逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~
作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

74
竜崎「赤木しげるの……携帯電話!」
アカギが残した最後の手掛かりを見つけた竜崎。しかし、既にタイマーは動きだし、ゲーム残り時間は23分になっていた。あと3分。あと3分で、竜崎は通報者を特定し、撃破しなくてはならない。これが出来るとなると、それこそ奇跡を起こすことになってしまうが、その奇跡を信じて竜崎は携帯電話を開く。
と、その時……
KAME3「竜崎さ~ん!文さ~ん!」
咲夜「竜崎!文!」
KAME3と咲夜が、竜崎の元に現る。
文「お二方、どうしたんですか!?」
KAME3「はぁ…はぁ…意外にここまで距離が近かったんでね。やってきましたよ。だって……最後まで諦めたくないですから!」
咲夜「最後まで戦って負けるならまだしも、諦めて負けるなんて、私のプライドが許さない……」
KAME3と咲夜も、竜崎や文と同じだったのだ。リュカが通報者ではないと知った2分後には……
~回想~
咲夜「ねえ、KAME3……」
KAME3「なんですか?」
咲夜「自分で言うのもなんだけど、私は瀟洒なメイドよね?」
KAME3「そうですね……咲夜さんは、本当に立派な人です」
咲夜「その瀟洒なメイドが、通報者に負けただなんて……お嬢様はどう思うかしらね」
KAME3「…………」
咲夜「失望されるかしらね。だから私は……最後まで諦めないわ!」
KAME3「……!咲夜さん!」
咲夜「私は、竜崎の元に行くわ。途中ハンターに会うかもしれないから、貴方は来なくてもいい。というより、私があなたを死なせたくない。だから、出来れば来ないでほしい。私は、推理中が終わっても、貴方とこの逃走エリアで、一緒に逃げていたいから……こんなリスクを冒さなくてもいい」
KAME3「俺は、推理中の決着まで、通報者を追う者ですよ。大丈夫、生きている間は一緒にいますから」
咲夜「フッ……お嬢様のように、真っ直ぐな人は好きよ。……覚悟は伝わったわ。私もあなたがハンターに追われているとき、サポートはできないかもしれない。それでもいいというのなら……行くわよ!」
KAME3「はい!」
~回想END~
竜崎「諦めたくない……か。偶然にも、諦めるには早いと思わせてくれるような物がここにある」
竜崎は、アカギの携帯電話を見せた。
KAME3「これは……アカギさんの!」
竜崎「これが最後の証拠品だろう。さて……何をチェックする?」
既に時間は残り2分30秒。じっくり調べている暇はない。調べるものとして候補に挙がっているのは、送信メール、受信メール、発信履歴、着信履歴の4つ。
竜崎「俺の予想では、受信メールにヒントがあると思うのだが……どうだ?」
咲夜「とりあえず、みましょう。でも、主催者からのメールは原則スルーよ!」
竜崎「了解した」
この咲夜の提案は、調べる時間を短縮するためである。もしメールに手掛かりがなかった場合、大きなタイムロスを食わないために、主催者からのメールはスルーするのだ。こういうところで機転が効くのが、十六夜咲夜のいいところだろう。咲夜を復活させたのは、間違いなく正解だ。
竜崎「特に……なにもないな」
アカギが受信したメールは、主催者からのメールと、作者や文が一斉送信したメールだけだった。
KAME3「あと2分です!次は着信履歴を見ましょう!」
竜崎「……分かった」
~着信履歴~
着信履歴はありません
KAME3「誰からも電話はかかってきてないみたいですね。さて、次は発信履歴でも……」
竜崎「……!ちょっと待ってくれ」
文「どうしたんですか?」
竜崎「(なんだ……何か引っかかる。この違和感……)」
咲夜「竜崎……実は、私もなのよ。何か違和感があるのよね……」
推理中終了まで 1分30秒
竜崎「この違和感……なんだ?いったいなんなんだ?」
文「整理しましょう!アカギさんの携帯電話の着信履歴に、誰の名前もなかったんですよね?それはつまり、アカギさんにはだれからも電話がかかってきていないという事ですよ!」
文が、着信履歴について整理した。それを聞いた咲夜が……
咲夜「……それよ!着信履歴に誰の名前もないなんて、おかしいわ!」
続いて竜崎も、着信履歴の矛盾に気付く。
竜崎「そうか……そういう事だったのか!」
KAME3「どうかしましたか!?」
竜崎「分かったよ。通報者の正体が。…………お前だろ、通報者」
竜崎が指差した先には……
文「フッ……フフフ……」
薄ら笑いを浮かべている、射命丸文の姿があった……
竜崎「この着信履歴には、お前の名前がなければおかしい。だってお前は、アカギに電話しているからな。確か、残っている通報者候補を教えるとかいう用件で」
咲夜「でも、その用件は建前だったのね。あの時、文……貴女はこんなことアカギに言うふりをした」
『もしもし、アカギさんと御坂さん、今アパート付近にいますよね?そこで情報を集めるみたいですが、こっちで推理した通報者候補が誰かを教えておきます。』
咲夜「この文。普通に聞けば、アカギに電話しているように見えるわ。でも、この電話の相手はアカギではなく、逃走中主催者」
竜崎「よく聞けば、アカギと御坂の場所を、主催者に教えているな。まったく、よく考えたものだ」
その他、文が通報者ではないという反論はいくらでもできる。例えば、文は単独で追われているから通報者ではない……など。しかし、文が通報者と仮定して、そのすべてに答えが出せる。先ほどの例に答えを出すなら、あの時ハンターが追っていたのは文ではなく、その先にいた竜崎やレミリア。文は、持ち前のスピードでハンターの前を走っていただけ。
文「それで……どうするつもりですか?」
竜崎「あと1分でお前を倒す。それですべて決着だ!」
KAME3「バトルボールを持ってるのが俺と竜崎さん。文さんもバトルボールを持っていますが、3対1です!絶対に倒して見せます!」
推理中終了まで 1分

小説大会受賞作品
スポンサード リンク