二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】風林火山プリキュア!
- 日時: 2017/08/01 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539
初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!
追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。
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- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.10 )
- 日時: 2017/04/22 21:45
- 名前: 愛 (ID: uLF5snsy)
第2話「不動の山!キュアモンテ登場!」6
「キュア……モンテ……?」
そう言って、私を見上げる朱莉ちゃん。
私はそれに微笑んで、化け物を見上げた。
「これ以上、朱莉ちゃんを傷つけないで」
「グッ……よりによって、山の書まで……オンネーンッ! そこの小娘をぶっ潰せ!」
オンネーンと呼ばれた化け物は、それに雄叫びをあげ、大きく腕を振りかぶる。
どうしよう……? 守るって言ったけど、このままじゃ、私が怪我するだけ……。
その時、ピンク色に変色して、なんだか機械のような形になった巻物が、淡い光を帯びた。
すると、途端に、私の脳内に言葉の羅列が浮かんだ。
「不動の山よ!我に集い、力と成れ!」
その言葉と同時に地面に手をつくと、山が壁のように現れて、攻撃を防いだ。
私はそれに一度息をついて、倒れる朱莉ちゃんの元に駆け寄った。
「大丈夫!? 朱莉ちゃん!」
「み、蜜柑……? 変身……したの?」
ボロボロになった朱莉ちゃんは、だんだんと目を輝かせる。
そして、私に抱きついた。
「すごいよ蜜柑! 蜜柑もプリキュアになったんだね!」
「く、苦しいよ朱莉ちゃん……! 私、朱莉ちゃんの力になれて嬉しい」
私の言葉に、朱莉ちゃんは「えへへ」と笑った。
そして、オンネーン? の方に目を向けた。
「後は任せて。侵掠の炎よ! 我に集い、力と成れ!」
その掛け声と共に、朱莉ちゃんの右腕に炎が纏わりつく。
腕を一度後ろに下げ、正拳突きのように突き出す。
すると、炎が一気にオンネーンに突き進み、やがて、その体を焼き尽くした。
「まさか、プリキュアなんてやってたなんて、思わなかったよ」
帰り道。私がそう言うと、朱莉が「うぅっ……」と声を漏らした。
「もしかして、変身したのは、あの体育の時?」
「そう、あの時。……ごめんね。黙ってて。蜜柑をこんな危ないことには巻き込みたくなくて」
朱莉ちゃんの言葉に、私はしばらく呆けた。
それから、ちょっとだけ笑った。
「フフッ、何言ってるの? 元々、朱莉ちゃんは私のためにたくさん危ないことしてくれたじゃない。だから、これからは二人で……ううん。風間さんも入れて、三人で頑張っていこうよ」
「……! うん!」
元気に頷いた朱莉ちゃんに、私も嬉しくなって、一緒に笑った。
−−−
暗い、神社のような、寺のような屋敷。
そこに、赤い着物を着た男が駆け込んだ。
「申し訳ねぇ……! 風の書、火の書だけじゃなく、山の書まで奪われちまった!」
「山の書まで……?」
報告を受けた、深緑色の着物に身を包んだ少女は、それを聞いてしばらく考える。
それから、クスッと笑った。
「まぁ、良いわ。誰かさんが逃がした人魚が、面白いように成長しているみたいね」
そう言って視線を向けた先では、縛られて項垂れている青年がいた。
少女の言葉に、青年は顔を上げた。
「まさか……千速が……?」
「気になる? まぁ、でも、教えてあーげないっ♪」
そう言って指を鳴らした瞬間、青年の体に電流が走り、またガクッとする。
その様子を鼻で笑った少女は、右手に持った巻物を弄ぶ。
「すでにこちらには林の書がある。少なくとも、アイツ等が風林火山を全て揃えることはできない……」
ポンポン、と手に何度も巻物を当てた少女は、ニヤリと笑みを浮かべた。
「でも……面白そうな子達ね。プリキュア」
その言葉を聞きながら、青年……フウマルは、唇を噛みしめた。
———どうか無事でいてくれ。千速……!———
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.11 )
- 日時: 2017/05/06 13:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第3話「仲良し三人組……じゃない!?幼馴染VS転校生!?」
<朱莉視点>
「それじゃあ行ってきまーす!」
私はいつものように家を飛び出した。
すると、家の前で、いつものように蜜柑が待っていた。
「おはよう、朱莉ちゃん」
「おっはよー! 蜜柑!」
私はすぐに蜜柑に駆け寄り、彼女の肩をバシッと叩いた。
それに蜜柑は苦笑し、私の隣を歩く。
いつものように手を繋いで。
「……あなたたち、まさか毎日そうやって登校してるの?」
学校に着くと、風間さんが何やら若干引いた様子でそう聞いてきた。
それに、私は「そうだけど?」と言う。
すると、わざとらしくため息をつかれた。
「なに、カップルか何か?」
「違うよ。私と蜜柑は、ただの親友」
「ただの親友は手を繋いで登校なんてしないわよ。普通」
「あはは。小さい頃、私ボーッとしちゃうことが多くて、見ていて危ないからって朱莉ちゃんが手を繋ぐようにしているんだよ。今は、それが癖になっちゃってるだけ」
蜜柑の説明に、風間さんは訝しむような表情をしつつ、「まぁ良いわ」と言って背を向ける。
そして、私の方に視線を向けて、顎をクイッと動かす。
いつから私は彼女に顎で動かされる人間になったのだろう?
「どうしたの?」
「多分、付いて来いって意味だと思う。行ってみよ」
私は蜜柑の手を引いて、風間さんに付いて行く。
やがて連れてこられたのは、昨日と同じ、学校の屋上だった。
私は蜜柑の手を離し、柵に凭れ掛かってる風間さんに目を向けた。
「それで、どうしたの?」
「……まずは、蜜柑さんにも説明しないといけないでしょう? えっと、まずは……」
それから、風間さんは蜜柑に、昨日私に説明してくれたようなことを話してくれた。
無言で聴いていた蜜柑は、「そんなことが……」と感心した様子で言った。
「じゃあ、私の持っている山の書と、風間さんの風の書。朱莉ちゃんの火の書があるから……あと残ってるのは林の書、だっけ?」
「そう。でも、元々火の書も山の書も偶然二人の手元に行ったようなものだし、気長に探すしかないわよね」
「でも、その……フウマルさん、だっけ? 早く助けられると良いね」
そう言って、蜜柑はぎこちなく笑う。
彼女の笑顔を見た風間さんは、フイッと目を逸らした。
二人の仲……というより、風間さんと私たちの間に、どうにも距離を感じちゃうなぁ。
と言っても、しょうがないか。私と蜜柑は幼馴染だけど、風間さんは、今まで異世界にいたらしいし。
蜜柑と同じように風間さんとも仲良くするのは、難しいのかもしれない。
でもなー。仲良くしたいなー。
その時、屋上の扉が開いた。入って来たのは、同じクラスの松田優香だった。
「あ、朱莉。さっき先生が、この間の小テストの点数があまりに酷かったから、話があるって」
「えぇ! ……ごめん。蜜柑、風間さん。私、行かないと」
「私は大丈夫だよ。ね? 風間さん」
「……えぇ。私も問題ないわ」
うぅ、風間さんはともかく、蜜柑に笑顔で言われると、本気で私が必要ない人間に思えて辛い。
結局、私は優香にズルズルと引きずられるようにして職員室に連行された。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.12 )
- 日時: 2017/04/24 17:39
- 名前: 愛 (ID: uLF5snsy)
第3話「仲良し三人組……じゃない!?幼馴染VS転校生!?」2
<蜜柑視点>
「えっと……か、風間さん、だよね?」
朱莉ちゃんがいなくなってから、私は、早速風間さんに声をかけた。
彼女は私の方を見て、「何?」と言って、コテンと首を傾げた。
元々顔が整っている彼女は、その行為一つだけでも、すごく綺麗に見える。
「こ、この間は……ありが、とう……」
「お礼を言われる筋合いは無いわ。私は、彼女……名前は忘れたけど、あの赤髪の子に付き合う形で来ただけだし」
「でも、風間さんがいなかったら、私、きっと変身できてなかったよ。そもそも、こんなプリキュアなんて存在……今でも信じられないくらいだし」
私の言葉に、風間さんは何も言わない。
ただ、どこか憂いのある表情で、空を見上げていた。
そんな彼女の様子に、私は何も言えなかった。
「……幼馴染……か」
しばらくして、そんな呟きが聴こえた。
それに、私は顔を上げる。
「もしかして……風間さんにも、幼馴染がいるの?」
「……いたわ」
「へぇ……!」
「でも……私が十歳の時に……」
そこまで言った時、微かに彼女の目が見開かれるのが分かった。
すぐに俯いて、震えだす。
「か、風間さん!?」
「な、なんでもない。なんでも、ないわ」
震えた声で言う風間さん。
全然なんでもなくないよ……。
しかし、私には、誰かを励ますことなんてできない。
朱莉ちゃんみたいに明るくないし、むしろ、鈍くさくて、引っ込み思案で……これといった長所もないし。
そこで、少し考える。
例えば、朱莉ちゃんが、私が十歳の時に……死んじゃったとする。
その時、言われて一番嬉しい言葉は、なんだろう?
それは……———。
「……そろそろ、教室に戻ろ?」
———……特別なことは、何も言わないことだ。
変に同情したら、きっと、古傷を抉ってしまうのではないかと思う。
それなら、そこには何も触れず、風間さんの自由にさせるだけ。
それが、私にできる精一杯だ。
「えっ?」
「もうすぐ朝のHRが始まっちゃうよ? 早く行こっ」
言いながら、私は手を差し出す。
しばらく迷った後で、風間さんはその手を繋ぐ。
ひんやりとした体温が伝わって来た。
「……風間さんって、本当はすごく、優しい子なんだね」
「な、き、急にどうしたのよ?」
「だって、風間さんの手、すごく冷たいもん。手が冷たい人は、心が温かい良い人だって、朱莉ちゃんが昔言ってたんだ」
「あかり……って、あの……」
「そ。赤い髪の子だよ」
「……そう」
風間さんはそう呟いた後で、キュッと私の手を握った。
私はそれに少しだけ笑って、二人で教室に戻った。
ちなみに、教室では、何やら大量に出されたプリントを一生懸命やっている朱莉ちゃんの姿があった。
……後で手伝ってとか言われそうだなぁ。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.13 )
- 日時: 2017/04/25 18:56
- 名前: 愛 (ID: uLF5snsy)
第3話「仲良し三人組……じゃない!?幼馴染VS転校生!?」3
<千速視点>
授業とやらが終わると、私は早速昼食を取ろうと鞄に手を伸ばした。
異世界に飛ばされた私は、現在、風間和子さんというおばあさんの家にお世話になっている。
恐らく、あの井戸には私の存在をこの世界に溶け込ませる力があるらしく、私は和子さんの孫ということになっていた。
両親は事故で死んでいて、祖父も病気で昨年亡くなったとか。
恐らく、正しい歴史では、その両親に子供はいなかったとか、いても事故で死んでいたとか、そんなところか。
そこに、ご都合主義的に私の存在をねじ込ませた……ということか。
最も、当たり前だが、私には本当の両親だって、祖父母だっている。
……まぁ、幽鬼軍の襲来で、私以外の村の人たちがどうなったのかは察するが。
「風間さんっ! 一緒にご飯食べようよ」
その時、そう声を掛けられた。
見ると、蜜柑さんが立っていて、微笑んでいた。
「え、でも……」
「お願い。朱莉ちゃんがどうしても一緒に食べたいって言って聞かなくてさ」
そう言って手を合わせて言われると、断るのが申し訳なくなってくる。
仕方なく、私は弁当を持って、彼女に付いて行って朱莉とやらの席に向かった。
すると、そこでは大量のプリントが積まれた机と、それの問題を一生懸命解いていく赤い髪の少女の姿があった。
「……どういう状況?」
「一年生の最後の方で、数学で小テストがあったんだ。それで、朱莉ちゃんは0点を取っちゃって。本当は春休みに補習をやるハズだったんだけど……寝坊しちゃって……」
「うぅぅぅ……だって、普段の学校の時は、蜜柑を待たせられないから頑張って早起きするけど、春休みの補習には、そもそも蜜柑来ないんだもん」
「頭良いの?」
私が聞くと、蜜柑さんはどっちつかずな様子で、曖昧に微笑んだ。
その時に朱莉が「学年で毎回十位以内……」とボソッと呟いた。
彼女の呟きは蜜柑さんには聴こえなかったようで、特に何も言わずに弁当を広げていく。
「あれ? 朱莉ちゃん、お弁当は?」
「食べたいけど、このプリント明日提出だから、今の内にできるだけやっておかなくちゃ……食べさせてぇ」
「はいはい」
当たり前のように会話してるけど……おいおいちょっと待て。
今食べさせるって言った?
私がキョトンとしている間に、蜜柑さんは当たり前のように朱莉の弁当を取り出して、箸でオカズをつまむ。
「はい、アーン」
「あー……」
口を開けた朱莉に、蜜柑さんはタコの形をしたウインナーを入れる。
すると、モグモグと口を動かした朱莉は、「うまー!」と言った。
……はい!?
「付き合いたてのカップルか!?」
「えっ? ……普通だよね?」
「うん。普通」
顔を見合わせてそう言う二人に、私はいよいよ絶句する。
幼馴染だからって、流石にこれは距離が近すぎるだろう……。
私だって、幼馴染とこんなことは……。
『まさか両手を骨折なんて……一体どんな遊びをしたらそんなことになるんですか』
「っ……」
いや……一度だけ……。
『しょうがないですね。それじゃあ食べさせてあげますから、箸を……』
「ごめん。私やっぱり無理」
そう言いながら、私は弁当をまとめて立ちあがった。
これ以上一緒にいたら、『彼女』のことを思い出してしまう。
とっくに忘れたつもりなのに……とっくに諦めた、つもりなのに……。
どこに行けば良いのか分からなくて、私は、誰もいなさそうな場所を探して走った。
- Re: 【オリキュア】風林火山プリキュア! ( No.14 )
- 日時: 2017/07/24 22:39
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第3話「仲良し三人組……じゃない!?幼馴染VS転校生!?」4
屋上で風に吹かれながら、私は息をつく。
なんで……あの二人が、プリキュアなんだろう……。
別に、彼女達は嫌いなわけじゃない。
ただ、よりによって幼馴染二人なんて。
まるで、私に当てつけにされているようで……。
「風間さんッ!」
屋上の扉が開く音と共に、声がした。
振り返ると、そこには、肩で息をする蜜柑さんがいた。
「み、蜜柑さん……?」
「良かった……ここにいたんだ……」
そう言って微笑む彼女に、私は不思議に思った。
なんで、ここまでするのだろうか、と。
朱莉がこうするのなら分かる。だって、彼女ってしつこいし。
侵掠って言うより侵略かってレベルでグイグイくるし。
それに比べたら、彼女って、動かざるって言うくらい動くイメージないし……。
「どうして貴方が?」
「だって、風間さん急にいなくなっちゃうんだもん。……朱莉ちゃんなら、こうするかなって」
「当の本人は?」
「分からない。風間さんいなくなったすぐに追いかけたから。でも、風間さんの足が速くて……」
そう言うと、蜜柑さんは私の隣に来て、息をついた。
よく見ると汗をかいてるし、未だに呼吸が荒い。
……どれだけ一生懸命に走ってきたんだか。
「大丈夫?」
「ん? あぁ、大丈夫大丈夫。これくらいなんてことないよ」
そう言って微笑むけど、明らかに大丈夫そうじゃない。
よく考えたらこの子、運動苦手そう……。
仕方ないから、私は適当に段差のようになっている場所に腰掛けた。
「……それで、なんでわざわざ来たの? 別に、気にしなくても良いじゃない。……私たち、プリキュアってだけで、友達でもなんでもないんだし」
私がそう聞いてみると、呼吸を整えた蜜柑さんは私を見つめ返した。
そして、ふわりと、優しく微笑んだ。
「確かに、そうだよね。でも……朱莉ちゃんは、友達でもなんでもない私を、こうやって追いかけてくれたんだ」
「どういうこと?」
私がつい聞き返すと、蜜柑さんは当時のことを思い出したのか、「フフッ」と微笑み、遠くを見つめた。
「当たり前だけどさぁ、私と朱莉ちゃん、出会ってからすぐに仲良かったわけじゃないんだ」
「……そりゃそうよね」
「うん。家は、私がすごく小さい頃に引っ越してきてからずっと近所で、朱莉ちゃんは、昔からずっとあの性格でさ。私、ああいうグイグイ来るのが苦手で、昔は避けてたんだ。それで、ある日、色々なことがあって、迷子になっちゃってさぁ。三歳とかそれくらいの時なんだけど、怖くて。泣きながら公園の遊具の中で隠れてたんだ」
その様子は、なぜか今の彼女からでも容易に想像できた。
ていうか、私の中で今の年齢の蜜柑さんがそれをやっていても違和感がない。
……不思議。
「そうしたら、泥だらけで擦り傷だらけの朱莉ちゃんが、私が隠れてた遊具の中を覗き込んで、見つけた! って、嬉しそうに言うんだ。そうしたら、私、安心しちゃって大泣きしちゃって。……それから、朱莉ちゃんは色々と気にかけてくれるようになって」
饒舌に語った蜜柑さんは、やがて、ハッとして私の表情を伺った。
そして、恥ずかしそうにはにかんだ。
「だから……友達とかそんなの、関係ないよ。困ってる人を心配して走ることは……珍しくも何ともないもん」
困ってる人を心配して走る……か。
何か言おうとした時、屋上の扉が思い切り開いた。
「ハァー……ハァー……蜜柑も風間さんも、足、速すぎ……」
そう言って肩で息をする朱莉。
彼女が両手に持っている弁当箱を見て、蜜柑さんは、「やっぱり朱莉ちゃんには敵わないなぁ」と呟いた。
……私は、貴方にすら敵わないわよ。
心の中で呟いて、私はフッと息を吐くように笑った。
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