小説カイコ ryuka ◆wtjNtxaTX2 /作

第二章 後編(21)
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無事に高橋を見つけ出し、そのあと近くの売店に寄り道した。俺と高橋はラーメン、鈴木はなぜか板チョコを6枚も買っていた。意外と甘いもの好きなのね。
部屋に着いて早速、買ったカップラーメンにお湯を注いで待つこと3分。ぼけーっとテレビを眺める。24時間テレビがやっていて、なかなかにアホなことをやっていた。芸人さんも大変だね。
ひとしきり笑ってだんだんテレビに飽きてきた頃、急に高橋がぽつり、ぽつりと話しだした。
なかなか重たい話だった。なんでも、幼馴染が最近亡くなってしまったらしい。正直、驚いた。
俺は近しい人が亡くなったことなんてなかったから、なにをどう言ったらいいのか全然わからなかった。下手に慰めたところで、余計に気が重くなってしまうだけだろうし。
高橋が話し終わると、鈴木がどっこらしょ、と座り直した。
「……そっか、それで、高橋最近暗かったんだ。」
「やっぱ暗く見えた?俺、隠すの下手みたい。土我さんにも見抜かれちゃったんだよね(笑)」
「うん、下手」鈴木が笑いながら言った。「それでさ、なに、お前はその拓哉って奴のことしょっちゅう思い出しちゃうんだろ?でもそれに対して何も感情が湧かないのが申し訳ないって思ってるわけか。なかなかに高橋チックだな。」
「高橋チックって何だよ……。」
すると鈴木は質問を無視して、板チョコの銀紙を剥きだした。「いちいち思い出してぐずぐず泣くよりはいいんじゃない?俺なんて中学入るまで姉ちゃんの件で三日に一回は泣いてたもん(笑)もぉ自分が自分で恥ずかしいわwww
でもさ、そうやって思い出すってことは、それだけそいつのこと好きだったっていう証拠だと思うよ。それだけでも十分な手向けになるんじゃないかな、俺が思うに。……そだ、チョコ食う?」言いながら、板チョコをパキッパキッと3つに折って投げてよこした。
「……ん。ありがと。」
「いえいえどういたしまして。
結局さ、悲しまなきゃいけない、なんていう決まりは無いんだし。それに故人がそうされて嬉しいかどうかも微妙だし。……それは高橋が冷めた奴ってことじゃなくてさ、えと、うーんとな………きっとただ単に高橋チックなだけなんだよ(笑)」
最後の方は鈴木も喋っていて恥ずかしくなったのか、笑いながら話を終わらせてしまった。ていうか高橋チックってなんなんだ……。
「なんだか最後の方はよく分からなかったけど(笑) なんか随分楽になった。ありがとう。それに二人ともこんな話聞かせちゃってごめんね。」
「え、いやいや。俺の方こそ何もできなくてごめん……」急いで謝ると、高橋はとんでもないよ、と付け足した。
「なんでもいいけどさ、」鈴木がニタニタ笑いながら言った。「二人ともチョコ握りしめすぎ。デロンデロンに溶けてますけどwww」

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