二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.50 )
- 日時: 2017/05/07 17:37
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「探せ、プリキュアの正体!?新聞部から逃げろ!」1
遠足を終えて、土日が明けた日、学校に行くと、やけに玄関の掲示板の辺りが賑わっていた。
「なんかすごいねー。何があったんだろー」
私が言うと、蜜柑は「さぁ?」と首を傾げた。
千速は特に興味がないらしく、さっさと教室に行こうとする。ので、慌てて止めた。
「な、何よ?」
「なんで人ごみができてるのか興味ないのー?」
「ない」
「えぇー」
私が不満を口にした時だった。
「みんなも見たい! 私も見たい! 忍ヶ丘中学新聞部部員、兼、写真部部長! 増子美沙! 続けて読めば〜、マスコミさ!」
そんな口上と共に登場したのは、クラスメイトの美沙だった。
ショートカットの髪に、丸くて大きなメガネが特徴的。
「美沙! おはよう」
「おはよう朱莉! あ、遠山さんと風間さんも、おはよう!」
「おはよう、増子さん」
「おはよう……」
「すごい人ごみだねぇ。何があったの?」
「フッフッフ……よくぞ聞いてくれました」
不敵に笑う美沙に、なぜか蜜柑が私の背中に隠れる。
怖がり過ぎ……。
「なんと! 最近噂の美少女戦士達の情報を集めてきたのです!」
「「「美少女戦士?」」」
私達三人の疑問が見事にハモる。
その反応に、美沙はさらに不敵に笑った。
「そう! 何度も化け物が来る度に助けてくれるあの女の子達!」
「それって、もしかしてプリキュアのことなんじゃ……」
恐る恐る蜜柑が呟くと、美沙の耳がピクリと動いた。
嫌な予感がするので咄嗟に蜜柑との間に入ろうとしたが、それより早く美沙は私を回り込んで蜜柑に迫る。
「ひ……!」
「プリキュアってどういうこと!? 何か彼女達について知っているの!?」
「ま、前に出かけていた時に、たまたま化け物に襲われちゃって、その時にプリキュアって名乗ってたんだよ!」
咄嗟に私が説明すると、美沙は「なんですと……!」と言って、膝をついた。
「この学校で最も早く情報を発信しなければいけない私より、詳しいなんて……」
「わ、私、その美少女戦士達の記事、見てみたいなぁ……」
蜜柑がかなり震えた声で言うと、美沙のメガネがキラリと光る。
そして、その言葉を待っていましたと言わんばかりに、どこからか新聞を取り出して広げる。
「「「……うわぁ……」」」
そこには、でかでかと『謎の美少女戦士現る!』というタイトルと共に、私達がオンネーンと戦っている写真が貼ってあった。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.51 )
- 日時: 2017/05/07 21:42
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「探せ、プリキュアの正体!?新聞部から逃げろ!」2
「ゲッ、似てると思ってたけど、やっぱりあの新聞の姉貴達かよ……」
昼休憩。紅助と真梨香ちゃんを屋上に連行し、早速新聞部に関して聞いてみる。
どうやら紅助は一年生の中では交友関係が広い方らしく、少しは情報を集められると思ったのだ。
「そう。まさか、遠足の時のを見られてたなんて……」
「でも、オンネーンを倒す辺りだけで良かったよね。ライデンちゃんの存在だとか、正体もほとんど見られていなかったみたいだし」
蜜柑の言葉に、私は「だけどさぁ……」と愚痴る。
そこで、私にとって一番重要なことを思い出す。
「大体、蜜柑さぁ、変身した時に本名で呼ばないでよ!」
「えっ……今関係なくない!?」
ショックを受けた表情を浮かべる蜜柑。
いや、ここはビシッと言っておかないといけない。
「あるよ! 折角変身したら別名があるっていうのに、変身前と同じ名前で呼ぶの……人に聴かれてたらアウトだよ?」
「でも、フレイムとかウィングとか言うの……恥ずかしいよ」
「正直、私もそれは克服してもらわないと困るわね」
「うぅぅ……」
俯く蜜柑は、かなり迷った様子。
変身した後で本名呼んだら何か罰ゲームとか考えた方が良いかな。
「それじゃあ、この件は置いといて……それを差し引いても……」
私は、広げてある新聞に視線を向けた。
そこには、次のような文章が書いてある。
『以前化け物が襲って来た時、美少女戦士達は屋上から下り、屋上に戻っていくのが確認された。それから何人かが観察していたところ、屋上から美少女戦士達が下りることは無かったらしい。つまり、彼女達はこの生徒である可能性が高い。』
「……あの増子美沙って子は、かなり頭が良いわね」
「私と仲が良い中では、蜜柑の次くらいに頭良い」
「……一番最近のテストの順位は?」
「蜜柑が三位で、美沙が十一位くらいだったかな」
「まぁ……」
絶句する千速に、私は顎に手を当てて考える。
この問題はどうすればいいのだろう……。
そう思っていた時、屋上の扉が開いた。
「あれ? 朱莉に、遠山さんに風間さんに……最近噂のイケメン一年生の火場君に、その火場君と最も親しい女子ということで有名な大宮さん?」
「何その説明……で、どうしたの、美沙」
私が聞くと、美沙は得意げにメガネをクイッと上げた。
「私の新聞を見てくれれば分かるでしょう? えっと、プリキュアだっけ? その子達はここの生徒で、屋上を活動場所にしている確率が高いのよ。だから、こうして来てみたの」
ば、バレてる!?
明らかに挙動不審になりそうになるが、なんとか耐える。
美沙は「そういえば……」と私達を見渡す。
「運動が得意でいつも元気な朱莉……秀才で優しく皆の癒しである遠山さん……クールでミステリアスな転校生風間さん……三人がプリキュアとして戦っていても、おかしくないわね」
その言葉に、私達は顔を見合わせる。
どうする!? なんとか、誤魔化さなければ……!
「そ、そんなわけないじゃん。元気な朱莉ちゃんならともかく、私なんて、あんな化け物と戦うこと……」
「キュアモンテ。特技は山を作って盾を作り、防御、または敵の動作の妨害などを行うこと。以前化け物が学校に攻めてきた時には、モンテが山を作って動きを止めている間にウィングがトドメを刺すという連携プレー」
淡々と語られた文章に、蜜柑の頬が引きつるのが分かった。
メモを閉じた美沙は「うーん」と唸る。
「確かに遠山さんは自分から攻撃とかはしなさそうだけど、誰かを守ったり、敵の動きを止めるなんて知略は得意そうだよねぇ」
「えっと……」
「わ、私は、朱莉達とはこうして一緒にいるけど……戦うことは嫌いだわ。そういう面倒ごとには巻き込まれたくないし」
千速がそう否定した瞬間、美沙のメモ帳が高速でパララララッと捲られる。
そして、とあるページで止まると、美沙はまた、淡々と読み上げ始める。
「キュアウィング。特技は足の速さで敵を翻弄すること。以前の件では化け物を相手に高速での走りを見せつけ翻弄し、トドメを刺していた。プリキュアの中ではリーダー的存在であると見受けられる」
「いや、リーダーはわt」
私が言おうとした瞬間、千速と蜜柑が口を塞いでくる。
美沙はそれを見つめると、またメモ帳をパララッと捲り、とあるページで止めて語り始める。
「キュアフレイム。特技は火を使っての攻撃。また、攻撃力は美少女戦士達……プリキュアの中でも随一で、行動力や実行力も優れている。少々知能が低い部分もあるが、精神面での支えである可能性が高い」
その言葉に、私の頬に冷や汗が伝う。
美沙のメガネが怪しく光り、私達一人一人を見渡していく。
「身近な存在だからあまり考えないようにしていたけれど……こうしてみると、三人がプリキュアの可能性が高いわね……?」
「そ、そんなわけないじゃん……偶然だって……」
私がそう否定しつつ時計を見ると、昼休憩が残り五分を切っていた。
「あ、あー! 早く戻らないと、次移動教室だよ!」
「えっ!?」
「ホラ、皆も早く早く! 戻るよー」
「ちょ、ちょっと……」
なんとか力推しで乗り切ったけれど……これからどうしたものか……。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.52 )
- 日時: 2017/05/08 19:25
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「探せ、プリキュアの正体!?新聞部から逃げろ!」3
……視線を感じる。
現在は五時間目の美術の真っ最中。
先生に決められたお題の絵を描いてるんだけど……。
「ねぇ、蜜柑。なんか視線感じない?」
隣の席に座っている蜜柑に聴くと、蜜柑も小声で「朱莉ちゃんも?」と聞いてくる。
ちなみに、美術での席は特に決まっていない。
四人ずつ座れる席なので、私と蜜柑と千速が座っている。ちなみに後ろの席だからか、なぜかもう一つの椅子は行方不明だ。
「千速はさ、視線……感じない?」
私が聞くと、慣れない手つきでシャーペンで線を描いていた千速が顔を上げた。
そして、首を傾げた。
「分からないわ。元々、常に誰かに見られている感覚あるし」
「あー……そっか、千速ちゃんまだ転校して一か月も経ってないし、美人だから目立つもんね……」
なるほど、と思いつつ、私は先生の隙を伺って辺りを軽く見渡してみる。
色々な机を見ていった結果……美沙と目が合った。
彼女は、私と目が合った瞬間わざとらしく顔を下げて、絵を描く作業を始めた。
……あぁ……。
「視線の正体分かった?」
「多分、美沙だと思う……まだ私達が怪しいと思ってるんだろうねぇ」
「あぁー……しかも合ってるっていうね……」
蜜柑の言葉に、私達は重々しく頷いた。
今はまだ観察してるだけっぽいけど、いずれ監視カメラとか盗聴器まで使いだしそうで怖い。
千速は状況の悪さを察していないのか、平然と絵を描き続けている。
……一瞬見えた下書きは忘れよう。
「でも、このままだと危ないわよ。彼女に正体を知られたりしたら……」
「だよねー……どうしよう」
私の呟きに、二人も「うーん」と唸った。
しかし、結局答えが出ることなく、放課後を迎えてしまった。
−−−
<美沙視点>
「美少女戦士……ねぇ」
今日できた新聞を見つめながら、新聞部部長の伊藤雄介は呟いた。
それに、私は「はいっ」と返事をする。
「学校を救ってくれたスーパーヒロイン! 噂では、この学校の生徒である可能性が高く、これからさらに調査して正体を……」
「……そいつ等はさ、隠しているんだろ? 正体」
部長の言葉に、私は言葉を詰まらせる。
彼は続ける。
「仮にお前がその調査を進めて正体を突き止めたとしたらさ、きっと、そいつ等は困ると思うんだよ」
「で、でも! あの新聞を見た人たちは、美少女戦士達の正体を知りたいと言っていて!」
「それで誰かを不快にさせることになるんじゃ意味が無いだろ。……誰かを楽しませてワクワクさせることも大事だけど、それで別の誰かを悲しませるようなものは、新聞として失格だ」
部長の言葉に、私は「はい……」と言った。
……私にとって、唯一の取り柄は、写真と文章だけだった。
私が撮った写真や、私が書いた作文は、毎回のように賞に選ばれた。
元々カメラを使うことは大好きで、文章を書くことも嫌いじゃなかった。
しかし、小説家やカメラマンなんかになっても、金なんて稼げないだろう。そう絶望していた。
そんな時に出会ったのが、この学校の新聞だった。
私のような素人が一生懸命作ったであろう新聞はとても輝いていて、こんな新聞を作りたい、と思ったのだ。
「でも……私には、無理なのかな」
そう思いながら近くの公園を歩いていた時、ここからは離れた位置にあるベンチに見覚えのある姿が見えた。
それは、私の中で美少女戦士、プリキュア(仮)の最有力候補である、火場朱莉、風間千速、遠山蜜柑だった。
フレンドリーな朱莉とは仲が良い方ではあるが、あとの二人とはあまり話さない。
特に、風間さんの方は、そもそも彼女達以外と話すのを見かけない。
……そういえば、彼女達は、なんで仲が良いんだろう?
それこそ、元気で明るい朱莉なら、風間さんにもアタックするだろう。
実際、彼女の友好関係はかなり広い。基本的に遠山さん以外には広く浅い関係を築き上げている。遠山さん相手には、同性愛者説を噂されるくらいの執着ぶりを見せているけど。
遠山さんの方は、引っ込み思案な性格なので友好関係は狭いが、友達が朱莉以外に全くいないわけではない。
彼女と同じように大人しい感じの子とは、たまに話しているのを見る。
最も、朱莉と話しているのを見ることがほとんどだけど……。
そんな二人に比べて、風間さんは基本誰とも話さない。
今思うと、朱莉は最初風間さんに話しかけていたが、見事に玉砕して遠山さんに愚痴を言っているのを見た覚えがある。
……なぜ今、彼女達があんな風に仲良くしているのか……。
「やっぱり、あの三人が……?」
「へぇ。良いものを持っているね」
その時、背後から声がした。
振り返ると、そこには金髪の男が立っていた。
「あ、貴方は!?」
「さぁ、誰でしょう?」
その言葉と同時に、男の腕に黒い何かが纏わりつくのを見た。
「邪悪なる魂よ! 我に仕えよ! いでよ、オンネーン!」
そう叫ぶのと同時に、その黒いものが私のカメラに付く。
直後、カメラが一気に膨張し、化け物になった。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.53 )
- 日時: 2017/05/08 21:42
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第8話「探せ、プリキュアの正体!?新聞部から逃げろ!」4
<朱莉視点>
「さて、流石にそろそろ解決策を出そう」
公園のベンチに座った私達は、早速会議を始める。
きっと、美沙の頭なら、私達は人気のない場所で話すだろうと推測しそう。
そこを逆手にとって、あえて! こうして人目につく場所で話すのだ。
「私、この近くに住んでるから分かるけど、増子さん、確かあの道使って学校に通っているわよ」
「嘘ぉ!」
千速が公園に面している道路を指さしながら言うので、私は慌てて立ちあがる。
その反応に、蜜柑は「知らなかったんだ……」と苦笑する。
いよいよ頭を抱えそうになった時、突然、道路に巨大な機械のようなオンネーンが現れた。
「お、オンネーン!?」
「朱莉!」
名前を呼ばれて視線を下げてみると、美沙がこちらに走ってくるのが分かった。
って、美沙!?
「なんでここに!?」
「私の帰り道だからよ! それより、あの化け物……」
チラッ、と、美沙は視線をオンネーンに向ける。
そこで、美沙が首からカメラを掛けていないことに気付いた。
「まさか、美沙のカメラが!?」
「あれには、大切なデータが入っているのに……」
そう言って俯く美沙に、私は、とにかく逃げようと手を引いて離れようとした。
しかし、すぐに美沙が腕を掴んでくる。
なんですとぉ!?
「変身できるんでしょ!? 今すぐ変身して、あの化け物を倒して!」
「できないから! まだそんな非現実的なことを言ってるの!?」
「……あ、そっか。正体隠してるんだよね。それなら、私は目瞑っておくね。さ、どうぞ勝手に変身して」
そう言ってこちらに背を向ける美沙。
ぐぅ……どうしても私達がプリキュアであることを確認したいらしい。
「……蜜柑、千速」
「な、何?」
「逃げるよ!」
「えっ!?」
慌てて振り返る美沙。
しかし、すぐに私は蜜柑と千速の腕を引いて、公園を飛び出す。
元々オンネーンの狙いは、私達のアウラシュリフトロレ。
オンネーンの視線がこちらに向くのを感じる。
さて……。
「なんで追ってくるのぉぉぉぉ!?」
背後には、当たり前のように走って追跡してくる美沙。
彼女……頭だけじゃなく、運動までできるのか!?
恐らく、新聞部で記事になることを集めまくった結果か……恐ろしい。
「どうしよう!」
「……しっかり腕を握っていて」
千速はそう小さく言うと、一気に速度を上げる。
私+蜜柑の体重を引っ張っているにも関わらず、その速度は普段走っている分とほとんど変わらない。
しかもそこから細い路地に入るからもう大変。
私はともかく、蜜柑はかなりフラフラの状態みたいで、ほとんど私が引っ張ってる状態だけど。
グネグネと入り組んだ道を走り回っていると、やがて、美沙が「どこぉ〜!?」と困惑した声をあげているのが聴こえた。
「今よ、朱莉!」
「えっ、うん。……蜜柑、行ける?」
私が一応声を掛けると、蜜柑はかなり掠れた声で「大丈夫……」と言った。
よし。行ける。
私達はアウラシュリフトロレを取り出して、叫ぶ。
「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.54 )
- 日時: 2017/05/09 16:13
- 名前: 愛 (ID: CzRhDmzb)
第8話「探せ、プリキュアの正体!?新聞部から逃げろ!」5
「侵掠するは、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ!」
「「「風林火山プリキュア!」」」
いつものカッコいいポーズを決めた私たちは、早速ジャンプして屋根の上にのぼる。
見ると、遠くで暴れているカメラ型のオンネーンが、暴れているのが見えた。
「アウラシュリフトロレを見失ったから、見境なしに暴れてる……のかな」
モンテの言葉に、私は「さぁ?」と言いつつ、軽く足に力を込める。
この間の遠足のこともある。
油断しないようにしなくては……。
「まずは様子見で……行くよ!」
「うん!」
「了解!」
私の言葉に、二人は頷く。
早速私は飛び出し、オンネーンに向かって蹴りを……と思ったところで、カメラのレンズ部分がこちらに向く。
瞬間、視界が真っ白になるような眩い光が放たれた。
「なぁ……!」
すると、目の前がチカチカして、私はそのまま屋根の上に背中を打ち付けた。
直後、誰かに腕を引かれる感触と、足場が震動するような感覚がした。
「朱莉ちゃん、大丈夫?」
「その声は……モンテ? どこ?」
「目見えなくなったの?」
「チカチカしちゃって……何があったのか説明してくれない?」
「えっとね、急に朱莉ちゃんが落ちちゃって、そしたらオンネーンが踏みつけようとしたから、千速ちゃんが朱莉ちゃんを引っ張って離れてきたの」
ダメだ。目の前が白黒にチカチカと光って、声以外で何も判別できない。
ていうかモンテ、本名で呼んじゃダメって言ったばかりじゃん。
後で説教だな。
「あと、さっきちょっとだけ攻撃したんだけど、感触的に普通のオンネーンだと思う。でも、あのフラッシュがあるから……」
「んん……あ、でも、少しは治ってきたかも。モンテ、手振ってみて」
「え、こう?」
視界の端で何かが動いているのが見えた。
よし。見える見える。
「でも危ないことには変わらないわ。ここは私とモンテで戦うから、フレイムは少し離れて……」
「あぁー! いつの間に変身したのぉー!?」
声が聴こえた方に視線を……向けようとしたが、目が相変わらずチカチカしてて見えない。
ぐぅ……まぁ、声の主はわかってるよ。
「美沙……」
「くっそぉ……正体を見せなさいよ!」
なぜか怒っている美沙。
そうこうしている時、体を突き飛ばされる感覚がした。
直後、何か硬いものを殴る音が聴こえたので、おそらくオンネーンが攻撃してきたのだろう。
「今は貴方の相手をしている場合じゃないの! 早く逃げなさい!」
「な……! そうやって誤魔化すんですかぁ!? 知ってるんですよ! 貴方達の正体!」
もう彼女の中では確定しているらしい。
しかも合ってるっていうね。
「えっと……ごめんモンテ。美沙の方に連れて行ってくれない?」
「えっ? うん……」
モンテに腕を引っ張ってもらって、なんとか美沙の目の前まで歩いていく。
そして、私は微笑んで見せた。
「私たちは、正義のために戦っているだけ。何か勘違いしているみたいだけど、私たちは学校には通ってないわよ。特別な組織に属しているの」
「え、でも……」
「貴方が勘違いしたのは、たぶん、貴方の学校の屋上で少し休んでいたからかしらね。私たち瞬間移動もできるから、あの後少し休んで組織に帰ったの」
適当に口からでまかせを言っておく。
私の言葉を信用したらしい彼女は、「そうですか……」と言った。
「で、でも!」
「噂で聞いたわ。貴方は同じ学校の人が変身していると思ってるみたいだけど、それは誤解。だから、これ以上誰かに迷惑かけないで。ね?」
私の言葉に、美沙は何も答えない。
そのとき、肩を叩かれる感触がした。
「それじゃあ、そろそろ目も回復したでしょう? 倒すわよ」
「いや、まだ……」
「はぁ……仕方ないわね。じゃあ見学してなさい」
「はーい」
それから数秒後に、オンネーンは浄化された……らしい。
私の視力が戻ったのは、変身を解いて家まで蜜柑達に送ってもらう道中だった。
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