小説カイコ ryuka ◆wtjNtxaTX2 /作

第二章 後編(13)
それから4時間ほど。やっと合宿場に着くと、いきなり練習メニューが言い渡されて、息つく間もなく練習が始まった。ちょっとは休ませてくれてもいいと思うんだけどなぁ……
しかもいきなりエンドレスリレー。これはキツい。
エンドレスリレーというのは、簡単に言えば、普通のリレーを3人一組のチームで半端なく長く続ける練習だ。一人100m×20本、すなわち1チーム6キロをリレーでつなぐ。
ひとり2キロずつなら余裕じゃん! と、俺も最初は思っていたのだが、これが恐ろしい。100mずつ順番が回って来るので、長距離的ダッシュができない。つまりずっと12秒前後で100mを走り続けて、合計2キロ走るのだ。
合同合宿だったので、俺の学校の他にも、Y高校と、N工業、F女子高とで4校合同のエンドレスリレーとなった。そして、全く見ず知らずの人たちとチームを組むことになった……精神的にもキツイっす(´Д`|||) ドヨーン
そんなこんなで、練習が全て終わる頃にはみんなぐったりとしていた。疲れ果てて、誰も口を利かない。なんとも微妙な雰囲気になってしまったようだ(笑)
しかも合宿場のご飯がむっちゃ不味い。油の塊を食わされているような感じだった。これにはみんなすっかり参ってしまい、先生までもがゲッソリしていた。
「俺……もう家に帰りたい……」
部屋に帰ってから、鈴木が俺の隣のベッドでうつ伏せのまま、そう呟いた。
「まさかのホームシックでちゅか……?」飯塚が床に横たわった状態で、全く元気のない突っ込みを入れた。
「……つーか、飯塚って隣の部屋でしょ……帰れよ……」
「た、高橋って、、、そんなに冷たい奴だった…け……?」飯塚が俺のベッドに上半身を乗り出した。
「ごめん、つい本性が……ね。」
そう言うと、さすがの飯塚でも折れたのか、何かブツブツ言いながら部屋から出て行った。バタン、と扉の閉まる音がして、それからは本当に静かになった。
ああ、風呂に入らないと……だるいな………
「……俺、先に風呂入ってるよ。」そう言うと、鈴木はシーツに包まったまま、ああ、と返事した。……随分だるそうだ。俺よりだいぶダメージが大きかったらしいね。
それから、風呂から上がると、鈴木は完全に寝ていた。起こすのも可哀想だったし、起こしたところでキレられたら怖いので、そのまま放っておくことにした。どうせこいつのことだ、明日の朝には元気になってるだろう。
その日は、そんな感じでぐったりしたまま一日が終わった。

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