二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.206 )
日時: 2017/06/29 22:34
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第31話「フウマルを取り戻せ!プリキュア新たなる力!」1

「フウマル……?」

 ウィングの言葉に、私は静かに唇を噛んだ。
 そう……仮面の男はフウマルだったのだ。
 そして、いつだったかの夜、コンビニに向かう私に話しかけてきた青年も……。
 なるほど、と思う。そりゃあ、見覚えがあるわけだ。
 だって、私は彼を一度だけ見たことがあるのだから。
 いや、あれは見たという内に入るのだろうか……。
 プリキュアになる前、千速が転校してきた日。夢の中で、私は千速と一緒に走るフウマルを見た。声だって聴いた。
 もしあの夢が、あの光景が、現実だったとするならば、フウマルの声や姿に見覚えがあるのも合点がつく。

「あれがフウマル……四年の間で随分成長しましたね。妖精にも成長期があるのですか?」

 そして能天気な感じのフォレストのコメントに、私はずっこけそうになった。
 ちなみにこの中で一番フウマルと接点が無いモンテは、終始「誰?」って感じの表情で見ている。
 まぁしょうがないよねー……。

「貴様等がここに来た目的は分かっている。……今すぐにアウラシュリフトロレを置いて去れ」
「目的が分かっているなら……それに私達が素直に応じるわけないってことも、分かってるよね?」

 そう聞いてみると、フウマルの目が細くなる。
 次の瞬間、腰から提げていた刀をゆっくりと抜いた。

「「「「……!?」」」」
「穏便に済ませようと思ったが、仕方がない。実力行使といこうか」

 そう言うと刀を構え、一気に突っ込んでくる。
 私達は咄嗟にそれを躱し、駆ける。

「どうしよう!?」
「とりあえずもう一回ドライサンダーと……デュアルバースト、行ける!?」
「お任せください!」

 フォレストはそう頷くと立ち止まり、両手を構える。
 しかし、フウマルの動きも中々速い。
 ……伊達に千速の保護者してたわけじゃないってか。

「まずは私達がドライサンダーやるから、その間にフォレストロッドを!」
「分かりました!」
「ねぇ朱莉ちゃん。あの人は一体……」
「今説明している時間無いから、ちょっと黙って!」
「……!?」

 モンテを軽くあしらいつつ、私達は手を構えた。

「侵掠の火よ!」
「疾き風よ!」
「不動の山よ!」
「「「今、三つの力よ! 我らに集い、怨念を打ち払え!」」」
「「「プリキュア! ドライサンダーッ!」」」

 極太の雷撃が直撃し、フウマルの体を吹き飛ばす……かに思われた。
 しかし、フウマルは咄嗟に刀を頭上に構え、避雷針の要領で雷を引き寄せる。
 そして、刀に集まった雷を、横薙ぎに切るようにして飛ばしてくる。

「きゃあッ!」

 私達はそれに弾き飛ばされ、吹き飛ぶ。
 すると、その横を何かが走り抜けるのが分かった。

「徐かなる林よ! 動く雷霆よ! 今、二つの力よ! 我に集い、力と成れ! フォレストロッド!」

 それはフォレストだった。
 彼女はフォレストロッドを構え、私達とフウマルの間に立つ。

「フォレストッ!」
「一気に決めます!」

 そう言うと、フォレストロッドを振るった。

「二つの力よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! デュアルバーストッ!」

 そう叫んだ瞬間、二つの光がフウマルに向かって飛んでいく。
 しかしフウマルはそれを躱し、一気にフォレストの元まで駆けた。

「フォレストッ!」

 私は叫び、咄嗟にフォレストとフウマルの間に入った。
 直後、腹を蹴られ、私はフォレストを巻き込む形で吹き飛び、木に体をぶつけた。
 顔を上げると、フウマルが刀を構えているのが分かった。
 ……万事休す、か……。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.207 )
日時: 2017/06/30 18:40
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第31話「フウマルを取り戻せ!プリキュア新たなる力!」2

 ……万事休す、か……。
 そう思い、俯きそうになった瞬間だった。

「はぁぁぁッ!」

 人間になったライデンが、割と太い木の枝を片手に、フウマルに駆けていくのが見えた。
 当たり前だがフウマルはそれを悠々と躱し、ライデンの腹を蹴り飛ばした。
 ライデンはそれに顔をしかめ、その場に崩れ落ちる。

「ライデンッ!」

 すぐにフォレストが駆け寄り、ライデンを抱き起こす。
 ライデンはそれに腹を押さえながら、フォレストの腕を掴んだ。

「ライデン、なんでこんなこと……」
「オイラが時間稼いでいる間に逃げてもらえたら……って、思ったが……やっぱりオイラ、弱いから……」
「もう良いですから……静かに……」

 皐月はそう言ってライデンを抱きしめる。
 私はそれになんとか立ち上がり、二人とフウマルの間に立つ。
 二人は、私の様子を見て驚いたような表情をした。

「朱莉……?」
「私がどうにか時間稼ぐから……今の内に、早く祠に!」
「でもっ……」
「どうせ私、祠の場所分からないもん。だから、私が戦っている間に……」
「でも、朱莉ちゃんだけじゃ……」
「一人じゃないでしょ」

 モンテの言葉を否定する声が響いた。
 見ると、ウィングがフラフラと立ち上がっているのが見えた。
 そして、私の顔を見て微かに笑みを浮かべる。

「ウィング……」
「私も戦う。……身内の暴走だもの。責任、取らなくちゃね」

 彼女はそう言って、私の隣に立つ。
 私はそれに頷き、フウマルを睨む。
 大丈夫。二人なら……。

「早く、三人は行って。ここは私達で食い止める」
「……無茶だけはしないでね、朱莉ちゃん」

 モンテはそう言うと、フォレストとライデンを促し、走り去っていく。
 私とウィングはその様子を見送ってから、改めてフウマルに顔を向けた。

「それじゃあ……行くわよ、フレイム」
「おーけい、ウィング!」

 私の言葉にウィングは笑みを浮かべ、ファイティングポーズを構える。
 同じように構えて、私達はフウマルと対峙した。


<蜜柑視点>

「ライデンちゃん大丈夫? 痛くない?」
「いや、大丈夫……それより、この姿の時までちゃん付けするな」

 ライデンちゃんの返答に、私は、まだ余裕があるなと判断した。
 無理しているのは分かっているけど、意地を張ったり、こうして多少会話をする程度には余裕があるのだろう。
 切羽詰まっている状態だったら、そんな余裕あるわけないから。
 だから、私はそれ以上言及せずに、前を向いてひたすら祠を目指す。

「皐月ちゃん。本当に祠の中に、その……新しい力とやらはあるの?」
「えぇ、きっと……」

 言い方的に、不安は残る。
 しかし、今はそんなことを気にしている余裕は無い。
 とにかく、フウマルさんとやらをどうにかする力がある確率があるなら、それに縋ることしかできない。

「……皐月ちゃんだけじゃなくて、フウマルさんまであんなことに……千速ちゃん、辛いだろうな……」

 私の言葉に、皐月ちゃんは反応しない。
 それからさらに林を駆け抜けていくと、やがて、ポッカリと空いたような空間の中に、石でできた祠が一つ、木々の隙間からの木漏れ日を浴びてキラキラ光っていた。
 すごく神秘的な光景……だけど、今はそれに見惚れている時間はない。

「えっと……ここが、祠?」
「はい。……祠の中に……」

 その言葉に、私は祠の方に視線を向けた。
 厳重に封じられていたであろう古い木の扉は大きく開け放たれ、その中は、かなり薄暗い。
 私はその中に身を乗り出し、手探りで目当ての物体を探す。
 祠の中は思っていたよりも大きく、恐らく、私と朱莉ちゃんが入っても少し余裕が出来そうなくらい。
 そう思っていた時、指にコツン、と固いものが当たる感触があった。

「……!」

 私はすぐにそれを手に取り、祠から抜け出した。
 暗くてよく見えなかったが、それは……古びたからくり時計のような見た目をしていた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.208 )
日時: 2017/06/30 18:58
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第31話「フウマルを取り戻せ!プリキュア新たなる力!」3

「えっと……本当にこれ……?」
「私だって見た目を知っているわけではないですから。でも、他に何も無いのであれば、間違いないかと」

 皐月ちゃんの言葉に、私はからくり時計らしき何かを見下ろす。
 埃っぽいし、地味っていうか……。
 そう思っていた時、ライデンちゃんが私の手元を覗き込んでみた。

「これが新たなる力?」
「私に聞かれても……とりあえず、持って行ってみるしかないんじゃないかな」

 私の言葉に、ライデンちゃんは「ふぅん……」と言いながら、時計に触れた。
 その瞬間、バチィッ! という音と共に、時計から電気のようなものが発生する。

「な……!?」

 最初は静電気的な何かかと思った。
 しかし、ライデンちゃんが触れた箇所を中心に時計は電気を発しながら輝き、少しずつ色彩を取り戻していく。
 私達はそれに、しばらくの間、呆然とした。


<千速視点>

「はぁッ!」

 声をあげながら、私はフウマルにエルボーを入れる。
 しかし、フウマルはそれを受け止め、逆手に持った刀を振るう。
 私はそれを頭を下げることで躱し、その腕を掴んだ。

「おりゃあッ!」

 そこに、フレイムが拳を振り下ろす。
 しかし、フウマルが私の腕を振り払って私を蹴り飛ばし、フレイムに刀を振るった。
 咄嗟に空中で身を捩ってフレイムはそれを躱すが、そのまま体勢を崩し、地面を転がった。

「フレイムッ! カハッ……」

 蹴られた箇所が痛み、私は腹を押さえてその場に蹲った。
 その時、目の前に誰かが立つのが分かった。

「ウィングッ!」
「分かってるッ!」

 私はすぐに顔を上げ、振り下ろされた刀をサンダーブレスで受け止める。
 ガキィンッ! と金属音を響かせ、なんとか刀を弾き飛ばした。
 私はすぐに立ち上がり、後ずさりして距離を取る。

「ウィング……!」
「……皐月と言い、フウマルと言い……なんで私の身内ばかり、操られるのかなぁッ!」

 愚痴に近い叫びをあげながら、私は一気にフウマルの元まで駆ける。
 振り下ろされる刀を躱しながら拳を突き出すが、躱しながら手首を掴まれ、そのまま吊り上げられる。
 フウマル背はかなり高いため、地面から十センチほど浮く。

「ウィングを離せッ!」

 すぐにフレイムが走り寄ってくるが、フウマルはそれに刀を軽く振ってあしらう。
 吹き飛ばされるフレイムを見ていた時、手首を離され、地面に足を付ける。
 かと思いきや腹を蹴り飛ばされ、私は地面を何度も跳ねて転がる。

「カハッ、ゲホッ、ケホッ……」

 嗚咽混じりに咳き込んでいた時、目の前にフウマルが立った。
 顔を上げた瞬間、首筋に刀を突き付けられた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.209 )
日時: 2017/06/30 21:43
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第31話「フウマルを取り戻せ!プリキュア新たなる力!」4

「っ……」
「まずは貴様からだ。キュアウィング」

 冷淡な声と、その言葉に、私は唾を飲み込む。
 カラカラに乾いた喉を唾液が通った瞬間、鈍い痛みが走って、私は咳き込みそうになった。
 しかし、ここで咳き込んで少しでも喉を動かしたら、きっと刀が私の喉をブスリと刺して、小さい子供には確実に見せられない悲惨な状態になる。
 伝説の書の力で強化されているとはいえ、流石にそれでもこれはね……。

「ウィングッ!」

 フレイムが立ちあがり、こちらに向かって走って来ようとしているのが見えた。

「フレイム来たらダメッ!」

 私が咄嗟に叫ぶと、フレイムは困ったようにその場で立ち止まる。
 フレイムがいる位置からここまではかなり距離がある。
 恐らく、フレイムが来るまでに、フウマルならきっと私の喉に風穴を空けることができる。
 それが分かったからこそ、私は止めたのだ。

「良いのか? 仲間に助けを求めなくて」

 相変わらず冷たい言葉。
 ……フウマル……。
 優しくて、小さい頃は、いつも私と遊んでくれたフウマル。
 私が無茶しようとすると止めてくれて、でも、一番私のことを理解してくれて。

「ねぇ……フウマル……ここでさぁ、よく一緒に、追いかけっこしたよね?」
「……?」
「フウマルってば、足速くて、私ってば最初はすぐに捕まっちゃって。……でも、最近では、結構いい勝負できるようになってさ」

 私の言葉に、フウマルは反応しない。
 それに喉に何かが詰まるような感覚を覚えながら、私は、自分の喉元に突き付けられた刀を握り締めて、ゆっくりと横に逸らす。

「……!?」
「それだけじゃないよ。ここは、私とフウマルが育った村だよね? ねぇ、フウマ……」
「やめろッ!」

 パァンッ!
 乾いた音が響く。
 ビンタされたのだと、瞬時に理解した。
 ……フウマルに叩かれるのなんて、初めてじゃない。

「……私が悪いことしたら、よくこうして叩いたね」
「っ……」
「でも、それで私が泣いたら、慰めたりはしないで、ただ見ていて。泣き止んだら、偉いぞ、とだけ言って……撫でてくれた」
「ちがっ……拙者は……!」
「フウマル」

 私は彼のことを抱きしめた。
 その瞬間、刀が地面に落ちて、フウマルの体から力が抜けるような感覚があった。

「ぁ……拙者は……」
「……今まで守ってくれてありがとう。自分を犠牲にしてまで、何度も私を助けてくれたね。だから今度は……私が守る。私が、助ける」
「……」

 フウマルは膝をつき、呆然とした顔で私を見上げた。
 幽鬼軍の術によって赤く染まっていた目は揺らぎ、少しずつ、元の目色と点滅するようにチカチカする。
 その時、視界の隅に、フォレスト達が走ってくるのが見えた。

「ん? あれ!? 朱莉ちゃん、これどういう状況?」
「……ウィングがフウマルのこと抱きしめてイチャイチャしてた」
「はぁ!?」
「千速……やはりフウマルとそういう関係が……」
「ちがっ……! あーもう! それより、新しい力とやらは?」

 私が聞くと、モンテは手に持っていた時計のような何かを差し出した。
 それは、白と金で装飾が施されたからくり時計だった。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.210 )
日時: 2017/07/03 22:35
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第31話「フウマルを取り戻せ!プリキュア新たなる力!」5

「わー! 何これカッコいい!」

 早速ベタベタと時計に触り始めるフレイム。
 この状況でよくこれに興奮することができるよね……。
 時計を持っているモンテとフォレストも、苦笑している。
 その時、刀が飛んでくるのが分かった。

「危なッ……」

 私は咄嗟に間に入り、なんとか刀を蹴り飛ばす。
 見ると、そこには、かなり疲労した様子で頭を押さえ、立ち上がろうとしているフウマルの姿があった。

「プリキュア……倒ス……!」
「何、これ……」
「千速ちゃんが中途半端に元に戻したから洗脳が暴走した……とか?」
「わ、私のせい!?」

 唐突に自分のせいにされ、私は狼狽する。
 しかし、すぐに首を横に振って、一度落ち着く。

「とにかく、やるしか……」

 そこまで言いながらからくり時計に触れた時だった。
 唐突に、頭の中にセリフが過ったのは。
 直後、私達はすぐに時計を囲い、右手を突き出す。

「「「「今、大いなる伝説よ! 我等に力を貸し給え! レジェンドクロック!」」」」

 うわ、ダサッ!
 そう思っていた時、時計が輝き始める。
 カラカラという音とともに高速で歯車が回り始め、時計の針が回転していく。
 直後、そこから光がはじけ飛び、私達の手首に絡みつく。
 それは、サンダーブレスを派手にしたような腕輪だった。
 私達は、それが付いた腕を時計に向かって突き出した。

「侵掠の業火よ!」
「疾き烈風よ!」
「不動の豪山よ!」
「徐かなる森林よ!」
「「「「今、四つの力よ! 我等に集い、力と成れ!」」」」

 すると、時計から巨大な四方手裏剣のようなものが出てきた。
 私達がその刃の上に乗ると、手裏剣は一気にフウマルの方に飛んでいく。
 やがて、彼の頭上まで行くと、また次の言葉が浮かんだ。

「「「「プリキュア! オールターンオフイリュージョン!」」」」

 そう叫ぶと同時に、私達は手裏剣から離れる。
 私達が乗っていた手裏剣はゆっくりと降下し、ちょうど中央の丸い穴の真ん中にフウマルが来る。
 やがて、私達はそこから離れた位置に、その方向に背を向ける形で着地し、胸の前で指を、忍者がするようなポーズで構えた。

「「「「忍ッ!」」」」

 そう叫んだ瞬間、背後から爆発音のようなものが聴こえ……———は!?

「フウマルッ!」

 私はすぐに振り返り、爆発した場所に向かって走る。
 やがて煙が消えた先には……猫のような、狐のような小動物が、横たわっていた。

「猫?」
「狐?」

 フレイムとモンテがそう同時に言った。
 いや、今はそれどころじゃない。
 私はすぐに変身を解き、フウマルを抱き上げた。

「フウマル! しっかりして! フウマル!」
「……千速……?」

 うっすらと、彼は瞼を開いた。
 その瞬間、私は視界が霞むのが分かった。

「フウマル……おかえり……!」
「千速……ごめんな、一人にして……」
「フウマルゥッ!」

 感極まって、涙をボロボロ流しながら、私は彼の体を強く抱きしめた。


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