二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.281 )
日時: 2017/07/25 16:46
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第43話「千速の秘密がばれちゃった!?本当の家族って何?」1

<千速視点>

「「「「プリキュア! オールターンオフイリュージョン!」」」」

 そう叫んでから手裏剣から離れると、それはゆっくりとオンネーンに向かって落下していく。
 私達はそれに背を向けて着地し、胸の前で指を組む。

「「「「忍ッ!」」」」

 そう叫ぶと、背後から爆発音がした。
 私達はそれに一息つき、変身を解く。
 今日はそこまで強くないオンネーンで良かった……まぁ、今回はダメ元での攻撃ってところか。
 皐月や蜜柑みたいに、想いを込めたものをオンネーンにされたら少し厄介だけど、ひとまず、今日はどうにかなったから良かった。
 そう考えていた時だった。

「千速ちゃん……?」

 突然名前を呼ばれ、私は顔を上げた。
 私をちゃん付けで呼ぶ人間は、この世界に二人しかいない。
 一人は蜜柑。そして、もう一人は……。

「おばあ……ちゃん……」
「千速ちゃん……今の化け物は……あと、さっきの格好は……一体……」

 そう言いながら近づいてくる和子さん。
 私はそれに後ずさるが、それより先に、和子さんが私の前まで来て、私の顔を覗き込んでくる。

「おばあちゃん……あの……!」
「千速ちゃん、今のは一体……どういうことなの?」

 不思議そうに聞いてくる和子さんに、私は目を逸らす。
 朱莉達に視線を向けてみても、反応は無し。
 最初、和子さんが朱莉達……ましてや、皐月に何も言わないのを不思議に思った。
 しかし、少し考えて気付く。
 彼女にとっては、皐月より誰より、『孫』である私が大事なんだと。
 そりゃそうだ。皐月だって、居候しているだけで、結局は他人なのだから。

「おばあちゃん、あの、これは……!」
「……続きは家で聞きます。帰りますよ」

 和子さんはそう言って私の腕を引く。
 そこまで強い力ではないのだが、なぜか逆らい難く、私は彼女に連れられて、その場を後にした。


 家に帰ると、和子さんは台所で、先に、買ったものの整理を始めた。
 私はその間食事をとる部屋で、床で正座をした状態でただ待った。
 死刑を待つ囚人の気持ち、とでも言うのだろうか。そんな気持ち、知りたくも無かったけれど。
 とにかく、それくらい緊張した状態で、私は和子さんが食料品の整理を終えるのを待った。

「ごめんなさいねぇ。歳だから、しまうのに時間が掛かって」

 やがて、腰をポンポンと叩きながら、和子さんはそう言って床に座った。
 私はそれに頷き、彼女の顔を伺う。
 眼鏡の奥のつぶらな瞳が、そんな私を見つめる。

「それで……どこから説明してもらおうか……」
「……おばあちゃん……」

 私は、どこから説明すれば良いのかが分からなかった。
 だって、プリキュアのことだけじゃない。
 説明するならいっそ……村のこと。私が、異世界人であること。
 そして……本当の孫じゃないことを、話すべきだと、思うから。

「それじゃあまずは……」
「あのっ……私のペースで、説明させてくれないかな……」

 震える声で、なんとかそう言って見せた。
 すると、和子さんは驚いたような表情を浮かべ、やがて、優しく微笑んだ。

「良いよ。千速ちゃんの好きなように、話しなさい」
「……ありがとう」

 その一言で、和子さんが、孫である私をどれだけ信頼しているのかが分かった。
 いいや。よく考えたら、信頼していなければ、孫の友達って理由だけで、皐月をあんなに易々と居候させてくれるわけもないのだ。
 それに気づいた瞬間、私は、今まで騙していたことが申し訳なくて、罪悪感から、涙を流した。

「千速ちゃん……?」
「おばあちゃん……ううん。和子さん。今から話すことはね、全部、本当のことなの……!」

 私の言葉に、和子さんは驚いたように目を見開いて、やがて、優しく微笑んだ。

「良いよ。話してごらん?」
「……うん。あのね、おばあちゃん……」

 私は一度深呼吸をして、喉を震わせた。

「私は……異世界から来た人間なんです……」

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.282 )
日時: 2017/07/25 16:49
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第43話「千速の秘密がばれちゃった!?本当の家族って何?」2

 それから私は、支離滅裂になりながらも、全てを離した。
 異世界の村から来たこと。その村が、幽鬼軍という輩に襲われたこと。
 そこにあった伝説の書でプリキュアに変身し、今、この世界を狙っている幽鬼軍と戦っていること。
 朱莉や蜜柑はそれに協力してくれている子達で、皐月は、同じ村に住んでいた幼馴染であること。
 そして、なぜ和子さんの孫として、ここにいるのか、も。

 最後は、少なくとも、私の中での仮説でしかない。
 私の仮説では、私がこの世界に来る時にくぐった井戸が、恐らくこの世界での都合を合わせてくれただけだ。
 実際、あれを使わずにこの世界に来た皐月達と違って、私だけは、この世界に昔からいたことになっているのだから。
 あの井戸は、元々、村が危なくなった時の非常口のようなものだった。
 恐らく、村を捨てて、別の世界で生きやすくするためのものだろう。
 ご都合主義的なものだが、事実、私がこうしてこの世界に風間千速として組み込まれているのだから、間違ってはいないハズだ。
 ただ、今まで使う機会もなかったから、真偽は分からないが。

 とにかく、そのようなことを全て話し終えた私は、まっすぐ和子さんを見つめた。
 その頃には、窓から差し込む光が茜色に変わり、私と和子さんの顔を橙色に照らしていた。

「……それで全部かい?」

 優しい口調で、和子さんは言う。
 私から見ると、ちょうど彼女の眼鏡が光を反射していて、その奥にある目が見えない。
 彼女の言葉に、私は頷いた。

「うん……今まで黙っていて、ごめんなさい」
「良いんだよ。話の途中で言っていただろう? ぷりきゅらの正体を知っている人は、危険な目に遭うかもしれないって」
「プリキュアだよ……」

 そう訂正すると、和子さんは「おぉ、ぷりきゅあか」と言って、笑った。
 ひとしきり笑い終えると、和子さんは私の目を見て、優しく微笑んだ。

「でもね、千速ちゃんの説明を聞いて、むしろ納得したよ」
「納得?」

 私の言葉に、和子さんは頷く。

「あぁ。だって……どれだけ探しても、千速ちゃんの写真が出てこないんだよ」
「私の、写真……?」

 私の言葉に、和子さんは頷く。

「息子夫婦の写真は出てくるんだよ。でも、肝心の、赤ん坊の写真だとか、そういうのは出てこなくて……」
「……」
「だから、納得したのさ。なるほどねぇ……そんなことが……」

 うんうんと頷く和子さんに、私は俯く。
 いづらい……非常に、いづらい……。
 やがて、和子さんは立ち上がると、台所の方に向かった。

「それじゃあ晩ご飯作るから、部屋に戻って良いよ。……正直に話してくれて、ありがとう」

 和子さんの言葉に、私は頷き、部屋を出た。
 すると、部屋を出てすぐ、ライデンとフウマルを抱いた皐月が立っていた。

「皐月……」
「千速……」

 皐月の目を見た瞬間、私は目から涙が流れた。
 私の様子に、皐月は首を傾げる。
 あぁ、もう……ダメだ……。
 私は皐月に抱きついた。

「千速……?」
「皐月、私、どうすれば良いのかなぁ……!」

 私がそう言うと、皐月はライデンとフウマルを離し、私の背中を優しく撫でた。
 それに、私の目からはさらに涙が零れ、私は、皐月を抱きしめて声をあげて泣いた。

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.283 )
日時: 2017/07/25 17:48
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第43話「千速の秘密がばれちゃった!?本当の家族って何?」3

 今日の晩ご飯は、味がしなかった。
 食卓の雰囲気もいつもより重く、会話も少なく感じた気がする。
 夜も更け、皆が寝静まった頃合いに、私は起き上がる。

「……眠れない」

 ポツリ、と、私は呟いた。
 眠れない。眠れるわけがなかった。
 和子さんは今……どんな心情で眠っているのだろうか。
 そもそも……眠れているのだろうか……。

「千速……?」

 私の枕元で眠っていたフウマルは、体を起こして、私の名前を呼ぶ。
 そして、フワフワと浮かんで、私の前まで来る。

「大丈夫か? 眠れないのか?」
「ん……ちょっと、和子さんのことが気になっちゃって……私、これからどうすれば良いんだろう……」

 膝を抱えてそう呟くと、フウマルはフッと笑い、人間の姿になる。そして、私の隣に座って、優しく私の頭を撫でた。

「拙者には、千速に役に立つような知識もないし、それを調べる手段もない……でも、困った時は、頼って良いんだからな?」
「ん……ありがとう、フウマル」

 私がそう言うと、フウマルは優しく微笑んだ。
 その顔に、胸から、スッと重たいものが無くなるのが分かった。
 その時、私はとあることを思いつき、立ち上がる。

「千速……」
「フウマル。ありがとう。フウマルのおかげで、冷静になって考えることができた!」

 私はそう言いつつベッドから下りて、部屋を飛び出す。
 フウマルの、その時の表情は覚えていない。
 でも、今はそれどころじゃない。
 私は階段をトントンと音を立てて下り、今日の夕方、和子さんに色々話した部屋に入る。
 その部屋にある襖を開くと、中には色々な物が入っていた。

「うわ、埃っぽい……でも、きっとこの中に……」

 そう呟きながら、襖の中を漁っていく。
 和子さんの話から、きっと、私の存在に都合の悪いものはこの世界から除去されているのだろう。
 でも、邪魔にならない程度のものなら、残っているかもしれない。
 その中にきっと、『本当の和子さんの孫』が和子さんに送ったものがあるかもしれない。
 そう考えながら、もっと奥を見るために、近くにあった箱のようなものを引き抜いた時、ガラガラと音を立ててそれらは崩れた。

「うわぁッ!?」

 上の方にあまり重いものが無かったのと、たまたま引き抜いた箱が金属系の箱で、それで頭を守ることができたのが不幸中の幸いか。
 私は自分の上に乗っている様々な物を強引にどかし、襖から出る。
 変な汗と埃塗れになった自分の体を見て苦笑しつつ、私は先ほど引き抜いた箱を見た。

「お菓子の……箱……?」

 それは、なんていうか、高い洋菓子を入れる箱に似ていた。
 床に座って開けてみると、そこには、古びた画用紙のようなものが入っていた。

「……?」

 私は床に座り、その内の一枚を手に取る。
 そこには、『かたたたきけん』と、不器用な文字で書いてあった。
 かたたたきけん……肩たたき券……?

「他にも入ってる……」

 箱に入っていたものを見ると、その全てが肩たたき券とやらだった。
 一枚一枚が手書きで、可愛らしいイラストなんかも描いてある。

「これを何枚も……」

 私はそう呟いてから、その画用紙を、ソッと箱にしまった。
 きっと、これを作った本当のお孫さんは、和子さんのことが大好きだったのだろう。
 だって、それくらい強い想いを感じたから。
 私はグチャグチャになった襖を整頓し、その箱を持って、二階に上がった。

 きっと、この箱が消えなかった理由は……私が作ったものだと、記憶を改編しているのだろう。
 でも、そうしたら、本当のお孫さんからの和子さんへの気持ちが無駄になる。
 私の存在如きで、蔑ろにして良い代物ではない。
 だったら、私がするべきこと。それは……———

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.284 )
日時: 2017/07/25 18:40
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第43話「千速の秘密がばれちゃった!?本当の家族って何?」4

 翌日の朝。朝食に下りた私は、すぐに、昨夜見つけた箱を和子さんに差し出した。
 突然渡したからか、和子さんは、驚いた表情で私を見た。

「あの……昨日、少しそこの襖を漁ってみて、それで、見つけたんです……開けてみてください」

 私の言葉に、和子さんは箱を開けた。
 中には、昨夜私が見た、肩たたき券とやらが入っている。
 それを見て、和子さんが「まぁ……」と呟いた。

「これは、千速ちゃんが小さい頃に……あれ、でも……」
「えぇ……それは私が渡したものではありません。……きっと、本来の時間軸に存在した、和子さんの……本当の孫が……」

 私の言葉に、和子さんは一枚ずつ、肩たたき券を見て行く。
 可愛らしい、そして、子供らしい文字で書かれた肩たたき券。
 それを見ていると、和子さんの顔が、少しずつ綻んでいくのが分かった。

「……これを、私の、本当の孫が……」
「あの、和子さん……」

 私が名前を呼ぶと、和子さんは顔を上げた。
 そして、「何だい?」と言って、朗らかな笑みを浮かべる。
 私は、和子さんの前に座り、一度深呼吸をして、声を出す。

「私は……本当の孫じゃないです……でも、あの……多分、なんですが……私が来なかった場合の、本来の時間軸では……きっと、貴方のお孫さんは、死んでいて……」
「……」

 悲しそうな顔をする和子さんに、私は、胸に何本もの針を刺されるような痛みを覚えた。
 痛い……すごく痛い……でもきっと、和子さんの方が痛い……。
 私は自分の胸を押さえて痛みを強引に収めると、真っ直ぐ、和子さんを見つめた。

「私には、死者蘇生をする能力もありませんし、時間を戻す能力もありません。でも、もし出来るなら、せめて、私がこの世界にいる間は、和子さんの孫の代わりをしたいです」
「私の……孫の代わりを……?」
「はい……厚かましいことを言っているのは分かっています。でも、出来るなら、私は……少しの間くらい、和子さんの家族でいたいんです。私が元の世界に戻ったら、和子さんには、家族がいなくなってしまうから……あの、ダメ、ですか……?」

 私の言葉に、和子さんはしばらくポカンとした後で、優しく笑った。

「ダメなわけ無いだろう? むしろ、私がお願いしたいくらいだよ」
「和子さん……」

 優しく笑う和子さんに、私は、涙腺が刺激されるような感触を覚えた。
 泣きそうになっていた時、窓に、怨気が付いているのが視界に入った。

「あれは……!」
「千速ちゃん……まさかあれって……」

 不安そうに呟く和子さんを咄嗟に背中に隠し、私は影を睨む。
 時間帯では朝なのに、外はほとんど真っ暗闇。
 私は和子さんの手から箱を奪い、怨気に向ける。

「どうせ、これが狙いなんでしょ……?」

 私の言葉に反応するように、怨気がこちらに迫る力を強くする。
 窓がギシギシ言って、今にも割れそう。
 和子さんの、お孫さんとの思い出が詰まったこの家を、破壊されてなるものか……!

「和子さん。少し、この箱、お借りしてもよろしいですか?」
「……ちゃんと返してくれるなら」
「……えぇ、きっと」

 私はそう返事をして箱を抱きしめると、部屋を飛び出した。
 すると、ちょうど朝食を取りに来ていた皐月と出くわす。

「千速!?」
「皐月、説明は後! ついてきて!」

 早口でそうまくしたてると、皐月は頷き、私に付いて外に出る。
 すると、それに気づいたのか、外に出た瞬間、怨気が目の前に現れる。

「取ってこーい!」

 私はそう叫び、箱を空中に投げた。
 すると、怨気は箱に纏わりつき、空中で膨張していく。
 オンネーンになっていくのを見つめながら、私はアウラシュリフトロレを取り出した。

「皐月、行くよ!」
「は、はい!」
「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」

Re: 【感謝】風林火山プリキュア!【参照2000越え】 ( No.285 )
日時: 2017/07/25 20:26
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第43話「千速の秘密がばれちゃった!?本当の家族って何?」5

「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「徐かなること、林の如し! キュアフォレスト!」

 名乗りを終えた私達は、すぐに構える。
 その時、朱莉と蜜柑がこちらに走ってくるのが見えた。

「うわ、すごい音がしたから来てみれば……」
「朱莉ちゃん」

 蜜柑の言葉に朱莉は頷き、二人でアウラシュリフトロレを構え、同時に叫んだ。

「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」
「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ!」

 変身を終えた二人は、私達の元に駆け寄って来る。
 そして、オンネーンに視線を向けた。

「今回のオンネーンの素材は!?」
「和子さんの本当の孫が、和子さんのために作った肩たたき券入った箱!」
「うわ、それガッツリ想い籠っちゃってるやつ!」
「じゃあ今日のは強いんだ……」

 モンテがそう呟いた時、オンネーンが構える。
 それに、私達はすぐに上空にジャンプした。
 すると、先ほどまで私達がいた所に、何か紙のようなものが着弾して爆発する。

「なんかさぁ、想い籠って強くなってるオンネーンって、何か飛ばして爆発させるのばっかりだよね」
「朱莉、そんなことを気にしている場合ではありませんよ」

 フォレストの言葉に、フレイムは「ブー」と頬を膨らませた。
 やがて着地した時、第二撃が入る。

「全く、休む暇もありゃしない!」

 私はそう言いつつ、横に跳ぶ。
 その時、一瞬見えた文字……まさかあれは……肩たたき券!?

「ウィング、危ない!」

 先ほど見えた肩たたき券の文字に茫然としていた時、フレイムにそう言われた。
 慌てて顔を上げると、そこには、肩たたき券が迫って来ていた。

「しま……!?」

 咄嗟に腕を構えると同時に、体に強い衝撃が走る。
 爆風で体を煽られ、私は、近くの家の塀に背中をぶつけた。
 咄嗟にその家を見ると……良かった。和子さんの家じゃない。

「ガァァァァッ!」

 すると、オンネーンがこちらに迫ってくるのが見えた。
 咄嗟に立ちあがろうとした時だった。

「お止めなさいッ!」

 凛と響く声に、私は顔を上げた。
 見ると、そこには和子さんが立っていた。

「和子さ……!?」

 私は言葉を失う。
 どうやらそれはオンネーンもだったようで、立ち止まって、困ったような顔で和子さんを見ていた。

「和子さん、逃げて、下さい! そこにいたら、危ないです!」
「……大事な孫が傷つくのを、黙ってみていられるわけないじゃないですか」

 和子さんの言葉に、私は言葉を失った。
 それに、和子さんはゆっくりオンネーンに向き直り、口を開く。

「貴方は、私の孫の想いが籠ったものなのでしょう? だったら、もう彼女を傷つけるのはおやめなさい。彼女は貴方の居場所を奪ったのではありません。やむを得ない事情があったのです」
「あの、和子さん……」

 私が名前を呼んだ時だった。
 オンネーンが膝をついたのは。

「オンネーンが……!」
「もしかして、和子さんの孫を愛する気持ちが伝わったの!?」
「でも、和子さんには、本当の孫の記憶が無いハズでは……!?」
「……和子さん……」

 私が名前を呼ぶと、和子さんはこちらに振り向き、微笑んだ。
 その時、オンネーンの目が赤く光るのが分かった。

「和子さん、危ないッ!」

 咄嗟に私は和子さんとオンネーンの間に立つ。
 すると、肩たたき券で出来た爆弾がぶつかり、爆発する。
 それに、私は吹き飛ぶ。でも、なんとか和子さんを巻き添えにしないように吹き飛ぶことができた。

「千速ちゃんッ!」

 すぐに和子さんが駆け寄って来る。
 そして、私の体を抱き起して、心配そうに顔を覗き込んでくる。

「和子さん……」

 あぁ……。
 彼女の顔を見ていると、沸々、オンネーンへの怒りが溜まっていくのが分かった。
 私はなんとか立ち上がり、ゆっくりと、オンネーンに近づいて行く。

「和子さんのお孫さんの想いを弄んだ貴方を……私は、許さないッ! レジェンドクロックッ!」

 そう叫んだ瞬間、目の前にレジェンドクロックが現れる。
 私はそれを片手で受け止め、手を掲げた。
 すると、その手に光が絡みつき、えっと……サンダーブレス・改? とやらになる。
 私はすぐにレジェンドクロックを構え、叫んだ。

「疾き風よ! 我に集い、力と成れ! プリキュア! ウィングハリケーンッ!」

 そう叫ぶと、超巨大な竜巻が現れる。
 それはオンネーンを巻き込み、やがて、消えて行った。
 すると、オンネーンが消えた辺りから金属製の箱が降って来たので、私は慌てて受け止めた。


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