逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~

作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

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一ノ瀬「圭一、そろそろまともに動けるかしら?」

圭一「おう!少し休んだら回復したぜ!ただ…やっぱりまだ腹のあたりがいてえ。フランの奴が全力で吹き飛ばしやがったからな…」

神社付近で、一緒に行動している圭一と一ノ瀬。2人の協力体制は、ゲーム終了まで続くのか…

一ノ瀬「それにしても…通報者が暴れてるわね。こっちに来ないかしら?」

通報者警戒を、怠ることはしない一ノ瀬。しかし…

圭一「それは、大丈夫だと思うぜ。アカギと美琴の確保情報を見てみろよ」

一ノ瀬「確保情報…?」



『通報者の通報により、アパート付近にて、赤木しげる、御坂美琴確保 残り13人』



一ノ瀬「ああ、そういう事ね。アパートからここ神社までは、1キロ以上あるから、通報者はすぐには来れないってことね。……ちょっと待って」

圭一「どうした?」

一ノ瀬は、携帯を少しの間眺める。するといきなり…

一ノ瀬「これ…これってもしかして!」

圭一「だからどうしたんだよ!」

一ノ瀬「竜崎に電話よ。通報者に関するとんでもないことに気付いたわ」

圭一「マジかよ!お前すげえな!」

なんと、今まで推理中にほとんど参加していなかった伏兵、一ノ瀬玲奈が、通報者について気付いたことがあるとのこと。さすがは、偏差値68の来夢高校でオール9の成績を取るだけのことはある。

一ノ瀬「竜崎に電話よ。アカギが捕まった以上、通報者を倒せるのは彼しかいないわ」

竜崎に、電話をかけるようだ…

そしてこの時より、推理中は大きく動く!




プルルルル…プルルルル…

竜崎「…ん?一ノ瀬から電話?」

文「とりあえず、出てみたらどうでしょうか」

竜崎「そうだな。もしもし?」

通報者候補の1人、一ノ瀬からの電話とあり、さすがに慎重になる竜崎。とりあえず、電話には出るようだ。

一ノ瀬(声)「竜崎?通報者について重要なことが分かったわ」

竜崎「…その情報を信じろと?一応、お前は通報者候補の中にまだいるんだがな…」

一ノ瀬(声)「私は通報者じゃないわ。…そうね。近くに圭一がいるわ。ほら、圭一」

圭一(声)「ああ竜崎。一ノ瀬は通報者じゃないぜ。ずっと俺と一緒にいたからな」

圭一は、すでに通報者候補から外されている。その圭一と一緒にいるという事はつまり、一ノ瀬にはアカギを通報することはできないという事になる。

竜崎「分かった。とりあえずは、お前を通報者候補から外しておこう。それで、通報者に関する情報というのは…?」

一ノ瀬(声)「貴方、確保情報を見てみなさい。特に、通報者が通報した確保情報を」

竜崎「確保情報…?分かった。どれを見ればいいんだ?」

一ノ瀬(声)「そうね…まず見る確保情報は、さっきのと、レミリアが捕まった……ってきゃああああ!!」

突如あがる悲鳴。そのあとには…

圭一(声)「うわ!来た来た来た!…うわああ!!」



プッ!



竜崎「…なんだ?」

圭一の声を最後に、電話が切れてしまった。その理由は…




一ノ瀬「ふう…何とか撒いたようね」

圭一「ヤバかったな…」

ハンターに見つかったからだ。しかし、何とか撒いたようで、今は2人して地面に座って休んでいる。


   ***


竜崎「最後まで聞き取れなかったが、とりあえず、アカギの確保とレミリアの確保を見ればいいらしいな」

一方竜崎。一ノ瀬の言う通り、2人の確保情報を見る。



『通報者の通報により、アパート付近にて、赤木しげる、御坂美琴確保 残り13人』

『通報者の通報により、公園内にてレミリア・スカーレット確保 残り18人』



竜崎「とりたてて、おかしなところは…いや、待てよ?この2つの確保時間は…」

咲夜「アカギが捕まったのがついさっき、ゲーム残り39:20秒。お嬢様が捕まったのが、49:20秒。ちょうど10分間隔なんて、面白い偶然ね」

竜崎「まさか…まさか、そういう事だったのか!?」

KAME3「竜崎さん、どうしたんですか?」

竜崎「俺にも、うっすらとだが、分かってきた。通報者の正体……」

文「本当ですか!?」

竜崎「ああ、本当だ。まだ仮説の段階だが、この仮説がすべてあっているとするならば…俺たちは、通報者の正体にたどり着ける…!」

竜崎が、通報者の正体を1点読みした。果たして、その人物とは…?

咲夜「で、通報者は誰なのよ?」

竜崎「その前に、この2つの確保情報を見てくれ」

竜崎は、アカギ&美琴の確保情報と、レミリアの確保情報を見せた。

竜崎「この2つの確保の間隔は、さっき十六夜が言った通り10分。じゃあ、この3人が確保された場所である、アパート付近と公園内。どれくらい離れていると思う?」

KAME3「逃走エリアの地図によると、大体1200mくらいですね。ってあああああ!」

竜崎「そうだ。つまりこれは、通報者が1200mの距離を移動し、3人を通報したという事になる。だが、10分で1200m…まあ、普通なら移動できるだろう。だが、推理中というゲーム内で、怪しい行動はすべて疑われる今の状況では…?」

文「10分で1200mなんて…移動できないですね。で、でも現に、通報者は通報していますよ!」

竜崎「ああ。このことからわかることが、1つだけある」

咲夜「なによ…?」

竜崎「通報者には、逃走者の居場所を教えてくれる仲間がいる。つまり通報者は、一匹狼じゃないってことだ」

文「そう…なってしまいますね」

竜崎「仮にその仲間をXとしよう。Xはエリア内を歩き回り、逃走者を見つけたら通報者に電話で伝える。だが……ここで問題が発生する。これはアカギ確保の時から思っていたことなんだが、Xにせよ通報者にせよ、アカギと御坂の近くを誰かが通って、あの2人が気付かないなんてことがあるだろうか?」

アカギは、闇討ちをしていた経験がある。戦闘にも慣れているため、近くを誰かが通りかかったら、間違いなく気配で分かるだろう。美琴も同様に、戦闘の経験が豊富である。誰かの気配を察知することなど、彼女にとっては造作でもないことだろう。

竜崎「だがもし、そのXがアカギにも御坂にも気づかれないような、そんなおかしな力を持つ者だったら…?」

KAME3「いや、アカギさんや美琴さんが気付かないなんて、そんな人…」

竜崎「ああ、お前らは知らないかもしれないな。実は、今残っている逃走者の中に、1人だけいるんだ。そいつは影がものすごく薄く、誰からも気づかれないこともある逃走者。……東横桃子。彼女がXの正体だ」

咲夜「東横桃子が…影が薄い?初耳よ、そんな話」

竜崎「俺も昨日偶然知った。実は昨日の昼間、暇つぶしにと思って、東横と麻雀をした。なぜかホテルに雀卓があったからな。そしたら…」



~竜崎回想~

桃子「それ、ロンっす竜崎さん。立直一発断ヤオドラ1。親マンの12000っす!」

竜崎「……え?リーチだと?お前、ちゃんとリーチ宣言の発生したか?」

桃子「ええ。ちゃんとしたっすよ。実は私、影が超薄くて、こんなことが出来たりするんす」

~竜崎回想終わり~



竜崎「……という事があってな」

文「そうなんですか。確かに、桃子さんならXにふさわしそうですね…」

竜崎「というより、Xになりうるのは東横桃子以外にいない。じゃあ、通報者は誰か…?お前ら思い出してみろ。東横桃子は、何故通報者候補から消えた…?」

KAME3「確か、アカギさんが情報を集めてくれたからって、竜崎さんが…」

竜崎「その情報を提供した奴は、パチュリー通報時に全く別の場所で東横を見たと言った。このせいで東横は通報者候補から消えたんだ。じゃあ、その情報を提供したのは?まだ10歳前後の少年……リュカだ!」

一瞬の沈黙が流れる。その後…

咲夜「ちょっと!嘘でしょ!?」

KAME3「リュカさんが通報者だっていうんですか!?」

文「はいはい!異議あり!異議ありですよ!」

竜崎「なんだ、射命丸?」

文「まず1つ目です。リュカさんはアカギさんに情報を教えていますが、リュカさんが通報者ならなんでその時点で通報してないんですか?」

竜崎「それは簡単だ。アカギが俺なんかに電話して、その情報を広めることがある程度予想できたから。そのために、あの時点ではアカギを泳がせていた」

文「じゃ、じゃあ2つ目!そもそもリュカさんは、ヒントの紙から外れているじゃないですか!身体能力は圭一さん以下!知識は上条s」

竜崎「本当にそうかな?」

竜崎が、文の言葉をさえぎって言う。

竜崎「身体能力は圭一以下?圭一って、ああ見えても中学2年生並みの運動神経しかないぞ?これはちょっと信じられない話だが、リュカは1度世界を救ったことがあるらしい。これが本当なら、リュカの身体能力は圭一をはるかに上回る」

文「じゃ、じゃあ知識は!上条さんは高校生です!知識では勝てないでしょう!」

竜崎「そうだ。だから俺は、1つ仮説を立てた。上条当麻は、本当は頭が悪いのではないか?」

文「それを…証明できるんですか?」

竜崎「少なくとも、その可能性を示すことはできる」

竜崎は、携帯を取り出すと、どこかに携帯をかけた。それは…


プルルルル…プルルルル…

店長(演:月詠小萌)「はい、ビデオショップ逃走中です!」

竜崎「突然で申し訳ありませんが、上条当麻…ご存知ですか?」

店長「上条君…?知ってますよ」

竜崎「その上条君なんですが、頭は悪い方ですか…?」

店長「悪いなんてもんじゃないですよ!こないだも追試を受けて、それでも赤点だったんで、補習授業だったんですよ!しかも、その補習授業の最後のテストでも点数が取れなくて、本当に、大変だったんですから!あ、言っときますけど、上条君これを7教科でやらかしたんですよ!もう本当に……」

竜崎「わ、分かりました!では、失礼します!」



プッ!



竜崎「……だそうだ」

咲夜「あんたよくビデオショップの店長が上条の担任って知ってたわね」

竜崎「逃走中の案内に書いてあった。まあ、それよりも、これでリュカが上条より賢いという可能性が出てきたな」

文「うぬぬぬぬ……」

竜崎「最後に射命丸。お前、アカギと電話したんだったよな?その時の内容、聞かせてくれないか?」

文「いいですが…」



~文回想~

文「もしもし、アカギさんと御坂さん、今アパート付近にいますよね?そこで情報を集めるみたいですが、こっちで推理した通報者候補が誰かを教えておきます。まず、大石さんが外されています。竜崎さんがビデオから推理しました。なんでも、通報者が梨花さんの名前をうろ覚えだったとかで…」

アカギ(声)「ふーん…」

文「それで残ったのは、エリオさん、安岡さん、翡翠煉さん、一ノ瀬さん、ゆうやんさん…あっ、ゆうやんさんは違うと思います。私が、ゆうやんさんが一人で追われてるとこ見てますので」

アカギ(声)「ふーん…」

文「あの…アカギさん?聞いてますか」

アカギ(声)「それだけか?なら切るぞ」



プッ!

文「あっ!」

~文回想終わり~



竜崎「なるほど…本当に、こっちの情報には興味なかったんだな、アカギは」

文「それが…どうかしましたか?」

竜崎「通報者がリュカで、それがこっちの通報者候補に残っていないとなると、アカギはもう俺たちに期待しないだろうしな。面倒な説明をする前に、電話を切ったのだろう。……さて射命丸、よくやった。そのアカギの反応が何よりの証拠だ。通報者はリュカだ!もう間違いはない!」

咲夜「待って、最後に私からも異議ありよ。リュカは作者を2人見逃したことになるけど、リュカは自分がアンケートのトップになっていないって知らないんじゃないの?」

竜崎「それは簡単だ。リュカは自覚してるんだよ。自分が他人から嫌われないタイプだってことをな。普通に考えて、あんな子供に票が入るわけない。リュカも、それをわかってた」

実際、リュカには1票も入っていない。これは、主催者情報だ。

KAME3「それで…これからどうするんですか?」

竜崎「俺たちは、4人でバトルボールを2つ持っているな。それじゃあ、2つに分かれてリュカを探す。見つけ次第撃破だ」

文「なら、私と竜崎さん。KAME3さんと咲夜さんでどうでしょうか?」

竜崎「まあ、妥当だな。お前らもそれでいいか?」

KAME3「問題ありません」

咲夜「私もいいわ」

竜崎「それじゃあ、通報者撃破を目指して……散!」



推理中は、いよいよ戦闘中に変わる…!