逃走中~勇気と頭脳で問題都市に立ち向かえ~
作者/ ヨーテル ◆I.1B0IMetU

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ミッション6により、牢獄の者たちにも復活のチャンスが与えられた。
復活の珠を牢獄に持って来れば、珠の数だけ任意の確保者を復活させることが出来る。
現在、何人かの逃走者が復活の珠を求めて病院前へ向かっている。
果たして、牢獄の者を復活させることはできるのか…!
~牢獄~
ルイージ「兄さーん!助けてー!」
ネス「リュカー!先輩を助けると思ってミッションやってー!」
ヴィータ「誰でもいいからとっととあたしを助けにこい!」
美琴「でも、誰が助けに来ると思う?」
スバル「正義感の強い人はやりそうですよね!なのはさんとか!」
ゆみ「そう考えると、麻雀部は期待できそうにないな…」
詩音「私は、圭ちゃん辺りが助けに来てくれると信じてますよ」
復活のチャンスが与えられたとなって、大盛り上がりの牢獄。
一方…
梨花「はぁ…いいわね、復活のチャンスがある人は…」
涙子「ま、2ndステージ早々に捕まったあたしたちも悪いんだけどね~」
ルカリオ「ちきしょう…通報者め…」
霊夢「通報者!正体分かったらギッタギタにしてやるんだから!」
涙子「あれ、霊夢は通報者の通報でじゃなくて、ただ確保されただけじゃない?」
霊夢「それでも!」
上条「くっそ…復活してぇなあ…」
復活の権利を持たない2ndステージ確保組の周りだけは、悲壮感が漂っていた。
・・・・・・
なのは「早く病院に行こう!誰かは復活させたいし、ハンター放出なんて絶対ダメだもんね…」
ミッションのため、病院へと急ぐなのは。
その姿を、通報者が捉えた…
通報者(……はぁ)
しかし、通報者はまたしても通報せず。携帯を手に持つことすらしない。
なのは「…あれ?今誰かいたような気がしたんだけど…気のせいかな?」
圭一「赤坂さん、復活させられるそうですが、どうしますか?」
赤坂「代償がなんなのかわからないのが怖いが…一応、病院に行くだけ行ってみよう」
ゲーム再開から、2人行動している圭一と赤坂のコンビ。正義感あふれる2人は、ミッションに挑むようだ。
咲「あんまり動きたくないけど、部長を助けたいしなあ…」
病院を目指して慎重に歩く、清澄の嶺上使いこと宮永咲。
咲「うわ、不味いよ…」
咲は、とっさに建物の陰に入る。咲が見たのは…
ハンター「……」
エリアを徘徊中の、ハンター…
咲「気付かないで…!」
そして、数十秒が経過した。
結論から言うと、咲が見たハンターは咲に気付かなかった。そう、咲が見たハンターは…
咲「なんで別のハンターが来るの~!?」
2体目のハンター、登場…
咲「キャアアアア!」ポンッ
宮永咲 ゲーム残り時間
確保 残り28人 83:20
リュカ「また確保情報が…」
ゆうやん「『公園付近で宮永咲確保 残り28人』あの強運の咲さんが確保か…」
izumi「このミッション…さりげなく通報者が阻止しにくるかもしれませんね」
しら「どういうことですか?」
izumi「このミッションは、参加者がいないとハンターも放出されてしまうんです。それはつまり、通報者が通報したときに、通報した逃走者が捕まる確率が高くなるんです」
しら「ということは…」
izumi「はい。通報者最有力候補のアクセラレータには警戒してください。といっても、とりたてて出来ることはないですが…」
逃走中を知り尽くす、逃走中同盟の中でも屈指の2人。アクセラレータへの、警戒を強めるようだ。
***
フラット「はぁ…はぁ…ついに着いた!病院!」
シグナム「よし、到着だ」
フェイト「近くて助かったね」
文「そうですね。さて、どうすれば復活の珠がもらえるのでしょうか…」
4人の逃走者が、病院前に到着。それと同時に、病院の中からスタッフが出てきた。しかし、そのスタッフは作者でもryoukiでもない。
そう、彼はこのミッション6から主催者に仕事を任された、新スタッフなのである。
疾風の音(スタッフ)「逃走者の皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
フラット「あれ、疾風の音さんじゃないですか。スタッフやってたんですか?」
疾風の音(スタッフ)「はい。今回から仕事を任されました」
疾風の音とは、作者さんの1人である。逃走中はもちろん、密告中や人狼ゲームの小説を手掛けている、かなり万能型の作者さんだ。
フェイト「それで、復活の珠が欲しいんだけど、こっちも何かあげなきゃいけないんだよね?何あげればいいのかな?」
疾風の音(スタッフ)「……1枚です」
フラット「1枚…ってお金ですか!?しょうがないですね…俺が出しましょう。千円札でいいですか?」
疾風の音(スタッフ)「いえ、違います」
フラット「ええ!?もしかして5千円ですか…?」
疾風の音(スタッフ)「いえ、違います」
フラット「あの…今俺の財布に諭吉さんはいないんですけど…」
疾風の音(スタッフ)「諭吉さんはいりません。1枚っていうのはお金じゃなくて……これです」
疾風の音は、人差し指をピンと立てた。皆はその指が指す方向を見るが、疾風の音の指は上を向いている。上には、輝く月しかない。
シグナム「だから、何なのだ…」
疾風の音(スタッフ)「だから、これ1枚です」
疾風の音は、もう1度人差し指をピンとたてた。それを見て、初めに気付いたのは文だった。
文「え、まさか…そんな…!」
~牢獄~
魅音「そういや詩音」
詩音「なんですかお姉?」
魅音「4日前さ、園崎家の拷問部屋から拷問器具がなくなってたんだけど、詩音知らない?」
詩音「私は何も…何がなくなってたんですか?」
魅音「ほら、あの…爪剥がすやつ」
シグナム「き…貴様!もう1度言ってみろ!」
フラット「じょ、冗談ですよね…?」
疾風の音(スタッフ)「冗談ではありません。復活の珠を手に入れるために必要なのは……爪1枚です」
その言葉を聞いたとき、4人の顔色が明らかに変わった。フェイトやフラットは、既に手が震えている。
疾風の音(スタッフ)「補足説明します。1人が剥がせる爪は、1枚だけです。つまり、5体のハンター放出を阻止したいなら、最低でも5人の爪が必要となります」
シグナム「ふざけるな!爪だと!?そんなことが逃走中で許されるわけがない!」
文「と、とにかく、一斉送信でこのことを皆さんに伝えます」
文は、動揺しながらも携帯で文字を打ち込み、情報を発信した。
プルルルル…プルルルル…
一ノ瀬「メール…文から一斉送信?なにかしら…」
赤坂「読み上げよう『皆さん、清く正しい射命丸です。なんて挨拶をしてる場合ではありません。大変なことになってしまいました。復活の珠と引き換えに失うのは、逃走者の爪1枚みたいなんです!しかも、1人につき1枚しか爪は剥がせません』な、何だと!?」
竜崎「『こんなことが、逃走中で許されるのでしょうか…皆さん、ミッションをやるときはくれぐれも自己責任でお願いします。私は伝えましたからね!』許されるわけがない…!なんなんだこれは!」
文からのメールで、逃走者たちは混乱…!大パニック…!
竜崎「このミッション…明らかに普通じゃない!」
レミリア「そんなことわかってるわよ!爪1枚って…800cc採血の方がまだましよ!」
マリオ「俺はやんねえからな!絶対やんねえからな!」
このメールでの混乱するのは、普段冷静な竜崎たちも例外ではない。
竜崎「今更ながら…本当に今更ながら分かったことがある。この逃走中…本家逃走中の常識は通用しない…!」
思い返せば、この逃走中は狂ったミッションだらけだった。ミッション1の血液採取。ミッション4の毒ガス噴射。そして今回のミッション6での爪剥がし。
竜崎「こんなミッション…クリアできるわけがない…!」
最早、全逃走者がそう思っている。だから、このミッションはクリアできない。竜崎がそう確信した。その時だった!
アカギ「案外…そうでもないんじゃないか?」
竜崎「アカギ…どういうことだ?」
アカギ「このミッションをクリアする方法…簡単さ。俺たち5人が、ミッションをやればいい。それで全て解決だ」
竜崎・レミリア・マリオ・衣「……!!!」
レミリア「アカギ…確かにそうよ。お前なら、ミッションに参加する勇気も覚悟もあるのかもしれない。でも、そんな勇気や覚悟が、私たち全員にあると思わないで」
竜崎「お前の心は、最早人間のそれではない。つまり狂気。お前は狂ってるんだ。冷静になれ。いくらハンター放出阻止と、確保者復活という特典があるとはいえ、爪1枚。あまりに代償がでかい。このミッションをやるのは、あまりに不合理だ…!」
竜崎必死の説得。しかし、アカギには届かない。
アカギ「ククク…不合理じゃないさ。合理的な行動だ。まあ、今のお前にそれを言ってもわからないだろうが…15分。15分たてば、すぐに分かるさ。このミッションに参加する意味が…」
竜崎「……?」
主催者が出した、ハンター放出阻止&復活というお得ミッション。
しかし、その代償はあまりに大きかった。
果たして、このミッションに参加者は現れるのか!

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