二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.246 )
- 日時: 2017/07/18 19:07
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「千速と皐月の友達紹介!四年間での成長?」4
<千速視点>
「それじゃあ今日の練習は終わり!」
「「「ありがとうございました〜」」」
部活終了の挨拶を行い、私達は片付けを始める。
ハードルを持ち上げようとした時、ガシッと腕を掴まれた。
顔を上げると、私の顔を真剣な表情で見つめる皐月の姿があった。
「えっと、皐月……?」
突然の出来事に驚いていた時、すぐに皐月は私の腕を強引に引っ張り、ズンズンと歩き出す。
これまた予想外すぎる出来事の連続に、私はしばらく困惑する。
「さ、皐月!? あの、荷物が……!」
「千速の荷物は持っています」
「え、でも部室に鍵が」
「蜜柑に生徒会副会長の特権で持って来てもらいました」
「はぁ!?」
私は驚き、咄嗟に蜜柑の方に視線を向けた。
彼女は朱莉と一緒に立ち幅跳びに使った砂場の整備を行っている。
やがて、私の方を見ると、笑顔で手を振って来た。
蜜柑〜!
「あれ、千速もう帰るの?」
「うん。なんか、皐月ちゃんを怒らせることしたんだって」
「うわぁ……」
蜜柑、朱莉に何嘘ついてるの!? いや、本当なのか?
混乱している間にそのまま皐月に連行され、気付いたら風間家の皐月の部屋で正座させられていた。
「あの、皐月……私部活で疲れて……」
「千速」
私の言葉を遮るように、皐月が口を挟む。
ていうか、少し前にも皐月に正座させられた記憶が……。
そう思っていた時、目の前に友達紹介のプリントを差し出された。
「……?」
「……四年間もの月日は、短いようで、それはそれは長いものでした」
「はぁ……?」
突然の一人語りに、私はつい聞き返す。
すると、皐月はムッとして、友達紹介のプリントを指でトントンと叩く。
……?
「……私は、他の誰よりも、千速のことを理解しているつもりでした。……そう、自惚れていました」
「いや、自惚れでは……」
「いいえ、自惚れです。……私は、千速が好きなことすら、分かりませんでしたから……」
「でも、芽衣だった時に、好きなことをすればいい、って……あれは、私が走ることを好きだってことを知っていたから言ってたんじゃ!?」
「それはあくまで過去の千速の記憶から適当に言っただけです! それに、あの時の私は、私であって、私ではありませんでした……」
皐月はそこまで言うと目を伏せ、やがて、顔を上げ、私の手を握った。
「芽衣として見た時の千速ではなく、皐月として、千速のことを知りたいんです。千速好きなもの、嫌いなもの。全部全部、知りたいんですよ」
「皐月……」
私はもう片方の手を皐月の手に添えて、頷いた。
「私も、皐月のこともっと知りたい。今の皐月を」
「千速……」
私達はしばらくお互いの目を見つめ合った後で、やがて、笑いがこらえきれず、同時に吹き出した。
「あははッ! 何これ! まるで恋人同士みたいじゃん!」
「フフッそうですねっ。でも、恋人と同じくらい、親しくはなりたいですが」
皐月はそう言って微笑む。
私はそれに小さく頷き、鞄から友達紹介のプリントを取り出した。
「じゃあ、色々教えてよ。皐月のこと。私も教えるからさ」
「えぇ。望むところですよ」
悪戯っぽく笑いながら言う皐月に私も頷き、お互いの友達紹介プリントを自分のことで埋めていった。
それから、お互いの空欄が全て埋まったのは、日付が変わった頃だった。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.247 )
- 日時: 2017/07/18 21:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「千速と皐月の友達紹介!四年間での成長?」5
<皐月視点>
翌日。学校に行く道の途中で、私達は朱莉と蜜柑に合流した。
「おはよー! 千速、皐月!」
「おはよう……今日も元気そうね」
瞼を擦りながら言う千速に、朱莉は首を傾げた。
「どしたの? 眠そうだね」
「別に。ちょっと夜更かししただけよ」
「ふーん……」
興味なさげに言う朱莉に、苦笑しつつ、蜜柑は後ろ歩きで、私の隣まで来た。
そして、ニコッと笑った。
「おはよう、皐月ちゃん。どう? 友達紹介の方は」
「バッチリ、です。蜜柑こそ、朱莉の紹介は?」
「私は元から朱莉ちゃんのことはよく知ってるから大丈夫〜」
ムーと頬を膨らませながら言う蜜柑に、私は「はいはい」と受け流す。
その時、目の前を黒い影が通り過ぎた。
「っと……」
私は咄嗟に蜜柑の腕を引き、後ずさる。
それとほとんど同時に、バシィンッ! という音と共に、怨気が塀にへばりついた。
やがて、それは膨張し、巨大な壁のオンネーンとなる。
「うっわ、でかっ……」
そう呟く朱莉の腕を引き、私は千速に視線を向ける。
千速はそれに小さく頷き、私達の方に小走りで駆け寄って来る。
「まぁ、パパッと済ませて、学校行くよ……皆!」
「「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」」
「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ」
「徐かなること、林の如し! キュアフォレスト!」
「風!」
「林!」
「火!」
「山!」
「「「「プリキュア!」」」」
変身を終えた私達は、すぐにオンネーンに向かって駆けだす。
すると、オンネーンの体から石レンガがいくつも飛んできて、私達を攻撃する。
「レジェンドクロックッ! 不動の豪山よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! モンテスクード!」
その時、蜜柑がレジェンドクロックを構えてそう叫んだ。
すると、彼女が作り出した盾から、不思議な透明のバリアが張られ、飛んできた石のレンガ全てを止める。
目の前で破裂する石のレンガを見ながら、私は手を構える。
「徐かなる林よ! 動く雷霆よ! 今、二つの力よ! 我に集い、力と成れ! フォレストロッド!」
「二つの力よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! デュアルバーストッ!」
緑色と黄色の光が絡まり合い、オンネーンにぶつかる。
しかし、効果はいま一つで、少し揺らがせる程度でしかない。
「クッ……やはり一筋縄ではいきませんか……」
「ていうか、明らかに防御力高そう……でも、早く片付けないと学校が……」
困った顔で言う朱莉に、私は顎に手を当てて考える。
そこで、とあることに思いつき、蜜柑に顔を向ける。
「蜜柑、モンテスクードはどれくらい持ちますか?」
「えっ!? えっと、まだ結構余裕あるよ!」
「では、限界が来るより少し前まで持ちこたえてください!」
「う、うん!」
蜜柑は大きく頷き、レジェンドクロックに力を込める。
その様子を見ていた朱莉は、私に目を向けてくる。
「フォレスト……何をするつもり……?」
「大丈夫です。私を信じてください」
「……モンテを傷つけたら許さないから」
ムッとした表情で言う朱莉。
それだけ、幼馴染を大事に思っているということだろう。
無論、私だって同じだ。
「えぇ。ご安心を。……千速。私が合図をしたら、蜜柑からレジェンドクロックを受け取って、ウィングストームを!」
「えっ……わ、分かった!」
千速がそう頷くのを見ていた時、ピシッとモンテスクードから生まれたバリアにヒビが入る。
「ぐぅッ……もう限界!」
「千速!」
私がそう叫ぶと、千速は頷き、蜜柑からレジェンドクロックをひったくり、構える。
「疾き風よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! ウィングストーム!」
そう叫ぶと同時に、風の巨大な玉が飛び、オンネーンにぶつかる。
すると、オンネーンの体は揺らぎ、後ろに大きな音を立てながら倒れる。
「壁なら、風の力で倒れやすいと思いまして。石レンガは奴の体から出ているようなので、減らせば崩れやすくなると思ったのですが……流石に崩れませんか」
「ていうか、穴空きすぎてたら風が隙間通って逃げちゃう可能性あったよね」
倒れたオンネーンの体を見つめながら、蜜柑はそう言う。
あー。でも言われてみれば確かに……。
「思いつきませんでした」
「フォレストって、そういうところ緩いよね〜」
朱莉が苦笑しながら言うので、私は「なんででしょうねぇ」と笑っておく。
そして、レジェンドクロックを構えた。
「それじゃあ、一気に決めますよ!」
「って、私がリーダー!」
謎の訴えをする朱莉を無視して、私達はレジェンドクロックを構えた。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.248 )
- 日時: 2017/07/18 21:53
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「千速と皐月の友達紹介!四年間での成長?」6
「「「「今、大いなる伝説よ! 我等に力を貸し給え! レジェンドクロック!」」」」
そう叫んだ瞬間、レジェンドクロックから光が飛んできて、三人の手首と私のサンダーブレスに絡まる。
やがて、それより派手な腕輪に変わるのを見ながら、私たちは次の言葉を叫んでいく。
「侵掠の業火よ!」
「疾き烈風よ!」
「不動の豪山よ!」
「徐かなる森林よ!」
「「「「今、四つの力よ! 我等に集い、力と成れ!」」」」
すると、巨大な手裏剣が出てきて、私達はそれに乗って飛んでいく。
やがて、オンネーンの頭上に行くと、私達は叫んだ。
「「「「プリキュア! オールターンオフイリュージョン!」」」」
そう叫んでから手裏剣から離れると、それはゆっくりと落下していく。
私達はそれに背を向けて着地し、胸の前で指を組む。
「「「「忍ッ!」」」」
そう叫び、爆発音を聴きながら、私達は変身を解く。
すぐに鞄を抱え直し、私達は顔を見合わせた。
「それじゃあ……行こうか。学校に」
朱莉に言葉に私達は頷き合い、そのままアスファルトを蹴るようにして駆けだす。
ちなみに、遅刻はしなかった。
「それじゃあ、友達紹介のやつを提出するように!」
江沢先生の言葉に、私達は各々で友達紹介の紙を提出していく。
「千速。私達も行きましょう?」
私がそう促すと、千速は頷き、立ち上がる。
それから二人で提出して机の方に向かっていると、蜜柑が顔を赤くして朱莉を問い詰めていた。
「二人とも、何を話しているのですか?」
「あ、朱莉ちゃんが、私が書いた友達紹介のプリントの好きな食べ物のところに『蜜柑』って!」
「だって本当に好きだし〜? 果物のミカン」
「朱莉ちゃんが好きな食べ物ウインナーじゃん!」
「朱莉、蜜柑。さっさと提出しろ〜」
先生の言葉に、蜜柑は頬を膨らませて朱莉を見た。
朱莉はそれにニヤニヤと笑いながら、蜜柑の背中を叩いて一緒に提出に行く。
その様子を見ながら、私と千速は同時にため息をついた。
「あの二人はホント……」
「相変わらず、ですね……」
「それじゃあ席ついて〜」
先生の言葉に、私は着席した。
全員が席についたのを確認して、江沢先生は友達紹介のプリントを一枚ずつ見ていく。
一枚一枚を見ていく度に、笑顔で頷いている。
「ハハッ、皆友達のことをしっかりと書いているなぁ。良い事だぞ」
そう感心した様子で言う江沢先生。
先生の反応に、私はホッと胸を撫でおろした。
すると、先生が二枚の紙をそれぞれ見て、フッと笑った。
「皐月に千速。お前達が一番多く相手のことを書いているぞ」
「「えっ?」」
私と千速は、同時にそんな声をあげた。
江沢先生はそれに笑みを浮かべ、それぞれ片手に一枚ずつ持った友達紹介のプリントを表にする。
すると、割と後ろの方の席である私達からでも見えるくらいプリントは真っ黒で、クラスの何人かがざわついた。
「すごいなぁ、お前らは」
「「だって、私達大親友ですから」」
別にタイミングを示し合わせたわけでもないのに、気付いたら、ほぼ同時にそんなことを言っていた。
それがあまりにも綺麗にハモッたものだから、クラスの皆や江沢先生はしばらくポカンとした後で、やがて、笑い始めた。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.249 )
- 日時: 2017/07/21 14:56
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第38話「探せ!選べ!自分の仕事!レッツ・ラ・文化祭!」1
<朱莉視点>
「ついに、待ちに待った文化祭だよ!」
バンッ! と、掲示板に貼られたポスターを叩いて、私は叫ぶ。
それに、蜜柑は「あ、うん……」と曖昧な返事をする。
「ん? 何さ? その曖昧な返事は」
「いや、去年の文化祭ですでに嫌なイメージが……」
「去年、何かあったの?」
蜜柑の言葉に、千速はそう聞いた。
それに蜜柑はチラッと私を見て、ため息をつく。
「な、何さ……?」
「……去年は私達、別のクラスだったんだ。それで、朱莉ちゃんのクラスがお化け屋敷をしていたみたいで……放課後に、まだ飾りつけで作業が残っていたから、私達のクラスで何人か残って作業してたの……」
「あ、なんか察したわ」
「え、何々?」
私がつい聞き返すと、蜜柑と千速は同時にため息をついた。
「私が放課後に残って作業してるのを聞きつけた朱莉ちゃんは、お化け屋敷でするお化けの変装をなぜか着て、私達のクラスに……」
その言葉に、私はしばらく考えた後で「あー!」と思い出す。
あぁ、そういえばそんなこともあった。
その日に出来た変装が中々の出来だったから、蜜柑を迎えに行くついでに着て行ってみたのだ。
あの後大変だったんだよなぁ。蜜柑は泣き叫んじゃうし、他の皆じゃ手に負えないし。
あの時着てた変装が顔も全部隠れるやつだったから、その時お化けが私だって気付かなくて、泣きながら私の名前ずっと呼んでたのは可愛かったけど。
……で、私が驚かせた張本人だって知った後は、しばらく口を聞いてもらえなかった。
正直あれが一番辛かった……。
「ほう……文化祭とやらには、お化け屋敷があるのですか?」
「まぁ、大体皆カフェかお化け屋敷かな。去年は自由時間中ずっと朱莉ちゃんにお化け屋敷に連行されて……」
「だって怖がる蜜柑可愛いんだもーん。今年も一緒に……」
「やーだっ」
頬を膨らませながらそう言って首を横に振る蜜柑に、私は「むぅ……」と膨れた。
それに、皐月はなぜかキラキラした目で千速を見る。
千速はそれに何か察したのか、ゆっくりと目を背けた。
「千速、今年は折角ですから一緒にお化け屋敷回りでも……」
「えっと……私は陸上部の子達と回ろうかな……」
「千速……」
途端に悲しそうな顔をする皐月に、千速は「ぐぬぅ……」と困った顔をする。
まぁ、なんだかんだこの二人は一緒に回るんだろうなぁ。
と、なんとなく考えつつ、私は蜜柑に顔を向けた。
「蜜柑、私達も一緒にお化け屋敷行こうか」
「んー……どうだろう。今年は生徒会の仕事があるからなぁ……去年よりは大分休憩時間少なくなるよ?」
「え、嘘ぉ!」
「あ、それを言ったら私も。陸上部でも出店をするって話になっていたわね」
「千速!?」
声をあげる皐月に、千速は「しょうがないでしょ……」と言う。
「私個人じゃどうしようもないし、自由時間は二人よりは少なくなるけど、回れなくはないから」
「私も多少はあると思うよ? 自由時間。だから、その時なら、お化け屋敷でも何でも付き合うからさ。ね?」
蜜柑の言葉に、私は頬を膨らませる。
しかし、蜜柑が「そんな顔しないのっ」と言って、私の額を軽く突くので、仕方なく頷いた。
すると、彼女は満足そうに頷いた。
「だから、私達はクラスともう一個、何か仕事を兼用することになるわけだから、その分、二人が頑張ってくれれば助かるかな……なんて」
「そっか……分かった。蜜柑の分まで頑張るっ」
私が拳を作りながら言うと、蜜柑は「それでこそ朱莉ちゃん」と言って微笑んだ。
「千速。無理しないで、困った時は私を頼ってくれても良いんですよ? 私はいつでも千速の味方ですから」
「わ、分かったから……もしもの時は、頼むかも」
まるで母親のように世話を焼く皐月に煩わしそうにしながら、千速は言った。
その様子に、私達は笑った。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.250 )
- 日時: 2017/07/21 18:15
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第38話「探せ!選べ!自分の仕事!レッツ・ラ・文化祭!」2
「なんでよりによってお化け屋敷なんか……」
放課後になり、ムスッとした表情で言いながらお化け屋敷用の仮面を作る蜜柑に、私は「仕方ないじゃん」と笑った。
「多数決でそうなっちゃったんだからさ。気長に行こうよ。ね?」
「むぅ……朱莉ちゃんがそう言うなら……」
未だに不機嫌な蜜柑の頭を撫でながら、私は「偉い偉い」と言ってやる。
すると「子供じゃない!」と怒るのがなんだか可愛かったので、私はさらに蜜柑の髪をワシャワシャとした。
「もう……ちゃんとしなさいよ。朱莉、ただでさえ不器用なんだから……なんでよりによって藁人形作るの朱莉なのよ……」
「別にこんな小道具くらい誰も見ないし、適当で良いじゃ〜ん」
そう言いながら藁を編み込んでいくと、千速は大きなため息をついた。
その時、千速の隣で蜜柑と同じように仮面を作っていた皐月は「よしっ」と言って、仮面を持ち上げた。
「え、もう出来たの?」
「はいっ。コツさえ掴めば簡単でしたよ?」
「へぇ、参考にしたいから見て良い?」
「どうぞ」
蜜柑の言葉に、そう言って皐月が仮面を出した瞬間、千速が「ひ……!?」と言って顔を青ざめさせた。
ふーむ……正直言って、これ怖すぎない? 流石に。
「あ、うん……ありがとう……参考にするね……」
蜜柑もすっかり怯えてしまい、私の背中の後ろで震えている。
でも蜜柑の場合怖いものを自分で作ることなんてできないだろうから、これを真似するくらいの気持ちじゃないと難しくない?
そう思っていた時、教室の入り口に秀樹がやってくるのが見えた。
「岩室君?」
「あぁ、遠山さん。ちょっと良いかな」
そう言って手招きする秀樹に、蜜柑は作りかけの仮面を置いて歩いて行く。
興味心からその仮面を見てみると……うわ、可愛すぎない? これ。
秀樹と蜜柑が何か話している間に、私は蜜柑の使いかけの絵の具と筆を使ってチョコチョコと……。
「ごめん、生徒会でやらないといけないことが出来たから、もう今日はかえ……ひゃぁッ!?」
蜜柑は私が塗っていた仮面を見て叫び声をあげる。
む……そんなに怖かった?
「すごいですね……ちなみに、これは本物の血ですか?」
「いや、流石に本物ではないよ。赤と黒混ぜてそれっぽい色にしただけ」
「そうは思えないくらい上手です……」
「うぅ……もうその仮面朱莉ちゃんに任せる……」
涙目でそう言いながら鞄の準備を始める蜜柑に、私は「そう泣かないで」と言う。
それに、蜜柑は頬を膨らませ、「もういいもん」と言って顔を背け、教室を出て行った。
あらら……やりすぎたか。
「朱莉、流石にあれはからかいすぎじゃ……」
「そうかなぁ……」
皐月の言葉に、私は腕を組んで首を傾げる。
まぁ、確かに少しやりすぎたかもしれない。
後で謝りに行くか……。
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