二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.306 )
日時: 2017/07/28 15:11
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第46話「暗黒に燃える炎!朱莉VS蜜柑!」4

<朱莉視点>

「がァッ……ぐァあッ……」

 頭を押さえながら、私は叫ぶ。
 痛い。頭が、割れるように痛い。
 まるで、自分の中の価値観がすり替わるような、そんな感覚。
 その時、体を抱き寄せられて、誰かに頭を撫でられる感触があった。

「大丈夫だ。落ち着け。お前は何も考えずに、怨念に身を委ねていればいい。……俺が付いてる」

 その言葉に、少しずつ、体が楽になるのが分かった。
 体から力が抜けて、両手が下がる。
 頭の中がぼんやりして、すごく、気持ち良い……。

「それにしても、まさか朱莉ちゃんを連れて帰って来るとはね」

 誰かが話している声がする。
 でも、それが何なのか理解することもできなくて、私はただ茫然としていた。

「フン……幽鬼軍の頭領ともあろうお方が、女にかまけるとは、暢気なものですなぁ」
「文句を言うなオウガ。ちゃんと幽鬼軍としての仕事もしているさ。今は少し洗脳が乱れたから連れてきたが、療養さえ終われば、また戦わせるさ」
「プリキュア対プリキュア……フフッ、どっちが勝つのか見物だね」

 そんな会話が聴こえる中、私は目を瞑る。

 蜜柑が嫌い。ただその感情だけが、私の心を支配する。
 私より頭が良いところが嫌い。
 私より運動が出来ないところが嫌い。
 私がいないと何も出来ない鈍間なところが嫌い。
 私に守られていないとダメなところが嫌い。
 嫌い。嫌い。大嫌い。嫌悪感だけが、胸中を支配する。

 でも、こんなに嫌いなのに……なんで私は、一緒にいたんだっけ……。
 なんで、今まで一回しか、喧嘩したことないんだっけ……。
 だって、私は、蜜柑のことを……蜜柑の、ことを……?

「ぁああッ!?」
「おい、流石に不安定すぎるぞ!」

 男の怒声が響く中、私は頭を押さえる。
 蜜柑のことを考えれば考えるほど、頭が痛い……!
 なんでだ! 私はただ、アイツのことが、大嫌いなハズなのに!
 その時、背中に手を当てられる感触がした。
 同時に、何か、黒いものが流れ込んできて、体から力が抜けて、私は俯く。

 ……あぁ……そうだよ……。
 嫌いなら、それで良い……細かいことなんて考える必要無いじゃん……。
 それで、嫌いなものは全部……倒しちゃえばいいんだ……。
 そうすれば、きっと、答えが見えるハズだから……。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.307 )
日時: 2017/07/28 16:27
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第46話「暗黒に燃える炎!朱莉VS蜜柑!」5

<蜜柑視点>

 朱莉ちゃんがいなくなった後、どうすればいいのか分からなくなった私は、千速ちゃん達に連れられて公園に来た。
 時間が時間なので、暗い公園には誰もおらず、街灯によりぼんやりと不気味に照らされていた。

「蜜柑、大丈夫? 怪我もだけど……気持ちの面でも」
「……分からない。まだ少し、混乱してて……」

 そう言いつつ、私は頭を押さえる。
 そして暗い公園を見ていた時、とあることに気付き、私は手を下ろした。

「……? 蜜柑、どうしたの?」
「……ここ、朱莉ちゃんとよく遊んでた公園だ……」

 千速ちゃんの家の近くの公園じゃない。
 広場の近く、よく、朱莉ちゃんと一緒に遊んでいた……ジャングルジムがある公園。
 そうだ……朱莉ちゃんと仲良くなったのも、ここだった。
 私は中央にあるドーム状の遊具に近づき、トンネルのようになっている場所を覗く。

「小さい頃はもっと広かった気がするんだけど……今じゃギリギリ入れないなぁ」

 そう呟いて苦笑し、私は立ち上がる。
 迷子になって、途方に暮れて、駆けこんだのがこの公園だった。
 そして、このドーム状の遊具の中で泣いてたら、朱莉ちゃんが来たんだ。

「蜜柑?」
「ん? あぁ、ごめん。ちょっと……あっ」

 顔を上げた私は、ジャングルジムに視線を向ける。
 朱莉ちゃん、よくこの頂上に上って、ポーズ決めたりしてたっけ。
 ニンジャ仮面……懐かしいなぁ。

「ちょ、蜜柑……」
「千速。今は、蜜柑の好きにさせましょう」
「でも……」

 二人の会話を聞き流しつつ、私は足を掛け、上っていく。
 昔はすごく高いイメージだったけど、今では、私の背丈より少し高い程度だ。
 小さい頃は上れなかった頂上に上がった私は、辺りを見渡した。

「うわ、結構高いなぁ……」

 頂上から見た景色は、思いの外高かった。
 この景色を、朱莉ちゃんは、今の私より小さい時からずっと見てきたんだ……。
 私はそのまま頂上の鉄の棒二本に足を置き、ゆっくりと手を離す。
 フラフラと体を起こしていき、私は、頂上で立ち上がる。
 しかし、次の瞬間、足を滑らせ、私の体は落下する。

「ッ……!」

 体が横に倒れ、咄嗟に、私は両手で頭を抱えた。
 直後、体を鉄の棒に打ち付け、そのまま転がって地面に落ちる。
 体中がズキズキと痛む中、私は、夜空を見上げた。

「朱莉ちゃん……やっぱり、私、朱莉ちゃんがいないとダメだよ……」

 そんな声を、漏らしてしまう。
 私は腕を押さえながら立ち上がろうとして、膝をつく。
 少し油断すると、涙が零れそう。

「っ……会いたいよ、朱莉ちゃん……一緒に、いたいよ……」

 そう呟いた瞬間、頬に何か、冷たいものが当たった。
 最初は、ついに自分が泣いてしまったのかと思った。
 でも、きっと、これは違う。
 これは……。

「雪……?」

 千速ちゃんの言葉に、私は顔を上げた。
 空から、白いフワフワしたものが落ちてくる。
 その量は少しずつ多くなり、座ったままの私に、容赦なく降り注ぐ。

「ホワイトクリスマス……か……」

 こういうものは、恋人と見たいと思うのが普通なのかもしれない。
 でも、私の中で今、この景色を一緒に見たいと思える相手は、一人しかいなかった。

「朱莉ちゃん……帰って来てよ……」

 私は自分の体を抱きしめるようにしながら、そう呟いた。
 私を温めてくれる炎が近くにいないから、すごく、すごく、寒いんだよ……。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.308 )
日時: 2017/07/28 17:37
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第46話「暗黒に燃える炎!朱莉VS蜜柑!」6

「蜜柑……いつまで泣いているのですか?」

 そう言われ、私は顔を上げた。
 見ると、そこには皐月ちゃんと千速ちゃんが立っていた。
 二人の肩の上には、妖精の姿になったライデンちゃんとフウマルちゃんが、それぞれ乗っていた。

「皐月ちゃ……」
「朱莉に会いたい……その気持ちは本物?」

 千速ちゃんの言葉に、私は小さく頷く。
 すると、皐月ちゃんと千速ちゃんは顔を見合わせ、笑う。

「だったら、やるべきことはもう、分かっているでしょう?」
「やるべき……こと……?」
「朱莉を救いに行く。それ以外に、何があるのですか?」

 皐月ちゃんの言葉に、私は「できるの!?」と言い、立ち上がる。
 私の反応に、皐月ちゃんは「えぇ」と言って頷く。

「恐らく、オグルのことですから、きっと朱莉の洗脳をもっと強くするために、本拠地に戻っているハズです」
「……つまり、皐月ちゃん達の村に行けば……」
「朱莉に会えます」

 皐月ちゃんの言葉に、私は息を呑む。
 朱莉ちゃんに会えるなら……迷うことなんてない。

「そっか……じゃあ行こう! 今すぐ行こう!」

 立ち上がりながら、私は宣言した。
 私の反応に、皐月ちゃん達は苦笑した。
 それから、ライデンちゃんの力で、村に戻るための穴を空けてもらう。
 穴をくぐって地面に着地しながら、私は、遠い昔、朱莉ちゃんとした約束を思い出す。

『じゃあさ、私がヒーローになるからさ、蜜柑はヒロインになりなよ!』
『ひろいん……?』
『何ていうのかなぁ……ヒーローが守るべき存在っていうか……そんな感じ。私、蜜柑のヒーローになって、蜜柑をずっと守るよっ!』

 昔からずっと、朱莉ちゃんは私のヒーローだった。
 私を助けて、守って、支えてくれた。
 何もできない私はいつも、朱莉ちゃんのヒロインで、ずっと、守られてばかりだった。

 そういえば、朱莉ちゃんにオススメされた少年漫画か何かで見た記憶がある。
 悪い敵に操られたヒロインを、ヒーローが助ける話。
 もしも、それに私達を当てはめたら、ヒーローとヒロインが逆転する。
 でも、それで良い。
 ずっと、朱莉ちゃんには守られてばかりだった。だから今日は……———

「———私が、朱莉ちゃんを守るヒーローになる」

 こちらに歩いてくる朱莉ちゃんを見つめながら、私はそう言葉にした。
 もう、逃げない。もう、負けない。
 絶対に朱莉ちゃんを連れ戻す。
 私が、朱莉ちゃんのヒーローになって、朱莉ちゃんを守るんだ。

 だから……朱莉ちゃん。
 今だけ私の、ヒロインになってください。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.309 )
日時: 2017/07/28 19:09
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第47話「蜜柑の動かざる決意!世界で一番大好きだから!」1

「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ!」

 変身を終えた私は、真っ直ぐ、朱莉ちゃんを見つめる。

「朱莉ちゃん……」
「はぁッ!」

 強く踏み込んだ朱莉ちゃんは、拳を振るう。
 私はそれを、両腕を交差して受け止め、彼女の腕を掴んで引き寄せる。

「出会ったばかりの頃から、朱莉ちゃんは、ずっと私より強かったよね!」
「ぶっ潰すッ!」

 両手の指を組んで振り下ろしてくる朱莉ちゃん。
 私はそれを躱し、言葉を続ける。

「喧嘩では男子にも勝っちゃうし、行動力や正義感は一番で!」
「うるさぁぁぁいッ!」

 腕に黒い炎を纏わせ、朱莉ちゃんはその腕を突き出してくる。
 私はそれを躱し、一気に朱莉ちゃんの元に駆ける。

「出会った当初は、怖いって思ったんだ。でも、ずっと朱莉ちゃんに感じ悪くしてた私を毛嫌いもせず、迷子になったら必死で探してくれて!」
「私はお前が、大嫌いだぁぁぁぁぁぁッ!」

 そう叫びながら、朱莉ちゃんは蹴りを放つ。
 私はその足を受け止め、足を強く踏ん張って耐える。

「ケホッ……あの時のことは、本当に感謝してる。ありがとう」
「そんなこと、知らないッ!」

 私の体を強く蹴って後ろに下がった朱莉ちゃんは、そう叫んで両手を構える。
 全く……朱莉ちゃんっていつもそうだよね。
 自分が知らないことは、どうでもいいって見て見ぬふりして。
 知らなくても今まで生きてこれたからこれからも知らなくていいなんて言っちゃってさ。

「でも、そんなところを含めて朱莉ちゃんだから……その全部を含めて、私は朱莉ちゃんが、大好きだからッ!」

 私は強く踏み込み、朱莉ちゃんまでの距離を詰める。
 朱莉ちゃんはそれに私を鋭く睨み、腕を振り上げる。

「私は、大嫌いだぁッ!」
「不動の山よ! 我に集い、力と成れ!」

 私は叫び、私と朱莉ちゃんとの間に山の盾を作る。
 もちろん破壊されるが、それで良い。
 一瞬でも朱莉ちゃんに隙さえ作れば、好機はある。
 少しでも話しかけて、元に戻すんだ。

「小学生になったら、勇太とかに苛められるようになった。私はすごく悲しかったけど、朱莉ちゃんが守ってくれたから、毎日すごく楽しかったんだよ!」
「はぁぁぁッ!」

 朱莉ちゃんがラッシュする拳を、私は避ける。
 反撃なんて狙わない。狙うほどの余裕も無いし……まず、攻撃をするつもりなんてない。

「朱莉ちゃんは私にとって、最高のヒーローだよ!」
「侵掠の火よ! 我に集い、力と成れ!」

 その叫びと同時に、目の前に漆黒の炎が広がる。
 やがて、私の体は吹き飛び、近くの建物に背中から突っ込んだ。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.310 )
日時: 2017/07/28 21:25
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第47話「蜜柑の動かざる決意!世界で一番大好きだから!」2

「カハッ……ケホッ……」

 粉砕した建物の埃が喉に入り、私は咳き込む。
 ていうか、流石に村のど真ん中でこういう戦いはするものじゃないか。
 移動しないと……でも、足の遅い私が朱莉ちゃんから逃げながら移動……無理そう。

「侵掠の火よ……」

 でもこのままだと火事になる!

「場所を変えるよ! 朱莉ちゃん!」

 私はそう叫びながら、建物から離れて走り出す。
 すると、朱莉ちゃんは忌々しそうに舌打ちをして、すぐに私を追いかけてくる。
 よし。ここまでは計算通り!
 あとは、どれだけ遠くまで逃げ切れるか、だけど……。

「やらないと……」

 一人呟き、私は強く踏み込む。
 しかしその時、黒い影が一瞬、視界に入った。
 直後、体に強い衝撃を受けて、気付いたら背中を地面に打ち付けていた。

「ガフッ……」
「消してやる……お前、なんか……!」

 瞼を開くと、そこには、馬乗りになって、私の顔を見下ろしている朱莉ちゃんの顔があった。
 私の足の遅さを考えると、余裕で回り込まれて、前から倒されたか。

「朱莉……ちゃん……」
「……」

 朱莉ちゃんは無言で拳を振り上げる。
 殴られる。そう思って、私は目を瞑った。
 しかし、十秒待っても、襲い来るハズの激痛が来ない。

「……?」

 恐る恐る目を開くと、そこには、キョトンとした表情をしている朱莉ちゃんの顔がある。
 よく見ると、右手が伸びているような……?

「っ……」

 ゆっくりと、首を左側に捻る。
 そこには、地面に浅くめり込んだ拳があった。

「なんで……お前を殴れない……?」
「朱莉ちゃん……」

 私が名前を呼んだ時、顔の右側から激音が鳴った。
 さらに、二度、三度、彼女は私の顔の横にある地面を、何度も殴る。
 確かに、その一撃を顔面に受けたりしたら、かなり痛そう。下手したら顔の形が変わるかもしれない。
 しかし、彼女の拳が私の顔の骨の形を変えることはなく、ただただ私の顔の横にある地面が抉れるだけ。

「なんで……なんでだァッ!」
「……」

 彼女の悲痛な叫びに、私は胸が痛くなる。
 朱莉ちゃんにとっては、一生懸命やっていることなんだよね……。
 でも、上手くいかないんだよね……?

「私は、お前が大嫌いなのに……お前なんか、いなくなってほしいのに……!」
「……」

 オグルが言っていた。怨気によって、感情を全て負の感情に置き換えていると。
 ということは、朱莉ちゃんの言葉は、本来であれば逆の言葉になるのかもしれない。
 例えば……———

「私は蜜柑が大好きなのに……蜜柑にいなくなってほしくない……とか?」
「……! わけわからないことを言うなぁッ!」

 涙混じりに叫びながら、朱莉ちゃんは右手を振り上げる。
 そして、結局私の顔の横を殴りつける。
 ……多分、これは、自惚れなんかじゃないのかな……。

「だったら、受け止めるよ。朱莉ちゃんの想い」

 私はそう言いつつ、地面に手を当てる。この位置かな……。

「不動の山よ! 我に集い、力と成れ!」

 叫んだ瞬間、朱莉ちゃんの左足の辺りから山が出現する。
 そんなこと予測していなかったのか、朱莉ちゃんは驚いた表情で地面を転がる。
 私はその間に立ちあがり、後ろに跳んで、一度距離を取る。
 そして、手を構えた。

「朱莉ちゃん……良いよ。全部受け止めるから、ぶつけて見せてよ! 朱莉ちゃんの大好きを!」

 だったら私は、山のように、それを全て受け止めて見せるから!


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