二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.256 )
日時: 2017/07/22 13:59
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「遊べ!楽しめ!文化祭!刻め青春の一ページ!」2

 それから私の担当時間は滞りなく進み、自由時間になる。
 ちょうど、蜜柑や皐月、千速と自由時間が被ったので、四人で回ることにした。
 しかし、私達にはするべきことがあるので、一度人目に付かない校舎裏まで移動する。

「だから、オイラは別に良いって!」
「良いから良いから。折角の文化祭ですよ?」
「千速。本当に拙者も行かないとダメか?」
「うん。フウマルと回りたいなぁ……」

 そんな謎の説得の末、ライデンとフウマルは人間の姿になる。
 まぁ、折角年に一回の大イベントだしね。この二人にもしっかり楽しんでもらわないと。
 ちなみに勇太は見事に玉砕した。
 ごめんね勇太……あんなこと言いつつ、すでに私達が蜜柑と回る約束しちゃってて……。

『み、蜜柑! 自由時間、俺と一緒に……!』
『あ、ごめん……朱莉ちゃんと回る約束しちゃってるから……』

 あの時勇太が私を見た時の目は忘れられない。
 ごめん。ホントごめん。マジでごめん。
 蜜柑があそこまで迷わずに私を優先してくれるとか思ってなかっただけなんだ。ごめんなさい。

「朱莉ちゃん、何してるの? 早く行こ?」

 その時、蜜柑がそう言って来た。
 私はそれに頷き、皆の後を追いかけた。

「それじゃあどこ行こうか……とりあえずお化け屋敷?」
「とりあえずでそんな気軽に選ばないでよ……怖いんだから……」

 そう言って自分を抱きしめるような素振りをして震えあがる千速。
 ちなみに千速と蜜柑の怖がりは周知の事実と化しているので、二人は呼び込みのようなことをしていた。
 なんで皆が知っているのかって? 蜜柑は去年の事件ですっかり知れ渡ったし、千速は今年の準備中に何度かビビってたからね。
 あと皐月にドS疑惑が立ちあがったりもしてるけど……それはなんでなのか分からないや。

「ねぇ、あの人カッコよくない!?」
「あの男の子可愛い〜。アイドルか何かかな?」

 そして、歩いていると女子達の黄色い悲鳴が巻き起こる。
 まぁ、この二人かなりのイケメンだからねぇ……仕方ないか。

「ライデン、すごい人気ですね」
「そうなのか……? それより皐月、俺から離れるなよ。ま、迷子にならないように……」
「なりませんよ。自分が通ってる学校ですし。それこそ、ライデンの方こそ、私から離れないでくださいね?」
「うぅ……分かった」

 小さく頷くライデンの手を握って、皐月は微笑む。
 ふーむ……これまた甘酸っぱいことで。

「千速。大丈夫か? その、拙者のせいで悪目立ちしたりしたら……」
「別にそれくらいは平気だけど……」
「そうか……あ、変な男に絡まれたら、すぐに言えよ。場合によっては、拙者がなんとか……」
「大丈夫だってば!」

 そしてこっちは過保護、と……。
 いやぁ、やはりこの二人はどちらかというと親子のような雰囲気がある……。
 まぁ、そういう系に無縁な私には関係ないか。
 そんなことを考えながら、私達は自由時間の間校舎を回った。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.257 )
日時: 2017/07/22 15:54
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「遊べ!楽しめ!文化祭!刻め青春の一ページ!」3

 それからもう一度担当時間になり、それから、午後の部の残りは自由時間のみとなった。
 しかし、蜜柑は二日目のリハーサルやらその他生徒会の仕事、そして、千速は陸上部の出店の当番で、皐月とライデン、フウマルは、その付き添いに行った。
 私もそちらに行けば良いかと思ったが、たまには異世界組でワイワイするのもありかと思ったのだ。
 とはいえ、暇だなぁ……適当に女友達でも探して声掛けようか。
 そう思っていた時だった。

「……朱莉……?」

 聞き覚えのある声が聴こえ、私は足を止めた。

<オグル視点>

 プリキュア達が通う学校で、文化祭、とかいう、よく分からない行事をしているという情報を手に入れた。
 折角だから、監視して、ついでにプリキュアの弱点でも探ってやろうかと思ったのだが……。

「人多いな……」

 周りを埋め尽くす人の群れに、俺はそう呟いた。
 なんでこんなに人がいる……って、一応これは祭りなのか……。
 おかしい……俺がプリキュアに関する情報を集めようとする度に、人ごみが多いような気がする。
 忌々しく舌打ちをしていた時だった。

「ん……? あれは……」

 見覚えのある後ろ姿が見え、俺は立ち止まる。
 赤い髪が揺れ、退屈そうな顔で何かを探すように歩き回っている影。
 それを見た瞬間、俺の中で、何かが乱れた。

「……朱莉……?」

 そう名前を呼ぶと、キュアフレイムは足を止め、こちらに振り返った。
 そして、パァァァと目を輝かせた。

「鬼人! 来てくれてたの!?」
「あ、あぁ……まぁな」
「そうなんだぁ! ちょうど退屈しててさぁ! 一緒回ろうよ!」
「はぁ……?」

 俺がそう聞き返すと、キュアフレイムはムッとして、俺の腕を掴んだ。

「だからぁ! この文化祭一緒回ろうって言ってるの! 蜜柑は生徒会の仕事で行っちゃうし、他の皆も陸上部の出店の方に行っちゃうし……」
「そうか……」
「んー……私も何か一つの部活に入った方が良いのかなぁ」

 腕を頭の後ろで組みながら言うキュアフレイムに、俺はため息をつく。
 全く……仮にも俺は敵なんだから、少しは緊張感を出せよ……。
 と言っても、向こうは気付いていないのかもしれないが。
 でも……———。

「おい、朱莉」
「ん? なぁに〜?」

 こちらを向いたキュアフレイムの手首を掴み、近くの壁に当てる。
 もう片方の手で奴の肩を掴み、壁に押し当てる。
 そして顔を至近距離まで近づけて、観察。

「えっと……鬼人……?」
「朱莉……」

 ……なぜだ?
 なぜコイツはここまで……俺に一切、恐怖を抱かないのだ?
 自然にコイツを誘導して、今、俺は人通りの少ない階段の横の細い通路のような場所に連れてきている。
 わざわざ覗き込まなければ分からないような場所だ。
 俺に一切疑問を抱かずにここまで来たコイツが馬鹿すぎるほどの場所なのだ。
 そんな場所で、男にこうして迫られて……それなのに、なぜ、コイツは俺を疑わない?

「朱莉……お前は俺が怖くないのか?」
「怖いわけないじゃん。だって鬼人だもん」

 あっけらかんと言うキュアフレイムに、俺は言葉を失う。
 キュアフレイムはそれに笑う。

「ところで、そろそろ行こうよ。こんなことしてても時間の無駄だし」
「時間の無駄……?」

 そう呟いた俺に、キュアフレイムはごく当たり前のことのように頷く。
 なぜかそれがすごくショックで、奴を壁に押し付ける力が弱くなる。
 すると、キュアフレイムはすぐに俺から離れ、そして、俺の着ている服の袖を掴んだ。

「ホラ、行こうよ鬼人! 色々回らないと損だよ!」
「あ、あぁ……」

 結局、俺は流されるように、キュアフレイムと一緒に文化祭とやらを回った。
 その日は気分が乗らなかったから、オンネーンは出さなかった。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.258 )
日時: 2017/07/22 17:15
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「遊べ!楽しめ!文化祭!刻め青春の一ページ!」4

<朱莉視点>

 ついに文化祭二日目だ。
 いつものように途中合流をした私達四人は、学校に登校していく。

「そういえば、昨日の午後は朱莉ちゃん一人だったんだって? 誰かと回ったの?」
「ん? あぁ、うん。鬼人が来てくれてたから、一緒に回ったんだ」
「鬼人……確か、花火大会の……」

 皐月の言葉に、私は頷く。
 すると、皐月は曖昧な表情で目を伏せた。

「あの、朱莉……その人とは、もう……」
「そういえば、今日は生徒会のバンド演奏がある日だっけ?」

 皐月の言葉を遮るように、千速がそう言った。
 それに、皐月は「あぅ……」と言って俯いた。
 千速……人の話聞こうよ……。

「うん、そうだよ。上手くできるかは分からないけど……」
「でもベース、結構上手いって言ってたよね? きっと上手くいくよ!」
「ん……ありがとう」

 そう言って微笑む蜜柑に、私も笑う。

「ところで……皐月、さっき何か言いかけてたような気が……?」

 私がそう言いつつ視線を向けると、皐月は少し驚いた表情で顔を上げた。
 そして、首を横に振った。

「えっと、なんでもありません!」
「皐月ちゃん……前から思ってたけどさ、今言う必要ないからって、大事なこと話さないでいたら、もし、取り返しのつかないことになっても、遅いんだよ?」

 蜜柑の言葉に、皐月は目を伏せる。
 そうなんだよねぇ。ライデンの件も、もしもっと早くレジェンドクロックを手に入れていれば、もっと早くフウマルを元に戻せていた可能性だってあるわけだし、もしかしたら蜜柑が偽物と入れ替わることも無かったかもしれない。
 まぁ、かもしれないとかの話だし、絶対にそうだって言うわけでもないけど。

「でも、これは……朱莉がショックを受けるかもしれないですから……」
「私がショックを?」

 そう聞き返すと、皐月は俯いた。
 どういう意味だろう……?
 首を傾げていた時、蜜柑が「まさか……」と呟いた。

「蜜柑……?」
「……ううん。なんでもない。まだ、確実にそうだ、とは、言えないから」
「そう……?」

 私が聞き返すと、蜜柑は曖昧な笑みで頷いた。

<オグル視点>

 遠目に見えるプリキュア達を眺めながら、俺は舌打ちをする。
 全く……なんで俺はこうしてプリキュアを観察しているんだ。
 俺の見た目年齢上一歩間違ったら変質者だぞ……って、そもそもキュアフレイムのはそんな目で見ていない!
 ……ん? なんで、キュアフレイム限定なんだ?
 そりゃあ、他のプリキュアもそういう目では見ていないが……。

「はぁ……本当に、アイツには調子を狂わされるな……」

 俺はそう呟き、腕に怨気を纏わせる。
 別になんでもよかった。ただ、少しでもこの狂った感覚を抑えられれば、それで。
 適当に近くにあったポストに手を当てて、俺は叫んだ。

「邪悪なる魂よ! 我に仕えよ! いでよ、オンネーン!」

<朱莉視点>

「オンネーン!?」

 顔を上げると、そこにはオンネーンがいた。
 もぉ〜! なんでよりによって学校に行く時に限って!
 私はすぐにアウラシュリフトロレを取り出し、鞄を投げ捨てて三人に向かって叫ぶ。

「皆! 行くよ!」
「「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」」

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.259 )
日時: 2017/07/22 18:33
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「遊べ!楽しめ!文化祭!刻め青春の一ページ!」5

「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ」
「徐かなること、林の如し! キュアフォレスト!」
「風!」
「林!」
「火!」
「山!」
「「「「プリキュア!」」」」

 名乗りを終えた私達は、すぐにオンネーンに視線を向ける。
 今回のは……ポストが素材になってるのかな?
 口から封筒がボロボロ落ちているのを見つめながら、私達は拳を構える。

「折角の文化祭なんだ……一気に決めるよ!」

 私の言葉に、三人が頷くのを確認し、私は手を構える。

「レジェンドクロックッ!」

 そう叫んだ瞬間、目の前が弾け、レジェンドクロックが現れる。
 私はそれを受け止め、手を構える。
 すると、雷撃と共に、手首にサンダーブレスが絡まる。

「侵掠の業火よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! フレイムバーニング!」

 そう叫ぶと同時に、レジェンドクロックから炎を発する。
 しかし、炎がオンネーンに届くより前に、オンネーンの口から大量の封筒が飛び出す。
 すると、勢いよく飛び出した封筒がフレイムバーニングに燃え移り、オンネーンの目の前で炎の壁を作るように燃え盛る。

「な……!?」
「……! フレイム! レジェンドクロックを!」

 その時、ウィングがそう言って私に手を伸ばしてきた。
 私はすぐに頷き、レジェンドクロックを投げ渡す。
 ウィングはそれを片手で受け取り、レジェンドクロックに手をかざした。
 すると、その手にサンダーブレスが絡みつく。

「疾き烈風よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! ウィングストーム!」

 そう叫ぶと同時に、風の球が火の壁に当たる。
 すると、風に炎が絡みつき、巨大な火の球と化す。
 そして、その火の球は、そのままオンネーンに飛んでいく。

「おぉぉぉ! これは、バーニングストームと名付けよう!」
「何言ってるの……早く決着つけるよ!」

 ウィングの言葉に私達は頷き、レジェンドクロックを囲う。

「「「「今、大いなる伝説よ! 我等に力を貸し給え! レジェンドクロック!」」」」

 そう叫んだ瞬間、レジェンドクロックから光が飛んできて、私達の手首に絡みつく。
 やがて、それが派手な腕輪に変わるのを見ながら、私たちは次の言葉を叫んでいく。

「侵掠の業火よ!」
「疾き烈風よ!」
「不動の豪山よ!」
「徐かなる森林よ!」
「「「「今、四つの力よ! 我等に集い、力と成れ!」」」」

 すると、巨大な手裏剣が出てきて、私達はそれに乗って飛んでいく。
 やがて、オンネーンの頭上に行くと、私達は叫んだ。

「「「「プリキュア! オールターンオフイリュージョン!」」」」

 そう叫んでから手裏剣から離れると、それはゆっくりと落下していく。
 私達はそれに背を向けて着地し、胸の前で指を組む。

「「「「忍ッ!」」」」

 背後で爆発音を聴きながら、私は、ゆっくりと視線を上げる。
 そこには、こちらを見下ろすオグルの姿があった。

「オグル……!」
「フンッ……今日はこの辺にしておいてやる……あばよ」

 そう言うと、オグルはどこかに消えていった。
 全く……何がしたいんだか……。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.260 )
日時: 2017/07/22 19:54
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「遊べ!楽しめ!文化祭!刻め青春の一ページ!」6

 午前中は特に問題無く物事は進み、いよいよ午後からは生徒会の演奏が始まる。
 昼休憩中のちょっとした時間に余興的な感じでするらしいが、その割には体育館には人がたくさん集まってる。
 と言っても当たり前だよなぁ……女子にモテモテの秀樹と男子にモテモテの蜜柑が演奏するんだから。
 そりゃあ誰しも見逃せないよなぁ。

「蜜柑大丈夫かなぁ……緊張して失敗とか……」
「朱莉……アンタのその言い方は友達というより保護者目線じゃない?」
「そう?」

 私がそう聞き返したときだった。
 体育館中に黄色い悲鳴が響き渡ったのは。

「お、来たか」

 私はそう呟き、ステージに視線を向けた。
 そこでは、中央のマイクの前に生徒会長である秀樹。
 そして、その華奢な体で持つと大きく見えるベースを持つ蜜柑と、ドラムとキーボードにそれぞれ生徒会員が一人ずつ。
 後から聞いた話だと、この二人は書記らしい。

『ははっ……今日は来てくれてありがとう。皆の時間を無駄にしないためにも、精一杯演奏します』

 秀樹の挨拶に、女子達が甲高い悲鳴を上げる。
 すると、秀樹が蜜柑に何か話す。
 彼の言葉に、蜜柑は顔を赤くして、おずおずとマイクの前に立った。
 え、蜜柑に発表させるの!?

『あ、えっと……皆初心者ばかりなので、あの……精一杯、頑張ります……』

 とてつもなく緊張した様子で蜜柑が言った言葉を聞いた瞬間、男子から野太い歓声があがった。
 すると、秀樹は満足そうに笑って蜜柑を下げる。
 秀樹お前……こうなるの分かっててやっただろ……。

「みかぁぁぁぁぁぁんッ! 頑張れぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」

 その時、人一倍大きな声が聴こえた。
 見ると、そこには声を張り上げている勇太の姿があった。
 かなりでかい声だったからか、蜜柑にもハッキリ聴こえたようで、耳まで顔を真っ赤にして俯く。
 勇太……やるじゃん。

『それじゃあ、最初の曲は……———』

 それから、生徒会の演奏が始まる。
 ……コイツ等本当に初心者か、と思わせるくらいには上手だった。
 うん。すごく上手。カッコいい。
 蜜柑のベースもかなり上手で、それが予想外だった男子達はかなりどよめいていた。
 はっはっは。私の幼馴染を舐めるな。

「フフッ、朱莉、得意げですね」
「んー、まーね。蜜柑の凄さが皆に伝わったのが嬉しくて」
「だから、アンタは蜜柑の保護者かっての……」

 そう言って呆れた様子でため息をつく千速に、私は苦笑した。
 ちなみに千速と皐月は当然保護者同伴。
 と言っても、フウマルとライデンだけど。
 とはいえ、傍から見たら恋人同士に見えるので、きっと文化祭が終わってからこの二人には変な噂が浮上するんだろうなぁ……。
 いや、それを言ったら蜜柑もか。勇太のあれはすごかった。

「全く……皆には春が来っぱなしじゃん……」

 そう呟きながら、私はステージを見た。
 その時、なんとなく、頭の中に鬼人の顔が浮かんだ。
 んー……鬼人は違うと思うなぁ。でも……どうなんだろう?
 試しに胸に手を当ててみる。……鬼人のことを考えても、別に、鼓動が速くなったりする感じはない。
 やっぱりか、と思いつつ、なぜか少しだけ、落胆した自分がいた気がした。


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