二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 一冊目
日時: 2015/05/12 18:40
名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。

基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。


とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。

それでは、よろしくお願いします。


※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。

昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。

そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。

色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。

昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。



—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。


「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」


5/12 最終更新


『目次』

☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186

〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43

〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123

〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671

〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848

〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました


☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506


☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585


☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835


☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276


☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589

〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319

〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888


☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649


☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!

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玉より食物 その一 ( No.365 )
日時: 2015/01/01 19:16
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

葉月の実家でのバイトが終わり、仮眠を取ってから戻ってきた昴達は、各自自宅や寮でゆっくりしていた。商店街も今日は、氷海の病院以外はお休みだ。
それは、烈の家も例外ではない。定休日の今日、列はコタツでのんびりとしていた。

「ふー…。」
「烈や。すまんがちょっとリリィと一緒に挨拶回りに行ってくれんか?」
「えー? いいけど…。」

烈はコタツから出て、茜の声が聞こえた店まで行った。
そこにいたのは…。

「…うわ…!」

いつもの姿の茜と…艶やかな朱色の着物に身を包んだ擬人化姿のリリィがいた。

「烈君、似合う?」
「…昴さん達のドレスや巫女服ん時以上の衝撃なんだけど…。」
「似合うの?」
「ああ、似合う似合う。」

リリィの頭を撫でる烈。思わず驚いたが、凄く似合うのは本当だ。

「えへへ…。」
「わしの着物だが、丁度よくてよかったよ。」
(…ばーちゃんとリリィって同じくらいの身長だからな…。)

二人が並ぶと双子の姉妹に見えてもおかしくないのだ。それほどまでに身長が同じなのである。

「じゃあ、烈。近所に挨拶回りに行っとくれ。」
「わかった。行くぞ、リリィ。」
「うん! えへへ、お兄ちゃんとデートー。」
「デートっておい。んじゃ、行ってくるよ。」

微笑ましく歩く二人の姿は、デートというよりは兄弟でのんびり歩いている感じだった。

「仲がいいのぉ…。」
「仲がいいわね。」

茜も、奥から出てきた烈の母親も、そんな二人を微笑ましく見ていた…。

玉より食物 その二 ( No.366 )
日時: 2015/01/01 19:21
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

家から出た烈達がまず向かったのは、向かいのクリーニング店だ。

「ちぃーっす。」

定休日だが、カララ、と戸を開けて入る二人。

「あ、烈。それに…誰?」
「リリィだろう。随分と綺麗な着物だな。」

そこにいたのは、風雅とフランシス。どうやら店の掃除をしているようだ。

「おいっす、風雅、フランシス。あけおめことよろ。」
「あけおめことよろ。」
「お前達は…。新年の挨拶くらいしっかりやれ。」
「あはは、でも烈達らしいね。」

風雅とフランシスは掃除用具を置き、彼らに向き直った。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」

そして、ペコリとお辞儀をした。

「お、おう。」

烈はつられてお辞儀を返す。

「あ、フランシス。ん。」

が、リリィは手のひらをフランシスに差し出した。

「お前な、俺達の挨拶は無視か。」
「リリィらしいね。やっぱり小さな子は挨拶回りよりお年玉だね。」

フランシスがしっかりと挨拶を返した事をなかった事にし、お年玉を要求するリリィにクスクスと笑う風雅。

「たくっ…。ほら、お年玉だ。」

溜息をついて四次元バッグを漁り、可愛らしい花柄がプリントされたポチ袋を取り出した。しっかり用意してあるのは彼らしい。
だが…。

「違う。いらない。」

どうやらリリィの要求は違うらしい。

「は? いらない? お年玉を要求したのはお前だろう?」
「私だって働いてる。だから、お金はいらない。」
「お金以外のお年玉なんかあるのか?」
「…。」

リリィは頷いた後、パァッと笑顔を輝かせた。

「おせち、食べさせて! お雑煮でもいい! お屠蘇も!」
「食い物かよ! あと未成年がお酒を要求するな!」

金よりも食い物を要求するリリィに、流石にフランシスはおろか、烈もツッコミを入れる。しかも同じタイミングで。

「あはは…。リリィ、今準備中だからこれで許して。」

そう言って風雅は一度住居に戻り、リリィに袋を渡した。
そこには多くの蜜柑があった。

「お蜜柑!」
「母さんの実家から届いたんだけど、凄く多くてね…。また食べたくなったら僕に言って。いつでも出すよ。」
「ありがと!」

満足したのか、リリィは挨拶をそこそこに出ていってしまった。

「おいこらリリィ! じゃあ、風雅、また後でな! どうせお前も家の事が一段落したら行くんだろ? 聖域に。」
「うん。昴さんにも挨拶したいし。」
「じゃあ、またな! おいこらリリィ、待て!」

最後まで妹に振り回されっぱなしの兄に、二人は…。

「年が変わってもあの二人は仲いいね。」
「だな。」

終始、笑顔を見せていたそうな。

玉より食物 その三 ( No.367 )
日時: 2015/01/01 19:26
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

所変わって、次は氷海達の家に来たようだ。

「おーい、氷海ー。…留守かな?」
「…? 留守なのかな?」

だが、ドアチャイムを押しても誰も出ないのだ。

「病院の手伝いに行ってんのかな?」
「うーん…セシル、特に何も言ってなかったけど…。」

首を傾げる二人。
その頃、氷海の部屋では…。

「…。」

物凄い疲れきった顔の氷海が、鏡の前で溜息をついた。その髪は物凄く乱れており、とても人前に出られるような姿じゃない。

「昨夜は全く眠れなかったのですね…。」
「烈の神主服に興奮してどうしても眠れなかったの…。」
「もう生粋の烈さん馬鹿ですね…。こんな調子でいざ夫婦となった時はどうなるのか。」
「やめて考えさせないで。また胸が熱くなってくるから。」

真っ赤になった顔を覆って隠す氷海に、セシルは溜息をついた。

「なんかもう、氷海って真面目なクールキャラじゃなくなってきてるよね…。」
「パステルくん、それは言わないお約束です…。」

恋する乙女はこんなにも劇的に変わるのか、そう思った二匹だった…。











氷海達が出てこないので、ひとまず鈴花の家に行く事にした二人。
だが…。

「あれー? 鈴花もいねぇの?」
「ローズなら、多分、温室。昴さんに挨拶するがてら、行く?」
「そうだな、行く」

どうやら留守のようなので、帰ろうとした時、物音が聞こえた。

「! リリィ!」

同時に、ポケットに忍び込ませていた警棒を取り出し、伸ばしてからリリィを庇うように後ろに下げさせた。
直後、烈の元に大きな石の塊が吹き飛んできた。烈は何とか警棒で弾く。

「いきなり何すんだよ!」
「そっちこそ、その家に何の用だ?」

烈は構えながら、石の塊を飛ばしてきた人物を見る。
金髪にいかつい顔、ガタイのいい体とどこか完二を思わせるが、その三つ編みに編まれた髪を見て、完二ではない事がわかる。

「友達に会いに来ただけだって! アンタこそ何の用だよ!」
「答える必要は、ねぇよ!」

男が地面に向けて正拳突きをすると、地面が割れる。烈はリリィを抱えて避けた。

(くそっ、何なんだよこいつ! 話す間もなく攻撃ってねぇだろ!)
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
「何とかな。先輩と手合わせしてなかったら危なかった…。」

思わずポツリと呟く烈。だが相手はそのリリィとの会話を見逃さない。
素早く接近し、烈に蹴りを食らわせようと足を振り上げていた。

(やべっ!)

烈が咄嗟に、リリィを庇う。直後、男の足が烈の背に直撃した。

「ぐあっ…!」
「お兄ちゃん!」

あまりにも強い衝撃で、鈴花の家の花壇にまで吹っ飛ばされる烈達。このままでは鈴花が大切に育てている花を滅茶苦茶にしてしまう、そう考えた烈だったが…。

「…?」

衝撃は感じたものの、軽い。地面の衝撃じゃない。それに何か、ふわふわしている…。恐る恐る目を開けると、そこには…。

「がうー?」

白熊がいた。

「お前…確か、ローズの…!?」
「烈、リリィ、大丈夫!?」

ふわりと、二人の元にきたのは、ローズだった。

「ローズ…じゃあ、この子、ミルキー?」
「うん! 何か玄関で喧嘩してて、何とかミルキー呼んだんだけど…。」

そう言ってから、ローズはじっと、烈達を吹き飛ばした男を見た。

「ねぇ、ボクの大切な人達に何してるの? しかも人んちの前で。」
「あ? 人んち? ここは…んげぇっ!!」

ゴスゥッ! と盛大な音を立てて、男が吹っ飛んだ。

「…迎えに行ったのに、中々来ないわ散々寒い中で待たされたわ…仕方ないから一回帰って後でまた連絡してから行こうとしたら家の前で…。」
「あぎゃっ!」

男を蹴りながら現れた影は、男をゴスッ! と踏みつけた。

「私の大事な友達と新しい弟みたいな子にに何やってるわけ? 大牙お兄ちゃん。」
「い、いてて…わ、悪かったって、鈴花…。」
「お兄ちゃん!?」

現れた影は、鈴花。どうやら男…大牙を待っていたようだが、中々来ない上に家の前で大事な仲間を打ちのめしている現場に出くわし、怒りのあまり蹴ったようだ。って、結構吹っ飛んでませんでした?

「お前に兄ちゃんいたのは知ってたけど…そういや、お前の兄ちゃんに今まで会った事なかったけど…。」
「それは後々! 烈君、お兄ちゃんに蹴られたんでしょ? 今、お茶と一緒に痛み止めを調合するから、入って入って! お兄ちゃんはさっさと入って? それでお風呂沸かして入って。」
「はひぃっ!!」

大牙は鈴花の威圧にビビリながら、家の中に入っていった。

「私、先に入って準備してるね。烈君達も入っちゃっていいから。」
「お、おう…。お邪魔します…。リリィ、大丈夫か? ローズもありがとな。」
「私は、大丈夫。でも服、ちょっと乱れた。」
「ボクもミルキーも大丈夫! 烈、歩ける?」

リリィは心配ないようだが、少し着衣が乱れている。後で誰かに直してもらおうか、と考えた。
ローズが烈に問いかけると、烈は首を横に振った。

「意外に衝撃が強かったみたいで、ちっと難しいかもな…。痛っ…!」
「お兄ちゃん、大丈夫…? 痛そう…。」
「ミルキー、烈を運んであげて? 一回氷海のお父さんに診せた方がいいかもね…。」
「新年早々お世話になりたかないんだけどなぁ…。」

とにもかくにも、ミルキーに運んでもらって鈴花の家の中に入っていった。

玉より食物 その四 ( No.368 )
日時: 2015/01/01 19:31
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

鈴花の家、和室…。

「…はい、終わり。」
「サンキュ、鈴花。由梨先輩もありがとな。」
「アタシの事は気にすんな。たまたま鈴花んちに挨拶回りしようと考えてたからな。」

簡単な調合キットとガーゼをしまい、由梨は何でもないように答える。ちなみに彼女は烈が鈴花の家の中に入った後に、鈴花に新年の挨拶回りをしようとやってきたのだ。
ちなみに、リリィの服は由梨に直してもらいました。

「にしても、お前の方にも苦労する兄がいるんだな。ポップンでいるのは知ってたけど…。」
「そうなんだよ…本当にもう参っちゃう。ゴメンね、烈君。新年早々大怪我させて…。」
「いや、大丈夫大丈夫。いちち…。」
「二、三日は無理しない方がいい。あくまでも応急処置だから、後で氷海の親父さんにも診て貰えよ?」
「ああ、そうする…。」

挨拶回りが終わったら、後で病院に行こう、そう考えていた烈だった。

「そうだよ、大事な事言わないとね。」
「だな。」

全員で向き直り、そのままの体制で新年の挨拶をするかと思いきや…。

「明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。」
「」

由梨が綺麗な礼で挨拶をし始め、烈と鈴花はびっくりし、リリィとローズはそれを見てかっこいいと思ったのか、真似し始めた。

「明けましておでめとうございます!」
「今年も宜しくお願いいたます!」

だが、何だか舌足らずなので、これには烈と鈴花も顔を見合わせ、由梨は体制を解き、微笑んだ。

「明けましておめでとうございます。」
「今年も宜しくお願い致します。」

烈と鈴花も同じように挨拶をしてから、全員で向き直って笑う。

「やっぱ剣道場の娘だからか、すげー作法かなってんな、先輩。」
「うん! 凄いかっこいい!」
「あんま褒めんなよ、照れる。それに、やんなきゃやんないでうちのばーさんうっさいんだよ。和食の指導だって滅茶苦茶厳しいし…。」
「あ、そういえば先輩の和食の腕って、ばーちゃんの直伝なんだっけ。」

由梨は烈の問いに頷く。

「ちなみに兄貴も同じくらいの腕だぞ? まぁ、それ以外は平凡だけどな。」
「へー…。」

暫く、家族の話に花を咲かせるかと思いきや…。

「あ、そうだ。鈴花さん。ん。」

リリィが手のひらを鈴花に差し出した。どうやらまた食べ物を要求しているのだろうか。

「ごめんね、リリィちゃん、私、そんなに持ち合わせが…。」
「違う、お金はいい。おせち頂戴。昆布巻き、伊達巻、数の子、お豆さんが食べたい。あと、お屠蘇!」
「食い物かよ! しかも未成年が酒要求すんな!」
「由梨先輩、俺やフランシスと同じ事突っ込んでんだけど。」

先程のやり取りと同じようなやり取りに、思わず烈がそう言う。

「えっと…お屠蘇はないけど、おせち料理で作ってて余ったものがあるから、それでいい? あ、ローズも食べる?」
「うん!」
「食べる!」

そう言って子供達は二人共、鈴花に連れられて駆けていった。

「…リリィ、金よりも食いもんかよ。食欲旺盛だな…。」
「あの小さい体のどこに入んだか…。先輩、俺達もおこぼれ頂戴しにいかね?」
「だな。アタシもなんか腹減ったし。烈、ここ周ったらどうすんだ? 寮は今誰もいないぞ。みんな昴さんとこに行っちまったから。」
「そうなのか? じゃ、俺らも昴さんに挨拶してくっかな…。」

由梨と烈も、リリィ達がいる部屋に向かった。

玉より食物 その五 ( No.369 )
日時: 2015/01/01 19:36
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)

鈴花のお手製おせちを堪能した烈達は、そのまま鈴花・ローズ・由梨を加え、聖域に向かった。え、大牙? 鈴花権限でおいてきた。理由? 初対面の烈を蹴る様な兄貴がいたら色々と面倒でしょ?
神殿の入口には、一人の女性が後ろ向きで立っていた。艶やかな翡翠色の着物に身を包み、上をアップにしている。

「ん? 誰だ?」
「さぁ…。」
「…ん? おー、お前ら、来たか。」
「え、その声、昴さん!?」

くるりと振り向くと、そこには見知った顔…昴がいた。

「え? 正月飾り付けんの忘れただけだから飾り付けてただけだけど?」
「今!? つか、何でそんな格好してんの?」
「…俺が望んでこうなってると思ってるか?」
「ごめん、思わない。」

どうやら誰かにやられたようだ。恐らく…MZDだろうな。

「挨拶回り? つか、リリィなんか可愛い着物きてんな。」
「茜おばあちゃんの。」
「へー、茜の。あ、立ち話もなんだから中に入れよ。ほら、中にみんないるし。」
「んじゃ、お邪魔します。」

全員、中に入っていった。
中には既に全員待っていた。リビングの上にはおせち料理やお寿司などが並んでいる。恐らく昴が出前でも取ったのだろうか。

「おっ、烈。おめっとさん。」
「おめっとさん、陽介先輩。」

早速仲のいい陽介と烈が、互いに挨拶を交わす。

「新年早々みんなでいられるっていいねー。」
「ええ、そうね。」
「あれ? 氷海、朝から出かけてたのか?」
「え? 私、結構長い時間家にいたけど…。」

烈の言葉に首を傾げる氷海。何の話か読めないが…。

「え、嘘だろ? 鈴花んちに寄る前にお前んちに行ったけど、ドアチャイム鳴らしても誰も出で来なかったぞ?」
「あ。」

そう、氷海が丁度疲れ切った顔で髪がぼさぼさだった時に来たのが、烈とリリィだった。

「…ご、ごめんなさい、その時はちょっと…人前に出るには…みっともない姿だったから…。」
「ふーん…。まぁ、いいけど。あ、風雅、そこのマグロ取ってくれ。」
「うん、はい。」

早々に氷海との話を打ち切り、烈はすぐに料理に手をつけた。

「リリィ、随分と可愛らしい着物を着ているな。」
「茜おばあちゃんに借りたの。」
「とても似合っていますね。髪の色と同じような感じで可愛らしいです。」

所変わってリリィ。彼女は今、理乃やジョーカーに囲まれて仲良く話していた。

「ジョーカー様、ん。」

三度、手のひらを出すリリィ。だが、ジョーカーは後ろを指差した。

「食い物ならあっちにあるから好きなだけ食え。」
「よく分かったなジョーカー!」

その意図を一発で理解したジョーカーに、由梨と烈が突っ込む。

「え、風雅かフランシスが話したのか?」
「ううん、僕らは何にも。」
「リリィの事だから、金品は要求しないだろうかと思ってな。だとしたら、食い物だろうと考えた。」
「やっぱり娘の事は分かるもんなんだな。血の繋がりじゃなく、一緒にいる時間がそうさせたのか?」

昴が問うと、ジョーカーは難しそうな顔をして頷いた。

「多分な。昴殿、そういえばお吸い物はどうなった?」
「あ、やば。そろそろいいかな…。」
「昴さん、私も手伝いますよ。」

そう言って三人程台所に消えていった。

「まぁ、なんにせよ…。」

その前に、昴は全員に向き直る。その表情はどこか柔らかい。

「今年も宜しくな。」






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