二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.291 )
日時: 2017/07/26 16:18
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第44話「図書館デート!?朱莉と鬼人急接近!」4

<オグル視点>

「それじゃあ、始め」

 俺の合図に、キュアフレイムは俺が作ったテスト用紙を表にして、問題を解き始める。
 なぜ、敵の勉強にここまで本気で付き合っているのか、未だに自分でも理解できない。
 正直、今更キュアフレイムと一緒にいても、集められる情報なんて無いように思える。

「えっと、ここは、んー……」

 真剣な表情で問題用紙を見つめるキュアフレイム。
 こんなに真剣な理由が自分より俺を馬鹿認定するためって考えると微妙だが……。
 でも、なぜか真剣に問題を解くキュアフレイムを見ていると、少し気持ちが安らぐような感覚がするので、良しとしよう。

「よしっ! 解けたよ鬼人」

 やがて、そう言って顔を上げたキュアフレイムは、明るい笑みを浮かべながらそう言った。
 俺はそれに何も答えず、テスト用紙を受け取って採点を始める。

「ちょっと鬼人〜。褒めてよ〜」
「別に問題を全部解くくらいのことは誰でもできるだろ。問題は合っているかどうかなんだから」
「ぶー」

 頬を膨らませながら机に突っ伏すキュアフレイム。
 俺はそれに苦笑しつつ、採点していく。
 俺達二人しかいない実習室に、赤ペンを走らせる音だけが響く。

「ふむ……」
「終わった!?」
「あぁ……まぁな」

 俺の言葉に、キュアフレイムはハッと顔を上げた。
 分かりやすい反応に苦笑しつつ、俺はテスト用紙を渡す。

「残念だが……満点だ」
「……! っしゃぁ!」

 テスト用紙を受け取ってガッツポーズをとるキュアフレイム。
 やれやれ、分かりやすいやつ。
 俺は苦笑しつつ、キュアフレイムに借りてた赤ペンを奴の筆箱の中に入れる。

「まぁ、本番も、油断さえしなければ100点は取れるだろ。なんたって、俺が教えたんだから」
「えー何その自信。分かってるよね? もし私が100点取ったら」
「あぁ。俺の方が馬鹿。だろ?」

 俺の言葉に、キュアフレイムは大きく頷いた。
 まぁ、その程度でやる気になってくれるならそれはそれで嬉しいが……。
 軽く雑談をしつつ、キュアフレイムが荷物をまとめるのを待って、二人で図書館を出た。

「それにしても私が100点かぁ……数学で100点なんて、中学校入ってから初めて!」
「そりゃあ良かったな……」
「うんっ! でも、初の100点が鬼人のテストかぁ……」
「あ? なんだよその言い方」

 そんなくだらない言い争いをしていた時、強い風が吹いた。
 ちょうどキュアフレイムは、俺が作ったテストを持ちながら話していたため、風に煽られ飛んでいく。

「あぁ! テストが!」
「別にいいだろ。あんな紙屑」
「よくないよ! 初の100点だよ!?」

 100点がそんなに大事か、とツッコミを入れようとした時、キュアフレイムがさらに続ける。

「それに……折角鬼人が私の為に作ってくれたテストなのに……」
「……ちょっと待ってろ。取って来る」

 俺はそう言い、奴の反応も見ずに走りだした。
 クソッ、何なんだよこの感情は!
 ホント、俺はアイツに乱されっぱなしだ!

「えっと……あったあった」

 やがて、木の枝に引っ掛かっているのを見つける。
 俺はすぐに枝に足を掛けて、そのテスト用紙を取った。
 すると、中から何か、温かいものが流れてくるような感覚があった。
 これは……想いの力?

「……ふむ……」

 俺は地面に着地し、周りに誰もいないことを確認する。
 すぐに指を鳴らし変身を解くと、テスト用紙を持つ手に怨気を纏わせた。

「邪悪なる魂よ、我に仕えよ。いでよ、オンネーン」

 そう呟いて空中に放ると、テスト用紙は巨大なオンネーンに変わった。
 それにしても、物に宿る想いは、基本作った人間の想いではないだろうか?
 しかし、俺の想いなんて籠るハズもないし……キュアフレイム。一体どれだけ100点に執着してんだよ。
 そう思っていると、キュアフレイムがこちらに走って来るのが見えた。

「鬼人〜、テスト用紙は……って、オンネーン!?」
「ちょうどいいところに来たな、キュアフレイム」

 俺がそう煽ると、キュアフレイムはアウラシュリフトロレを取り出す素振りを見せる。
 しかし、そこで一度思いとどまり、キョロキョロと辺りを見渡した。

「そういえば、結局鬼人はどこに……先に避難させないと……」
「っ……」

 心配そうに辺りを見渡すその姿に、俺は、胸の奥で色々な感情が湧き上がって、目の前が真っ赤になるような感覚に陥る。

「うるさいッ! 良いからさっさと変身しろッ!」
「何それ! アンタにとってはどうでもいい問題かもしれないけど、私は……!」
「良いから早くッ!」

 俺が怒り任せに叫ぶと、キュアフレイムは眉をハの字にしながら、アウラシュリフトロレを取り出した。

「プリキュア、フォースオーラチェンジ」

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.292 )
日時: 2017/07/26 17:55
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第44話「図書館デート!?朱莉と鬼人急接近!」5

<朱莉視点>

「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」

 変身を終えた私は、すぐにオンネーンを睨む。
 折角の初100点の解答用紙をこんなことにして……許さない!
 そう思って走り出そうとした瞬間、目の前に問題が現れる。

「なっ……」
『y=-3x+12について
 xが7増加するときのyの増加量を求めよ。』
「は!?」

 突然視界に現れた問題に、私は驚く。
 どうやら時間制限がある問題らしく、ブーというブザー音と共に、爆発する。
 その爆風だけで私の体は遠くまで飛び、車に体をぶつける。

「ガハッ……いったぁ……」

 背中を擦りながら私は声を漏らす。
 ていうか、この強さ、普通のオンネーンじゃない……想いが籠ってるオンネーン、か?
 でも、じゃあ誰の想いが……って、そんなの決まってるか。

「鬼人、そんなに頑張って、私の為にテスト作ってくれてたんだね……」
「オンネーン、もう一問だ!」

 立ち上がると同時に、視界に問題が広がる。

『6x+3y-11=0 の傾きと切片をそれぞれ求めよ。』

 鬼人。私より頭良いけど、なぜか、知らないものも多い。
 でも、素直じゃないだけで、本当は、私のことを考えてくれてたんだね……。

「傾き-2 切片3分の11」

 そう言った瞬間、ピコピコーンという高い音と共に、問題文の文字が赤くなり、やがて、爆破した。
 私はそれに、ゆっくりと、オンネーンに向かって歩いていく。

「なに、問題が解けた、だと!?」
「解けるに決まってるじゃん。だって、私そのテストで、100点取ったんだから。さっきはちょっと油断したけど……」

 あぁ、鬼人の油断するなって、こういう意味かな。
 って、そんなわけないか。でも……うん。彼のアドバイスは、役に立ってくれてる。

「ありがとう、鬼人……私の為に、すっごい一生懸命になってくれて。貴方の想い……バッチリ届いたよ」

 私はそう言いつつ、手を構えた。

「レジェンドクロックッ!」

 そう叫んだ瞬間、目の前で光が弾け、レジェンドクロックが現れる。
 私はそれを片手で受け止め、もう片方の手を掲げる。
 すると、光が絡みついて、サンダーブレス・改になる。

「鬼人の気持ちを悪用したアンタを、私は許さないッ!」

 そう言いながら、私はレジェンドクロックを構えた。

「侵掠の火よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! フレイムエクスプローションッ!」

 そう叫ぶと、巨大な炎の塊が飛ぶ。
 それはオンネーンに着弾した瞬間、巨大な爆発を起こした。
 やがて、その爆風に乗ってテスト用紙が飛んできたので、私はそれをキャッチした。

「さぁ、後はオグルだけ……っていない!?」

 オグルにもトドメを刺してやろうかと思ったが、すでにそこには誰もいなかった。


「ごめん! 途中で見失って……」

 それから少しして、鬼人が駆け寄ってくる。
 すでに変身を解いていた私は「遅いよ〜」と言いつつ、彼に駆け寄った。

「あ、見てみて、テスト用紙、ここまで飛んできてたみたい!」
「そ、そうか……よく見つけたな」
「ヘヘッ……それよりさぁ」

 私はそう言いながら、鬼人の顔を覗き込む。
 何のことかわかっていないのか不思議そうな顔をする鬼人に、私はクスッと笑った。

「鬼人、すっごい一生懸命、このテスト作ってくれたんだね!」
「はぁ? 何の話だ?」
「も〜。照れなくても良いよ〜。ちゃんとわかってるからさ!」

 私の言葉に、鬼人は不思議そうに首を傾げた。
 それにしても、そっか……鬼人があんなにたくさんの想いを込めて作ってくれたテストなら、それが初100点で良かったのかもしれない。
 未だに私の言っていることが理解できていない様子の鬼人を見て笑いながら、私は、そんなことを心の中で思っていた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.293 )
日時: 2017/07/26 18:41
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第44話「図書館デート!?朱莉と鬼人急接近!」6

 それから数日後、テスト返却。
 追試を受けた生徒の名前を呼ぶ江沢先生の声に、私は胃を押さえた。

「大丈夫だって! きっと受かってるよ!」

 蜜柑がそう励ましてくれるが、まともに受け答えする余裕がない。
 受かっているかどうかも大事だが、もっと大事なのが……。

「朱莉。火場朱莉」
「は、はい!」

 私は慌てて返事をして、立ち上がる。
 それから先生の所まで行くと、先生は驚いたような、でも嬉しそうな顔で私の肩を叩いた。

「すごいぞ朱莉。よく頑張ったな」
「ほえ?」

 間抜けな返事をしてしまう。
 江沢先生はそれに笑って、追試のテスト用紙を渡す。
 私は、改めて緊張しつつ、ゆっくりと、テスト用紙を開く。
 そして、息を呑んだ。
 そこには、赤いペンで書かれた『100』の文字が躍っていた。


「それにしても、未だに信じられないよ。朱莉ちゃんが数学で100点を取るなんて」

 放課後になり、帰りの用意をしていた蜜柑が、そう言ってくる。
 まぁ、私もまだちょっと信じられない部分があるからなぁ……。

「へっへーん。これが私の実力だよ」

 なんとなく胸を張って言うと、蜜柑は「はいはい、すごいすごい」と言って笑った。
 ……すっごい適当。

「そう言いつつ、本当は、鬼人さんに勉強を教えてもらったんじゃないんですか?」
「うぐッ……ばれたか」

 私の返答に、皐月は困ったような笑みを浮かべた。
 しかし、すぐに真剣な表情になって、私の肩に手を置く。

「あの、朱莉、実はその……」
「あ、もうそろそろ行かないと! ごめん、その話はまた今度!」

 時計を見た私は慌てて皐月の言葉を遮り、鞄を肩に掛けて教室を飛び出した。


<オグル視点>

 吐いた息が、白く染まる。
 道行く人々を眺めながら、俺は、目当ての人間を待つ。
 ……敵であるプリキュアと待ち合わせをして、さらにこうしてちゃんと待つなんて、俺も随分丸くなったものだな。

「ごめーん! 待った!?」

 その時、目的の相手の声が聴こえ、俺は顔を上げた。
 そこには、学校の制服の上に赤いコートを着たキュアフレイムが、こちらに向かって走って来るのが見えた。

「あぁ、待った。遅いぞ」
「え〜でも待ち合わせの時間ちょうどじゃん。どれだけ早く待ってたのさ?」
「……」

 特にすることもなかったからずっと待ってた、なんて、言えないな。
 絶対それを言ったら、コイツのことだから何か茶化してくる。

「それより、テストの結果はどうだったんだ? それだけのために呼び出されたんだぞ」
「あぁ、そっかそっか。えっとねー」

 キュアフレイムはそう言うと肩から鞄を下ろし、中をゴソゴソと漁り始める。
 ……おい。中身汚いな……一応女だからもう少し整理整頓をだなぁ……。

「ハイッ!」

 そこまで考えていた時、キュアフレイムが鞄から引っ張り出したテスト用紙を見せてくる。
 ふむ。全部丸な上に、名前の横に書かれた赤字での『100』。
 ……はいはい、そういうことね。

「まぁ、当然の結果じゃないか?」
「何それ! もっとちゃんと褒めてよ!」

 不満そうに頬を膨らませながら言うキュアフレイム。
 めんどくせぇ……でもまぁ、勉強を頑張ったのも事実だしな。うん。

「……よく頑張ったな」

 俺はそう言いつつ、キュアフレイムの頭に手を置いた。
 もし、ここで変身を解けば、一瞬で奴の脳天を破壊することだって可能だ。
 しかし、なぜかは分からないがそういうことをする気にならず、冬の寒さで冷たくなった少女の赤髪をただ撫でていた。

「ヘヘッ……だから、鬼人は私より馬鹿ってことで良いよね?」

 撫でられながら悪戯っぽく笑うキュアフレイム。
 なぜか不思議と、その顔に腹は立たず、俺は「あぁ、良いよ」と言って、笑った。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.294 )
日時: 2017/07/26 20:39
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

間話4「秘密基地」

「ホラ、蜜柑走って! ヒロインにも体力は必要だよ!」
「そう、言われても……これでも、全速力だよぉ……」

 かなり疲労困憊した様子で言う蜜柑に、朱莉はムゥと頬を膨らませた。
 現在、二人は裏山を走っている。主に朱莉による『ヒーローになるための特訓』だ。
 とはいえ、蜜柑の体力があまりにも絶望的であるため、仕方なく朱莉は蜜柑の隣を一緒に歩く。

「朱莉ちゃんは走ってて良いんだよ? 私は帰っておくから……」
「だからだよ! ダーメ。歩くだけでも体力はつくし、蜜柑は引きこもりすぎだよ」
「朱莉ちゃんが元気すぎるの」

 蜜柑の言葉に、朱莉は「ぐぬぬ……」と悔しそうに顔をゆがめる。
 その様子に苦笑しつつ蜜柑が前を向いた時、目の前に見えたとあるものに、彼女は足を止めた。

「ん……蜜柑、何してんの?」

 朱莉も立ち止まり、視線を上げる。
 すると、そこには洞窟のような、洞穴のようなものがあった。

「何だろうあれ……」
「洞窟……中にモンスターがいる予感!」
「あ、ちょっと朱莉ちゃん!」

 目をキラキラさせながら走り出す朱莉を、蜜柑は慌てて追いかける。
 やがて、朱莉は洞窟の前に立つと、大きな声で「たーのもー!」と声をあげた。

「たのもー……って、朱莉ちゃん、道場破りじゃないんだから……」
「えへへ。それにしても、何も無いねぇ」

 朱莉はそう言いながらテクテクと洞窟に入っていく。
 蜜柑は慌てて彼女の後に続いて、中に入った。

「うん……まぁ、ただの洞穴なのかもね、本当に」
「んー……期待してたのと違う」
「逆に中にモンスターなんていたら怖いから」

 蜜柑がそう情けなく声を漏らした時、ポツッと水音がした。
 それに二人は動きを止め、外を見る。
 すると、ザァーという音と共に、大粒の雨が降り注ぐ。

「え、嘘! なんで!」
「さっきまで歩くのに一生懸命で、空なんて全然見てなかったからねぇ……曇ってたのかなぁ」
「えぇー……」

 眉をハの字にして不満の声をあげる朱莉。
 しかし、どんなに不満を抱いたところで、天候は変わらない。
 仕方がないので、二人は洞窟の中で並んで座り、晴れるのを待つ。

「雨……止まないねぇ……」
「そんなすぐ止む雨でも無さそうだからねぇ……」
「んー……」

 そんな会話をしていると、朱莉は、蜜柑の肌に鳥肌が立っているのを見つけた。

「蜜柑、寒いの?」
「え、だいじょ……ヘクシッ」

 否定しようとした蜜柑は、クシャミをする。
 それに朱莉は苦笑して、両手を広げた。

「ほら、おいで。温めてあげるから」
「え、良いよそんな……」
「まぁまぁ、良いではないか〜」

 朱莉は、そう言って蜜柑を抱きしめた。
 最初はビクッとして抵抗しようとしていた蜜柑だが、すぐに止めて、朱莉を抱きしめ返した。
 雨のせいでかなり寒いが、お互いの体温が、互いの体を温める。

「それにしても、この洞窟、結構広いよね〜」

 時間潰しだろうか。朱莉はそう言って辺りを見渡した。
 蜜柑もそれに、朱莉の腕の中から、周りを見る。

「うん……そうだねぇ」
「それでさ、見つけた時から思ったんだけど、ここ、私達の秘密基地にしようよ」
「ひみつきち……?」

 そう蜜柑が聞き返すと、朱莉は大きく頷く。

「うんっ。二人だけの秘密基地! ヒーローっぽくて良いと思わない?」
「うん、良いねっ! 私達の秘密基地っ!」

 蜜柑が明るく笑いながら言った言葉に、朱莉は「だよね!」と笑う。
 そして、蜜柑の手を握った。

「これからもさぁ、今みたいに、色々な冒険とかしたいよね」
「今って冒険なのかなぁ……でも、そうだね。たくさん遊んで、いっぱい、朱莉ちゃんと思い出作りたい!」
「蜜柑っ……」
「朱莉ちゃん……」

 二人は至近距離でしばらく見つめ合う。
 やがて、二人同時に笑い合い、コツン、と額を付け合わせた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.295 )
日時: 2017/07/26 22:06
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第45話「メリークリスマス!聖夜に降るは恋の雪!?」1

−−−

 幽鬼軍の拠点。その中で、胡坐をかいて座るオグルは、自分の右手をジッと見ていた。

『ヘヘッ……だから、鬼人は私より馬鹿ってことで良いよね?』
『鬼人の気持ちを悪用したアンタを、私は許さないッ!』
『折角鬼人が私の為に作ってくれたテストなのに……』

 ———……アイツの言葉の、一言一言が、どうしてこうも俺の気持ちを揺さぶるんだ。
 慣れない感情の起伏に、オグルは、自分の手をジッと睨む。
 皐月の記憶から生まれた彼にも、人間の感情というものは分かる。
 その、知っている限りの知識では、自分がキュアフレイムこと朱莉に抱いている感情は……恋。

「……ハハッ、笑わせてくれる。幽鬼軍の頭領である俺が、プリキュアのリーダーであるあの女に恋なんてな」

 そう苦笑しつつも、すでに、オグルの気持ちは固まっていた。
 ———好きならば、あの女を手に入れてやる。
 ———俺には、その力があるのだから。

 本人は無自覚だが、彼の体からは、大量の怨気が溢れ出ていた。
 ただでさえ膨大なオグルの怨気は、彼から溢れる負の感情を吸って、さらに大きくなっていく。
 欲望、嫉妬、熱情。巨大に膨れ上がっていく感情を抑えながら、オグルは笑う。

「絶対に手に入れてやるよ、キュアフレイム……アウラシュリフトロレの力ごと、お前をなァ……!」

−−−

「クーリースーマースーだー!」

 クリスマスのイルミネーションで彩られた街を眺めながら、私はそう叫んだ。
 それに、例によって、蜜柑はため息をつく。

「毎年のことだけど、朱莉ちゃん、よくこの寒い時期にそんなにテンション高くなれるよねぇ……」
「そうかしら? 走ればすぐに温かくなるけど」
「そんなことをするのは千速だけです」
「……?」

 不思議そうに首を傾げる千速。
 キョトン、じゃないよ。今ガッツリ馬鹿にされてるよ。

「ハハッ、この季節になると、千速に付き合わされて村の中を全力で走っていた時期が懐かしいよ」

 今日は折角のクリスマスということで、フウマルとライデンも人間の姿になっている。
 それにしてもフウマル……すごく遠くを見ているけど、その全力疾走で何かあったの……?

「皐月はこの季節になると、毎年風邪を引いていたなぁ……今年は無事そうで何よりだ」
「毎年じゃないです。幽鬼軍に捕まっていた時期は風邪引きませんでした」
「あ、そこ引き合いに出す?」

 千速のツッコミに、皐月は「ダメですか?」と答える。
 いや、皐月にとってその時期って思い出したくないトラウマとかじゃないの……?
 まぁ、気にしてないならいいけどさ。

「とりあえずさ、もうそろそろ日も暮れるし、イルミネーション見に行こうよ! 綺麗だよ!」

 ひとまず、なんだか微妙な空気になったので、私は手を打ってそう言った。
 私の言葉に全員頷いたのを確認して、私達は歩き出した。
 折角のクリスマスなんだ。楽しまなきゃ損でしょ!


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