逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~
作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

70
煉「この投票……通報者は必ずタイマー停止をしない方に送りますよね。だとすると、通報者を除いた11人中7人がタイマー停止に票を入れないと、タイマーは止まらないわけですか」
票数が同じの場合、タイマーは停止しない。5分の時間を稼げるかどうかは、通報者を倒したいと思っている逃走者が7人以上いなくてはならない……!
だが、今現在リュカを探している4人は……
KAME3「咲夜さん、これはもちろんタイマー停止ですよね」
咲夜「そうね。時間内にリュカを見つけられる可能性を、少しでも増やすわよ」
文「これは、さすがにタイマー停止に入れますよね?」
竜崎「もちろんだ。それこそ、時を止めてでも時間が稼げるなら、賞金を手にする期待値を下げてもいい」
当然タイマー停止に票を入れるので、実質あと3人タイマー停止を望む者がいれば、タイマーは止まるわけである。
エリオ「5分も逃げる時間が増えるなんて……!ここまで逃げたんだから、ここは逃走成功の確率を、少しでも高めるべきでしょ」
ラーメン屋の裏に隠れているエリオ。どうやら、彼は逃走成功を目指すために、タイマー停止をしないほうに票を入れるようだ。
そして、続々と票は集まっていく……!
リュカ「怖い……!怖いから……ごめんなさいっ!」
桃子「これはこっちしかないっす!」
一ノ瀬「せっかく竜崎に情報提供したんだし、タイマー停止に1票ね」
圭一「俺は……俺は竜崎を信じるぜ!」
・・・・・・
主催者「12票集まったな。さて、結果は?」
エリー「票の内訳を合わせて表示します」
【タイマー停止に……】
賛成 反対
竜崎悠太 リュカ
射命丸文 東横桃子
大石 エリオ・モンディアル
KAME3 安岡
十六夜咲夜 翡翠煉
一ノ瀬玲奈
前原圭一
主催者「これは……これは面白い」
エリー「7対5ですか。これで決まりですね。竜崎達にとっても、通報者にとっても、タイマー5分停止は重要な問題です。この結果は、推理中の結果を変えるかもしれません」
主催者「それは……どうだろうか?」
エリー「え?」
主催者「通報者にとっては、タイマー5分停止なんて些細な問題なのかもしれない……」
主催者のその言葉に、エリーはひどく驚いた顔をした。
エリー「いや、何言ってるんですか。ゲームはすでに終盤です。ここでの5分は、きっと運命を左右するでしょう」
確かに、エリーの言う通りである。竜崎たちにとっては、今は1分でも時間が惜しい。逆に、通報者にとっては、1秒でも早く時が流れてほしい。今は、そんな状況なのだ。
しかし主催者は、それをあっさりと否定した。
主催者「しないよ。運命は、通報者が勝つと俺に告げている。奇跡でも起こらない限り、この運命は覆らない」
エリー「運命……ですか。時に主催者様。貴方は運命を、どこで知っているのですか?貴方には、運命を見通せる力でもあるというのですか?」
主催者「いや、そんな力はない。俺にはな……お前にはまだ教えてなかったが、俺には2人ほど仲間がいるんだ。そいつらから、このゲームの運命を聞いてるんだ。いずれお前にも紹介してやろう」
なんと、主催者には2人も仲間がいるという。しかもその人物は、運命が分かるという。一体、その2人とは誰なのか……
主催者「そんなことより、逃走者にメールを」
エリー「了解しました」
・・・・・・
プルルルル……プルルルル……
KAME3「きました!『投票の結果を発表する。タイマー停止に賛成が7票。反対が5票。よって、ゲーム残り時間25分より5分間、エリア内のすべての時が止まり、タイマーが停止する』おお!やったあ!」
文「竜崎さん!やりましたね!」
竜崎「ああ。おそらくリュカと東横は反対に入れたのだろうが……なんてことはない。こっちは俺、お前、十六夜、KAME3で4票確定。あと3人でよかった」
実際に、リュカと東横は反対に入れている。しかし、竜崎たちの通報者を倒したいという想いに、反対派は崩れ去った。
竜崎「さあ、探すぞ」
文「分かりました!ハンターがいたら、私が教えますので、竜崎さんはリュカさんを探してください」
再びリュカ探しのため、歩き出そうとした竜崎と文。しかし……
竜崎「ちょっと止まれ。暗くてよく見えないがこれは……」
文「あ、バトルボールですね」
竜崎が、地面に落ちていたバトルボールを拾った。これにより、竜崎と文が1つずつバトルボールを持つこととなった。これは、2人にとって最高の展開である。なぜなら、リュカを挟み撃ちできるからである。それに、もしリュカがバトルボールで抵抗してきたとしても、バトルボールの数で圧倒できる。
いい流れをつかんだ竜崎と文。このまま、リュカ発見なるか!
安岡「なんでえ、結局タイマー停止するのかよ。ちきしょう……隠れてる時間が増えるのは最悪だ」
タイマー停止反対に票を入れた安岡。逃走時間が増えることに、ひどく苛立っているようだ。
安岡「そもそも、時間伸ばしてそのせいで通報者に通報されたら最悪じゃねえか」
通報者は、39分のアカギ&美琴通報が最後の通報で、それから8分ほどは動いていないが、油断はできない。
圭一「そういえばよ、一ノ瀬」
一ノ瀬「なによ?」
圭一「一ノ瀬は、俺と会うまでずっと1人だったのか?」
一ノ瀬「いいえ。私は、少し前まで桃子と行動していたわけなんだけど、どういうわけかはぐれたのよね。いつの間にか桃子がいなくなってたっていうか……」
それは、東横桃子の影が薄いからだ……だからこそ、桃子は通報者の共犯となっているという、竜崎の推理が成り立つのだ。

小説大会受賞作品
スポンサード リンク