二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.170 )
日時: 2017/06/09 22:18
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第25話「夏だ!海だ!対決だ!朱莉VS千速!?」3

<千速視点>

「はあ……疲れたぁ……」

 ミカンの箱を下ろしながら言う蜜柑……あれ、なんだろうこのダジャレ感。
 そんな風に考えていると、朱莉が「お疲れ様〜」と言いながら蜜柑の肩を叩いた。
 ……機嫌良いわね……私より早くミカンの箱を運べたからって。
 そう思っていると、奥からおじさんが出てくるのが見えた。

「おっ、ちょうどいいところに。皆、この人が、この海の家のオーナーの雅治叔父さん。私や蜜柑の母の弟さん」
「雅治です。蜜柑ちゃん以外ははじめまして、だね? ようこそ。今日は遠慮なく海で遊んだりしていきなよ。特別に、色々なサービスは全部無料で貸し出すから」

 そう言ってニカッと笑う雅治さんに、私は「ありがとうございます」とお礼を言った。
 すぐに、朱莉や皐月も同じようにお礼を言って、蜜柑は「そんなにかしこまらなくても……」と苦笑した。

「そうそう。もっと気兼ねな〜くくつろいでって良いんだよ〜」
「柚希ちゃんは遠慮が無さ過ぎ……。そうだ。暑い中大変だっただろうし、スイカ切ってくるよ」
「そんな、大丈夫だって。どうせすぐに海行くし」

 蜜柑がそう否定すると、雅治さんは「へぇ、海」と言った。

「ってことは、水着に着替えたりするんだろう? ここには更衣室もあるから、そこで着替えて行きなよ。着替えてる間にスイカ、切っておくからさ」
「あはは……何から何までありがとう……」

 苦笑しながら言う蜜柑に、雅治さんは「おぉ!」と言って軽く手を振った。
 それから私達は鞄を持って、案内された更衣室で水着に着替えた。
 更衣室を出ると、朱莉がドヤ顔で立っていた。

「フッフッフ……私の方が早かったね」
「朱莉ちゃんまだやってるんだ……千速ちゃん。朱莉ちゃんに何したの?」
「何もしてないわよ?」
「喧嘩でも売ったんですの?」
「うん。二人から私がどう思われているのかはよーく分かった」

 私の言葉に、蜜柑は「冗談だって」と言って微笑んだ。
 本当かなぁ……?
 そう思いながら海の家の中に戻ると、皿の上には綺麗に切り揃えられたスイカが置いてあった。

「わぁ、美味しそう!」

 身を乗り出して言う朱莉に、雅治さんは快活な笑みを浮かべた。

「ははっ、遠慮なく食っていきなよ」
「ありがとうございまーす!」

 お礼を言った朱莉は、早速スイカを一切れ手に取って頬張り始める。
 その様子に呆れつつ、私達もそれぞれ一切れずつ手に取って、シャクシャクと齧り始める。

「そういえば、柚希さんは泳がないんですか?」
「んー? 私は良いよ。中学生に混じってはしゃぐ勇気はない」
「あはは……お姉ちゃんらしいや」

 蜜柑は苦笑混じりにそう言い、スイカを齧る。
 私はそれを聞きつつ、口の中でスイカの種をより分け、プッと種を吹いた。
 それは大きく弧を描き、やがて、砂浜に落下した。

「あ、スイカの種飛ばし?」
「昔はよくやってましたねぇ……千速はこれが無駄に上手くて」
「無駄って……あれは皐月が下手なだけでしょ」

 私がそう言って苦笑した時、朱莉がスイカの種を吹いた。
 それは綺麗に飛んだが、私が飛ばした種より少し手前に落下した。

「ぐぬぬ……」
「これってまさか……」
「朱莉ちゃん……」

 呆れたような目を向ける皐月と蜜柑を無視して、朱莉はガツガツとスイカを頬張る。

「モゴモゴ……こうなったら、この海でとことん勝負だ!」
「え、面倒……普通に楽しまない?」

 私の言葉に、朱莉はさらに頬を膨らませる。
 ……小さい子供を相手にしてる気分。

「絶対勝負する!」
「はぁ……分かったわよ。それで満足するなら……」

 私がそう返事した瞬間、腕を引かれて浜辺に駆り出される。
 本当……彼女に何があったというんだ……。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.171 )
日時: 2017/06/11 18:41
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第25話「夏だ!海だ!対決だ!朱莉VS千速!?」4

「どりゃぁッ!」

 掛け声と共に、砂浜を抉る勢いで、ビニールで出来たボールが落下する。
 ネットの向こう側では、朱莉が「よっしゃぁ!」とガッツポーズした。

「よっしゃぁ、って……バレー部に助っ人を頼まれるような人に、私が勝てるわけないじゃない」
「ん〜? 負け惜しみ〜?」
「そうじゃなくて……」
「朱莉ちゃん。今のは千速ちゃんが正しいよ……」

 蜜柑の言葉に、朱莉は「むー」と頬を膨らませた。
 海での謎の対決は開始早々、明らかに私が不利なビーチバレーになった。
 一対一では勝負にならないので、朱莉&蜜柑、私&皐月のチームだ。
 まぁ、もちろん私達のチームが圧倒的差で敗北だが。

「大体、勝負なんてせずに素直に海を楽しめば……」
「よーし! 次はビーチフラッグだー!」
「旗は無いから木の枝で代用する?」
「なんでまだやるの!? あとなんで蜜柑まで少し乗り気!?」

 ただでさえ暑いっていうのに……。
 ハァ、とため息をついた私は、皐月に目を向けた。

「ごめんね皐月。こんなことに付き合わせちゃって」
「いいえ、楽しいですよ。ビーチバレー……なんて、初めてしましたし」

 最初はお世辞を言ったのかと思ったが、彼女が浮かべる無邪気な笑顔に、これは単純に素で言っているなと察した。
 私は息をつき、一生懸命砂浜に木の枝を埋めている朱莉に目を向けた。

「にしても、本当……何が彼女をあんなに駆り立てるのかしら」
「さぁ……本当に何もしていないんですの?」
「してないって……この間の二人三脚でも、ちゃんと彼女に合わせたのに……」
「不思議ですねぇ」

 皐月がそうぼやいた時、木の枝をきちんと埋めれた朱莉が「よしっ」と言って、キラキラと輝く目を私に向けた。
 まず私が彼女を怒らせてたら、こんなに無邪気な目しないでしょう。

「それじゃあ千速。やろ!」
「はいはい……そもそも、ビーチフラッグとやらのルールが分からないんだけど……」
「あ、そっか……ビーチフラッグっていうのはね」

 それから蜜柑に説明された内容を箇条書きにまとめるとこうだ。

・フラッグorペットボトル等を用意。
・走者から一定距離置いて置く(20m程)。
・走者は後ろ向きにうつぶせに寝る。
・両手はあごの下に置く。
・審判が笛or声でスタートを合図。
・旗を先に手にしたものが勝者。

 まぁ、こういう夏場にやるにはかなりシンプルなルールではある。
 そう納得していると、朱莉がどうやら距離と線を引き終わったようで、「おーい!」と手を振って来る。

「はいはい、今行くわよ」

 私がそう言って歩き出そうとした時、少し遠くに、黒い影が見えた。
 それが腕を構えた瞬間、私は、咄嗟に近くにいた皐月と蜜柑を押し倒し、私も地面に伏せる。
 数瞬後、頭上を何かが通りすぎ、砂浜が抉れる。

「なっ……何が……!」
「あれって……バレー……ボール……?」

 蜜柑の言葉に、私は慌ててそこに駆け寄った。
 見ると、破裂したバレーボールが、砂に埋もれて置いてあった。

「先ほど貴様等がやっていた特訓を少し真似してみたのだが……やはり、見極められるか」

 そう言って現れたのは、仮面の謎の男……。

「皆、無事!?」

 その時、砂の上をフラフラと走りながら、朱莉がそう言ってくる。
 私はそれに「多分、平気」と答えた。
 蜜柑と皐月が頷くのを見て、朱莉は「良かったぁ」と言って笑みを浮かべ、男に目を向ける。
 すると、男は腕に黒い影を纏わせた。

「邪悪なる魂よ! 我に仕えよ! いでよ、オンネーン!」

 その言葉と同時に、影を近くにあったビーチバレーのネットにぶつける。
 巨大化しオンネーンになっていくのを見ながら、私達はアウラシュリフトロレを構えた。

「行くよ、皆!」
「「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」」

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.172 )
日時: 2017/06/11 22:09
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第25話「夏だ!海だ!対決だ!朱莉VS千速!?」5

「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ!」
「徐かなること、林の如し! キュアフォレスト!」
「風!」
「林!」
「火!」
「山!」
「「「「プリキュア!」」」」

 ……長っ。
 そう思った時、オンネーンに攻撃されそうになったので、私達は咄嗟に躱した。

「動く雷霆よ! 我に集い、力と成れ! サンダーブレス! フレイム!」

 その時、すぐさまフレイムがサンダーブレスを装着し、真っ直ぐオンネーンを睨む。
 パワーアップしたオンネーンにフレイムバーンが効くのかは分からないが……まぁ、任せるか。
 そう思っていた時、フレイムの体が吹き飛ばされる。

「フレイムッ! クッ……。動く雷霆よ! 我に集い、力と成れ! サンダーブレス! ウィング!」

 サンダーブレスを装着した私は、すぐにフレイムの元まで駆け寄る。
 フレイムは海の浅瀬の所まで飛ばされていたようで、びしょ濡れになって俯いていた。
 しかし、私が来ると、「フシャー!」と声に出して威嚇するようなポーズを取った。
 猫か!

「何やってんのよ……大体、昨日から、何? やけに対抗心燃やして……」
「べ、別に、対抗心なんて……!」
「誤魔化すの下手かよ……っと」

 そこまで言っていた時、私は背後から音が聴こえたので、咄嗟に体を捻って回し蹴りを放った。
 踵がめり込み、オンネーンは、遠くに飛んでいく。
 私はそれに息をつき、「それで」とフレイムに顔を向けた。

「私、何かした?」
「した」
「即答!?」

 私がそう驚く間に、フレイムは海から出て、体を振って水を払うと、真っ直ぐ私を見た。

「この間の二人三脚の時……私に合わせるために、手加減したでしょ」
「えっ? そりゃあ……まぁ……だって、フレイムの方が足遅いし……」
「そういう態度!」

 人差し指を彼女が突き出した瞬間、ドスッという音が額からした。
 それに私は「ガハッ」と声をあげ、そこを抑えて蹲る。
 顔を上げると、ムスッとした表情のフレイムが立っていた。

「私は、全速力の千速と合わせてみたかった! なのに、千速ってば、ずーっと手加減したまま、結局本番迎えちゃってさ〜」
「それ、せめて練習中に言ってよ……」
「千速なら察してくれるかなぁって思った」
「……変に信用されても、分かるわけないじゃない……」

 私が言うと、フレイムはムスーと頬を膨らませた。
 それにため息をつき、私は、彼女に手を差し出した。

「だったら、今、私の全速力に合わせてみる?」
「……うん」

 フレイムは頷き、私の手を握る。
 私はそれに微笑み、叫ぶ。

「疾き風よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! ウィングアクセル!」
「え、ちょっと待って。ウィングアクセルって……!」

 戸惑う声を発するフレイムを他所に、私は一気に走りだす。
 フォレストの技を参考に、もしかしたら、触れている相手は、自分の援護技の効果を与えることができるのではないかと思ったのだ。
 実際、フレイムはどうにか私の速さに付いてくることができている。
 ……やはり、この伝説の書や、サンダーブレス? の効果は、底が知れない。

「体が軽い! ウィングはいつも、こんな速度で戦ってたんだ!?」
「いつもっていうか、ウィングアクセルをした時はね。……来るわよ!」

 私が叫ぶと同時に、オンネーンが攻撃してくる。
 私はもう慣れたけど、フレイムからしたら、オンネーンはかなりスローに見えているだろう。
 実際、「うわぁ……」と若干驚いた様子の声をあげている。

「ははっ……嬉しいよ。ウィングがいつも見ている景色が見れてるみたいで!」

 フレイムはそう言うと、手に炎を纏わせた。
 すると、彼女の存在がぶれて、オンネーンを取り囲むように分身する。

「使いこなすの早くない!?」
「朱莉……なんだか楽しそうですわね」

 隣から聴こえたフォレストの言葉に、私は「はぁ?」と聞き返す。
 それに、モンテは苦笑した。

「あはは……朱莉ちゃん、小さい頃分身の術の練習とかしてたからなぁ……それができて楽しいんだと思うよ」
「楽しいって……相変わらず、緊張感ないわね」

 私は呆れつつ、フレイムを見上げた。

「侵掠の火よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! フレイムバーン!」

 フレイムは叫び、オンネーンを浄化した。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.173 )
日時: 2017/06/11 23:13
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第25話「夏だ!海だ!対決だ!朱莉VS千速!?」6

「ぶはぁ! 私の勝ち!」
「ねぇ……私の全速力体験したんだし、今更競争とかする意味は無いんじゃないかな?」

 海から顔を出して言う朱莉に、私は呆れながらそう答えた。
 すると、朱莉はバシャッと音を立てて水面を叩いた。

「それとこれとは話は別! 今まで運動で張り合える友達っていなかったから、千速とは是非、勝負をしたくてね」
「あぁ、そっか……蜜柑は……」
「千速ちゃんそんな哀れみの目で見ないで!?」

 怒鳴る蜜柑を、皐月が「まぁまぁ」と窘める。
 その様子を見ていた朱莉は「蜜柑だけじゃなくて〜」と言って、蜜柑に抱きついた。

「わっ!?」
「それ以外にも、周りの皆だよ。なんか張り合いが無いって言うかさぁ。こう、対抗心とかが燃え上がらないっていうか」
「そんなの……別に、私じゃなくても」
「千速は特別。だって、陸上部とは割と良い勝負はできるけど、千速の足はそういう次元じゃないし。でも、それ以外のスポーツは苦手そうだからなぁ……」
「なっ……このっ」

 私が掴みかかると、朱莉は「やめっ、やめっ! ギブ!」と声をあげる。
 その様子に、皐月がなぜか懐かしいものを見るような目を向けてきたので、私は動きを止めた。

「皐月……何、その目は」
「えっ? あぁ、いえ……千速、私がいない間に大分大人しくなっていましたけど、朱莉といると、昔みたいになるなぁと」
「そういえば、千速ちゃんは、昔はすごくやんちゃだったんだっけ?」
「え、何それ聞きたい」

 興味を示す朱莉に、私は「ちょっと……」と遮ろうとする。

「フフッ。まず千速との出会いは……」
「わー! そういうの良いから!」
「聞きたいなぁ。ライバルの弱みは多いほど良い」

 ニヤニヤと笑いながら言う朱莉に、私は「朱莉ぃ〜」と言って睨んだ。
 すると、蜜柑が「そういえば」と言って手を叩いた。

「朱莉ちゃんも、小さい頃は今以上に猪突猛進だったよね」
「み、蜜柑何を……」
「え、だって出会ったばかりの頃なんて……」
「うわー!」

 顔を赤くした朱莉は、慌てて蜜柑を遮るように、朱莉は蜜柑の口を塞いだ。
 しばらくそのやりとりを見ていた皐月は、やがて、クスッと笑った。

「ど、どうしたの? 皐月」
「いえ、ただ……朱莉と千速はそっくりだなぁ、と」
「「そんなわけない!」」

 同時に叫んだ私と朱莉は、顔を見合わせた。
 その様子に、次は蜜柑が吹き出した。

「あははっ! うん。確かにそっくり!」

 蜜柑の言葉に、朱莉はむぅ、と頬を膨らませた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.174 )
日時: 2017/07/16 12:40
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第26話「楽しいがいっぱい!キュンキュン夏祭り!」1

<朱莉視点>

「うわぁ……」

 姿見に映った自分の姿に、私は息を漏らした。
 桜色のような色に、濃いピンクでお花の模様が描かれた浴衣を着た自分の姿が新鮮で、驚いてしまう。
 それに、蜜柑がクスッと笑った。

「よく似合ってるね。朱莉ちゃん」
「そ、そうかなぁ……いやぁ、どうも」

 どう返答すれば良いか分からずそう答えていると、部屋を覗いたお母さんが呆れたような笑みを浮かべた。

「フフッ、ごめんね蜜柑ちゃん。毎年わざわざ来てもらって、浴衣の着付けなんてしてもらって」
「良いですよ。私が好きでやっていることですから」
「そうだよ〜。遠慮なんてしなくて良いって」
「アンタはもう少し遠慮しなさいっ」
「むー」

 私が頬を膨らませると、お母さんはフッと微笑み、「楽しんでいらっしゃい」と言った。
 そう、今日は年に一度の、夏祭りの日だ。
 去年までは蜜柑と二人で行っていたのだけれど、今日は、千速や皐月、あと、ライデンなんかも一緒だ。

「髪は……特別結わなくても良いかな」
「ん……平気〜」

 私の返答に、蜜柑は「そっか」と微笑んだ。
 ちなみに、今日は、蜜柑はキュアモンテの時のようなお団子にしている。
 プリキュアに変身すると一番大きく髪型が変わるからなぁ、蜜柑は。
 浴衣は、濃い黄色に、金魚の模様が描かれた感じだ。
 本人は幼くて嫌だと言っていたが、童顔の蜜柑にはこれくらいがちょうどいいと思う。

「それじゃあ、そろそろ行こうか。千速ちゃん達待たせたらダメだし」
「そうだね。それじゃあ行ってきます、お母さん」
「はいはい。気を付けなさいよ〜」

 手を軽く振るお母さんに私も振り返しつつ、私達は家を出た。
 しばらく歩いて行くと、普段、学校に行く時に合流する交差点の辺りで、千速達が待機していた。

「あ。朱莉、蜜柑!」

 千速が私達の名前を呼ぶと、皐月とライデンもこちらを見る。
 私はそれに手を振り、蜜柑と一緒に三人の元まで行く。

「ごめんごめん。待たせちゃったかな?」
「ううん。私達も今来たところ」

 そう言う千速は、白に近い水色に、紺色の線が入ったような模様が入った浴衣を着ていた。
 隣に立つ皐月は髪を高い位置でまとめていて、白地に緑色で花の模様が描かれた浴衣を着ている。
 ライデンは、甚平、だっけ? 紺色の、浴衣とは違うものを着ている。

「うわぁ、皆すごい似合ってる。てか、浴衣の模様、皐月と被っちゃったかな」
「同じお花っていうだけで、模様自体は別物ですよ。それに、朱莉もよく似合っています。あぁもちろん、蜜柑も」
「わ、私のは幼過ぎないかなぁ……」

 モジモジと恥ずかしそうにしながら言う蜜柑に、千速が「元が幼いから、別に変らないわよ」と毒の効いた言葉を放つ。
 それに、蜜柑はシュンと落ち込む素振りを見せた。

「オイラは別に着たくなかった……妖精の姿でも良かったのに……」
「そういうわけにもいかないでしょ」
「えぇ。妖精の姿では思う存分動けないでしょう? 私は、ライデンとも目いっぱい楽しみたいのですよ」

 皐月の言葉に、ライデンは「そ、そうか……」と顔を赤くしながら答えた。
 甘ずっぺー。

「それじゃ、早く行って、たくさん遊ぼうよ!」

 私の言葉に全員が頷き、祭りが行われている場所まで歩き出した。


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