二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- (吹雪物語) 世界への挑戦!編 完結
- 日時: 2016/11/08 00:24
- 名前: しろお (ID: Gu5gxE0Z)
時々URLが光っていますが、アフロディのサイドストーリー以外はyoutubeです。なので音量注意です! 世界編からは、吹雪っぽい曲以外にもサイドストーリーのキャラごとのイメージ曲をつけて遊んだりしてますので、よかったら聞いてみてくだされ
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[イナズマイレブン4 呪われたフィールド]
イナズマイレブンの高校生編。中学生編でスポットの当たらなかったサブキャラクターたちがメインです。主人公は豪炎寺の従兄弟。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22282
[イナズマイレブン5 さすらいのヒーロー]
不動明王の高校卒業後のエピソード。卒業後海外クラブへ挑戦するための旅費、お金稼ぎの時期の話。こちらもサブキャラクターたちがメイン
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29765
[吹雪兄弟の事件簿]
吹雪兄弟の子供のころの短編。吹雪好きはぜひ
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22087
[イナズマイレブン×REBORN! 神の復活]
こちらはアフロディのお話です。わりとREBORN好きな方向けですかね。イナズマイレブンGOの世界がメインかもです。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=21867
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- Re: (吹雪物語) 世界への挑戦!編 ( No.525 )
- 日時: 2014/02/26 13:29
- 名前: しろお (ID: ASdidvAt)
午前の練習が終わり、ミーティングが開かれた。
日本と同じAグループの試合。イタリアVSオランダ戦をビデオで観る。イタリアの監督が変わっており、吹雪は新しい監督の顔つきに見覚えがあった。
イタリアはイギリスに先制され、防戦一方で一点ビハインドのまま前半を終えた。しかし後半、誰の目にもあきらかなほどイタリアの動きが良くなった。
途中だが、ビデオが止まる。鬼道が解説を始めた。
「イタリアのパスが繋がりはじめ、イギリスは攻めあぐねている。みんなもわかると思う。久遠監督とも話したが、イタリア監督の采配によるものだろうと思われる。知らないやつもいるかもしれないが、このミスターKを名乗る金髪の男。風貌は多少変わっているが、おそらく影山だ」
影山だと、と染岡が思わず立ち上がった。「あ、あいつ、死んだんじゃねえのか!?」
これには不動が答える。「俺が生きてんだ。影山が生きててもおかしくねーよ」
エイリア騒動のころ、不動と影山は潜水艦と共に沈没している。
しかし影山は実際にイタリアの指揮をとり、イタリアは後半で2点とり逆転勝利を収めている。
鬼道は、この勝利は影山の采配によるところが大きいと考えている。
(この人の監督としての力量は、まったく衰えていない。それどころか……)
「新メンバーの発表をする。土方、辺見に代わって今日から2人入ることになった。では、自己紹介をしてくれ」
弱々しそうな少年が「あ、ぼ、僕からですか」とおどおどしく前に出た。「え、っと、厚石茂人(あついししげと)、中学二年生です。ポジションはMFで、えっと、自分の武器は……」
そこまで言ったところで、茂人は急に激しく咳き込み始めた。ちょっとタンがからんだとかの程度ではなく、あきらかに病人の咳の仕方だ。覇気の無さと言い、イナズマジャパンの面々は大丈夫なのかと心配になる。
緑川と基山の話だと、エイリア学園の生徒だったらしい。昔から病気がちだったが実力は高く、南雲にも一目置かれているそうだ。
「よ、……ろ……」
見かねて佐久間が、「無理をするな」と言ってベンチまで肩を貸してやった。さすがにこれは選考ミスなのではないかと風丸が久遠を見たが、何か慌てる様子も無い。
次に、目つきの鋭い少年が自己紹介を始めた。
「拙者、戦国伊賀島中の霧隠才次でござる。職業は忍者。ポジションは伊賀流MFでござる。よろしく頼む」
ベンチで茂人が咳き込む。代表メンバーは、表情を固めて誰も言葉を発しない。
「では、練習を始めろ」
さっそく、円堂は吹雪を駆り出して練習に付き合わせる。
「よし来い、吹雪!」
吹雪は、円堂が立つゴールのすぐ手前にボールを置いた。「本当にこんな近くで大丈夫なの?」
円堂は頷いた。吹雪は円堂のためのウォーミングアップのつもりでど真ん中に蹴ったが、円堂は反応できずボールは彼の腹に激突した。
「だ、だいじょうぶかい!?」
「も、もういっちょ!」
「もういっちょって……わ、わかった。行くよ!」
秋が宿舎で調べごとをしていると、ケータイが鳴った。一之瀬和哉と表示されている。
一之瀬和哉は、吹雪達とエイリア騒動で共に戦った仲間だ。アメリカ国籍であるようにアメリカ人の血が入っており、彼は日本人の身のこなしとアメリカのフィジカルを併せ持つ天才MF。それに加え鬼道並のサッカーセンスをほこり、アメリカではフィールドの魔術師と言われ将来を渇望されているほどの逸材だ。
秋はアメリカで暮らしていたことがあり、一之瀬とは幼い頃からの友人で今も親しい仲だ。
彼女は久遠のいないことを確認してから電話に出た。
「一之瀬くん?」一之瀬との連絡は久々であり、秋の声には嬉しさが溢れている。
「今から会えないかな、秋」
対して、今日の一之瀬はどこか暗い。
「うん。じゃあ練習終わったら円堂くんたちにも声かけてみるね」
「いや、秋、君だけで来て欲しいんだ。明日午後二時、アメリカエリアの公園で」
イナズマジャパンは夕食前に、イギリス対アメリカの中継を見た。一之瀬と同じくかつての仲間土門が、アメリカ代表オルフェウスのスタメンで出場している。以前よりもさらにディフィンスに磨きがかかっているようだ。頭ひとつ抜き出て優秀なのはMFのマーク、FWのディラン、さらにその中でも、チームの中心として一之瀬は別格のプレーを見せている。勝ったのはアメリカだった。
- Re: (吹雪物語) 世界への挑戦!編 ( No.526 )
- 日時: 2014/02/26 13:44
- 名前: しろお (ID: Ba9T.ag9)
雨が降っていた。雲の色は濁り、空は暗い。
そんな日に、ライオコットの島のアメリカエリアの公園には傘が2つ並んでいる。
一之瀬は時間通りにやってきたが、挨拶をしてから何か話題を持ちかけてくる訳ではない。彼はシャイボーイなどではない、むしろアメリカ人気質なので知らない女性に対してでもいきなり抱きつくこともある。
様子が変なのは一目瞭然で、一之瀬は傘を持ってないほうの手を時々握ったり力を抜いたりを繰り返している。そしてとうとう彼が口にした言葉は、「言いたいことがあるんだ」だった。
当然秋は重大なことだと思い、身構える。
「俺、この大会が終わったあとプロリーグのユースに入ることになったんだ」一之瀬は笑顔で言った。明るい話題だったので、秋の緊張も解ける。
「そのことだったの? なんだか今日の一之瀬くん変だから、緊張しちゃった。プロかあ、すごいね、一之瀬くん!」
「アメリカに、一緒に来てくれないかな、秋」
また、一之瀬の表情が暗くなった。
「え……一緒にって、それって、どういう……」
「あ、……ごめん。言い方がまぎらわしかったね。アメリカでの試合に秋を招待したいってことだよ」
「なんだ、そういうことかあ。うん。もちろん喜んで」
一之瀬は笑ってはいるが、表情が固い。おそらく一之瀬の真意は、アメリカで一緒にいたいということなのだろう。
「あしたは負けないよ。特に円堂にはね」
「私たちだって、吹雪くんが戻ってきたし、万全の状態よ。宇宙人を倒したチームの人が何人もいるんだから」
「宇宙人か」一之瀬は懐かしい思い出に、今日初めて秋に本当の笑顔を見せた。「今日は会えてよかった。それじゃ……」
「うん。じゃあね」
秋は手を振って見送った。一之瀬は、急に、数歩離れたところで立ち止まった。何かしらと秋が不思議に思った途端、一之瀬は傘を放り出し、秋の方に小走りに向かって来て、何も言わず抱きしめた。
「秋、好きなんだ。君が。」
秋は、一之瀬の顔の横で、呆然としている。
「それともやっぱり君は……」一之瀬は抱きついたまま、声音を変えて話す。「円堂が気になるのか?」
秋は言葉を失っていたが、一之瀬の手をふりほどき、「ごめんなさい!」と慌てて突き飛ばした。よほど混乱したのだろう、水溜りもかまわず踏んで、彼の前から走り去ってしまった。
雨足が強くなり、公園には、風で転がる傘と、雨に打たれる一之瀬だけが残った。
が、木陰で一連の事を見ている者もいた。ふたりと旧知の仲である土門だった。
一之瀬に気づかれないよう、土門は自分の額を叩いた。
「嫌なところを見ちまったなあ……」
- Re: (吹雪物語) 世界への挑戦!編 ( No.527 )
- 日時: 2014/03/10 15:07
- 名前: しろお (ID: nq7vYh80)
アメリカ戦に向け、練習には気迫が満ちている。アメリカ代表オルフェウスには、かつての仲間である一之瀬、土門が所属しているのだ。
「風丸くん」
練習を終え、休んでいるとき、吹雪が風丸に声をかけた。
「なんだ?」
「じつはさ。今、考えてる必殺技があるんだ。それには……スピードが必要なんだけど」
「へえ。面白そうだな」
円堂がベンチへ飲み物を取りに行ったとき、秋がいないのに気づいた。
「秋は?」と訪ねると、音無が「テーピングの買出しに行くって言ってましたよ」とにこやかに答えた。
あれ、と冬花が首をかしげた。「テーピングなら、まだたくさんあるのに」
木野はアメリカ宿舎前に来ていた。
入っていいのかわからず門の前で立っていると、食材が入った袋を抱えた土門が来た。
「どうしたんだ?」
木野が答えに迷い、まごついていると、土門が「一之瀬か?」と指摘した。ふたりは幼馴染であり考えていることはほとんどわかり合っている。
「うん。昨日会ったんだけど、連絡が取れなくて」と秋は不明瞭な言葉を口にする。
「わりいな。一之瀬は、チームメイトとでかけてんだ。伝言なら俺が伝えておくぜ」
「ねえ、土門君。一之瀬君、なにか変じゃない?」
土門ははっとして、視線を逸らした。
「気になるの。昨日は一之瀬君らしくなかったから。土門君、なにかしらない?」
「さ、さあー? お、おれには別にそんな風に思わないけどなあ。気のせいじゃねえのかあー?」
土門はごまかそうとし、気配を感じられてはまずいと、後ろを向いて言った。
「何か知ってるんでしょ。土門くんの、嘘つくときの目を逸らす癖」
そう言われ、すぐに土門は秋の方を向いた。が、癖で視線は合わせられない。
「そ、そんなことねえよ! とにかく一之瀬は平気だから、じゃあな!」
逃げるようにして宿舎へ駆け込み、秋はその場にひとり残った。
まだ不安が残るといった表情のまま去っていく秋を、土門は宿舎の二階の窓から見ていた。
「ごめんな、秋」
と土門は呟く。
一之瀬には、土門にだけ話していたことがある。
- Re: (吹雪物語) 世界への挑戦!編 ( No.528 )
- 日時: 2014/03/10 15:21
- 名前: しろお (ID: UQ9rgOft)
・ ・ ・
ある日の練習が終わった後のことだった。一之瀬が急に、「もうサッカーはできないかもしれない」と言った。
「おまえ、怪我はよくなったんじゃないのか!?」唐突な言葉に、土門は取り乱す。一之瀬はあくまでも冷静で、
「俺もそう思っていた。でも、あの事故の影響は、まだ俺の体に残っていたらしい」
「手術を、受けるのか?」
「ああ。ただ今回は、失敗したら、二度とサッカーができなくなる……。『放置していれば、命さえ落としかねない』とドクターに言われたよ」
・ ・ ・
朝、アメリカ宿舎の食堂に、土門が乱暴に扉を開けて入った。
「みんな! 部屋に一之瀬がいないんだ! 知らないか!?」
不安を捨てきれず、土門はひとり焦燥していた」
落ち着けよ、とチームメイトのマック・クルーガーが笑って言った。「どうせ朝のランニングだろ?」
「イエー、アスカは朝からユニークだね!」と隣のディランも何の心配もしていないようだった。
しかし土門は焦るばかりだった。俺も外を走ってくるよ、とごまかし、一之瀬を探しに出た。手術の詳しいことはわからないが、手術前に無理な体でサッカーを続ければ、体に負担がかかり、成功率は低くなるはずだ。
「あいつは一体何考えてんだ! チクショウが!」
土門は心の中で親友を罵倒した。アメリカエリアをくまなく探したが、一之瀬は見つからなかった。
- Re: (吹雪物語) 世界への挑戦!編 ( No.529 )
- 日時: 2014/03/10 15:29
- 名前: しろお (ID: yjIzJtVK)
一之瀬はジャパンエリアに来ていた。次の対戦チームのキャプテン、円堂守に、自分が出場しないことを伝えに行くつもりだった。暗い気持ちでジャパン宿舎の前に来ると、懐かしい顔に会った。
「あれー? 一之瀬君じゃない。ひさしぶりだね!」
かつての仲間である、吹雪士郎だ。一之瀬と吹雪は、日本で、共にエイリアと戦ったことがある。
「よう、吹雪」
吹雪としては、対戦相手が元チームメイトということで燃えていたのに、一之瀬の様子はおかしかった。彼は、燃えているというよりも、悲しみに暮れているようだった。
「元気ないね。大丈夫かい?」
「ああ。実は、ちょっとな。円堂は……いるか?」
「みんな、ビーチにランニングに行ったよ。僕だけ寝坊しちゃってさ。アハハ」
「そっか。ありがとう」
一之瀬は終始真剣な目のまま、吹雪と別れた。あきらかに態度のおかしい一之瀬を、吹雪は心配せずにはいられなかった。
「今の、自殺考えてる人の目だよー?」と言って、メリシンが声を上げて笑う。
「一之瀬くんがそんなことするはずないだろ」とはいえ、吹雪としても気になるところだ。追いかけてみるか、と思ったが、
「ちょっと、吹雪さんまだここにいたんですか! もしかしてランニングさぼろうとか思ってるんじゃないでしょうね!!」
一之瀬のことを考えて呆けているところに、後ろから音無に怒鳴られた。「あ、ごめんごめん」
気持ちを引き締め、さっそく走った。円堂に任せておけば大丈夫だろう、と吹雪は自分を納得させ、今は勝つための練習に集中することにした。
一之瀬が浜辺に来ると、円堂と綱海となにか話していた。どうやら選手たちはランニングを終え、各自解散した後のようだった。綱海はすでに海水パンツ一丁に仕上がっており、サーフボードを抱え、海へ入る準備を終えたようだった。円堂も、木に吊るしたタイヤで、なにか特訓をするのだろう、体を入念にストレッチしている。
「円堂、やる気満々だな!」と綱海が言う。「俺も最高の気分だぜ!」
「ああ! 次は一之瀬たちとだからな!」
「しかしよお、試合前最後の自由時間なのに、今から特訓かよ?」
「もちろんだ! 一之瀬たちと戦うときは、最高の自分でいたいからな!」
わかるぜその気持ち、と綱海も何か感じたようで、奇声をあげながら海に飛び込んだ。
一之瀬は陰から円堂の言葉を聴いていた。吹雪も、綱海も、円堂も、次の試合を楽しみにしているようだった。
練習が始まる時間になって、土門が、ようやくコートに現れ、ディランとマックに声をかけた。「一之瀬は!?」
「いつもどおり。誰よりも早く来て、もう始めてるぜ」マックが親指を差したその先で、一之瀬はボールを蹴っている。
「い、一之瀬お前……」
手術がどうのと言っていた癖に、日本戦に向けて意気込む一之瀬に、土門は呆れ半分、愕然とした。
「土門。おれ決めたよ。明日は勝つんだ、絶対に」
一之瀬は晴天の空をみあげた。明日にかける思いが、鼓動の高鳴りが、とめられない。
(サッカーができなくなるなら、最後は最高の試合をしたい。あいつらとなら、きっとそれができる)
「勝つ!」
一之瀬は不敵に笑い、ひとりピッチの上で叫んだ。
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