小説カイコ ryuka ◆wtjNtxaTX2 /作

第一章 左廻り走路編(6)
その後は最悪だったねwww
まず、いつも使ってる電車が目の前で行ってしまったこと。コイツに行かれると乗り換えを3回もしなくちゃいけなくなる訳だ。
そして乗り換える為に、普段降りない駅で降りたらホームを間違えて、階段を何回も登るハメにwwwもうやだwww
そして極め付けが、3度目の乗り換えもせずに、寝過ごしてしまったこと/(^o^)\
「高橋、高橋起きて!」耳元でカイコの声がした。
「んあ?」
久々に電車でぐっすり寝てしまったな。。。意識が朦朧とする中、電車を降りると海の匂いが微かにした。……海の匂い?
俺の住む我島岡市は内陸だ。はて、これは一体どういうことだろうか。
恐る恐る駅名を見上げてみる。
“ 銚子 ”
「銚子って……あの鰯の水揚げ量が全国一位の銚子??」
腕時計をみると時刻は9時半。普通ならもうとっくに家に着いている時間である。ていうか9時半って、俺は家に帰れるのだろうか。あわわわわわわ……
「カイコ……お前ワープとかできる魔法とかない?」
「そんな便利なことできるわけないでしょ!僕だって、高橋のせいで帰るの遅くなってるんだからね!! もう、あんな変な人生ゲームなんてしてるからだよ!僕に頼らないで自力でなんとかしなさいね!」
嗚呼、カイコに説教までされてしまった。。。俺は一体どうすればいいのだろうか。。。
とりあえず今来た反対方面の電車を待とう。うーん、千葉県の東端に俺は来てしまったんだね。一応、心配していると悪いから、母親に遅くなることをメールしておこう。
しかし非情かな。携帯電話の電池が切れていた。画面が何をしても真っ暗だ。マジかよ嘘だろwww
財布の中を見たら一円玉が9枚。あ、そうだ今朝スイカに1000円チャージしたんだった……しかもその後に、弁当忘れたのに気付いたから439円の弁当買って、残金は500円くらいしかないはず。
「高橋、あれは?公衆電話は?」カイコが背伸びしながら言った。
「お!ナイスアイディ…… 駄目だ、一回改札通らないと。でもここ定期外だし……千葉駅からここまで500円以上だったら困るしな。」改札から出れても、帰れなくなる可能性があるからね。
「なんか高橋さ、今日ことごとくツイてないね(笑)」
「うん……もうネタにできるぐらいだよ……」
そんなこんなして人影の全くない、駅のベンチでカイコと二人で寂しく座っていると、あっちの方から騒がしい声が聞こえてきた。暗くてよくわからないが、どうやらヤンキーらしい。
はあ、不良さんか……と思ってガン見しないようにしていたら、不良さんたちの声が遠ざかって行った。5,6人の集団だったのがどうやら改札のところで別れたらしい。
で、一人、不良さんが階段を下ってくる音がした。なんかやだな……こっちに来ませんように……
しかし願い届かず、不良さんはまっすぐこっちにやって来る。なんかヤバイ気がしたので下を向いて、寝ているフリをした。
迫りくる足音。過ぎ去ってくれ、過ぎ去ってくれ……と、念じていると、足音はちょうど俺の目の前で止まったようだった。
今度こそマジで嘘であって下さいwwww
10秒経過。不良さんはまだ行ってくれそうにない。かなりやばいよコレ。どうなるの俺。
「おい、お前。」
ついに不良さんが声をかけてきた。。。もう腹をくくるしかないね(´Д`;)
寝たフリをやめて、できるだけ目を合わせないようにして顔を上げた。……肩に乗っているカイコまでブルブルと震えている。マジでやばい。でも、ちなみにカツアゲされても9円しかないからねwww
頑張って声を振り絞る。
「……は、はい、ななな、なんでしょうか……」

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