逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~
作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

36
突然の雨によって、逃走者たちはホテルに集められていた。
生き残っている逃走者たちは、それぞれ個室を借りて部屋で休んでいる。牢獄の者たちは、牢獄の中で一晩を過ごすことになる。
・・・・・・
ヨーテル(スタッフ)「ふう…何とかなりましたね。ryoukiさん、医者の手配は?」
ryouki(スタッフ)「済んでいます。ではヨーテルさん、僕は例の仕事が残っているんでこの辺で…ヨーテルさんも早く済ました方がいいですよ。あの仕事…」
ryoukiは、目をこすりながら客室の方へとに消えていった。
ヨーテル(スタッフ)「そうだな…早めに済ますか」
~203号室~
コンコン
一ノ瀬玲奈の部屋に、ノックの音が響いた。
一ノ瀬「…誰よ?」
ヨーテル(スタッフ)「ヨーテルです。入っていいですか?」
一ノ瀬「いいわよ。何の用?」
ヨーテルは、扉のドアを開けて部屋の中に入った。
ヨーテル(スタッフ)「ちょっとしたアンケートです。一番嫌いな逃走者は誰ですか?」
一ノ瀬「嫌いな逃走者…?そうね…安岡でいいかしら?嫌いなのよね、あんなずる賢い大人って」
ヨーテル(スタッフ)「分かりました。安岡さんに一票…と」
ヨーテルは、メモ用紙に線を一本引いた。
一ノ瀬「何よそれ?アンケートでもとっているのかしら?」
ヨーテル(スタッフ)「あまり気にしないでください…それでは」
ヨーテルは、一ノ瀬に一礼すると、扉を引いて部屋を出た。
一ノ瀬「一体…なんだったのかしら。…まあいいわ、今日はもう寝ましょう」
~305号室~
ryouki(スタッフ)「失礼します!」
衣「うわっ!何…?」
衣の部屋には、ryoukiが押しかけていた。
ryouki(スタッフ)「一番嫌いな逃走者は誰ですか?」
衣「ええっ!?う~ん…レミリアかな。オープニングゲームでのあの怪力は恐ろしかったよ…」
レミリアは、怪力でオープニングゲームの機材を壊している。
ryouki(スタッフ)「分かりました。レミリアさんに一票……それでは!」
衣「今のはいったい…」
・・・・・・
ヨーテルとryoukiが別れてから2時間後。再びロビーに集まった2人は、票の集計をしていた。
ヨーテル(スタッフ)「えっと…逃走者が39人で…確保者からは集めていないから…39票になるはずなんですが…4票足りませんね」
ryouki(スタッフ)「ヨーテルさん、医務室に運ばれた4人からの集計がまだです。圭一さんと赤坂さん…レミリアさんとフランドールさんですね」
ヨーテル(スタッフ)「ああ…あの4人ですか。ちょっと行ってきます!」
ヨーテルは、メモ用紙を持って駆け出した。
ryouki(スタッフ)「あっ、行っちゃった。僕は…まあいいか、寝よう」
ryoukiは寝るようだ…
~医務室~
―――せん――――――ません
圭一「……?」
ヨーテル(スタッフ)「すみません。あ、起きましたか」
圭一「あれ…ここは?」
赤坂「圭一君は、ゲーム中に倒れたんだよ。雨のせいでね」
ヨーテル(スタッフ)「現在ゲームは一時中断中。再開は、明日の深夜1時からになります」
意識を失っていた圭一が、目を覚ました。
ヨーテル(スタッフ)「圭一さんの体力は、無事全快したそうです。医者である入江先生がおっしゃってましたよ」
圭一「監督…来てるのか!?」
入江先生とは、圭一がいる雛見沢にあるたった一つの診療所で医師をやっている人のことである。圭一も所属している少年野球チーム、雛見沢ファイターズの監督も務めている。
ヨーテル《スタッフ》(有能な医者が来ると聞いて、誰が来るのかと思ったが…ドクターマリオでも八意永林でもなく、入江とはな…)
赤坂「入江先生は、君の体調を見て安心していたよ。明日の逃走中にも、参加して構わないってさ。血を抜いた影響も、もう全くないそうだよ。ひと眠りしたおかげだね」
ヨーテル(スタッフ)「ああ、それで…アンケートに答えてもらえたいんです。一番嫌いな逃走者は誰ですか?」
ヨーテルの言葉を聞いた圭一と赤坂は、少し考え込んだ後、こう答えた。
圭一「それは…俺だ」
赤坂「私だよ」
ヨーテル(スタッフ)「…!いったいなぜ?」
圭一「俺は、赤坂さんの警告も聞かず血を抜いた。その結果がこのざまだ。それでみんなに心配かけて…最悪じゃねえか…!そんな自分が俺は大っ嫌いだ…」
赤坂「私は、圭一君を止めることが出来なかった。ミッション1の時、強引にでも圭一君を止めるべきだった…!そうすれば、こんなことにはならなかったはずだ。それが出来なかった自分が…今は最高に嫌いだ」
ヨーテル(スタッフ)「…………」
ヨーテルは、何も言わず2本の線をメモ用紙に追加した。
その後、レミリアとフランにも同じ質問をしたのだが、この2人も同じく自分自身に票を入れた。
レミリアの場合、全逃走者に助けてもらったことに対して、自分のプライドが許さなかったのだという。
フランの場合、吸血鬼の無力さを改めて痛感したのだという。
そして、逃走中再開30分前となった…

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