逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~
作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

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フラット「まさか、見つけてしまうとは…」
アクセラレータを見つけたフラット。彼は、麻雀教室の近くをうろうろしていた。
??「…フラットさん」
フラット「うわっ!?」
誰かがフラットに声をかけた。その人物は…
しら「僕ですよ、フラットさん」
izumi「あと俺です」
フラット「しらさんとizumiさんですか。吃驚しましたよ」
しらとizumi。作者さん3人が、合流…
フラット「izumiさん、それ…」
izumi「はい。バトルボールです」
バトルボールは、作者さん3人が合わせて2個持っている。
izumi「近くにいるの…あれはアクセラレータさんですよね。たおしに行きましょう!」
しら「よし、それじゃあ奇襲作戦で行きますよ。3……2……1……行きます!!」
しらの合図で、3人の作者さんがアクセラレータに向かって飛び出した!
アクセラレータ「きやがった!作者共か!!」
アクセラレータはすぐに作者さんが飛び出してきたことに気付く。
フラット「貴方が通報者だったんですね!」
フラットがまずバトルボールを投げる。しかし、アクセラレータ難なくこれを躱す。それもそのはず。アクセラレータは、ドーピング剤を使用しているため、身体能力が格段に上昇しているのだ。
アクセラレータ「俺は通報者じゃねえ!!!」
izumi「今更それはきついですよ…貴方が通報者だという事は、アンケートの結果からわかってるんですから!」
アクセラレータ「アンケート…?」
するとアクセラレータは、訳わからないといった様子で、izumiに聞いた。
izumi「嫌いな逃走者アンケート…あれの1位が通報者。そしてその1位はアクセラレータさん…貴方だ!」
アクセラレータ「なんだと!?」
フラットに続き、izumiもバトルボールを投げる。しかしこれも躱される。
izumi(躱された…でも!)「しらさん!」
izumiが投げたボールがワンバウンドしたのを確認し、しらがキャッチ。そのままアクセラレータに投げる。
アクセラレータ「……そが」
アクセラレータ、怯むことなくこれを躱す。
フラット「何か言いましたか!?」
するとアクセラレータは、ここら一帯に響くような声で…
アクセラレータ「くそがああああああああ!!!!!」
と、叫んだ。
そして、彼は自分の持っていたバトルボールを投げる姿勢に入る。
アクセラレータ「うおりゃああああ!!!」
バァン!!
izumi「ぐはっ!」
izumi ゲーム残り時間
撃破 残り25人 72:10
アクセラレータ「もう一丁!!」
アクセラレータは、すかさず地面に落ちていたバトルボールを拾い、フラットに投げつける。ドーピング剤で強化された腕から放たれた超剛速球のボールをよける手段は、フラットにはなかった。
フラット「……っ!」
バァン!!
フラット ゲーム残り時間
撃破 残り24人 72:08
アクセラレータ「あとはてめぇか!」
アクセラレータは、最後に残ったしらを睨みつける。
しら(…まずい!)
しらは、必死に地面に落ちていたバトルボールの1つを確保する。しかし、それと同タイミングでアクセラレータもボールを拾う。
しら「アクセラレータさん…貴方、通報者じゃありませんね?」
アクセラレータ「たりめぇだろ!!」
なんと、通報者の正体はアクセラレータではなかった。この事実は、アンケートのトップが通報者だという、前提を崩してしまう。この事実に、しらは薄々気づいていた。しかし、確信がないため言い出せなかったのだ。
主催者「フフフ…予想通り。作者が引っかかってくれたな」
エリー「嫌いな逃走者アンケートのトップは通報者……そんなこと、主催者サイドの人間は、ヨーテルも、ryoukiも、疾風の音も、その他スタッフの者も一言も言っていません。ただ作者が勘違いしただけ…しかし、どうして作者だけが?」
主催者「本家逃走中に、これと全く同じ展開があるんだ。嫌いな逃走者を全員から聞き出して、そのトップが裏切り者となる。本家以外…すなわち、逃走中小説の中でもこのパターンは恒例といっていいほどある。だから作者だけが引っ掛かった」
エリー「なるほど…確かに、アンケートを取った時点で勘付いていた作者も何人かいましたね」
主催者「そしてあの手紙。俺は嫌われ者の通報者といったが、通報者なんてなった時点で嫌われ者になるに決まっている。あんな言葉に大した意味はない。しかし作者は、わざわざそれを根拠として持ってきた。アンケートのトップが、通報者であるという根拠に」
人間は、確信のないことを確信に変えるために、おかしな根拠を持ち出してくることがある。
例えば、2択の問題があったとしよう。自分では答えは1だと思っているが、いまいち確信が持てない。もちろん、たぶん1だという感覚はある。だが、確信を持って1と言えるほどではない。
そんな時、友達と答えを照らし合わせてみる。すると友達も答えは1だという。他の友達も、答えは1だという。すると、なぜか答えは1だと確信が持てる。根拠は、他の人も1と言っているから。他の人の答えと、正答に因果関係などないのに。
と、このようになることが人間には多々ある。それは、人間に生まれた以上仕方のないことだ。作者は、手紙を根拠に票を集め…まんまと主催者の罠に嵌った。
主催者「だから言っただろ。通報者に勝てないのは、逃走者たちの『運命』だと」
・・・・・・
場面は再びアクセラレータとしら。互いにバトルボールを持ち、向かい合う。
しら「実は、通報者は一度僕とizumiさんを見逃しているんです。通報者も、票を集められていることには気づいているはず。なら、ここで見逃すメリットは何もない。しかし、通報者≠アンケートのトップというなら話は別。僕たちを見逃すことによって、票が集まる。それはすなわち、僕たちがどんどん本当の通報者から離れていくという事」
アクセラレータ「……」
しら「悔しいですが、主催者に完敗です。見事に嵌められた感がありますね。アクセラレータさん。疑ってすみませんでした。もうボールを当てる気はありません。安心してください」
しらは、バトルボールを持った手をおろす。攻撃するつもりはないという意思表示である。
アクセラレータ「ククク……」
しら「アクセラレータさん?」
アクセラレータ「ヒャーッハッハッハッハ!!!」
なんと、突然アクセラレータが叫び声をあげた。
アクセラレータ「おいしら!てめえ、アンケートの票は集めたんだよなぁ!?」
しら「は、はい…」
アクセラレータ「俺に何票入ってた!?」
しら「7票~9票です。未集計が2票あるので…」
アクセラレータ「それってつまり、みんな俺のことが嫌いってことじゃねえか!ふざけんな!許せねえ…みんな俺をバカにしやがって!」
しら「お、落ち着いて…」
アクセラレータ「全員…ぶっ殺す!逃走者全員、この手で撃破してやる!」
しら「うわぁ!」
暴走したアクセラレータは、しらに向かって全速力で走る。しらはまずいと思い逃げる。果たして、2人の追いかけっこの結果は…
しら「なんとか…なったかな?」
しらが、かろうじて物陰に隠れることによって、アクセラレータの視界から消えた。
しら「そうだ、この間に…」
しらは、携帯電話を取り出すとメールを打ち始めた。
しら「この事実を、皆さんに伝えなくては…それと、もう1つ…」
アクセラレータが通報者ではないという事実を、伝えるようだ。
しら「あと少し…あと少し…」
もう少しでメールが完成しようという…その時だった!
アクセラレータ「見つけたぁ!」
物陰に隠れていたしらを、アクセラレータが見つけた!
しら(まだメールが未完成…でも、これでいいや!汲み取ってくれ、僕の意志!)
アクセラレータ「うおりゃぁ!」
アクセラレータがバトルボールを投げる。しらによける術は…なかった。
バァン!!
しら ゲーム残り時間
撃破 残り23人 71:10
そして、残されたアクセラレータは…
アクセラレータ「カカカカカ!!!」
バトルボールを持つと、フラフラとその場を後にした。
・・・・・・
これが、作者さんが3人同時に撃破された経緯である。もちろん、他の逃走者がそれを知る術はないが…
竜崎「そういえば、もう1通メールが…」
メールは、もう1通来ている。しらが撃破間際に一斉送信したメールである。しらが残した、最後のメッセージだ。
『アクセラレータさんは、通報者ではありません。でも気を付けてください。彼はく』
竜崎「アクセラレータが通報者じゃない…か。だが、気になるのはこの文。『彼はく』ってなんだ?」
レミリア「たぶん、最後まで打ちきれなかったのでしょうね」
竜崎「じゃあ、この文には続きがあるってことか。なんだ?『彼はく』に続く言葉…」
アカギ「『彼は狂っている』そう打ちたかったんだと思うがな」
竜崎「狂っている?」
アカギ「自分に票が入ったことで、アクセラレータは暴走した。最早あいつは、俺たちの仲間じゃねえ。どうにかしなくてはいけない……敵だ!」
この瞬間から、このゲームの構図はまた変化した。
【ハンター3体&通報者VS逃走者22人(アクセラレータ込み)VSアクセラレータ】

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