二次創作小説（映像）※倉庫ログ
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- （吹雪物語） 世界への挑戦！編 完結
- 日時： 2016/11/08 00:24
- 名前： しろお （ID: Gu5gxE0Z）
時々URLが光っていますが、アフロディのサイドストーリー以外はyoutubeです。なので音量注意です！ 世界編からは、吹雪っぽい曲以外にもサイドストーリーのキャラごとのイメージ曲をつけて遊んだりしてますので、よかったら聞いてみてくだされ
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[イナズマイレブン４ 呪われたフィールド]
イナズマイレブンの高校生編。中学生編でスポットの当たらなかったサブキャラクターたちがメインです。主人公は豪炎寺の従兄弟。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22282
[イナズマイレブン５ さすらいのヒーロー]
不動明王の高校卒業後のエピソード。卒業後海外クラブへ挑戦するための旅費、お金稼ぎの時期の話。こちらもサブキャラクターたちがメイン
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29765
[吹雪兄弟の事件簿]
吹雪兄弟の子供のころの短編。吹雪好きはぜひ
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=22087
[イナズマイレブン×REBORN！ 神の復活]
こちらはアフロディのお話です。わりとREBORN好きな方向けですかね。イナズマイレブンGOの世界がメインかもです。
ttp://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=past&no=21867
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- Re: （吹雪物語） 世界への挑戦！編 ( No.595 )
- 日時： 2014/04/26 08:49
- 名前： しろお （ID: 0llm6aBT）
『じゃあふたりが揃えば、完璧ってことだな？』
『完璧？』
『そっか。ふたりそろえば……』
『完璧になる。完璧になって、もっと強くなる！』
『そういうことだったんだね、父さん。完璧になるっていうのはアツヤとひとつになることじゃない、ひとりになることじゃない。仲間とひとつになること』
『そうだ。兄貴はもうひとりじゃない』
『これが完璧になることの答えだ！！』
吹雪の頭は今のプレーに集中しながらも、必死にその先の勝利の可能性も探り当てようと、闇の中をさまよう。
（どうすれば勝てる……どうすれば……どこに答えがある……！ 勝つための答えは……！ 勝たないと……！）
日本は攻め込まれ、ペナルティエリア前でデスタにボールが渡った。鬼道がプレスしており万全の威力ではなかったが、吹雪はブロックのため足を伸ばして当てた。
しかしシュートの威力は死なず、ボールは軌道を変え、セインがいる真逆にボールが飛んだ。見ていたものが息を飲んだのは、そこにはもう誰もいなかったからだ。
ボールはゴールラインを割り、ゆらりとネットに当たった。
古株が笛を鳴らす。
『は、入ってしまったァァァ！！ ６−１！ シュートは吹雪が伸ばした足に当たり、運のないことにキーパーのいない方向へ……！』
吹雪は目を見開いて、立ったまま動きを止めてボールに視線がくぎづけになった。ボールはゴールの中にあり、笛は鳴った。まぎれもなく失点したのだ。
「吹雪、気にするな！ ナイスディフィンスだった！ 次だ！ 点をとるぞ！」
鬼道の掛け声で日本は気持ちを切り替え、ただひとり呆然となったまま立ち尽くす吹雪の肩を染岡が叩き、ボールをセンターサークルまで運んだ。
（もう……）
吹雪は心臓が苦しくなり、シャツの胸のあたりを掴んだ。
（６−１、勝つ方法、大勢の命が……点が取れない。……完璧の答えは……）
静寂の中、固いものが壊れる鈍い音がピッチに響き渡った。
この広い空洞の壁の一部が崩れた。シュートで壁をこじあけたのだろうか、ボールがピッチに転がって入ってきた。吹雪はゆっくりと、顔を崩れた壁の方に向ける。
崩れた部分から光が差し込んでいる。誰かがそこに立っており、片手を腰に当てていた。
そして彼は、ピッチの方に向かって歩いてくる。
「おいおい、誰だテメーは。いまこいつらの絶望が最高潮に達してたときだってのによお！」
「お楽しみのところわるいが、絶望するのはお前だぜ」
誰かが喋っていたが、吹雪の位置からでは不動と重なって誰がそこにいるのかはわからなかった。吹雪は角度を変えつつも、味方らしき人物が誰か確認しようと駆け寄った。
「俺が絶望だと？ ゴミがあ！ てめーひとり入ったところで何が変わるってんだ！」
「俺はひとりじゃない」
染岡が振り向いて吹雪のほうを見た。吹雪はそれに気づき、染岡と目を合わせたあと、デスタと話している男をとうとう視界に入れた。
「なあ、士郎？」
目を丸くしたままの士郎に、流し目で微笑みかけたのは、まぎれもなく、彼の弟だった。
「いいかよく聞け！」
敦也は目を閉じて、親指を立てて自分を指して言った。
「俺がエースストライカー、吹雪敦也だ」
- Re: （吹雪物語） 世界への挑戦！編 ( No.596 )
- 日時： 2014/04/24 02:43
- 名前： しろお （ID: kct9F1dw）
第二十八話 繋がりあう思い
もう何年ぶりに見たかもわからない。信じられない。僕と背の変わらない敦也がそこにいて、成長した僕を見ていて、僕が成長したお前を見てる。もう会えないと思っていた敦也、お前が今、僕の目の前に。
「なに辛気くさい面してんだよ」
僕が今どんな表情をしているのかなんてどうでもよかった。今はただ、敦也の表情ひとつひとつを目で追うのに夢中になっていた。
「どうしたんだよ。感動の再会だぜ？ 喜べよもっ」
言われるまでもなく僕は彼に向かって走り寄って、おもいきり抱きしめた。もしかしたら、今日一番のスピードだったかもしれない。もうそんなことはどうでもいい。もうどうだっていいんだ。
「おい離せよ！ 汗べたべたで気持ち悪いっつうの」
引き剥がされるようにして、僕は敦也から離れた。
「敦也。お前……背、伸びたな。ていうか僕よりちょっと高い？」
「ん？ ああ、そういやそんな気もするな。って他に言葉はねえのかよ。何年ぶりだ？ もう覚えてねえけど、あいかわらずだな兄貴も」
「おい吹雪、こいつがお前の弟なのか？」
染岡くんが隣にきて、僕の肩を叩く。
「そうだよ。こいつ、サッカーだけは本当に強いんだ！ 僕なんかよりもずっとね！」
「おいだけってなんだよ。まあそうだけどよ！」
「そうか、こいつが。たしかにもうひとりの吹雪もこんな感じだったな！」
「もうひとりの吹雪？」
敦也が首をかしげる。敦也に僕の昔のことを知られてはまずい。僕は、「それより試合に勝たないと！」と言ってすぐに敦也をピッチに引き連れた。
「見てろよ士郎。一瞬で決めてやるよ！」
頼もしい言葉に、希望が沸いて、疲労感はどこかへ飛んでいく。
試合再開の笛が鳴った。敦也が一瞬で相手陣営を突破していき、テレス、ウォルターがゴール前にいてもお構い無しにシュートの態勢に入った。
「吹き荒れろ……エターナルブリザード！」
敦也が放ったシュートはディフィンスをかいくぐり、ロココすら反応できないほどのスピードでゴールに突き刺さった。僕のシュートの何倍もの威力なのが、遠目に見ていてもわかる。
『ごおおーーーーーーーる！！ あの世からきた最強の助っ人、吹雪敦也！！ これは、これはすごいぞおお！？』
「これなら勝てるかも！」
メリシンがベンチで音無さんと喜んで抱き合っている。その光景を眺められるほどに、僕の心も余裕ができていた。
戻ってきた敦也が、僕を見て笑う。
「わかってるよな、士郎」
「ああ！ この試合勝つぞ！」
また敦也とプレーができる。僕が守って、お前が決める。
試合再開と同時に、デスタが顔を赤くして、ドリブルで突進してきた。
「ふざけるなあ！」
君はうまいよ。スピードもある。でも今、敦也がいるときは、ぜったいに僕は君を止めなきゃいけない。
鬼道がプレスに行こうとしていたが、士郎はそれを制した。
「鬼道くん、僕に任せて！」
そうとだけ言えば、鬼道はすぐに理解してカウンターの準備に向かう。佐久間と不動もそうだ。
「ばかがあ！ 今日一度でも俺を止めたやつはいねえ！」
「なら、進化するまでさ」
士郎は一瞬、デスタの視界から消え、次にはデスタの後ろでボールをドリブルしていた。これが、士郎の本当の力なのだろう。敦也がいることで彼の本当の力があますところなく出ている。デスタを完全に抜き去ったあとで、吹雪は静かに呟く。
「氷の牢獄」
- Re: （吹雪物語） 世界への挑戦！編 ( No.597 )
- 日時： 2014/04/24 09:10
- 名前： しろお （ID: kct9F1dw）
鬼道にボールが渡る。豪炎寺、染岡とパスが続き、豪炎寺から敦也にマークとレオナルドの間をぬうようないいパスが出た。すぐにテレスとウォルターが前にくるが、スピードに乗った敦也はもはや風と同様になる。
ウォルター、テレスを瞬時に置き去りにし、ロココの目も追いつかないまま、いつのまにかその横に敦也は立っていた。
「おせーおせー」
ゴールラインのすぐまえで、敦也はボールを軽く蹴ってゴールを決めた。
「なんというドリブルスピード！ 敵を凍りつかせるまさにアブソリュートゼロ！ どうやら私はもう立っているだけでよさそうですね……よかったよかった」
目金は敦也の活躍に興奮しつつも、やはり緊張していたのか、あまり動いていないのにしきりにタッチライン付近のペットボトルで給水していた。
「おっしゃあその調子で俺にボールをまわせえ！ ばんっばん決めてやっからよお！」
宣言どおり、敦也は点を続けて決めた。初連携とは思えないほどのFW陣の連携が高く、吹雪の豪炎寺との連携『クロスファイア』も、染岡との連携『ワイバーンブリザード』も、より高い次元で再現している。エターナルブリザードもアブソリュードゼロも、ルシフェルにはとめる術が無い。
そして極限まで才能を開花させ、自信に満ち溢れた士郎を突破することも、不可能に近いだろう。
『一気に６−６と追いついたァ！ 吹雪兄弟の活躍が止まらないいいい！ 攻めの敦也守りの士郎、まさに完璧にふさわしいコンビだああ！』
「なぜだ……負けるはずがないんだ！ 僕たちは世界最強のチームなんだ！」
アフロディがドリブルで風丸をかわし、士郎がその前に入る。
「吹雪くん、やはり君は素晴らしい。僕を止めてみろ、勝負だ！」
「望むところさ！ 氷の牢獄！」
ドリブルが士郎の領域に入った瞬間、アフロディからはボールが無くなる。アフロディはボールを奪われると、ふっと笑って、
「決めるんだ。君が」
と呟いた。
士郎は鬼道にボールを預け、そのまま前線に駆け上がっていく。敦也がボールをキープし、士郎が追いつくと、すぐさま敦也も加速してマークを抜き去った。
「士郎！」
「ああ！」
（言葉はいらない———僕達のすべては、このプレーだ！）
敦也がボールをテレスの股に通し、士郎がそれを拾ってドリブルする。ウォルターが前に立ちふさがり、士郎はトップスピードで走りながら自分の真上にボールを浮かし、そして姿勢を低くしてしゃがんだ。その上を、敦也が飛んで思い切りボールを蹴飛ばした。
「フレキレジェンド！」
二人は心のままに叫び、そしてシュートを放った。
二人の絆は形となってゴールを揺らした。吹雪兄弟は、幼い頃に戻ったかのような屈託のない笑顔で、肩を組み合う。
古株が腕時計を確認して、笛を鳴らした。
ベンチ勢が歓喜に沸いたが、ピッチの選手たちは、安堵の気持ちのほうが強かったのか、兄弟以外全員がその場に倒れてしまった。
士郎は、試合が終わっても、敦也をずっと見つめていた。
「楽勝だったな。ま、当然だけどよ」
「さすが敦也だよ。本当に」
「なんだよそれ。昔は俺のこと散々馬鹿にしてくれたくせになあ？ 天然毒舌だったもんな兄貴」
「ごめんごめん」
音無とメリシンがふたりの元に来た。音無が笑顔で、「おつかれさまでした！」と言って二人にタオルを渡した。士郎も敦也も礼を言って、すぐに顔を拭く。
- Re: （吹雪物語） 世界への挑戦！編 ( No.598 )
- 日時： 2014/04/24 09:49
- 名前： しろお （ID: kct9F1dw）
「ふたりとも、かっこよかった！」
メリシンが士郎の頬に口付けし、間もなく敦也にも口付けした。敦也がぽーっと頬を赤くしてうつむく横で、士郎は平気な顔で「ねえ、天使のキスって、もしかして甦りの効果とかある？」と訪ねていた。
「あー私、力無いから、弟くんは生き返らせてあげられないよ。ごめんね」
「そっか。いいよいいよ、敦也嬉しそうだし」
「なっ。嬉しくなんかねーよ別に！」
ほっぺとは言えキスしたメリシンを、「ちょっとちょっと！」と音無が慌ててふたりから引き離す。
「な、なにしてるんですか！」
「いいじゃない。健康の効果があるから、春奈にもやってあげようか？」
「え、ええと……！？ あ、そういうことじゃなくてですねえ！」
「おい天使」
デスタが四人に近づいてきた。デスタは鋭い目でメリシンひとりを見据えている。
「俺の負けだ。約束どおり今回は身を引くぜ。充分楽しかったしな。かっかっか」
そう言って、デスタが親指を鳴らすと、壁が開き、暗闇の空洞があらわれた。デスタは、「あー疲れた」と言いながら歩いて、空洞の闇に消えた。
それを見つめる敦也の横顔を、士郎は見ていた。
「敦也」
「あ？ なんだよ」
「行くのかい」
「まあな。つうか、本当は勝手に移動しちゃいけねえからよ死人は」
「そうなの？」
吹雪が確認をとろうとメリシンを見て、彼女がうなずくと敦也に視線を戻した。
「ま、士郎が困ってるみたいだったから、しょうがなくきてやったんだよ」
「でも、お咎めなんて無いわ。あなたは良いことをしたんだもの」
「そうか。そいつは助かるね」
「吹雪さん、今日、ふたりの夢を果たせましたね」
音無が言った言葉に、敦也も士郎もきょとんとした顔になった。「どういうこと？」と士郎が眉をひそめて訊いた。
「だって今日の相手は世界代表なんですから、それに勝ったお二人は世界一ってことですよ！ ほら、マフラーの裏に書いてあったじゃないですか、『二人で世界一』！」
「そっか！ やったな、敦也！」
「え？」
士郎に比べて敦也の反応は薄く、「そんなこと目指してたっけ」くらいぼんやりとしか覚えていないようだった。
敦也は士郎との再会が照れくさかったのだろう、頬をかいて「俺もう行かないと」と別段さみしくもないような平坦な素振りで言った。
「もう、行くのか」
士郎は露骨に眉を下げて、敦也を引きとめようと声をかける。まさかふたたび会えるとは夢にも思っていなかった、ただ感情だけが溢れ出すばかりで言葉にならない。
「お前らがあんまり長くいすぎると、お前らの魂が死ぬからよ」
敦也は士郎に背を見せて、闇の中に入っていく。いつのまにか成長していた弟の姿に、士郎は嬉しさと同時にどこか寂しさを感じずにはいられなかった。
「さすがに中学の試合とかは無理だろうけど、プロの試合とかならあの世にいても見れるからよ、頑張ってな」
背を向けたまま手をひらひらと振って、敦也は闇に消えていった。
「ありがとう」
士郎は静かに呟いて、目を閉じて微笑んだ。体が限界を越えていたのだろう、気が抜けた瞬間に吹雪はその場に倒れた。
- Re: （吹雪物語） 世界への挑戦！編 ( No.599 )
- 日時： 2014/04/27 14:18
- 名前： しろお （ID: 0llm6aBT）
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