二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.120 )
日時: 2017/05/25 22:45
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

間話2「外」

 二人が外に出ると、先ほど皐月と話していた少年が「あ、千速!」と声をあげる。

「お前こんなところに……って、おま、その子を出したらダメだろ!」
「フウマル……!」

 千速は、皐月を庇うようにして立ちはだかる。
 しかし、その時家の中から、使用人が「お嬢様!?」と声をあげるのが聴こえた。

「そんな、外に出られて……!」
「うわ、えっと……逃げるよ! 皐月!」

 千速はそう言うと、皐月を背負い、走り出す。
 同じくらいの体重の少女を一人背負っているにも関わらず、その速さはまるで馬のようで、瞬く間に景色が後ろに流れていく。
 そのまま山の中に入り、ひたすら道なき道を駆けていく。

「ちょ、ちょっと……ここは!?」
「え、あ……どこだろう……」

 立ち止まった千速は、皐月を背負ったまま固まる。
 ひとまず強引に千速から下りた皐月は「本当に……どこですか?」と辺りを見渡す。

「うぅ……どうしよう……迷子になっちゃったぁ……」

 千速の目からは涙がボロボロと零れ、頬を濡らす。
 皐月はしばらく迷った挙句、「よしよし」と千速の頭を撫でた。

「大丈夫ですよ。きっと見つかりますって」
「でも、私が皐月のこと連れてきちゃったから、もしこのまま帰れなかったら……」
「……私、外に出るの、初めてなんです。もし千速がいなかったら、きっと、ずっと外に出なかったかもしれません。こうして私がここにいられるのは……千速のおかげですよ?」

 皐月の言葉に、千速は「本当に?」と不安そうに呟いた。
 彼女の反応に皐月は「本当です」と微笑んで、千速の頭から手を離す。

「来た道を戻れば良いんですよ。そうすれば、村に帰れますから」
「……でも、もしも皐月が村に戻ったら、また家に閉じ込められちゃう。もしかしたら、もう遊べなくなるかも。……そんなの嫌だよ……」

 俯いてそう言う千速に、皐月は優しく微笑んだ。

「千速。私は、一回でも外に出られて幸せですよ。そして、貴方という人と知り合えたことも」
「でも……」
「それに、千速が私の家に来てくれれば、私が外に出られなくても、遊ぶことはできますよ」
「本当!?」

 目を輝かせた千速は、「じゃあ速く帰ろ!」と言って皐月の手を取り、下りようとする。
 しかし、そこで気付くのだが、千速が考え無しに登ってきたのは獣道と表しても良さそうな、整地もロクにされていない道で、これを下りようとすれば、転げ落ちてしまうだろう。
 顔色を悪くした千速に、皐月は「あらら……」と暢気な声を出した。

「ど、どうしよう皐月……」
「そうですねぇ……ここは一度上まで登ってみましょうか。途中で下りるのにちょうどいい道を見つけられるかもしれませんから」
「わ、分かった」

 千速はそう言うと、皐月を再度おんぶする。
 少しして状況を理解した皐月は、目を丸くした。

「え、ちょ!?」
「何?」
「この体勢は……」
「んー? だって、皐月の着物綺麗だし、高そうだもん。汚したらダメだよ」
「でも……」
「良いから良いから」

 そう言うと、千速は相変わらず人を一人背負っているとは思えない軽快さで登っていく。
 しばらく登っていた時、「む?」と声を漏らした。

「どうしたのですか?」
「いや、あの木の向こうに景色が……頂上じゃないハズなんだけど……」

 それから軽々とその辺りまでたどり着いた千速は、その景色に「ふわぁ」と声を漏らした。
 皐月も目を丸くし、その光景に見惚れる。
 崖のような場所から広がる村。
 滅茶苦茶に走りすぎて、恐らく、山の周囲を一周していたのだろう。
 ……それだけ走って息切れ一つしない千速の体力はおかしいが。

「すごい綺麗……」
「えぇ、本当に……綺麗です……」

 皐月はそう言うと、ハッとして、千速の手を握り、微笑んだ。

「千速。迷子になったおかげで、こんなに素敵な景色を見ることができましたね」
「えっ? 迷子になった、おかげ?」
「はい。だから、迷子になって、むしろ幸運でしたわ」

 そう言って微笑む皐月に、千速は「えへへ……」とはにかんだ。
 千速は、それから皐月をおんぶして、改めて山を下りて行った。

 二人が帰ると、互いの保護者にこっぴどく叱られた。
 しかし、皐月に関しては外出するよりも元気そうだったこともあり、無理をしない程度の外出は許された。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.121 )
日時: 2017/05/26 05:55
名前: 広村伊智子 (ID: t18iQb5n)

閲覧・・・・せ、1900!?

す、すごいです・・・・


おめでとうございます!!

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.122 )
日時: 2017/05/26 18:16
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第18話「助っ人朱莉参上!必要とされるということ」1

 部活の休憩中に、体育館の近くの水飲み場まで行った時、中からゴムが擦れるような音が聴こえた。
 私は口を拭い、なんとなく、体育館の扉から中を覗いてみた。

「お願いします!」

 そう言ってジャンプした選手を見た瞬間、私は言葉を失った。
 だって、まるで壁のように張られた網より高く跳び、ボールを叩きつけたその姿は……。

「朱莉ちゃんすご〜い!」

 聞き覚えのある声に、私は視線を向ける。
 壁際には、なぜか朱莉を見ている蜜柑がいた。
 ひとまず、私は状況を知るためにも、小声で、「蜜柑!」と呼んだ。
 すると、蜜柑は「あ、千速ちゃん!」と言って笑顔を浮かべた。
 私はすぐに靴を脱ぎ、靴下になって彼女の元に駆け寄る。

「ねぇ、朱莉はいつ、部活をするようになったの?」

 蜜柑の所に辿り着いて早々、私はそう聞いてみた。
 すると、蜜柑は「んー……」と言って顎に手を当てた。

「入部は……してないかな」
「え、でも……」
「言ってなかったっけ。朱莉ちゃん、人数が足りなくて大会に参加できないような部活によく助っ人として参加しているって。今はバレー部だけど、去年はそれ以外にもバスケにソフトボールに女子サッカーに……」
「へぇ……万能なのね」
「うん。朱莉ちゃんは運動ならなんでもできるんだよ。足は、千速ちゃんには敵わないけど。でも、それ以外なら、きっと負けないもん」
「……多分貴方の中で多少美化されているんでしょうけど」

 私の言葉に、蜜柑は「えへへ……」と言ってはにかんだ。
 少し間を置いてから、私は口を開いた。

「でも、それなら貴方がここにいて朱莉を応援する理由は?」
「うーん……一年生の頃からこれは続けているからなぁ」
「別に貴方が朱莉に合わせる必要はないと思うんだけど?」
「合わせてるわけじゃないよ。私が好きでやってるだけだし」

 蜜柑がそう言って笑みを浮かべた時、私の鼻先を何かが高速で通り過ぎて行った。
 バァンッ! と音を立てて壁にぶつかったそれは、朱莉が地面に叩き付けたりしていたボールだった。

「えっと……」
「ごめんごめん! ちょっと手が滑っちゃって。大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。ビックリしたけど」

 私の言葉に、朱莉は「良かった〜」と微笑んだ。
 その時、バレー部の人が「それじゃあ五分休憩ね〜」と言った。
 すると、蜜柑は鞄からドリンクやらタオルやらを取り出した。

「疲れてるんじゃない? お疲れ様」
「えへへ、ありがとう蜜柑」

 ドリンクを受け取った朱莉は、そう言って笑みを浮かべた。
 蜜柑はそれに微笑み、朱莉の汗をタオルで拭った。

「うわ、掌まで汗でびっしょりだよ……これで滑ったんじゃない?」
「そうかなぁ。久しぶりにやるからなぁ……」

 朱莉がそう言うのを聴きながら時計を見ると、そろそろ休憩時間が終わる頃だった。

「あ、それじゃあ、私先に帰るから。……頑張って」

 私の言葉に、朱莉は「おー!」と元気よく答えた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.123 )
日時: 2017/05/26 22:05
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第18話「助っ人朱莉参上!必要とされるということ」2

<冥姫視点>

「アウラシュリフトロレの覚醒……か」
「へぇ。冥ちゃん、ついに林の書に認められたんだ」

 オルコの言葉に、冥姫は「でも、まだ足りないわ」と呟いた。

「奴等を一瞬で倒せるほどの力じゃなくちゃ」
「……こっちが力を上げる必要はないんじゃないか?」

 オウガの言葉に、冥姫は「どういうこと?」と聞き返す。
 その反応に、オルコはニヤリと笑い「なるほどねぇ」と言った。

「つまり……一人ずつの心を、先に、少しずつへし折って行けばいいんだろう」

 オグルの言葉に、冥姫の目つきが、微かに変化した。


<朱莉視点>

「あ、ごめん。教室に忘れ物したの今気付いた。……先帰っててもらってもいいかな」

 帰り際になって、蜜柑がそう言ってきた。
 私はそれに「ううん。待つよ」と言った。
 すると、蜜柑は「そっか。ありがと」と微笑み、教室に向かって歩いて行く。
 それを見送った後で、正門の方に視線を向けると、見覚えのある姿が見えた。

「芽衣!」
「朱莉さん」

 優しく微笑む芽衣に、私は駆け寄った。

「こんな所でどうしたの?」
「少し通りかかっただけです。ところで……その恰好は?」

 芽衣の言葉に、私は「あっ」と声を漏らし、自分の服装を見る。
 それは学校指定の体操服であり、芽衣がこの時の状態を見るのはこれが二回目だ。

「あぁ、ちょっと部活の助っ人。ここのバレーボール部、人少なくてさ。今度の土曜日に大会があるらしいから、人数合わせ」
「そういうことですか。でも、なんでそんなことを?」

 その言葉に、私が「うーん……」と少し考えた後で、口を開く。

「単純に……誰かの役に立ちたいから、かな?」
「役に……ですか……?」
「うん。私のおかげで大会に参加できた、ってなったら、皆喜ぶでしょう? それで、ありがとう、って言ったら、私も嬉しくなるし」

 私の言葉に、芽衣は「へぇ……」と曖昧な返事をした。
 少し顎に手を当てた後で、ゆっくりと口を開いた。

「でも……朱莉さん自身が必要とされているわけじゃない」
「えっ……」

 戸惑った時、芽衣が私の顔を覗き込んで来た。
 彼女の目つきが微かに変わり、私の思考はぼんやりする。

「あっ……」
「貴方は、あくまで数合わせ。その程度の存在じゃないんですか? 貴方自身が必要とされているわけではない。……でしょう?」

 やけに、芽衣の声が脳に響く。
 私はそれに何も答えることができず、ただ、呆然とすることしかできなかった。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.124 )
日時: 2017/05/26 22:49
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第18話「助っ人朱莉参上!必要とされるということ」3

 ぼんやりとしていると、芽衣は微笑み、私の耳元で囁く。

「貴方は誰にも必要とされていない。だから……無理しないで、楽になってしまいましょう?」
「らくに……?」
「えぇ。一生懸命になんてならずに、何もかも投げ捨ててしまった方が……」
「ごめん、少し遅れちゃった。さっきそこで千速ちゃんに会って……」

 蜜柑の言葉に、私は我に返る。
 振り返るとそこには、こちらに向かって走ってくる蜜柑と千速の姿があった。

「あ、蜜柑、千速!」
「芽衣? こんな所で会うなんて奇遇ね」

 千速の言葉に、芽衣は柔らかい笑みを浮かべて「そうですね」と微笑んだ。

「そういえば、もう聞いた? 朱莉ちゃん、バレー部の助っ人で、今度の土曜日大会に出るんだって」
「えぇ、それは……」
「良かったら一緒に見に行かないかなって。千速ちゃんにも、今声かけてて」
「その日はちょうど陸上部の練習も休みだし、多分行けると思うわ。……芽衣も来たら楽しいんじゃないかって思ったんだけど」

 千速の言葉に、しばらくポカンとしていた芽衣は、「良いんですか?」となぜか私を見た。

「なんで私に聞くの? 良いに決まってるじゃん! むしろ見に来てほしいくらい!」

 私の言葉に、困惑したような笑みを浮かべつつも、「それじゃあ、えっと、お言葉に甘えて……」と芽衣は答えた。

「あ、えっと……そろそろ家の門限なので、先に失礼しますね。土曜日に……この学校ですか?」
「あぁいや、近くの市民体育館。えっと……」

 私が場所を教えると、芽衣はメモをする素振りすら見せずに、「了解しました」と微笑んだ。

「それじゃあまた、土曜日に」
「うん。またね!」

 帰って行く芽衣を見ながら、蜜柑は「そういえば」と口を開く。

「芽衣さんの家って、どこにあるんだろう?」
「芽衣の家?」
「うん。前に家に送ろうかって千速ちゃんが言った時も断っていたし、どこにあるのかなって思って」

 蜜柑の言葉に、千速は「さぁ……」と首を傾げた。

「まぁ、教えないってことは、知られたくないってことだよ。きっと」

 私の言葉に、蜜柑は「そうだろうけど……」と苦笑した。
 私は続ける。

「芽衣と私達はまだ会ったばかりだし、これから仲良くしていければいいと思うんだ」
「単純だけど、朱莉らしいわね。まぁ、そうするしかないんだけど」

 千速の言葉に、蜜柑も「そうだね」と微笑んだ。
 それにしても……。

 ———貴方はただの数合わせ———
 ———誰にも必要とされていない———

 “誰が言ったのかは覚えていない”けど、その言葉が、私の心の中に巨大な影を落とす。
 私はそもそも……何がしたいんだっけ……。

「朱莉ちゃん?」

 不思議そうにこちらを見る蜜柑。
 いつの間にか、私は柄にもなく考え込んでしまっていたようだ。
 すぐに首を振って先ほどの考えを振り払い、私は「ごめん! なんでもないっ」と言って、駆け寄った。


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