二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.80 )
- 日時: 2017/05/14 22:31
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第12話「まさかの喧嘩!?朱莉と蜜柑のすれ違う気持ち」1
朝が来た。……来てしまった。
私はベッドのシーツを強く握りしめ、ゆっくりと起き上がる。
昨夜はあまり眠れなかった。あと、妙に胃が痛い。
『だって、私と蜜柑は、友達ってだけで、結局は他人だもん!』
「あぁぁぁ! なんであんなこと言っちゃったんだろう!」
髪の毛をガリガリと掻きながら叫ぶと、近くを歩いていた紅助が「急にどうしたんだよ!」と声を上げる。
「紅助には関係ない!」
私は怒鳴り、シッシッと紅助を追い払った。
そこで、私はハッとした。
そういえば私……なんだかんだ、蜜柑を雑に扱ったこと、無いよね。
小さい頃から内気で大人しい蜜柑は、私の中ではまるで、ちょっと雑に扱ったらすぐに死んじゃう小動物のようで。
だから、今まで蜜柑のことは大切にしていたのに。
「なんであんなことでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「姉貴うるせぇよ!」
「アンタがうるさい!」
これは参った。
それに、蜜柑ってすごく撃たれ弱いんだよね……。だからこそ私が守っていた感じだし……。
あれ。もしかして私、取り返しのつかないことをやらかしたんじゃ……。
「蜜柑カムバーックッ!」
「朝からうるさい! 遅刻するよ! 蜜柑ちゃんだって待ってるだろうし」
お母さんの言葉に、私はズキッと胸が痛くなった。
……いないんだよなぁ……。
それからは、なぜか食欲も湧かなくて、朝ご飯にはほとんど手をつけずに、朝の準備をして家を出た。
もちろん蜜柑の姿は無くて、私はいよいよ泣きそうになる。
「朱莉おはよ……どうしたの、その顔」
一人で通学路を歩いて行くと、交差点から千速が出てきた。
挨拶をしてきた彼女は、私の顔を見て若干笑みを引きつらせる。
その後で、辺りを少し見渡した後で、彼女は首を傾げた。
「……蜜柑は?」
そう言われた瞬間、私の目から涙がドバッと出た。
唐突な出来事に、千速はオロオロとしつつ、ポケットからティッシュを差し出してくれた。
私はそれで鼻をかみ、涙を拭う。
「あぁ……そういえば、喧嘩してたわね。ごめんなさい。気遣いができなくて」
「ううん、千速は悪くないよ。今回悪いのは、全部私。……八つ当たりとか、最悪だよぉ……」
「……今まで喧嘩とかしたことなかったの?」
「ないよ」
「……」
なぜか白けた目を向けてくる千速。
なんだよ文句あるのか。
そんなやりとりをしながら教室に入ると、見覚えのある後ろ姿があった。
「蜜柑……!」
一人で席に座る蜜柑は、何か問題集をひたすら解いているようだった。
今までそんなことしているのを見たことない……って、休憩時間になる度に話しかけてたんだから、当たり前か。
とにかく、目の前に蜜柑がいる。
そう思った瞬間、手に汗をかいて、私はギュッと強く握りしめる。
「みか……」
「遠山さん。今日の日直、私とだから、一緒に職員室行こう」
しかし、それを遮るように、同じクラスの寺島 冬華が声を掛けた。
「え? あぁ……うん」
そう返答した蜜柑は、すぐに勉強道具を机の端にまとめ、立ち上がる。
その時にチラッと、こちらに視線を向けてきた。
ちょうど……目が合った。
「み、蜜柑! 昨日は……」
私が謝るより先に、怯えた様子で目を背け、足早に冬華の後を追いかけていった。
ポツンと残された私に、千速が哀れみの目を向けていた。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.81 )
- 日時: 2017/05/15 18:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第12話「まさかの喧嘩!?朱莉と蜜柑のすれ違う気持ち」2
<蜜柑視点>
「……であるからして、かけられている数字のことを次数と……」
先生の言葉が、私の耳を特に引っ掛かることなく通り過ぎて行く。
元々この範囲はすでに予習済みなので、別に今更授業を聞き逃しても、次のテストで支障が出ることはないだろう。
問題は、それよりも……———
「それじゃあ次の問題を……っと、珍しく真面目にノートを取っている、火場いってみようか」
「……へ?」
斜め後ろの席から、間の抜けた声がする。
相変わらずだなぁ、朱莉ちゃんは。
先生もその反応に苦笑しつつ、一つの問題を示した。
「ふぇ、えっと……えっ。何これ……」
焦る声がする。
いつもなら、ここで私がサポートを入れて、朱莉ちゃんがそれを言って、先生が「また遠山に助けてもらったのか」と言って、皆が笑う。
でも、今は……。
「……分からないのか?」
「えっ……あ、はは。そうなんですよぉ」
「仕方ないな。じゃあ代わりに、遠山。答えてくれ」
「えっ?」
まさか私が当てられるとは思っていなかったので、間抜けな感じの声が漏れた。
私の反応に、先生は少し引きつった笑みを浮かべた。
しかし、すぐに私は立ち上がり、ノートを見る。
幸い、解答は書いてあった。
「えっと、7x−1、です」
「おぉ。正解だ。ホラ火場。お前の友達はこんなに頭が良いんだぞ。もっと見習え」
「あ、ははは……そう、ですね」
かなり沈んだ声。
なんとなく、私は眼球だけ動かして、後ろの席を見てみた。
……目が合ってしまった。
「あ……蜜柑……」
「……」
私は何も言わずに、視線を逸らす。
それからは、順調に授業は行われ、昼休憩になった。
「ねー。さっきの授業、意味不明じゃない?」
「だよねー。特にここの問題とかさぁ」
そんな声が聴こえ、なんとなく、私は視線をそちらに向けた。
すると、そこでは先ほどの問題について、クラスの中で割と派手な方の女の子達が話していた。
……あぁ。確かにこの範囲は難しいかもね。
私はぼんやりと眺めながら、心の中でそう呟いた。
その時、顔を上げた一人と、バッチリ目が合った。
「遠山さん? 何見てるの?」
「えっ? あぁ、いや……」
普段の私なら、ここで驚いて、すぐに朱莉ちゃんの背中にでも隠れるのだろう。
しかし、自分でもよく分からないけど、なんだか何もかもがどうでもいい状態になっていた。
気付いたら私は、椅子を引っ張って彼女の机の近くに持って行き、教科書を覗き込んだ。
「えっとね、この問題では、ここを……」
私が説明をしてみると、その場にいた全員が「おぉ〜!」と歓声をあげた。
「え、待って超分かりやすい! それじゃあ、ここの問題は!?」
「あぁ、ここは……」
気付いたら、なぜか私の周りだけ講習会みたいな状況になっていた。
人に見られるのは恥ずかしいけど……別に、どうでもいいや。
ここで私が恥ずかしい思いをしなかったら、朱莉ちゃんと仲直りできるってわけじゃないし。
もうどうにでもなれ。
「わぁ、本当に分かりやすい」
「ねぇ、そろそろ弁当食べないとヤバくない?」
近くにいた別の女子の言葉に、彼女は時計を見て、慌て始める。
私としては別にお腹も空いていないので、関係ないけれど。
……おかしいな。朝ご飯も、ほとんど手を付けずに出たのに。
「えっ。うわ、本当だ。あ、遠山さんも一緒に食べようよ!」
「え……でも、私なんかが悪いよ……」
「良いよ良いよ! 本当はさ、遠山さんとは一緒に話してみたかったんだ。でも、朱莉とばかり話してるから」
「そっか……でも、ごめん。今、食欲無いから……」
私が断ると、「大丈夫?」と心配そうに言ってきてくれる。
大丈夫じゃないかな。でも……。
「大丈夫」
笑顔と共に言って見せると、彼女達は「そっか……」とすぐに下がった。
……あぁ、やっぱり、何か違うなぁ。
朱莉ちゃんなら、きっと、ここで「全然大丈夫じゃない!」とか言ってグイグイ来るのに。
昔は苦手だったのに、気付いたら……朱莉ちゃん相手には、普通になっていた。
「ごめん、ちょっと……トイレ行ってくる」
私は適当にそう断って、教室を飛び出した。
なんだかすごく、気分が悪かった。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.82 )
- 日時: 2017/05/15 20:35
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第12話「まさかの喧嘩!?朱莉と蜜柑のすれ違う気持ち」3
少し遡り、数学終了後。
<千速視点>
朱莉の席に近づいた私は、彼女が黙々と行っているものを見て、少し引いてしまった。
「えぇっと……朱莉?」
「……」
……ノートにただただ書き連ねられた『蜜柑』という文字。
あと、教科書の行でなんとなくわかったけれど、書いているノートは先ほどの数学ではなく、恐らく一時間目の国語……まさか、朝からずっと書いてるの?
「朱莉……?」
「……あぁ……千速……」
死んだ目で私を見て言う朱莉に、私はいよいよ彼女の身が心配になってくる。
よく見ると顔色は最悪で、ひとまず、私は彼女の手を引いて無言で屋上に連行した。
そして、その際にたまたま見えたのだけれど、あの蜜柑が、茶髪に髪を染めた生徒に自分から話しかけていた。
……たかが喧嘩で、この二人の精神へのダメージは一体どうなっているのだろう。
「……」
「えっと、弁当食べないの?」
「……お腹空いてない」
「そう……」
屋上について腕を離すと、彼女はすぐに床にそのまま座り、体育座りをする。
私は近くの段差に腰を下ろし、弁当を開いて食べ始める。
「……蜜柑のこと、何もかも、分かってるつもりだった」
微かな声。私に言っているというより、一人事のような言い方。
私は少し迷ったが、ひとまず、無視してオカズを頬張る。
彼女は続けた。
「小さい頃から、弱虫で、引っ込み思案で、私が守ってあげないと何もできない子だと思ってた」
「……」
「でもさ、違った。私がいなくても、他の子と楽しそうに話していた。蜜柑に、私の気持ちわかるわけないとか言ったけど……分かってなかったのはむしろ、私の方だったんだなぁって」
……話してる時の蜜柑の目、完全に死んでいたけど。
それに、彼女があんな、派手な感じの子に自分から話しかけるなんて、普通ならありえない。
まぁ、そんな冷静な判断を、ただでさえあまり深く考えない朱莉ができるわけないか。
「そんなの、当たり前なんじゃない? 超能力者じゃないんだし、相手の気持ちを完全に理解することなんて不可能よ」
「違う。違うの。……何が違うのかも、分からないけど」
「はぁ……」
私はため息をつき、卵焼きを口に含んだ。
別に二人が喧嘩をすること自体は構わないけど、それでプリキュア活動にまで支障が出たら困る。
朱莉は、それから体育座りのまま、ただ茫然と地面を見つめていた。
「じゃあ……朱莉は蜜柑とどうしたい?」
私が聞いてみると、彼女はピクッと肩を震わせた後で、俯いた。
「……仲直りしたい」
囁くような声色。
でも、ハッキリとした意志。
「仲直りしたら?」
「今まで通り、親友でいたい。一緒に学校に行って、一緒に話して、一緒にお昼ご飯食べて、一緒に帰りたい。それで……それで……!」
「分かった分かった。つまり、蜜柑と一緒にいたいんでしょう?」
「……うん」
小さく頷く朱莉に、私は苦笑した。
「だったら、それをそのまま蜜柑に伝えれば良いじゃない。蜜柑だって、貴方の想いを聞いたら、きっとすぐに仲直りできるわよ。悪気は無かったんだし」
「うん……そうだね。よっし!」
元気よく立ち上がる朱莉。
相変わらず単純だ。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.83 )
- 日時: 2017/05/15 21:31
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第12話「まさかの喧嘩!?朱莉と蜜柑のすれ違う気持ち」4
<蜜柑視点>
「朱莉ちゃん……」
トイレで手を洗いながら、口からつい、声が漏れた。
慌ててビショビショになった手で口を塞ぐが、幸い、女子トイレには私以外誰もいない。
……私は口から手を離し、ため息をつく。
「私が仲直りしたくても……朱莉ちゃんがなぁ……」
そう呟いた時、窓の外に、黒い影が見えた。
咄嗟に窓を開いて外を見ると、猿のような見た目のオンネーンが校庭で暴れていた。
よりによってこんな時に……。
朱莉ちゃんは気付いているかな? ……ううん。私の力で戦わなくちゃ。
「お願い。力を貸して。アウラシュリフトロレ」
呟いてから、私はそれを構えて叫ぶ。
「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」
それと同時に目の前を文字のようなものが舞い、私は変身する。
「動かざること、山の如し! キュアモンテ!」
名乗りが終わるのと同時に、私は窓から飛び出し、すぐにオンネーンに向かって駆ける。
「動くこと、雷霆の如し! サンダーブレス! モンテ!」
『サンダーブレスだって真っ先に手に入れちゃうしさ!』
「……ッ!」
オンネーンを殴ろうとした時、朱莉ちゃんの言葉を思い出し、動きが一瞬止まる。
その隙を突いて、オンネーンは私の目の前から消えた。
直後、体に衝撃が走り、私は地面を転がった。
「く……!」
慌てて立ちあがると、オンネーンが追撃を加えようとこちらに走ってくるのが見えた。
私はすぐにサンダーブレスを付けた手を構え、叫ぶ。
「不動の山よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! モンテムーロ!」
一枚の壁で強度を集中させて、盾にする。
それと同時に、オンネーンの攻撃がぶつかる。
硬さはあるから、きっと破られることはない。
でも、私には浄化技がないから、決定打がない……。
『……蜜柑は私より、何でもできるじゃん』
「何もできないよ……私、朱莉ちゃんがいなかったら、何もできない……」
弱音が口から零れる。
勉強は、朱莉ちゃんに教えるために頑張っている内にできるようになっていた。
少しでも朱莉ちゃんに近づきたかったから、私、頑張った。
でも……———。
そこまで考えていた時、背後から気配がした。
もしかして、回り込んできた? 嘘、そんな……!
殴り飛ばされて吹き飛ぶ中、朱莉ちゃんの言葉が蘇る。
『蜜柑に私の気持ちなんて分かるわけないよッ! だって、私と蜜柑は、友達ってだけで、結局は他人だもん!』
地面に背中を打ち付け、私はただぼんやりと、虚空を見つめる。
結局は、朱莉ちゃんにとって、私は他人。
「朱莉ちゃんにとっては私なんて……結局は、どうでも良い存在だったのかな……」
「そんなわけないッ!」
その時、そんな声と共に、炎がオンネーンに当たる。
視線を向けるとそこには……キュアフレイムに変身した朱莉ちゃんが、立っていた。
- Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照1000越え】 ( No.84 )
- 日時: 2017/05/15 22:54
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第12話「まさかの喧嘩!?朱莉と蜜柑のすれ違う気持ち」5
<朱莉視点>
「モンテ、大丈夫!?」
私が叫ぶと、モンテは驚いたように目を丸くして、オロオロと目を泳がせる。
あぁ、言葉が出ない。この次、私はなんて言えば良いんだろう。
迷っている時、モンテの唇が動いた。
「来ないでッ!」
……明らかな、拒絶。
今までテンポ良くのぼっていた階段から突き落とされたかのような絶望感にさいなまれる。
「えっ……」
「あっ、朱莉ちゃんにとって、私は他人なんでしょう? だったら、私のことなんて、関係ないじゃん」
私の馬鹿ああああああッ!
昨日の自分を今すぐ殴りに行きたくなる。
呻いている間に、モンテはフラフラと立ち上がり、オンネーンに立ち向かおうとする。
私は咄嗟に彼女の腕を掴んだ。
「無理だって! モンテは攻撃技がないんだから……!」
「離してよ! 朱莉ちゃんの中では、私はなんでもできるんでしょう? だったら無視して……」
「私が勘違いしてたの!」
私はモンテの……蜜柑の肩を掴み、こちらに振り向かせる。
そして、一度深呼吸をして、叫ぶ。
「そりゃ、蜜柑はすごいよ! 勉強もできるし、いつも私が無理しようとしたら止めてくれる!」
「そんなの……」
「でも、運動はできないし、引っ込み思案で、いつも私の後ろに隠れる弱虫!」
「……」
「でも……でもさぁ……話しかけてたじゃん……自分から誰かに話しかけて、私がいなくても、自立できるすごい子じゃん……むしろ蜜柑より私の方が、何もできなくて……」
気付いたら、涙がボロボロと零れていた。
モンテは驚いた様子で私を見つめて、「朱莉ちゃん……」と掠れた声でそう言った。
そして、優しく微笑んだ。
「ううん。朱莉ちゃんの方が、すごいよ。運動はできるし、明るくて、皆を引っ張れるすごい子。でも、猪突猛進で、後先考えずに人のために無理しちゃうし……自分の意志が強くて、グイグイくるし」
「うぅ……」
「でも、私はそんな朱莉ちゃんが良いんだ。他の子と話したら、なんか違うなって。多分、朱莉ちゃんの代わりを他の誰かで埋めようと思ったんだと思う。でも違った。私には、朱莉ちゃんじゃないとダメなんだよ」
「蜜柑……」
蜜柑は私の手を握り返し、微笑む。
あぁ……いつもの蜜柑だ……。
優しくて、大人しくて、弱虫で……でも、本当は、強くて、頼もしい。誰よりも大切な……蜜柑だ。
「私……勘違いしてた。こんなに大きな力を手に入れたせいで、大事なもの、見失ってたんだ」
「大事なもの……?」
「うん。……蜜柑と一緒にいれる時間。当たり前になっていたそれが、すごく、大切だって気付いたの。だから、その当たり前を守るために……私は、戦うッ!」
そう叫んだ瞬間、体に熱いものが駆け巡る。
直後、右腕に何かが装着され、私はすぐに叫ぶ。
「動くこと、雷霆の如し! サンダーブレス! フレイム!」
今までこの力は、敵を倒すための力だと思っていた。
でも、分かったんだ。
この力は、何かを倒すための力じゃない。
大切な何かを守るために、そして、人のために、使うんだ。
「……このことを蜜柑に気付かされるなんて、まだまだだなぁ」
私は苦笑し、真っ直ぐオンネーンを見つめる。
自分にとって大切なもの。それを自覚した今……私はもう、迷わない。
「侵掠の火よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! フレイムバーンッ!」
叫ぶのと同時に、業火がオンネーンを襲う。
炎が消えると、その場には何も残らず、焦げた地面だけが残された。
やがて、その地面も元に戻り、後には何も残らなかった
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