二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.175 )
- 日時: 2017/06/12 21:56
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第26話「楽しいがいっぱい!キュンキュン夏祭り!」2
「夏祭り……?」
「そっ。プリキュアの……冥ちゃん達が住んでいる町で行われているらしいよ」
オルコの言葉に、オウガは「へぇ……?」と声をあげる。
「それは、この村で行われていた祭りのようなものか?」
「ほとんど一緒。……まぁ、屋台とかの内容は、多少違うだろうけど」
「ほう……ということは、あの町では今頃、大勢の人間が幸せを享受しているのか」
オグルの言葉に、オルコは「そうだねぇ」と笑いながら言った。
『折角ライバルになったと思ったのに、それから一ヶ月以上経ってるんだよ!? 早く決着つけたくてうずうずしていたってのにさぁ!』
その時、なぜかオグルの脳裏に、キュアフレイムの言葉が反芻した。
———……たまには顔出してやるか。
なぜそんなことを考えたのかは当人にも分からないが、気付いたら、オグルは立ち上がっていた。
「ん。どこ行くの? 頭領さん」
「最近誰かさんに任せきりだったからな。たまには俺が、直々に出向いてやろうかと」
オグルの言葉に、オウガは微かに目を細めた。
「……邪な考えでもあるのか?」
「そんなもの、あるわけないだろう。ただ少し、久しぶりに体を動かしたい気分なだけだ」
「……子供か」
オウガの言葉に、オグルは肩を竦めて見せた。
−−−
夏祭りが行われている神社に着くと、たくさんの屋台が出ていて、大勢の人で溢れかえっていた。
その場所に着いた瞬間、皐月の目がパァァァと輝いた。
「ふぁぁ……夏祭りって、こんな風なんですか!? すごく楽しそうです!」
「皐月ちゃん達の村には、夏祭りって無かったの?」
「あったと言えばあったけど、こんなに大がかりな感じではなかったわね。……まぁ、皐月が喜ぶ理由は、そもそも皐月が村の祭りに参加したことがなかったからなんだけど」
「えぇっ! なんで!?」
私が驚くと、千速は呆れるという感情を存分に目に表しながら、皐月を見た。
「皐月の親とかが元々過保護でねぇ。まぁ、村長の孫っていうのもあるけど、私と出会うまでは家からもほとんど出してもらえなくて。で、夏祭りにもなると、ここみたいに人でごった返すでしょう? だから、危ないから、十歳になるまでは村祭りの参加は禁止だー……って、言われちゃって」
「あ……そっか。確か皐月ちゃんは十歳の頃に……」
「それが村祭り開催の前だったから……実質、人生初のお祭りってわけ」
「わぁ、夜なのにすごく明るい! 美味しそうなものもありますし、楽しそう!」
ピョンピョンと跳ねながら言う皐月はまるで小さな子供のようで、私達は顔を見合わせて笑った。
でもこの勢いだと迷子とか普通になるんじゃないかなぁ。
好奇心のままに走り回って、気付いたら消えて、そのまま行方不明に……。
縁起でもないことを考えていると、皐月の手を、ライデンが掴んだ。
「はしゃいで迷子になるなよ。……オイラから離れないように」
「ん……はい。分かりました」
皐月は、子供のような無邪気な笑みを浮かべ、ライデンの手を握り返した。
すると、ライデンは顔を耳まで真っ赤にして、目を逸らす。
甘ずっぺー!
「よぉし! それじゃあ、色々やって遊ぼー!」
「あ、ちょっと朱莉ちゃん!」
私は蜜柑と千速の手を引き、人ごみの中に突っ込んでいった。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.176 )
- 日時: 2017/06/12 23:06
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第26話「楽しいがいっぱい!キュンキュン夏祭り!」3
「はむっ……んんッ!?」
かき氷を口に含んだ皐月は、驚いたように顔をしかめて、こめかみの辺りを押さえた。
彼女の反応に、私達は笑った。
「あははっ。キーンってなった?」
「んん……分かってたんですか!?」
「そりゃあ、かき氷を食べたら頭がキーンってなるのは、割と常識だからねぇ。ね、千速」
「いや……これは、村ではあまり出なかったから……」
「えっ……」
どうやら千速もかき氷による頭キーンの被害者らしい。
顔をしかめる彼女に、私達は苦笑した。
「そういえば、ライデンは頭、痛くならないの?」
「ん……オイラはそんなに」
そんな会話をしていた時、前からバシャッと何かが落下する音がした。
見ると、そこには立ち尽くす勇太の姿があった。
後ろには彼の男友達もいて、勇太の様子を見てニヤニヤしてる。
あー……蜜柑か……。
ちなみに落としたのは水風船のようで、地面にゴム風船の残骸が落ちていた。
「あっ……勇太。久しぶり……かな?」
「あ……あぁ……」
勇太の黒目の部分はせわしなく上下に動き、蜜柑の浴衣姿を凝視している。
その様子に、蜜柑は恥ずかしそうにして、私の後ろに隠れようとするが、ガシッと彼女の肩を掴んで前に出す。
「さて勇太。蜜柑を見た感想は?」
「あ、朱莉ちゃん!?」
「すげぇ可愛い」
「……!」
勇太の返答に、蜜柑は恥ずかしそうに俯いた。
それで、しばらくモジモジとした後で、「あ、ありがとう……」と言った。
彼女の反応に、勇太は耳まで顔を真っ赤にして、一緒にいた男友達に冷やかされていた。
こっちも甘ずっぺー。
蜜柑は、居心地悪そうにモジモジとしていて、どうすれば良いのか分からない様子。
まぁ、言われ慣れてるわけでもないからね〜。
私はその間に速やかにその場から離れ、フッと笑った。
「蜜柑は相変わらずモテモテだなぁ」
「……そうね」
たまたま隣にいた千速の返答に私は違和感を抱き、なんとなく、彼女の顔を覗き込んだ。
彼女はどこか遠くを見ていて、試しに顔の前で手を振ってみても反応はない。
これはもしや……。
「えっと、フウマルさん? のこと、考えてるの?」
「……!」
どうやら図星だったらしい。
ビクッ! と肩を震わせ、彼女は私を見た。
私は、それに笑った。
「分かりやすいなぁ、千速は。……村祭り、だっけ。一緒に回ったりしたんだ?」
「えぇ、まぁ。……フウマルは、家族みたいなものだから……」
「……来年の夏祭りはさ、フウマルさんも一緒に来れると良いね」
「……フフッ。そうね」
薄く笑みを浮かべながら言う千速に私は笑いつつ、辺りを見渡した。
その時、見覚えのある姿が見えて、私の視線は止まる。
「あっ……」
「ん? どうかしたの?」
首を傾げながら聞いてくる千速に、私は「ちょっと野暮用!」と言って、そこに向かって走り出す。
だってそこには……———。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.177 )
- 日時: 2017/06/13 22:05
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第26話「楽しいがいっぱい!キュンキュン夏祭り!」4
<オグル視点>
周りを行き交う人間を見ながら、俺はため息をついた。
夏祭りとやらがどれだけ人を幸せにするものなのかと思って来てみたが、サッパリ分からないな。
そう思ってため息をつき、指を鳴らして変身を解こうとした時だった。
「小栗せんせーい!」
聞き覚えのある声に、俺は手を止めた。
まさかと思い視線を向けると、こちらに駆け寄ってくるキュアフレイムの姿があった。
なんでこんな時に……。
「えっと……火場さん?」
「おぉー! 覚えてた!」
忘れたくても忘れられないっての……。
内心ため息をつく俺に関係なく、キュアフレイムはヘラヘラと笑いながら俺の顔を覗き込んだ。
「ヘヘッ。お久しぶりッ!」
「あぁ……久しぶり、だな……」
元々プリキュアの監視は行っている上に、冥姫を連れ戻す際に一度戦っているため、久しぶりという感覚はない。
けど、奴からしたら久しぶり、の範囲に入るのだろうか……。
とはいえ、ここで会話の主導権を握られるのもまずいし、チャンスがあればアウラシュリフトロレを奪いたい。
そう思い、奴が何か言うより前に、俺は口を開いた。
「そういえば、勉強はちゃんとしているのか?」
「んー……まぁまぁ、かな。あ、でも、この前の期末テストでも、50点以上は取れたよ!」
「ははっ、そうか」
娘のテストの結果を聞いている父親みたいだな……なんか……。
そう内心苦笑していた時、ヒュルルルルという音がして、俺はその方向に目を向けた。
見ると、光の球のようなものが夜空に打ちあがり、やがて、大きな音と共にはじけ飛び、漆黒の夜空に花を咲かせる。
「ん……あれは?」
「えっ、小栗先生、先生なのに花火知らないの?」
「あぁ……というか、今は、俺は先生じゃない。だから、先生ってつけるのやめろ」
「えー。じゃあ何て呼べば良いの〜?」
「……鬼人、で、良い」
俺の返答に、キュアフレイムは少しキョトンとした後で、「分かったっ。じゃあ、私のことも、朱莉で良いよ」と言って笑みを浮かべた。
「あぁ……朱莉」
「ところで、鬼人は本当に花火知らないの? 本当の本当に?」
「そうだよ。知らなかったら悪いか」
「……ううん。ただ、ちょっと面白いなって思って。先生やってるような人でも、知らないことあるんだ」
そう言って、彼女はニカッと笑った。
その笑顔を見た瞬間、微かに、胸の奥がざわついた。
「っ……」
「あ、そろそろ蜜柑達の所に戻らなくちゃ。またね!」
そう言って走っていく後ろ姿を、無意識に目で追う。
……なんだろう、この、違和感。
胸の奥がざわついて、言葉に言い表せないような、妙な感覚がある。
「……まぁ、良いか」
所詮、俺は人間じゃないのだから。人間の姿を借りて、なりきっているだけなのだから。
この感情に……意味はない。
祭りの場から離れた俺は、パチンッと指を鳴らして変身を解き、腕に影を纏わせる。
「邪悪なる魂よ! 我に仕えよ! いでよ、オンネーン!」
プリキュアからアウラシュリフトロレを奪い、世界を支配すること。
それだけが、怨念から生まれた俺の目的だ。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.178 )
- 日時: 2017/06/14 22:21
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第26話「楽しいがいっぱい!キュンキュン夏祭り!」5
<朱莉視点>
「おーい!」
私が駆け戻ると、蜜柑が「遅いよ朱莉ちゃん」と言って頬を膨らませた。
「本当よ。どこ行ってたの?」
「えへへっ。実は……」
私がそこまで言った時、花火の破裂音に紛れて何かが聴こえた。
視線を向けるとそこには、オンネーンがいた。
「オンネーン……!」
幸い、というべきなのか否か。周りの人は全員花火に釘付けで、気づいていない様子。
私達は顔を見合わせその場から離れると、人目につかないような、屋台の裏の辺りに隠れた。
そして、アウラシュリフトロレを取り出す。
「いくよっ」
「「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」」
「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ」
「徐かなること、林の如し! キュアフォレスト!」
「風!」
「林!」
「火!」
「山!」
「「「「プリキュア!」」」」
ポーズを決めた瞬間、オンネーンが突進してきた。
私はそれをギリギリで躱し、腕を構えた。
「動く雷霆よ! 我に集い、力と成れ! サンダーブレス! フレイム!」
すぐにサンダーブレスを装着し、私はオンネーンに殴りかかった。
ドゴォッという轟音と共に、右手が、手首までめり込む。
すぐに右手を離して、左手で殴り、オンネーンの体を吹き飛ばす。
「えっと……朱莉ちゃん、なんか今日はいつもより元気、だね……」
引きつった笑みで言うモンテに、隣にいた千速は呆れたようにため息をつく。
「元気とかそういう問題?」
「何かあったんですの?」
不思議そうに首を傾げてくるフォレストに、私は「んー」と声を漏らす。
その時、背後から何かが動く音がする。
「何かっていうかぁ……」
私はそう答えながら、オンネーンの体を掴み、蹴りを放つ。
吹っ飛んでいくオンネーンを見ながら、私は、私達を見下ろす男の方に視線を向けた。
ちょうど目が合い、眼鏡越しに見える冷たい目を見ながら、私は続けた。
「ただ、皆が花火を見る邪魔をしてほしくないだけ。……今日は、生まれて初めて花火を見る人もいるんだ」
「え、千速ちゃんとか?」
「……? 私達は、村で花火くらいは見たことあるわよ? ね、フォレスト」
「は、はい。私の家からも見えていたので、よく千速と一緒に」
「違う違う。二人じゃなくて、別の……」
私がそこまで説明していた時、オンネーンが立ちあがろうとしているのが見えた。
それに、私はすぐに「フォレストッ!」と叫ぶ。
咄嗟に叫んだので最初は驚いた反応を見せていたが、すぐに彼女は頷き、手を構える。
「徐かなる林よ! 動く雷霆よ! 今、二つの力よ! 我に集い、力と成れ! フォレストロッド!」
フォレストロッドを出した直後、オンネーンがこちらに突進してくるのが見えた。
しかし、すぐにモンテが間に入る。
「不動の山よ! 我に集い、力と成れ!」
それで出来た山の盾で、ほんの一瞬、オンネーンの動きを止める。
その一瞬の間に、フォレストは叫んだ。
「二つの力よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! デュアルバーストッ!」
その攻撃は見事オンネーンに当たり、浄化していく。
オンネーンが消えていくのを見つめながら、私は高い位置にいるオグルを見上げた。
「オグル……今日は、戦いは無しね」
「……」
「私達も花火、楽しみたいし。それに……たまにはのんびり夜空を見上げてみるのも、良いんじゃないかな」
私が冗談めかしていうと、オグルは少しだけ顔をしかめて、夜の闇に身を溶け込ませていった。
そういえば今日の彼の格好は、なんか、黒かったな……。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.179 )
- 日時: 2017/06/15 00:02
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第26話「楽しいがいっぱい!キュンキュン夏祭り!」6
「おっ。まだ花火やってるねぇ。良かったぁ」
花火が見える位置まで行くと、どうやら花火はまだやっていたようで、破裂音を響かせながら、夜空に花が咲き誇っていた。
私はそれに深呼吸をして、「たーまやー!」と叫んだ。
「何それ……」
「何って、花火にはたーまやー! って叫ぶのが常識でしょ?」
「そうなんですか? たーまやー!」
「皐月は真似しなくて良い!」
千速がそう窘めるのを見ていると、なんだか面白くて、私はプハッと吹き出してしまった。
私の反応に、蜜柑も釣られて笑いだし、それに、皐月や千速も笑いだす。
ひとしきり四人で笑い終えた後で、私は目尻に滲んだ涙を拭い、息を整える。
「もう、笑い過ぎよ」
「えへへ、ごめんごめん。……やっぱりさ、友達と楽しいことするのって、良いね!」
私の言葉に、千速はフッと微笑んだ。
「何? そんな急に、改まっちゃって」
「ん〜。なんていうのかなぁ。……去年までは、私は蜜柑と二人で見に来ていた。けど、今は、千速や皐月、ライデンと来ているじゃない? だからさ、二人でも超楽しいことが、この時間を分け合える人が増えたことで、もっと、もっと、もーっと! 楽しくなるんだって!」
そこまで言って、自分が興奮していたことに気付いた。
顔を上げると、全員が何やら引きつった笑みを浮かべているのが分かった。
それを見た瞬間、なんだか無性に恥ずかしくなって、私は俯いた。
その時、肩を叩かれた。
顔を上げると、そこには千速が立っていた。
「千速……」
「朱莉。何か悩みがあるなら、話聞くよ?」
「そ、そんなんじゃないってば!」
私の言葉に、千速は「知ってるっ」と言って、笑った。
それに、彼女の後ろにいた蜜柑や皐月も笑い、私は、ホッと胸をなでおろした。
「でもさぁ……こうしてまた、楽しい思い出を、たくさん増やしていきたいね」
「……そうだね」
「その時には、誰かさんが野暮用とかいって急にどこかに走り出さないといいけど」
千速の言葉に、私は「ごめんって〜」と謝る。
すると、皐月はポンッと手を打った。
「もしかして、その野暮用と、今日戦ってる最中に言っていた『人生で初めて花火を見る人』っていうのは、関係があったりするんですか?」
「む。皐月は鋭いなぁ」
「え、何々?」
身を乗り出して聞いてくる蜜柑に、私は少し迷いつつも、声にした。
「実は今日ね、鬼人さんに会って」
「……鬼人?」
「あぁ、小栗先生だよ。かなり前に、臨時教師として学校に来ていた」
「小栗……鬼人さん……ですか」
皐月の言葉に、私は頷いた。
すると、皐月の表情が微かに暗くなった気がした。
−−−
<オグル視点>
『ただ、皆が花火を見る邪魔をしてほしくないだけ。……今日は、生まれて初めて花火を見る人もいるんだ』
あの言葉は……俺のこと、なのだろうか……。
そうか、アイツは、俺が鬼人であることを知らないから……。
その生まれて初めて花火を見る本人が、その邪魔をしようとしていたというのに……馬鹿なヤツだ……。
「花火……ねぇ」
そう呟いて顔を上げると、夜空に火の花が咲いているのが見えた。
手を伸ばすと届きそうで……届かない。
上手く言葉に言い表せないけど、この、花火というものはまるで……。
「まるで、あの女みたいだな……なんてな」
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