二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.296 )
日時: 2017/07/27 09:51
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第45話「メリークリスマス!聖夜に降るは恋の雪!?」2

 街の広場に行く頃には、日はすっかり落ちて、空は紺色になっていた。
 そこでは、ど真ん中に大きなクリスマスツリーが飾られ、周りも華やかなイルミネーションで彩られ、鮮やかに輝いていた。

「わぁ……綺麗……!」

 目を輝かせながら言う皐月。
 それに比べて他の異世界組は……うわ、すっごい無表情! 何があった!

「千速……綺麗とか思わないの?」
「いや、カラフルな電飾がその辺に吊るされたりしているだけじゃない。なんで感動するのよ」

 千速の言葉に、フウマルとライデンも頷く。
 お前等……もう少し純粋なキャラだったハズだろ……。
 驚いて固まっていた時、皐月が千速の腕を掴んだ。

「千速ッ! もっと近くで見ましょう! とても綺麗ですよ!」
「わ、ちょ、皐月ッ!?」

 イルミネーションより輝く目で皐月は千速の腕を引き、イルミネーションの元に駆けて行く。
 うわー、すごい元気。転ばないと良いけど。

「……で、保護者役二人、あの子供二人放置するわけ?」

 私の言葉に、妖精二人は慌てて走り出す。
 すごいなぁ……実質興奮してるの一人だけなのに、なんか色々慌ただしい。
 そう思っていた時、遠くに見覚えのある顔があった。
 あれは……———。

<蜜柑視点>

「あー、ごめん、ちょっと急用思い出しちゃったー」

 なぜか唐突に超棒読みでそう言った朱莉ちゃんは、踵を返して走り出す。

「あ、ちょっと朱莉ちゃ……!」
「蜜柑、なんでこんな所に……ていうか、一人か?」

 その言葉に、私は振り返る。
 そこには、なぜか勇太が立っていた。

「勇太!? なんでここに……?」
「いや、まぁ、ちょっとな……お前こそ、朱莉とかと一緒じゃないのか?」
「朱莉ちゃん、さっきまで一緒にいたんだけど……どこか行っちゃったよ……」

 私の言葉に、勇太は苦笑した。
 そして、唐突に頬を赤らめながら、視線をキョロキョロと彷徨わせる。
 やがて、何か決心をした彼は、私に赤と緑のチェックが入った紙袋を渡してきた。

「これ、お前に渡そうと思って……まさか本当に渡せるとは思ってなかったけど、その……」
「え? あ、うん……ありがとう」

 私が受け取ると、勇太は口をパクパクとさせた。
 ……?

「えっと、開けても良い?」
「え、あ、あぁ……どうぞ!」

 その言葉に私は「ありがとう」と頷き、紙袋を開けた。
 すると、中には黄色のマフラーが入っていた。

「わぁ……!」
「お前のマフラー、学校にいる時から思ってたけど、その、ボロイんだよ。そろそろ新しいのにした方が良いだろ」

 その言葉に、私は今首に巻いているマフラーに手を当てた。
 確かに、これは小学生の頃に朱莉ちゃんが買ってくれて、それからずっと使ってるからなぁ……。
 暖かければ良いと思っていたけど、流石にそろそろ買い替えの時期だったのかな。
 私は付けていたマフラーを外して、新しく買ってもらったマフラーを首に巻いた。

「えっと、どうかな?」
「ん……すげぇ似合ってる」
「本当? 良かった」
「……まぁ、お前に似合うのを頑張って探したわけだから、当たり前だけどな」

 恥ずかしそうに頬を掻きながら発した言葉に、私は顔が熱くなるのが分かった。
 ていうか、勇太、今一人なのかな……。
 あげれるか分からない私へのクリスマスプレゼントを買うためだけにこの寒い中出てきたのか……。

「ていうか、貰ってばかりじゃ申し訳ないから、私も何かあげたいけど……何か欲しいものとかある?」

 私がそう聞くと、勇太は驚いたような表情で私を見た。
 それから顔を赤くして、首に巻いてる紺色のマフラーで顔を隠しながら呟いた。

「……蜜柑が欲しい」
「ふぇ……?」

 その言葉に、私は顔を赤くした。
 それは勇太も同じことで、耳まで顔が真っ赤だ。

「ホラ、ずっと小さい頃から、泣かせてきちゃったから、これからは、お、おお俺と……」

 声震えてるし……。
 不器用すぎる突然の告白に、私はクスクスと笑った。

「ありがとう。でも、流石に私は物じゃないからなぁ……」
「そ、そういうのじゃなくて! えっと、付き合うのは無理でも、せめて、少しの間一緒にイルミネーション見てくれるだけで、俺は嬉しいから!」

 その言葉に、私はなんだか恥ずかしくて、貰ったばかりのマフラーで口元を隠す。

「まぁ、勇太がそれで良いなら……」
「お、おおう……」

 ぎこちない返答をする勇太に心の中で苦笑しながら、私達は並んで、イルミネーションを見ていた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.297 )
日時: 2017/07/27 12:20
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第45話「メリークリスマス!聖夜に降るは恋の雪!?」3

<皐月視点>

 どこまで歩いても見える、カラフルな光。
 私はそれに気持ちが高ぶり、小走りで光の中を駆けていく。

「皐月〜。そんなに急いだら危ないよ〜」
「大丈夫ですよ。それより、もっとこのいるみねーしょん? を見た……」

 そう言いながら千速達の方に振り向いた時、人にぶつかった。
 その衝撃により、体が後ろに倒れそうになる。

「皐月ッ!」

 しかし、駆けつけてきたライデンにより腕を掴まれ、なんとか転ばずに済む。
 ゆっくりと立ちなおした私は、「ありがとうございます……」と言いつつライデンと向き直る。
 私の返事に、ライデンはため息をついた。

「全く、お前が怪我をしたらオイラだって悲しいんだからな」
「ごめんなさい……あと、その……ありがとうございます」

 私がもう一度お礼を言うと、ライデンは「何度も言わなくて良いから」と言って目を逸らした。
 よく見ると、顔が耳まで赤い。
 ……寒いのでしょうか?
 そういえば、フウマルもですが、以前買った服以外にそもそも服を持っていないから、防寒具なんかもロクに身に着けていないのですよね……。

「ライデン、寒いのですか?」
「はぁ!? 急になんだよ!」
「いや、顔が赤いので寒いのかと……違うのですか?」
「そもそもオイラ達妖精には寒いとか暑いっていう概念もないんだから、寒いわけないだろ!」

 ではなぜ顔が赤いのでしょうか……?
 そう不思議に思っていた時、ライデンが「あ、そうだ」と言って、懐から何か封筒のようなものを取り出す。
 何をするのかと思っていると、ライデンは「ん」と言って、私に差し出してきた。

「……?」
「……この前、手紙くれただろ。……その返事」

 ……口で言えば良いのに。
 でも、あえてそれは指摘せず、私は手紙を受け取って「ありがとうございます」と呟いた。

「今日は、その……プレゼントを渡したりする日だって聞いたからな。オイラには、手紙くらいしか渡せるものもないし」
「フフッ。いいえ、嬉しいですよ。中身、読んでも良いですか?」
「なっ……目の前で読まれるのは恥ずかしいから、家で読め!」
「ライデンも前に私の目の前で読んだじゃないですか」
「ぐぅッ……それは……!」

 何か言い返そうとするが、顔を赤くしたまま口をパクパクさせるだけ。
 私はそれに笑って、手紙をひとまず折りたたみ、落とさないようにポケットにしまった。
 まぁ、ライデンは嫌なのでしょう。家に帰ってからのお楽しみということで。
 そう思っていた時、ライデンが手を差し出してきた。

「ホラ、もっとイルミネーション見たいんだろ? もう転ばないように、一緒回るぞ」
「……はいっ」

 ライデンの言葉に私は頷き、彼の手を握った。
 そして、二人で歩き出した。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.298 )
日時: 2017/07/27 14:31
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第45話「メリークリスマス!聖夜に降るは恋の雪!?」4

<千速視点>

「やれやれ、あの二人は相変わらずだな」

 フウマルが呆れながら言った言葉に、私は「そうだね」と返す。
 ライデン、不器用だけど、なんだかんだで皐月と上手くいってるみたい。
 そう思っていた時、耳たぶをふに、と抓まれた。

「ひゃう!?」
「かなり冷たいな……寒いのか?」

 見ると、フウマルが無表情で私の耳を抓んでいる。
 私はその手を振り払いながら「大丈夫!」と返事をした。

「別に、耳くらい冷えたところで、どうってことないし!」
「いや、お前馬鹿だから風邪引いたことないけどさぁ、やっぱり女の子っていうのは体は冷やさない方が良いから」
「走ったら温かくなるから大丈夫!」
「はぁ……」

 私の返事に、フウマルは呆れたようにため息をつく。
 そして上着を脱ぎ、私に被せてくる。

「なッ!?」
「せめて少しでも体温めておけ。お前、強がるから」
「強がったりなんて……!」
「するだろ。……昔もよく、怪我する度に強がって」
「うぅ……」

 ぐうの音も出ない正論だ。
 強がりすぎて怪我を悪化させたこともあったし……。
 私が不貞腐れていると、フウマルは苦笑して、私の頭に手を置いた。

「お前は、自分が思っているより弱い。少しは人に頼れ」
「前は強いって言ってなかった?」
「大人っていうのは都合の良いことしか言わないものさ」
「サイテー」

 私の言葉に、フウマルは「ははっ、確かに最低だな」と笑った。
 笑えば誤魔化せると思ってるんじゃないかなぁ……。
 私はフウマルの上着を握り締めながら、俯く。

「しかし、皐月が興味あったから付いてきただけで、実質拙者達はこのいるみねーしょんとやらには興味無いんだがなぁ」
「そうだよねぇ……一度朱莉達の所に戻ろうか?」
「そうだな」

 フウマルの返事に、私達は歩き出す。
 その時、ちょうど走っていた女の子が目の前で転んだ。

「うえーん! 痛いよぉ〜!」
「あぁ、大丈夫?」

 私はすぐに女の子に駆け寄り、立たせてあげる。
 長ズボンのおかげで擦りむいたりとかはしてなさそうだけど、やはり体を打ち付けた所が痛いのだろう。
 少し考えた後で、私は女の子の頭を撫でてあげる。

「痛いの痛いの飛んでいけ〜!」
「ふぇ……?」
「痛くなくなる魔法。ホラ、痛みがお姉ちゃんに飛んできちゃった! イタタタ……」

 お腹を押さえながら言うと、女の子は「お姉ちゃん大丈夫?」と言ってくる。
 私はそれに笑って、「ありがとう」と答える。

「お名前は何て言うのかな?」
「えっと、ゆみ」
「ゆみちゃん、か。ゆみちゃんは優しいね」
「そうかなぁ……えへへ」

 恥ずかしそうに笑うゆみちゃんに私も笑って、「もう痛くないでしょ?」と聞く。
 すると、ゆみちゃんはハッとして「ホントだ!」と笑う。

「よかった。それじゃあ、次は気を付けるんだよ?」
「うんっ」
「ゆみ〜?」

 母親らしき人がゆみちゃんの名前を呼ぶと、「ママ〜!」と言ってゆみちゃんは走っていく。
 すると、フウマルが私の傍まで歩いてきて、笑った。

「すごいじゃないか、千速」
「私、よく怪我する度に、フウマルに励まされてたからね。真似しただけだよ」
「拙者、あんなことしてたっけ?」
「してたよ〜」

 私がそう言いながら笑うと、フウマルは困ったような笑みを浮かべて頬を掻いた。
 それに、私は立ち上がる。

「それじゃあ、早く行こうか」
「あぁ、そうだな」

 フウマルの返事に私は頷き、二人で歩き出す。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.299 )
日時: 2017/07/27 16:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第45話「メリークリスマス!聖夜に降るは恋の雪!?」5

<朱莉視点>

 勇太の邪魔をしないようにと走って来たのは良いけれど、どこに行けば良いのかも分からない。
 ライデンと皐月の邪魔もしたくないからイルミネーションの方に行くのもなんかアレだしなぁ。
 そう思いつつ走っている内に、だんだんと人気のない場所に来てしまった。

「ありゃ、ちょっと奥まで来すぎたか。そろそろ戻った方が良いかな」

 そう呟いて広場の方に戻ろうとした時、見覚えのある姿が見え、私は足を止めた。
 視線を凝らしていくと、そこには、鬼人が立っているのが見えた。

「鬼人!」

 私は彼の名前を呼び、駆けた。
 彼も私の方に気付いたらしく、軽く手を振る。

「朱莉、探していたぞ」
「え、私を!?」

 なんだか危ない発言に見えて、私は一度立ち止まる。
 そんな私に鬼人は「なんだよ」と言って笑い、私の方に歩いてくる。

「なんだかよく分からないものが出ていてビックリしたんだよ。なんだあの、チカチカしたものは」
「チカチカ……って、イルミネーションのこと? 鬼人、もしかしてイルミネーションも知らないの!?」
「あぁ、初めて見たな。夜なのに眩しくて、あそこに近づけない」

 真顔で言う鬼人に、私は苦笑する。
 相変わらず変な所は無知なんだから……。

「イルミネーションっていうのは眩しいものなの! もっと近くで見ないと勿体ないよ!」
「あっ、ちょっ……」

 戸惑う鬼人の腕を強引に引いて、私はイルミネーションの近くまで向かう。
 煌びやかな光の群れに、鬼人は目を細めた。

「こんなもの、電飾がその辺に吊るされたりしているだけだろ? 何が楽しいんだ」

 私の周りってこんな奴等ばっかり!
 まぁ、人の勝手だけどね。
 私はため息をつき、近くのトナカイのイルミネーションを指さした。

「ホラ、あれとか可愛いと思わない? トナカイ」
「となかい……?」
「まさか鬼人……トナカイも知らないの!? まさか、クリスマスも知らないとか言わないよね!?」
「名前だけは知っているが……」
「えぇぇ!?」

 つい大きな声を出してしまう。
 私の反応に、鬼人は「うるさいなぁ」と顔をしかめた。

「ホント、鬼人って、知識偏りすぎでしょ……やっぱり私より馬鹿だ〜」

 私がそう言って笑っていると、鬼人の目が微かに細くなった。
 すると、鬼人は私の手を握り、向き直ってくる。

「朱莉……お前に、隠していたことがあるんだ」
「わ、私に……?」

 私が聞き返すと、鬼人は頷く。
 な、なんだろう、これ……なんか、告白とかそんな空気……?
 緊張していた時、鬼人はゆっくりと右手を上げ、親指と中指を合わせて……———。

 パチンッ。

 彼が指を鳴らした瞬間、目の前が真っ暗になった。
 違う。私と鬼人を包み込むように、どこからか怨気が溢れだしたのだ。
 でも、なんで? 目の前にいるのは、鬼人じゃなくて———

「———オグル……?」
「あぁ、そうだ。俺が鬼人だったんだよ」

 優しい口調で言うオグルに、私は後ずさろうとする。
 でも、足が動かない。頭の中も、混乱とか、疑問とか、怒りとか、色々な感情が交錯して、上手く動かない。

「ぁ……ぁ……」
「キュアフレイム」

 その時、オグルが私の顔の前に手をかざす。
 すると、怨気が私の体を包むように絡みつき、少しずつ私の体を浮かす。
 怨気が、まるで風のように吹き荒れ、私の髪を揺らす。

「何、これ……オグル……?」
「キュアフレイム。お前の方が馬鹿じゃないか。こんなに簡単に騙されて」

 嘲笑するオグル。そんなことはどうでもいい。
 ヤバい。この状況、絶対、ヤバいッ!
 そう思っても、体が動かない。言う事を聞いてくれない。
 なんとかもがこうとしていた時、体の中に、何かが流れ込んでくるような感覚がした。

「キュアフレイム……俺の物になれ」

 その言葉と同時に、一気に何かどす黒いものが、私の中に入り込む。
 自分が自分じゃなくなるのを感じながら、私の意識は途絶えて行った。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.300 )
日時: 2017/07/27 16:50
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第45話「メリークリスマス!聖夜に降るは恋の雪!?」6

<蜜柑視点>

「それじゃあ、俺はもう帰るよ。なんか、俺に付き合わせて悪かったな」
「ううん、こちらこそ、マフラーありがとう」

 私がお礼を言うと、勇太は照れたように笑って歩いて行く。
 振り向くと、ちょうど千速ちゃんとフウマルちゃんがこちらに歩いてくるのが見えた。

「あれ? 蜜柑、朱莉は?」
「どっか行っちゃった。さっき勇太が来たから、多分、邪魔しないようにとかそんな意味だと思うけど」
「……相変わらずね」

 千速ちゃんの言葉に私は曖昧に笑っておく。
 その時、皐月ちゃんとライデンちゃんもこちらに来た。

「あら? 朱莉はどこですか?」
「なんかどっか行ったって。まぁ、私達と違って彼女は充分この街に慣れてるだろうし、迷子になったりは無いと思うけど……」

 千速ちゃんがそこまで言った時、すごく邪悪な感じのオーラが漂って来た。
 咄嗟に振り向くと、そこには、オグルが立っていた。

「オグル……!」
「ッ……よりによって、朱莉がいない時に!」

 千速ちゃんはそう言いつつ、アウラシュリフトロレを取り出す。
 三人で勝てるかは分からない。でも、やらないと……。
 しかし、私達の予想に反して、オグルはそれにクスクスと笑った。

「悪いけど、今日俺は野蛮なことをするつもりじゃないんだ」
「じゃあ、なんでここに……」
「……朱莉に何をしたのですか?」

 皐月ちゃんの言葉に、私は息を呑む。
 そうだ、タイミングだとかが色々ずれて、まだ朱莉ちゃんはオグルが鬼人だってことを知らないんだ。
 もし、オグルが鬼人に変装した状態で朱莉ちゃんに近づいていたとしたら……!

「ふぅ……勘の良い奴等だなぁ」
「「……!」」

 私と皐月ちゃんは、同時に、オグルが何をしたのか察知する。
 千速ちゃんは未だに状況を理解していない様子で、「どういうこと?」と私達を見ている。

「簡単に言うと、朱莉ちゃんとよく接触してる鬼人が、オグルなの」
「え、じゃあ、朱莉はずっとオグルと一緒にいたってことなの!?」

 千速ちゃんの言葉に私は頷く。
 危害さえ与えなければ良いかと思っていたけど、もう動き出していたのか……!

「ククッ……紹介するよ。俺の新しい仲間を……」

 その言葉と同時に、今までとは比べ物にならないくらい強大な怨気を感じた。
 私は咄嗟に腕を構えるが、嫌な感覚が、着込んでいる服すらも貫通して、私の肌を直接突き刺す。

「この感覚……まさか!」

 皐月ちゃんの言葉に、オグルはニヤリと笑う。
 そして、彼の背後から、一歩ずつこちらに歩いてくる少女の姿が見えた。
 彼女の顔を見た瞬間、私は、言葉を失った。
 オグルはそれに笑い、口を開く。

「キュアフレイム……いいや、ダークフレイム、とでも名付けようか」

 そこには、黒く染まったコスチュームに身を包む朱莉ちゃんの姿があった。


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