逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~
作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

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煉「ゆうやんさん、とりあえず動かない方向で行きますか?」
ゆうやん「そうですね。ハンター来たらシャレになりませんし。今ハンター7体ですからね…」
ミッション7で竜崎がビデオを見たため、ハンターの数は7体に増えた。逃走者たちは、徐々に苦しい状況へと追い詰められていく…!
この状況を喜んでいる者がいるとすれば…
通報者(……フッ)
いまだに逃走者たちの中に潜んでいる、正体不明の通報者くらいなものだ。
衣「通報者怖いし、ハンターはもっと怖い……ここは動かないほうがいいのか」
現在、逃走者たちはかなり不利な方向に追い込まれている。この状況を打開し、逃走成功の確率を少しでも上げるには、最低でも通報者の撃破は必須となる…!
ハンター「…………」
怯える衣の近くに、ハンター…
衣「っと、ハンターいたか。怖い怖い……って、ゲームはまだ始まっていないではないか!」
ゲーム再開まで、あと30秒。ハンターに怯える必要も、無かった…
文「そういえば竜崎さん。アカギさんにはビデオの内容は伝えないのですか?あと、今後の方向性とか話し合った方がいいと思うのですが…」
竜崎「そうだな…電話してみるか」
通報者を探す仲間である、アカギにビデオの内容を伝えるため、電話をかける竜崎。
プルルルル…プルルルル…
アカギ(声)「どうした、竜崎?」
竜崎「ああ、アカギか。実は……」
竜崎は、ビデオの内容を簡潔にアカギに話した。ビデオの内容は、ゲーム再開までの30秒で話しきれるものではなかったので……
ゲーム残り時間
42:00
ゲーム残り時間
41:59
ゲーム残り時間
41:58
ゲームは、再開された……
アカギは、基本的に相槌を打つだけだったが、1ヵ所だけ食いついてきた部分があった。それが…
アカギ(声)「ほう…高町なのはが見逃されている…ねえ。いつの話しだ?」
竜崎「確か…ミッション6の間だ。射命丸のメールが来る…2分ほど前の話だな」
アカギ(声)「だが高町は、通報者にゲーム残り時間54分の時点で通報されて確保…ククク…こいつはおもしれえ」
竜崎「面白いわけあるか。何故通報者が高町を見逃したのか。それが分からないんだ」
アカギ(声)「……実は今、俺の中で通報者最有力候補が生まれた」
竜崎「なに!?」
天才、赤木しげる。通報者の正体を、見切ったか…?
アカギ(声)「だが確信がねえ。だから今はお前には教えねえ。俺の推理が間違ってたらお終いだからな」
竜崎「分かった。アカギ、お前今どこにいる?」
アカギ(声)「アパートの近くだ。俺はそこで御坂と共に情報を集め、確信が持てたらお前にまた電話する。お前は今どんな感じだ?」
竜崎「俺の方は今、十六夜、射命丸、KAME3の4人で公園にいる。ああ、安心しろ。新たに射命丸が加わったが、あいつは白だ。さっき全員通報されたんだが、あいつは1人で追われていた。まあ、結果的に俺たちも巻き込まれたが」
アカギ(声)「……分かった。いったん切るぜ。調べたいことが山ほどある」
竜崎「……了解。気をつけろよ」
そうして、2人の会話は終わった。
竜崎「とりあえず、報告だ。アカギが通報者の正体に心当たりがあるらしい。あいつのことだ、1点で的中させている可能性は高い」
文「おおっ!」
KAME3「それは本当ですか!?」
アカギが通報者の正体に心当たりがあると聞いて、歓喜の声を上げる2人。無理もない。赤木しげるは、生まれついての天才。それも、狂気を持った天才の中の天才。その男が通報者に心当たりがあると言ったのだ。喜ばないわけがない。
竜崎「アカギと御坂は、確信を持つためにアパートの近くで情報収集をするらしい。俺たちも、引き続き情報を集める。アカギに頼らず、俺達でもがんばろう」
咲夜「そうね。アカギにばかり頼ってはいけないわね」
文「あれ?そういえば竜崎さん、アカギさんに今残ってる通報者候補がだれか伝えましたか?」
竜崎「……ん?ああ、伝えていなかったな」
文「そうですか、なら私が電話で伝えておきますね。少しでも参考になればいいのですが…」
竜崎「ああ、頼む」
プルルルル…プルルルル…
文「もしもし、アカギさんと御坂さん、今アパート付近にいますよね?そこで情報を集めるみたいですが、こっちで推理した通報者候補が誰かを教えておきます。まず、大石さんが外されて……」
通報者候補についての情報を、的確に伝えていく文。説明がうまく、分かりやすかった。
KAME3「文さんがいてよかったですね」
竜崎「そうだな。ああいった細かいとこに気付けるのが、射命丸の長所だな」
1分ほどしたところで…
文「説明終わったのですが……なんかアカギさん、こっちの情報にはあまり興味ないみたいです。相槌打たれるだけで、聞いてるんだか聞いてないんだか……」
竜崎「聞いているさ。あいつは、情報を聞き漏らすようなことは絶対にしない」
咲夜「さて、私たちもがんばりましょう!」
竜崎は公園付近を、アカギはアパート付近を。離れた場所にいる2人が、連係プレーで情報を集める…………
はずだったのだが。
アカギ「さて、じゃあ動くか。ハンターに見つかったら隠れる。周りをよく見ていてくれ」
美琴「分かったわ。逃走者に会えればいいんだけど、通報者なんかに会ったら最悪ね」
アカギ「ククク…大丈夫。俺にはもう、通報者の目途はついている。あともうひと押しさ」
情報を集めるため、動く2人。しかし、そんな2人の近くに…
ハンター「…………!」
ハンターⅡ「…………!」
ハンターⅢ「…………!」
ハンターが3体。しかも、前後から挟み撃ち…!
アカギ「な……!」
美琴「嘘でしょ!?3体なんて!?……通報者ね!」
そう。実はこの2人、1分ほど前に通報を受けていた…!今や、ハンターの数は7体。通報されたとなれば、3体のハンターが襲い掛かってきても、不思議ではない。
アカギ「……っ!!」ポンッ
美琴「ああっ!」ポンッ
赤木しげる 御坂美琴 ゲーム残り時間
確保 残り14人 39:20
美琴「な…なんていう不幸なの!アカギが通報者の正体分かった途端通報者が近く通って確保なんて……あいつより不幸よ!ねえ、アカギ!……アカギ?」
アカギは、下を向いて何かを考えている……
アカギ(通報者が通報…?このタイミングで…?ククク……そういう事か。これは俺の負けだな)
アカギ「カメラマン。これ…ここに置いていいか?」
カメラマン「…え?はあ、アカギさんさえ牢獄に入ってくれれば、何を置いてもいいですが」
アカギ「ククク…竜崎、後は任せたぜ。これは、俺からの最後のヒントだ。俺は通報者の正体にたどり着いたとこまでが限度だったが…お前は撃破してくれ」
アカギは、『ある物』を近くにあった塀の上に置くと、ゆっくりと牢獄へと向かった。
美琴「あ、ちょっと待ちなさいよ!」
美琴も、それを見てアカギを追う。
こうして、狂気を孕んだ天才と、常盤台中学の最強お嬢様は、通報者によって逃走中の舞台から降ろされた……
・・・・・・
主催者「……決まったな。通報者とアカギ、どちらが強いのか……その答えは、やはり通報者だった」
エリー「そうですね。アカギも通報者の正体にたどり着いた。そしてそれは、多分当たっているでしょう。しかし、通報者の方が1手早かった」
主催者「もしも……通報者が並の能力しか持たない者だったら、アカギは通報される前に、通報者の気配を感じ取ったかもしれない。そして、撃破できていたかもしれない」
エリー「そうですね。しかし通報者は、アカギに気配を悟られることなく、通報した。あのアカギが全く気付けないとは……私は通報者に、軽く恐怖を感じました」
主催者「あいつは普通じゃない……ともかく、これで通報者の勝ちだ。竜崎は、通報者より圧倒的に劣っている。アカギだけが唯一、通報者と張り合える相手だったのだが、その戦いを通報者が制したとなれば…」
エリー「それは、どうでしょうか?もしかしたら、何かのきっかけで、竜崎たちに突風が吹くかもしれません」
主催者「突風ねえ……向かい風の突風なら現在進行形で吹いているが。まあ、竜崎たちには推理中終了まで、この向かい風を楽しんでもらおうか」
~牢獄~
マリオ「アカギ確保!美琴も確保だとよ!」
確保者たち「ええええええええええ!!」
南郷「アカギ確保!?冗談だろ…」
黒子「おねえさまああああああ!!」
マリオ「しかも通報者の通報でだ!」
ルイージ「兄さんそれ本当!?通報者強すぎるよ…」
魔理沙「通報者…なんてつええ奴なんだ」
はやて「アカギ君を通報するなんて、これは只者ではあらへんな」
牢獄は、この確保で悪い意味で盛り上がっている。それもそのはず。今日が初対面とはいえ、アカギの力を多少なりとも知っている確保者たちは、きっとアカギがやってくれると信じていたのだ。
そして、アカギと美琴の確保で動揺しているのは、逃走者たちも同じ…!
一ノ瀬「アカギと美琴確保……」
ゆうやん「煉さん!アカギさんと美琴さんが捕まりました!」
煉「そうですね…これは、今後どうなってしまうのでしょうか…」
文「竜崎さん!私、さっきアカギさんと話したばっかだったのに…」
竜崎「クッ…!きついな…正直、アカギが通報者に通報されるなんて考えてもみなかった。あいつなら、たとえ通報者に見つかっても、何とかしそうな感じだったのだが」
咲夜「推理中…本当に勝てるのかしら…」
KAME3「咲夜さん、弱音吐いちゃだめですよ!」
逃走者たちは、赤木しげると御坂美琴という、天才たちを少なからず頼っていた。いや、あてにしていたという方がいいかもしれない。だから、この2人が確保されたという事実を知った逃走者たちは……脆い。
その証拠に、動揺を狙い打たれるかのように……
衣「ま、まずい!ハンター来た!」
ハンター「…………!」
衣「み、見つかった!って速い!」
ポンッ
天江衣 ゲーム残り時間
確保 残り13人 38:54
天江衣が、確保……
衣「こんなゲームもういやだ!」
竜崎「『古本屋付近にて天江衣確保 残り13人』…クッ!」
文「アカギさんが通報されて、悪い流れになっていますね……」
咲夜「とりあえず、落ち着きましょう。今動揺していたら、通報者には勝てないわよ」
KAME3「情報収集に戻らないといけないですね。ですが、他の逃走者もアカギさんの確保で動揺しているでしょうし…」
主催者の言うとおり、向かい風が突風で吹いている…
赤木しげる、御坂美琴、両名の確保により、完全に通報者ペースとなってしまった逃走中。
この悪い流れを断ち切り、通報者に勝つことはできるのか。
残る逃走者は13人。推理中終了まで18分。逃走中終了まであと38分!

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