二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.45 )
- 日時: 2017/05/06 13:13
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第7話「ワクワク遠足!プリキュア、新たなる力!」2
<冥姫視点>
遠足……ねぇ。
林の書を弄びながら、私は嘆息する。
「あれ? どうしたの、ため息なんてついちゃって。恋煩い?」
ふざけた様子で聞いてくるオルコに、私は軽く舌打ちをした。
にしても……あの子達、すごく楽しんでいたわね。
「ねぇ、楽しい状況を邪魔されたら、誰だって嫌な思い、するわよね?」
「……全く、本当に嫌な性格してやがる」
「それでこそ、俺達の頭領でしょ」
呆れた様子で言うオウガに、オルコも笑いながら言った。
私はそのやりとりを無視しながら立ち上がり、歩いて行く。
その時、オグルが私の進路を足で阻む。
「……なに?」
「一応、聞いておきたい。お前は、何だ?」
オグルの問いに、私は首を傾げる。
「何、って……私は冥姫。この幽鬼軍を率いるリーダーですわよ?」
「……」
自分から聞いたくせに、オグルは私の言葉を無視して無言で足をどけた。
私はそれに少し不思議に思いつつ、歩を進める。
首に掛けたネックレスの中で、石が、カランッと音を立てた。
−−−
<千速視点>
「それじゃあ、今から自由時間です」
学年主任の言葉に、すぐに生徒達が自由行動を開始する。
元々朱莉達意外と接点が無い私は、すぐに二人の元に近づいた。
「朱莉、蜜柑。一緒にお昼ご飯食べましょ」
「あー……それなんだけど……」
苦い顔をする朱莉に、私は首を傾げつつ、彼女の隣の蜜柑に視線を向けた。
……生きてる?
座ったまま俯く蜜柑の顔色は最悪で、正直かなり心配だった。
しかし、朱莉が「蜜柑行くよ〜」と声を掛けると、フラフラと立ち上がった。
……ゾンビみたい。
「すごいわね。体力の消耗的な意味で」
「元々蜜柑は運動とか苦手だから……」
「確か片道6kmだったかしら。帰り道は多少短くなると思うけど」
「うぅぅ……疲れたよぉ……」
本当に疲れた様子で愚痴りながら、蜜柑は朱莉に縋りつく。
普段は蜜柑が朱莉を窘めている部分が目立つ分、こういう一面があるのはちょっと意外。
そんなことを考えていると、朱莉が蜜柑の肩を貸して歩き始めたので、私もそれに追いつく。
「それで、どこに座る?」
「そうだなぁ。できれば、あまり離れてない場所が良いんだけど……」
「あ、私のことは気にしなくても……」
そこまで言って顔を上げた時、蜜柑は言葉を止めた。
私たちも顔を上げると、そこには、見覚えのある少女が日傘をさして立っていた。
「芽衣〜!」
朱莉がそう叫ぶと、芽衣は振り返った。
そして、明るい笑顔を浮かべ、手を振ってくれた。
すぐに朱莉が蜜柑の手を引いて走り始める……って鬼畜か!?
私も二人に追いつき、芽衣の元まで駆けた。
「また会いましたね!」
「うん! 芽衣は、なんでここまで?」
「ちょうど、今日は近くで習い事がありまして……この公園は広いので、つい」
そう言って、ペロッと舌を出して見せる。
あ、男子が顔を赤らめて見てる。
まぁ、芽衣って絶世の美少女って感じだからねぇ……って、こういうことは幼馴染にそっくりな相手に使う言葉じゃないかな。
でも、皐月もすごく美人だった。よく村の男の子達からも告白されたりしていたし。
「あ、じゃあさ、一緒にご飯食べない? 私、大きめのシート持って来てるから、多分芽衣も座れるよ」
「えっ、でも、迷惑になりません?」
「私達は平気だよ! ね? 蜜柑。千速」
朱莉がそう言って、こちらに顔を向ける。
それに、蜜柑は「全然気にしないよ」と言って微笑んだ。
顔色最悪すぎるけど、大丈夫?
芽衣も若干引いた様子で見てるわよ?
「千速は?」
「私も平気。友達が多いほど、一緒に食べたご飯は美味しくなるって言うじゃない?」
私の言葉に、芽衣は少し驚いた表情を浮かべた後で、「ありがとう」と言って、優しく微笑んだ。
その動作に合わせて、ネックレスが揺れて、中に入っている石がカランッと音を立てる。
そこで、朱莉は「あっ!」と声をあげた。
「そういえば、そのネックレス、大切なものなんでしょう? ここ人多いし、落としたりしたら大変だよ。しまったら?」
「え……」
「そうだね。ここ、池とかもあるし、そこに落としたら大変だもの」
「紐が切れない限り、そんなことはないと思うんだけど……」
私がため息混じりに言いつつ視線を向けてみると、明らかに芽衣の顔色が悪かった。
真っ青な顔でネックレスを握り締め、カタカタと震えている。
「め、芽衣……?」
「これは……大切な、ものなんです……肌身離さず持っていないと、不安で……」
「んー……そんなに大切なら、仮に無くしてもすぐに気付きそうだし、大丈夫そうかな?」
朱莉の言葉に、蜜柑も少し首を傾げつつ、「そうだねぇ」と言った。
二人の反応に、芽衣はホッとした表情を浮かべる。
「それじゃあ、早く座る場所見つけよっか。もうお腹ペコペコだよぉ」
朱莉の言葉に私たちも頷き、歩き出す。
なぜか隣を歩いている芽衣に、私はソッと話しかけた。
「本当に大事なものなのね。そのネックレス」
「え? ……はい。大切な人から貰ったものなんです」
そう言って、芽衣は嬉しそうに微笑んだ。
その表情は、やっぱり皐月にそっくりで……。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.46 )
- 日時: 2017/05/09 20:53
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第7話「ワクワク遠足!プリキュア、新たなる力!」3
「うわぁ! 美味しそう!」
弁当を開いた朱莉は、目を輝かせながらそう言った。
中身は、彼女の好きなウインナーや、ミートボール、から揚げなどが入っている。
「朱莉ちゃんの大好物ばかり……良かったね」
蜜柑は、そう言って微笑んだ。
ちなみに彼女の弁当はサンドイッチだ。
とても綺麗なサンドイッチが並んでいる。
「そういえば、蜜柑の家って弁当は自分で作ってるんだよね?」
「え、そうなの?」
「うん。私の家、両親が共働きで家事をする暇がないの。お姉ちゃんはいるけど、独立してるし。だから、せめて料理くらいは、私が」
そう言ってはにかむ蜜柑。
健気な良い子を具現化したようなものじゃないかと少し思った。
「そうなんですか……大変なんですね」
「そんなことないよ〜」
そう言って断る蜜柑を見ながら、私は弁当を開けた。
私の家は、主に和子さんが作ってくれている。
と言っても、作ってくれるお弁当は和食中心というわけでもなく、ごく普通の弁当だ。
「そういえば、芽衣はお昼ご飯、持ってきてないよね? こんな目の前でご飯食べられたら、お腹空くんじゃない?」
「そんなことは……」
否定しようとした芽衣の口に、朱莉は箸で摘まんだミートボールをヒョイッと入れた。
モグモグと租借した芽衣は、「まぁっ」と驚いた声をあげた。
「すごく美味しい!」
「でしょ!?」
「じゃあ、私はサンドイッチ、一個あげる」
そう言って、蜜柑はサンドイッチが入った箱を差し出す。
「それじゃあ……」と一つ受け取って口に含んだ芽衣は、また驚いたように目を輝かせた。
「こんなに美味しいもの……今まで食べたことないわ」
「大袈裟だなぁ」
笑いながら言う朱莉に、芽衣の表情が変わる。
今までの笑顔とは何かが違う感じ……こっちの方が、優しくて、透き通ってるというか……。
「……すごく綺麗」
「えっ?」
つい口を滑って出た言葉に、芽衣は首を傾げた。
「いや、綺麗だなって。芽衣、すごく美人だし」
「そ、そうかしら……?」
「芽衣ちゃん、お人形さんみたいだもんね。可愛い」
蜜柑まで便乗するため、芽衣は顔を真っ赤にした。
ちなみに朱莉は無心で弁当を食べている。
花より団子って、このことを言うのかしら。
そんな風に考えていた時、芽衣は急に立ち上がった。
「どうしたの?」
「……ちょっと、お手洗いに。ごめんなさい。誘ってもらったのに、突然」
「いいおいいお(いいよいいよ)。きひへういっへひはお(気にせず行ってきなよ)」
「そうだよ。遠慮なくてしなくて大丈夫だよ」
物を食べながら話した朱莉の謎言語を理解する蜜柑。
私はそれに苦笑しながらも、芽衣に視線を向けた。
「行ってらっしゃい。迷わないようにね」
「……はい」
芽衣は微笑んで、歩いて行った。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.47 )
- 日時: 2017/05/06 21:49
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第7話「ワクワク遠足!プリキュア、新たなる力!」4
<冥姫視点>
公園のトイレがあるさらに奥。人気のない場所に行く。
そこには、見覚えのある顔があった。
「あら? こんな所で、何をしているの?」
「……それはこっちのセリフだ」
私の言葉に、オグルは眼鏡の奥にある眼球で、私を睨んだ。
ちなみに、彼も私のようにこの世界の人間に変身できることができ、普段はコートのようなものを着用しているが、今はカジュアルな感じの服装だ。
「見たぞ。先ほど、プリキュアと親しくしていたな」
「えぇ、そうね。あくまで、彼女達からアウラシュリフトロレとライデンを奪い返すための作戦よ」
「そうは思えないくらいに、楽しそうな笑顔だったよ〜?」
木の上からそう言ってきたのは、オルコだ。
彼はシュタッと着地すると、笑顔を浮かべた。
「あんな可愛い冥姫見たの、初めて!」
「……うるさいわね」
「もし、俺達を裏切るようなことがあったらどうなるか……」
「分かっているわよ。まさか、そんなくだらないことで心配して、勢揃いしたの?」
オウガの言葉にそう返すと、オルコは「まっさか〜」と言ってケラケラと笑った。
「最近プリキュアも戦い慣れしてるっていうか、大分オンネーンを倒すことが作業化してるでしょう? そんな彼女達が苦戦するところが見られるかもしれないってなったら、来ないわけにはいかないよ」
「……そう」
私は冷たく返して、手にオンネーンの魂を纏わせた。
そして少し視線を彷徨わせたとき、遠くに、一人で昼食を食べている生徒を見つけた。
———アイツ等のせいで、こうして一人でいないといけないなんて……俺が何をしたっていうんだよ……———
心の中で愚痴を言っているのが聴こえる。
私はそれに微笑んで、オンネーンの魂を投げつけた。
「な、なんだこれ!?」
「邪悪なる魂よ、我に仕えよ。いでよ、オンネーン!」
私が叫ぶと同時に、黒い何かが少年の体を包み込んだ。
やがて、それは巨大な化け物になった。
化け物を包み込む禍々しいオーラに、オルコは「ひゅー」と口笛を吹いた。
「……人の恨みを膨大化させてオンネーンにする、か。どうなるか楽しみだな」
オグルの言葉に私は微笑み返して、オンネーンを暴れさせた。
−−−
<朱莉視点>
「うわぁ! 化け物だぁ!」
突然聴こえた叫びに、私は食べていたオカズを喉に詰まらせそうになった。
胸をドンドンと叩いていると、蜜柑がお茶をくれたので、それを飲んでなんとか飲み込む。
「化け物って……オンネーン!?」
「分からない。でも、行くしかないよ」
蜜柑がそう言い切る頃には、すでに千速が走り出していた。
先生達が避難誘導をしている中、私たちは人ごみに逆らって走る。
そして、私達が向かっている場所がトイレのある方向であることに気付いた。
「芽衣ッ!」
咄嗟に、そう叫んだ。
しかし、返事は無い。
蜜柑も私の言葉で気付いたらしく、青ざめた表情で辺りを見渡し始める。
恐らく、千速がすぐに走り出したのは、このことに気付いたからだろう。
「あら。風林火山プリキュアの皆さんではないですか」
その言葉に、私たちは足を止めて顔を上げた。
見ると、そこには冥姫が立っていた。
「冥姫!」
「アンタ……まだ懲りていなかったのね」
「フフッ、今回は一味違うわよ。さぁ、変身なさい」
ダメだ。前回の千速とのやり取りがあったせいで負け犬の遠吠えにしか聴こえない。
困惑した私の肩を千速が叩き、「ホラ、さっさと変身するわよ」と言う。
私達は慌ててアウラシュリフトロレを構え、掛け声を発した。
「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.48 )
- 日時: 2017/05/07 10:07
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第7話「ワクワク遠足!プリキュア、新たなる力!」5
「侵掠するは……」
「遅いッ!」
突然黒い光線のようなものが放たれ、私達は地面を転がる。
どうやら途中で妨害が入ると、セリフのオート機能は解除されるらしい。
「ちょっとぉ! こういうのは最後まで待つのが常識でしょ!?」
「知りませんわ。そんなの」
「朱莉ちゃん……むしろこうなるのが普通だと思うよ」
蜜柑の言葉に、私は「むぅ……」と頬を膨らませた。
しかし、気を取り直して、立ち上がる。
「それじゃあ、モンテとウィングはそれぞれ両側から、私は前から、攻撃!」
「分かった」
「了解」
私の言葉に二人は頷き、大きく迂回してオンネーンの元に駆けていく。
一度深呼吸をして、私は足に力を込める。
そして、一気に走り出した。
「はぁぁぁぁぁぁッ!」
私から見て、右からモンテのエルボーが、左からウィングのパンチが、そしてオンネーンの正面から私の蹴りが、それぞれオンネーンの体に入る。
それでかなりのダメージになる……ハズだった。
「な……!?」
固い! まるで岩を殴ったような固さに、私たちは驚きを隠せない。
見た目は、明らかに狼だ。動物だ。しかし、この手触りは動物のそれじゃない。
それはモンテやウィングも同じだったようで、驚いた表情を浮かべていた。
「グルァッ!」
そして、オンネーンは体を捻るようにして、私達を振り払った。
咄嗟に足から着地するが、勢いが強すぎてズザザザザッ! と音を立ててかなりの距離を滑る。
地面には土が抉れた跡がクッキリと残されていた。
「オンネーン! やってしまいなさい!」
冥姫の命令に、オンネーンが追撃を与えるべく、こちら側に駆けてくる。
狙っているのは……一番オンネーンに近い、モンテ!
「モンテ! ……ウィング!」
「分かっているわよ!」
ウィングに合図を送るのは良いものの、こちらからでは僅かに間に合わない。
しかし、すぐに体勢を持ち直したモンテが、叫んだ。
「不動の山よ! 我に集い、力と成れ!」
その言葉と同時に地面に手をつくと、山が出来上がる。
これでしばらくは持つハズだと思っていた瞬間、その山が一瞬で破壊され、オンネーンがモンテに突っ込んでいく。
「な……!?」
混乱している場合じゃない。
吹き飛ばされたモンテをすぐさま受け止める。
しかし、勢いがあまりにも強くて、私の体も吹き飛ばされて、背後にあった木に背中を打ち付けた。
「カハッ!」
「あ、朱莉ちゃん」
心配そうに顔を覗き込んでくるモンテに、私は「大丈夫!」と言って、笑って見せる。
そして、彼女をどかして一気にウィングの元まで駆ける。
「タイミング合わせるよ!」
「ОK!」
「侵掠の火よ!」
「疾き風よ!」
「「我に集い、力と成れ!」」
合体技なんて初めてやるのに、不思議とタイミングが一致した。
そして、二人同時に技を放つと、ウィングが作り出した竜巻に火が絡みついて、炎の竜巻が吹き荒れる。
それはオンネーンの体を包み込み、そして……消えていった。
「そんな……!」
「この程度の火、蚊取り線香と大差ありませんわね。オンネーン!」
「ガァァッ!」
獣のような雄たけびをあげて、私とウィングは同時に吹き飛ばされる。
地面を転がって、モンテがいる場所まで来てしまう。
「あ、朱莉ちゃん! 千速ちゃん!」
心配してくるモンテに、私はもう一度、大丈夫、と言おうとした。
その時、地響きをたてながら、オンネーンが近づいてくるのが分かった。
「フフッ、勝負あったようね。これで終わりよ」
冥姫は、そう言って笑った。
その時だった。
「千速! 朱莉! 蜜柑!」
駆け寄ってくる人影に、私達は同時に顔を上げた。
それは、ライデンだった。
「ライデン!?」
「ほう……?」
冥姫が、吟味するようにライデンを見つめている。
人間の姿になったライデンは、私達の近くですぐにしゃがむ。
「なんでここに?」
「一応、普段から連れて歩いているわ。学校では基本的に大人しくするようにしているし、昼間は寝ているから……説明する必要も無いかと」
「邪悪な気配がしたから来てみれば……なんてことだよ」
悔しそうに呟くライデンに、ウィングは「ライデンは悪くないよ」と言った。
そして、真っ直ぐオンネーンを見上げた。
「……オイラがオンネーンの相手をする。その間に、三人は逃げろ」
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.49 )
- 日時: 2017/05/07 13:45
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第7話「ワクワク遠足!プリキュア、新たなる力!」6
「……オイラがオンネーンの相手をする。その間に、三人は逃げろ」
突然放たれた言葉に、私達は目を見開く。
「な、何を言ってるの!?」
「三人は、風の書、火の書、山の書を所持しているんだぞ! ここで負けて奪われたりしたら……」
「でも、ライデンちゃんじゃ敵わないよ……」
泣き出しそうな顔でモンテが言うと、ライデンはニッと微笑んだ。
「安心しろ。オイラがいなくても、三人なら、きっとオイラの村を取り戻して……」
「馬鹿ぁ!」
私は叫び、ライデンの顔を叩いた。
パァンッ! と良い音が鳴り、ライデンはしばらく呆ける。
私は続ける。
「正直言って良い!? 私は! 別に、アンタ等の村を取り戻すとか、それが目的で戦ってるわけじゃないから!」
「なっ……」
「友達の! 千速と! ライデンの! 願いを叶えるために! 戦ってるの!」
「そうだよ。ライデンちゃんがいなくなったら……悲しいよ」
モンテの言葉に、ライデンは呆然としている。
私は立ち上がり、オンネーンに顔を向けた。
「私達は……みんなで楽しく、遠足をするんだ」
「そうだね。それで帰ったら、余ったお菓子を食べ合って、楽しかったねって笑い合うの」
同調するモンテの言葉に、私は頷いた。
そして、私達は手を繋ぐ。
「今までは蜜柑と二人でやっていたけど、今年は、千速も、ライデンも……芽衣も、もしかしたら一緒かもね」
私は言いながら、千速に手を向ける。
千速は少し迷った後で、その手を握る。
「そうね。それで、きっとまた私には分からないような行事があって、困って」
「駄菓子屋に行って、皆でお菓子を買って」
「楽しい毎日を……送る」
私の言葉に、二人も頷いた。
そして私達は振り返って、ライデンに顔を向ける。
「その時は、ライデンも、もちろん一緒に」
「皆……」
ライデンは驚いたような表情を浮かべた。
しかしすぐに立ち上がる。
「オイラも……まだまだ、千速達といたい!」
その叫びと共に、私達の体に雷が落下した。
最初は感電死でもするかと思ったが、不思議と痛みはない。
むしろ……力が溢れ出てくる!
「これって……」
見ると、金色に輝く機械のようなものが、右腕についていた。
それはモンテとウィングも同じで、私達はしばらく呆然とする。
やがて雷が止むと、金色の光も止み、それぞれのイメージカラーになる。
私は、赤。ウィングは、青。モンテは、黄。
「えっと……」
「長い茶番ね。遺言は済んだ?」
冥姫の言葉に、私達は顔を上げる。
確かに、あのオンネーンはなぜか強くて、今の私達じゃ歯が立たない。でも……。
「なんか今なら、勝てる気がする!」
「その根拠のない自信……朱莉ちゃんらしいや」
「えぇ。でも、頼もしい」
それと同時に、オンネーンが踏み潰すような素振りをしてくる。
私達は咄嗟に躱した……けど……。
「ねぇ、なんか能力上がってない?」
現在、私達は軽く10メートルくらい飛んでいる。
大分プリキュアになった時の超パワーにも慣れたつもりだったんだけど、普段よりも能力値が格段に上がっている。
「よぉし! これなら!」
私はすぐさま着地し、一気にオンネーンに駆け寄る。
そして拳を構えて殴ると、手首までそれはめり込んで、オンネーンは錐揉みしながら吹き飛んだ。
そこに、まるで瞬間移動のような速さで追いついたウィングが、一気にオンネーンの体を蹴り上げた。
宙に浮くオンネーン所までジャンプしたモンテが、両手の指を組んだもので、一気に地面に撃ち落とす。
「ば、馬鹿な……!」
「なんか今ならさ、合体技とかできそうじゃない!?」
「いや、流石にそういうのは……」
「……できるみたいだけど」
「嘘……」
ウィングの言う通り、私の発言の直後、脳裏に合体技の掛け声のようなものが浮かんだ。
モンテはその様にため息をつく。
「じゃあ……やろっか」
「よぉし!」
私達は円を作るようにして内側を向いて、腕を突き出す。
そして、掛け声を早速口にする。
「侵掠の火よ!」
「疾き風よ!」
「不動の山よ!」
「「「今、三つの力よ! 我らに集い、怨念を打ち払え!」」」
その言葉と同時に、私達の腕輪に雷が落下し、腕輪は再び金色に染まる。
私達は輪を一度展開し、真っ直ぐオンネーンの方を見る。
そして、腕をゆっくりと後ろに引く。
「「「プリキュア! ドライサンダー!」」」
その叫びと同時に、同時に腕を突き出す。
すると、腕から極太光線のような雷が出て、オンネーンにぶつかっていった。
やがて、オンネーンが浄化して、消えていった。
「クッ……次こそは……!」
冥姫はそう言って消えていった。
よく分からない力で地面に出来た穴とかが消えていくのを見つめながら、私達は同時にへたり込んだ。
「疲れたぁ……」
「本当……でも」
「……倒した、わね」
ウィングの言葉に、私達は顔を見合わせて、笑った。
−−−
「負けたみたいだね」
面白がるような口ぶりで聞いてくるオルコに、冥姫は舌打ちをした。
「今回はまぐれですわ。次こそは……」
そう言った時、一瞬、脳裏を何かが過った。
『ははっ、また私の勝ち! ……は、足遅いなぁ』
『今回はまぐれですわ! 次こそは……』
……?
一瞬頭を過った何かに、冥姫は首を傾げた。
しかし、すぐに頭を振って忘れた。
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