二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.30 )
- 日時: 2017/04/29 21:39
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第4話「謎生物!ライデン登場!」6
「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ!」
「「「風林火山! プリキュア!」」」
変身し終えた瞬間、モンテが顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込む。
どうでもいいことだけど、私やウィングは髪が伸びただけなのに比べて、モンテは、変身前は三つ編みでの一つ纏めなのに、変身するとそれが解けて、頭の後ろの方でお団子になっている。
不思議だ……。
「えっと、モンテどうしたの?」
「やっぱりこんなポーズ恥ずかしいよ……」
そう言いつつも立ちあがり、モジモジとするモンテ。
あぁ……そういえばこういうの苦手な子だったな。
小学校の時の学芸会でお姫様の格好をさせられた時なんて、恥ずかしすぎて泣いてたし。
「まぁまぁ、あ、アウラシュリフトロレ? の影響だし、仕方ないよ」
「そんな暢気なこと言っている場合があるなら……行くわよ」
ウィングの言葉に私たちは頷き、窓から外に飛び出す。
屋根の上を跳ねるようにしていくと、目の前に蝶々の姿をしたオンネーンが現れた。
攻撃しようとした瞬間、羽で風を起こされ、私たちは墜落した。
「いっつぅ……ちょっと! 空飛ぶだけじゃなくて攻撃までするなんて卑怯でしょ!」
「ハッ! こっちは俺含めても二人しかいないのに、そっちは三人もいるじゃねぇか。だったら、これくらいするのは当然だろ?」
「あ、そっか」
「納得するな!」
ウィングの言葉に、私はテヘッと舌を出した。
その時、まだ風が起こって、私はその場に尻餅をついた。
「いたた……どうにかならないの? この風」
「私に言われても分からないわよ……せめてもう少し下りてくれれば、なんとかなるけど……」
「……あ、千速ちゃんの力でさ、風を中和したりとか、できないかな?」
モンテの言葉に、ウィングは少しキョトンとした。
しかし、一瞬で彼女の言葉の意味を理解したのか、「分かったわ」と言う。
ちょっと待って。
「え、どういうこと?」
「んー……朱莉ちゃんは、私たちが合図したら全力で攻撃ぶつけてくれればいいよ」
モンテの言葉には、若干私に呆れているような感じが含まれていた。
しかし、ひとまず私は頷き、その時が来るのを待った。
「不動の山よ! 我に集い、力と成れ!」
まず、モンテが叫び、地面に触れる。
すると、その場に山が出来上がった。
「ホラ、フレイム。登るわよ」
「えっ? 分かった」
私はウィングの指示に従い、山の上まで行く。
すると、ちょうど目下にオンネーンの姿が見えていた。
直後、羽を振るい、風が私たちを襲う。
「疾き風よ! 我に集い、力と成れ!」
その言葉と共に風が吹き荒れ、オンネーンが巻き起こした風を打ち消した。
……おぉぉぉぉ!
「今だよ! 朱莉ちゃん!」「フレイム!」
二人に同時に名前を呼ばれ、私はすぐに手を構えた。
「侵掠の火よ! 我に集い、力と成れ!」
そう叫ぶと同時に手に炎が纏わりつく。
私はその腕を正拳突きのように突き出した。
すると、炎がオンネーンの体を襲い、やがて、浄化されていった。
「三人とも! 大丈夫かライ!?」
そう言って私の部屋から飛び出してきたライデン。
私たちは変身を解き、無傷であることを証明して見せた。
すると、ライデンは喜び、千速の胸に飛び込んだ。
……って、結局千速かよ!?
「まぁ、何はともあれ……これからよろしく! ライデン!」
私が言うと、ライデンも、千速も、蜜柑も。皆が笑顔を浮かべた。
−−−
「……なるほど。友情……か」
オルコの視界を通じて水に映像を映し出して見ていた冥姫は、そう呟いて顎に手を当てる。
小動物を抱いて微笑む空色のボブカットの少女。彼女を挟むようにして、赤い髪を一つにまとめた少女と、黄色の強い茶色の髪を三つ編みにして後ろに垂らしている少女が、一緒に笑う。
彼女達の様子に、冥姫は微かに笑みを浮かべた。
「プリキュア……か。……面白い。そろそろ、私が直々に手を下してあげますわ」
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.31 )
- 日時: 2017/04/30 20:34
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第5話「ミステリアス美少女!?芽衣現る!」1
駅前で明るい日差しを見上げながら、私はため息をついた。
今日は、オンネーンの襲来のおかげで、休日になっている。
先日、ライデンという妖精がやって来て、その時に千速の過去について聞いた。
それを聞いてから、私の提案で、今日はこの世界に来て日が浅い千速とライデンに、この街を案内する予定なのだ。
それからというもの大変だった。
今日遊ぶためにも、先生に出された数学のプリントは昨日中に終わらせなければならなかった。
私は急遽蜜柑に頼み込んで、深夜三時までかけて、プリントを終わらせた。
最初は私が分からないところだけを蜜柑に教えてもらう予定が、最終的にはほとんど蜜柑がする形になってしまった。
全て終わらせた後で「次の中間テストの時にはたくさん勉強しなくちゃね」と言った時の蜜柑の笑顔は今でも忘れられない。あ、寒気が……。
そんな蜜柑は、現在少しトイレに行っている。
千速も来ないし、正直言って暇だ。
「あぁぁ……退屈だなぁ」
そう呟いて欠伸をした時だった。
フワッと風が吹いて、木々の葉が揺れる。
その時、小さい男の子が持っていた風船が、空に飛んで行った。
「ヤバッ……」
私は咄嗟に駆けだし、ジャンプした。
ギリギリ紐に手が届き、細い紐をギュッと握り締める。
それから地面に着地すると同時に段差に躓き、私は体を見事に打ち付けた。
「ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」
恐らく男の子の母親であろう人が、慌てた様子で私に謝ってきた。
私は、それに「大丈夫ですよ」と笑いつつ、男の子に風船を差し出した。
「ハイ。もう離したらダメだよ」
「お姉ちゃん、ありがとう!」
お礼を言ってくれた男の子に、私は「良いよ良いよ〜」と言って手を振った。
人に良いことをするって、やっぱり気持ち良いな。人の笑顔を見ると、私まで温かい気持ちになって。
「フフッ、優しいんですね」
その言葉に、周りに生えていた木がザワザワと揺れた。
私は立ち上がり、声がした方を見た。
そこには、すごく可愛らしい少女が一人立っていた。
まるでお人形さんが着てそうなフリフリした感じの白い服。
深緑色のフワフワした長髪。同色の大きな目。
陶器のように白くてスベスベしてそうな肌に、胸には何やらネックレスが掛かっていた。
「えっと……」
「あ。すいません。突然。……最近この街に引っ越してきた、神林芽衣って言います。気軽に、芽衣とでも呼んで下さい」
「あ、うん。私は火場朱莉。よろしく……」
「はい」
そう言って、彼女はニコッと微笑んだ。
ていうか……。
「……え、超可愛い! お人形さんみたい!」
「えっ? えっ?」
「わぁ、この服高そう。髪も綺麗だし、このネックレスも不思議な感じがして……」
胸に掛かっているネックレスに触ろうとした瞬間、彼女は身を捩り、私の手から逃れるように後ずさった。
「えっと……」
「……これは、とても、大切なものなんです……ごめんなさい。流石に、触らせることは……」
そう言って開いた手の中では、小さな透明の筒のようなものに、黄緑色の石が入っていた。
筒の上下には金色の何かで細かい装飾が施され、そこから茶色の皮の紐が伸びている。
黄緑色の石は、何か、淡い光を帯びているようにも感じた。
「そっか……それじゃあ仕方ないね。ごめん」
「いえ、大丈夫ですよ。初対面ですし、知らなくて当然ですから」
「あれ? 朱莉ちゃん。誰とお話してるの〜?」
その時、背後から声がした。
振り返ると、トイレから戻って来た蜜柑と、ライデンを抱いている千速が、こちらに走ってくるのが見えた。
「蜜柑〜千速〜」
私が手を振ると、二人はすぐにこちらまで来てくれる。
千速の方は、なぜかすごく驚いた表情で芽衣を見ていたけど。
「えっとね、この子は最近ここに引っ越して来たって言う、神林芽衣ちゃん」
「神林芽衣です。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる芽衣に、蜜柑は「よ、よろしくお願いしますっ……」と、完全に緊張した様子で同じように頭を下げた。
彼女と違って流石に千速は緊張していなかったが、その代わり、信じられないと言いたげな表情で、芽衣を見つめていた。
やがて、芽衣が顔を上げて彼女の顔がしっかりと見えたであろうその時、千速が掠れた声を上げた。
「……さつき……?」
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.32 )
- 日時: 2017/04/30 18:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第5話「ミステリアス美少女!?芽衣現る!」2
「……さつき……?」
「「え?」」
私と蜜柑は、同時に呟いた。
いや、さつき……って、確か、千速が十歳の時に行方不明になった女の子だよね?
大人たちが探し回っても見つからなかったっていう。
「いやいや、皐月ちゃんがいなくなったのは、あっちの世界の話なんでしょ? それなのに、ここに皐月ちゃんがいるわけないじゃん」
「……私がいることを忘れてない?」
「あっ」
千速の言葉に、私はゆっくりと芽衣に顔を向けた。
「えっと……どなたですか?」
キョトンとした表情で言う芽衣。
その言葉に、千速が落胆した表情を浮かべた。
「あ、ごめん紹介してなかったね。こっちは、私の幼馴染の遠山蜜柑!」
「遠山蜜柑です。えっと、よろしく」
そう言って頭を下げる蜜柑に、芽衣はクスクスと笑って、「さっきももう言ったじゃないですか」と言う。
すると、蜜柑は顔を真っ赤にして、最終的には私の後ろに隠れてしまった。
やれやれ……。
「それで、こっちが風間千速」
「……よろしく」
まだまだ落胆したままの千速は、そう言って少しだけ頭を下げた。
すると、芽衣も「はい。よろしくお願いします」と言って、微笑んだ。
その時、彼女の視線は、千速が抱いているライデンに釘付けになる。
「あら? 可愛らしいぬいぐるみですわね?」
「そう? ライデンって言うんだ」
「へぇ……少しだけ触らせてくれない?」
「えっ? いや、それはちょっと……」
ライデンの正体もばれてはいけないだろうし、私は断ろうとした。
その時、芽衣は私の顔を覗き込んで来た。
「ね? 良いでしょう?」
彼女の目を見た瞬間、一瞬、思考に靄がかかったような不思議な感覚がした。
……ちょっと触るくらいなら、問題ないかな……?
「……いいよ」
「フフッ。ありがとう」
芽衣は、そう言ってライデンに手を伸ばす。
私は、それをぼんやりと見つめていた。
「嫌ライッ!」
しかし、ライデンはそう言うと、すぐに千速の腕を上って、彼女の頭の上で停止した。
「朱莉ちゃん。何ボーッとしてるの?」
蜜柑に肩を揺すられ、私はようやく我に返った。
あ、れ……? 私、今何を……?
ていうか……。
「わー! ライデン! 人前で動いたり喋ったりしたらダメじゃん!」
「そ、そんなこと言われても、その子からは、嫌な気配がしたライ」
そう言ってムーッとした表情をするライデン。
な、なんて我儘な……!
「千速の反応見た感じ、芽衣は皐月ちゃんそっくりなんでしょ? アンタ、皐月のお世話係じゃん」
「でも、邪悪な気配がするライ……」
ライデンの反応に、私はため息をつく。
そこで、呆然とした表情で立ち尽くしている芽衣に気付いた。
「あ、め、芽衣! これは、その……!」
「さ、最近では、こういう動いたり話したりするぬいぐるみがよく売ってるんだよ!」
「……こんなにスラスラ生声で話すぬいぐるみなんてあるかしら?」
「千速は黙ってて!」
「お腹空いたライ……」
「すぐにどこかでご飯食べるから、それまで待って?」
「なんでそこ二人はすごい暢気なの!?」
なぜ私がツッコミキャラにならねばならんのだ……。
肩で息をしていた時、芽衣が「あははッ!」と楽しそうに笑った。
「皆さん面白いですわ。これなら、私もこの街で楽しく過ごせそうです」
そう言って、彼女は去ろうとする。
私はそれに少し焦って、咄嗟に彼女の腕を掴んだ。
「え……?」
「ここで会ったのも何かの縁だよ! ここにいる千速とライデンもこの街に来たばかりでさ、折角だから一緒に回ろうよ」
「良いんですか?」
「もちろん! ね、良いよね?」
私が呼びかけると、蜜柑は「朱莉ちゃんが言うなら……」と言い、千速は渋々といった様子で頷いた。ライデンは、あまり肯定的ではない。けど、今回ライデンはオマケだ。彼の意見なんて知らない。
「ね。だから、行こ?」
そう言ってみせると、芽衣は、少し嬉しそうな様子で微笑んだ。
芽衣の反応に、千速はどこか悲しそうに視線を逸らしていた。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.33 )
- 日時: 2017/04/30 22:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第5話「ミステリアス美少女!?芽衣現る!」3
<千速視点>
「それで、最初はどこに行くの?」
私が聞くと、朱莉は「フッフッフ……」と不敵に笑い、歩き出す。
何が言いたかったのか分からず、私は蜜柑に視線を向けた。
彼女は苦笑してから肩を竦め、朱莉の後に続いて行く。
うーん……。
「フフッ。なんだか楽しそうな雰囲気がしますね」
「そう、だね……」
隣から聴こえた芽衣とかいう子の言葉に、私は曖昧に言葉を濁した。
この子、やっぱり皐月にそっくりなのよね……。
顔だけじゃなくて、声とか、背格好とか、話し方とか……十歳の頃から少し成長したかなー程度で、皐月にそっくりなんだ。
「えっと……芽衣さん?」
「なんですか? 千速さん」
「……風林火山って……聞いたことある?」
私の言葉に、微かに彼女の目が見開いた気がした。
ドキドキと高鳴る心臓を押さえつつ、私は返答を待つ。
「……さぁ。聞いたことありませんわ」
その言葉に、私は息が止まりかけた。
私は知っている。この世界の人間の大半は、風林火山そのものは聞いたことがあるのだ。
頭の良い蜜柑だけでなく、あの朱莉ですら、知っているらしかった。
おまけに、彼女はその身なりから察するに、教養はかなり高い。
……何か隠してる?
「貴方は……」
「あ、ライデン。もう少しで着くから、人間態になっておいた方が良いよー」
「分かったライ!」
それと同時に、ライデンは私の頭から離れて、人間の体になる。
ライデンが人間になった瞬間、芽衣の目つきが、一瞬怪しいものに変わった気がした。
「まぁ、その子は人間にもなれるんですの?」
「えっ? ……まぁ……」
「不思議なものですわ。ライデンちゃんも、彼と仲が良い、貴方達も……」
そう言って、彼女が微笑んだ時だった。
「着いたー!」
朱莉の言葉に、私たちは顔を上げた。
それは、古びた家で、お菓子の袋などがいたるところに飾られていた。
「ここは……?」
「ここは駄菓子屋さんって言って、安い値段で色々なお菓子を売ってるんだよ」
蜜柑の説明に、私とライデン。それから、芽衣は「へぇー……」と感嘆の声を漏らした。
それに朱莉と蜜柑は顔を見合わせて微笑むと、早速中に入っていく。
私たちも、それに続いて入っていく。
「いらっしゃい」
すると、奥から声が聴こえた。
見ると、そこには一角だけ畳のようになっている場所があって、そこでは正座して座っているおばあさんがいた。
優しそうな雰囲気は、どことなく、私の家に住む和子さんを思い出した。
「こんにちは!」
「おや、朱莉ちゃんと蜜柑ちゃんじゃないか。それと……おやおや。別嬪さん二人に、男前な子が一人……新しいお友達かい?」
「うん! 最近引っ越してきたんだって!」
朱莉の言葉に、おばあさんは嬉しそうに「そうかいそうかい」と頷いた。
その様子は孫の報告を聞いている祖母のようで、私は少しだけ苦笑してしまった。
「それじゃあ、新しいお友達ができたことを記念して、一人一個ずつさぁびすしてあげるよ」
「本当に? やったぁ!」
ガッツポーズをした朱莉は、それから蜜柑とハイタッチした。
上機嫌だなぁ……。
それから、早速二人が物色を始めたので、私たちも何か選ばせてもらうことにした。
「えっと……このお店の中にあるお菓子から一つ、好きなのを選べるんですか?」
不思議そうに聞いてくる芽衣に、私は頷いた。
と言っても、元々この世界に来てまだ日が浅いし、この世界のお菓子とかは食べたことがないんだよね。
それはライデンも同じことで、難しい数学の問題を見つめる朱莉にそっくりな表情で、棚に並ぶ菓子を見つめていた。
そういえば、芽衣も同じような感じの顔してる。
すごくお金持ちっぽいし、案外こういう場所には来ないのかな?
そう思いながら悩んでいると、すでに二人は選んだようで、蜜柑は小さな袋を。朱莉は青い瓶を持っていた。
「二人、もう選んだの? 何にしたの?」
「私はヤングドーナツ。四個だから、朱莉ちゃんと分けられるしね」
「え?」
「私はラムネ! これがまた美味しいんだぁ。蜜柑と半分こして飲むんだ」
「……」
この付き合いたてカップルのような何かはスルーした方が良いだろう。
私は首を振って先ほどの会話を忘れ、駄菓子に集中した。
その時、『きびだんご』と書いてある袋を見て、私の視線は固まった。
まだ、皐月がいた頃、よく彼女の祖母が団子を作ってくれていた。
その名前が、きびだんごだった気がする。
よく皐月の家に遊びに行った時に食べさせてもらって、私も皐月も大好きだったんだ。
きっと、皐月によく似た芽衣に会ったからだろうか。私は、すぐに、それにすることを決めた。
「「これ下さい」」
私と芽衣が同じものを指さしながらそう言ったのは、ほとんど同時だった。
「え……?」
「おやおや、二人は気が合うんだねぇ。遠慮なく貰っていきなさい」
おばあさんの言葉に、私は無言できびだんごと書かれた白いツルツルした袋を手に取った。
同じように隣できびだんごを手に取った芽衣は、不思議そうな表情で私を見つめていた。
「芽衣と千速、気が合うんだねぇ」
小さなドーナツを齧りながら、朱莉が言った。
それを、隣でラムネをチビチビ飲んでいた蜜柑も、同意するように頷いた。
私と芽衣は顔を見合わせて、ただキョトンとしていた。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.34 )
- 日時: 2017/05/01 18:56
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第5話「ミステリアス美少女!?芽衣現る!」4
あれから色々な店などを周り、気付いたら18時を回っていた。
「いやぁ、楽しかった!」
歩きながら言う朱莉の言葉に、蜜柑が「そうだね〜」と同意した。
どうでもいいけど、当たり前のように繋いでる手が気になって仕方がない。
「私も、とても楽しかったですわ。今日は本当に……ありがとうございました」
芽衣は、そう言うと礼儀正しく頭を下げた。
それに、私たちは手を振った。
「ばいばーい! また遊ぼうねー!」
子供のように元気に手を振る朱莉に、蜜柑は「ちょっと、恥ずかしいから……」と窘める。
芽衣はその様子を見てクスクスと笑い、軽く手を振った。
私もそれに、一度手を振って、歩き出した。
−−−
<芽衣視点>
「フフッ……本当に、面白い子達……」
私はそう呟くのと同時に、首から掛けた透明の器を握り締めた。
すると、石が淡く光りだし、その光が私の体を包む。
やがて、私が着ていたこの世界の服は溶けるように消え、代わりに私の髪と同じ色の着物が体を包む。
元の姿に戻った私は微笑み、空に手をかざした。
すると、腕に黒い影のようなものが纏わりつき始める。
「な、なんだ……!?」
何人かの通行人が私を見ている。
それに、私は上唇を少しだけ舐めて、近くにあったベンチにぶつけた。
すると、ベンチは巨大なオンネーンとなり、暴れだす。
私はそれを眺めながら、手に持った林の書をポンポンともう片方の手に当てて遊んだ。
不思議なことだが、この巻物は、突然私の目の前に現れ、そのまま手元に留まっている。
なぜか、この巻物は私の手元を離れず、どこかに置いて行こうとしてもすぐにこちらまで飛んでくる。
まぁ、着物の袖の中にコッソリ忍ばせておくこともできるし、あまり気にしていないけれど。
その時、プリキュアの三人がこちらに走ってくるのが見えた。
−−−
<千速視点>
ベンチの形をしたオンネーンが暴れている場所は、どう考えても、先ほど芽衣と分かれた場所だった。
皐月によく似た、芽衣。彼女が危険な目に遭っているかもしれないというだけで、私は血の気が引いて行くのを感じた。
「芽衣! どこ!?」
「ちょ、ちょっと千速……そんな取り乱さないで」
そう言って私の肩を叩く朱莉。
違う。取り乱してなんかない。私はただ、皐月と芽衣を重ねてるだけ。
もう二度と……彼女を失いたくない。
「全く、うるさい輩ですわね」
その時、どこかから声がした。
見ると、そこには、緑色の着物を着た少女が一人立っていた。
一瞬、皐月や芽衣に似ていると感じたが、鋭い目つきと纏っている禍々しいオーラで、咄嗟に、違うな、と感じた。
「貴方は!?」
すぐに朱莉がそう聞く。
すると、少女は妖艶な笑みを浮かべた。
「私に名乗るほどの名前は無いわ。ただ……冥姫、と、呼ばれてるわ」
「冥姫って……ライデンちゃんが言ってた……!?」
蜜柑の言葉に、私はすぐに身構えた。
確か、幽鬼軍の中で最も偉い人間であり、オンネーンを動かしている人間……。
一度朱莉の方を見てみると、彼女は頷き、アウラシュリフトロレを構えた。
私と蜜柑も同じように構える。
「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」
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