 数々の試練を乗り越え、今や地上最強といっても過言ではない雷門イレブンが、エイリア学園最強のチームジェネシスと、雌雄を決するのです! 実況はこの角馬桂太、角馬桂太がお送りします!」
長い笛がふかれる。「さあ、運命のキックオフぅ!」
ジェネシスボールから始まった。たくみなパス回しとドリブルスピードで、一気にミドルシュートされてしまったが、リベロ円堂があわてずにヘディングで押し返す。こぼれだまを鬼道が拾い、追ってきた相手選手をイリュージョンのようなドリブルテクニックでかわす。エイリア石の影響を受けているのか、今日の雷門陣営はひとりひとりが高いモチベーションを誇っている。
一之瀬がボールをひきつぎ、豪炎寺のワンツーパスで、右サイドをドリブルでかけあがる。ゴール前に突進するリカに、相手の裏をつくマイナスのクロス(ゴールと反対の方向にまがるクロスボールのこと)をあげた。リカはこれを感じ取っておりゴールと相手ディフィンスからいちはやく離れ、少し距離があるところから、利き足を軸にしてゴールを方を振り返りながらダイレクトでミドルシュートを繰り出す。
ジェネシスのキーパー、ネロは決して背が高くない。ゴールは隙だらけに見えたが、ネロは驚異的なジャンプ力で右に飛び、リカのシュートをキャッチした。
「な、なんでや」
リカのシュートは決して悪くなかった。この後雷門はうまくボールを奪い、シュートチャンスを得た豪炎寺が爆熱ストームを打ったが、それすらネロは防いだ。
ベンチに座って試合を見る吹雪は、自分の無力さを嘆いた。何もできない、と決め付けて、何もしようとしない自分が悔しかった。だがミスやボールを恐れているのも確かだった。それは、震える足が物語っていた。
試合がうごいたのは前半7分。ジェネシスのキャプテン、グランが、彗星のごとき速さのオーバーヘッドシュートを雷門ゴールに叩き込んだ。先制したのはジェネシス。0−1と得点が変わる。
「ゴォォォォォーーール! グランの必殺シュート流星ブレードが決まったァァァァ! 先取点は、ジェネシスだァァ!」
立向居が究極奥義ムゲン・ザ・ハンドを使ったにも関わらず、あっさりとやられてしまったことで、雷門の選手達は動揺を隠せない。
そんな選手達に向かって、顔をあげなさい、と瞳子が雷門ベンチから喝を入れた。
「思い出してちょうだい! あなた達は今までも、試合の中で一歩一歩強くなっていった。あなた達に勝利をもたらしたのは究極奥義じゃない、あきらめない心だったはずよ。信じなさい、自分の可能性を! 私は、あなた達を信じているわ!」
観客がいないおかげで、プレーが止まっているときはスタジアムは静寂に包まれている。その中で、瞳子の声は色鮮やかに響いた。
管制室からスタジアムの様子が見える。そこから試合を眺めている吉良は、やはり瞳子を分断させておきたかっただろう。
部員達は監督の言葉で初心に帰り、顔を明るくし始めた。瞳子がこういった励ましの言葉をかけてくれることがこれまでなかった分、士気の向上に大きく繋がった。
(私はこの子達から学んだ。信じるということを。だから私は、彼らの勝利を信じる!)
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