二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180
- 実食 裏回 氷海 ( No.335 )
- 日時: 2014/12/29 23:42
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
理乃を医務室に放り込んだ後、全員再び集まった。
「…アレはないわ…。本気でないわ…。」
こちらに戻って来た時、氷海はぶんぶんと首を振った。目の前に広がっていた光景を忘れるかのように。
ちなみに、今鈴花と完二はいない。あの後純粋組が全員目の前の出来事にショックを受けて泣き出したので、二人で別室に避難し、あやしに行っているのだ。
純粋組以外のメンバーもアレには衝撃が大きかったのか、何とか平静は保てているものの、油断したら純粋組のように泣き喚く可能性があった。
「僕も想定外ですよ…。喋り出してしかも巨大化していくなんて…。」
「理乃ちゃん、無事だといいけど…。」
「あの時と同じく鎌鼬の毒で何とかしていると思います。一応、アレで烈君達も助かっていますので…。それに、氷海さんのお父様もいますから大丈夫ですよ。毒物関連の修羅場は何度も潜ってきましたし。」
一応、実績はあるので大丈夫だろう。それに、父親の腕は誰よりも、娘である氷海が知っている。直斗の言葉に、氷海は頷いた。
「そうね…。お父様がいるし、平気よね…。あっ、ランプが点いたわ。」
そうこうしている内に、審査員側の準備が完了したようで、お弁当を投入するよう頼むランプが点った。
「次は…氷海さんですね。」
「ええ。…うぅ、怖いわ…。」
氷海は恐怖心を押さえつつ、弁当をエレベーターの中に入れた。
程なくして、蓋付きお盆が戻ってくる。
「…。」
氷海は一呼吸を置いてから、蓋を開けた。
中にはお弁当と水筒とスープジャーがあった。氷海はアワーグラスβで時間を動かす。
お弁当箱の中身は、ごく普通の塩むすびと唐揚げと炒り卵とウインナーの入った野菜炒めと焼いたホッケがあった。何だかごく普通なお弁当に、氷海は安堵して笑みを浮かべる。
「ふふっ、これを作ったの、わかったわ。」
「えっ? 早いですね、氷海さん。」
「だって、彼女も私と一緒に練習していたもの。唐揚げ。」
氷海はその細い指を、唐揚げに向けて差した。
「私の方は血が入って失敗しちゃったけど、雪花の方は大丈夫かしら…。」
「あ、それ雪花さんのでしたか…。」
どうやらこれは氷海の現身である雪花のらしい。やはり、二人の相性が一番よい二人だからこそ、何かを感じ取ったのだろうか。
「味は…お弁当の方は普通ね。炒り卵もおにぎりもいい塩加減。野菜炒めは醤油で味をつけたのかしら。ホッケも唐揚げも美味しいわ。」
氷海は早々に雪花の作ったお弁当を完食し、水筒の中身に取り掛かろうとしたが…。
「…って、え。」
「」
水筒の中身から出てきたのは、何故か味噌汁。これには流石にその場にいた全員絶句。
スープジャーに入れるべき代物なのに、何故か水筒に入っていた味噌汁。嫌な予感がしてスープジャーを開けると、そこには紅茶があった。
入れるべき代物の逆転って、どんなドジを踏んだんだあの子は。
「…どうやらお湯を入れて出来る味噌汁ですね。紅茶もティーパックのでしょう。…慌てていたのでしょうか。」
「お弁当は美味しかったけど…ちょっと流石にこれはないわ…。」
変なミスに氷海は苦笑しつつも、評価用紙に向かった。
☆
氷海:評価…三
お弁当、上手に作れるようになったのね。これなら昴さんを楽にさせてあげる事は可能ね。後は他の家事も手伝えるように頑張らなきゃね。
だけど、水筒とスープジャーのドジはしないようにね…。私も思わず驚いたわ。そう言うのを抜きにすれば、すぐに昴さんを楽にさせてあげる事が出来るわ。頑張ってね。
- 実食 裏回 直斗 ( No.336 )
- 日時: 2014/12/29 23:47
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
満足した氷海は少し下がると、ランプが点く。
「次は、僕ですね。うぅ…今回は絶対評価下がります…。」
「アレだけ盛大に転がり落ちてったしな…。しかもアワーグラス、使い忘れたんだろ?」
「はい…。一応山岸さんには伝言を伝えるよう頼みましたが…。」
「転んだ事も知ってるから、昴さん達なら分かってくれるって。」
「そうだわ、直斗。お父様に診てもらったのよね? 怪我…大丈夫だった?」
心配そうに氷海が聞くと、鈴花も心配そうな表情をした。純粋組メンバーも心配なのだろう、同じように心配そうに直斗を見つめている。表情には出ていないが、陽介も風雅も完二も心配なのだろう。
「軽い捻挫を起こしているみたいです。二、三日で落ち着くそうですが、暫く体育は見学するよう言われました。」
「骨とか逝ってなくてよかったよ。直斗、弁当は俺が入れてくっから、お前は席に着いてろ。」
「すみません、花村先輩。お願いします。」
陽介はそう、直斗に言った。先輩の気遣いをありがたく頂戴した直斗は、お弁当箱等を完二が持ってきてくれたトレイに並べた。それを陽介がエレベーターに持って行って入れる。
すぐに次なる料理が現れた。陽介はそれを直斗の前に持っていく。
お弁当箱の中身は、海苔の巻かれた俵おむすびに僅かに茶色い炒り卵(恐らく醤油で味付けた)、茹で野菜に鮭の西京焼きにえびの天ぷらがあった。スープジャーの中にはほうれん草と卵のスープが。恐らくこれはお湯をかけて出来るものだろうか。
「見た目は普通ですね。では、いただきます。」
直斗はアワーグラスβで時間を動かし、食べ始めた。
☆
直斗:評価…零−
味は?
すぐに評価用紙に記入された文字を見て、陽介から笑顔が消える。
「おい待てよ直斗。これまさか…!」
「恐らく、天城先輩ですニャ。味のない料理なんて彼女しか考えられませんニャ。」
「な、直斗君、語尾変だよ!?」
「へ? ニャ? ニャニャッ!?」
猫のような語尾を発したかと思えば、次の瞬間、体が一気に縮んだ。しかも頭には猫耳を生やして。
「わーっ! 何でいきなり体が縮んだんですかニャ!? 某高校生探偵じゃあるまいしニャ!」
「し、しかも猫耳が生えてるわよ、直斗…。」
「ニャ!? ニャーニャー!!」
…しまいには完全に猫語しか話せなくなったようだ。
「ちょ、猫語!? 理乃ちゃんもいねぇし紅もいねぇから通訳でき」
「『えっ!? 嘘ですよねー!?』だって。」
「出来る奴いたあぁぁぁっ!!」
猫語の直斗の通訳を出来る者がいないので心配していたが、同じ猫のリリィがここにいた。
リリィは本来の姿に戻ると、猫と同じなので、猫の言葉が分かるのだ。同様に、ローズも兎の言葉が分かる。限定的だが、彼等も通訳者になれるのだ。
「ニャッ、ニャーニャー!!」
「…『天城先輩、後でぶっ飛ばす!!』だって。」
「天城、死んだな…。とにかく、氷海の親父さんに何とかしてもらおうぜ。」
「何とかなる…かしら?」
不安そうな氷海だが、ロリ&猫化した直斗をこのまま放っても置けない。幸いにも評価用紙は書いていたので、次にいっても問題ないだろう、多分。
- 実食 裏回 陽介 ( No.337 )
- 日時: 2014/12/29 23:53
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
と言うわけで、直斗を鈴花と氷海が医務室にまで連れて行っている間に、ランプが点った。
「次は…花村センパイッスね。」
「だな。うぅ、直斗の二の舞は嫌だ…。」
自分に最悪な料理が来ない事を願いながら、お弁当を中に入れる。程なくして、いつものように蓋付きお盆が帰ってくる。
「なぁ、りせのはまだでてねぇよな。」
「そのはずッス。アイツ、絶対激辛にしたッスから、一発で分かるはずッス。」
「うぅ、ここでくんなよ…くんなよ…!」
陽介は願掛けをするように願いながら、蓋を開けた。
が、その瞬間、彼の思いは杞憂だと知る事になった。
「! いーよっしゃあぁぁぁぁっ!!」
まずぱっと目に付いたのが、お弁当箱の中に入っているサンドイッチ。本来ならばおにぎりだが、その姿は影も形も見えない。そう、これは…!
「これ、絶対フランシスのだ!」
風雅が叫ぶ。同居人のトラウマを間近で見ている彼だからこそ、わかってしまったのだろう。
「よかったね、陽介先輩! 先輩は助かるんだよ!」
「…でも、俺素直に喜べない。この後を思うと。」
ひとしきり喜んだ後、急に陽介が冷静になる。
「何で?」
「だってよ、ここで俺がこれ食うだろ? けどまだりせのきてねぇだろ?」
「うん。…あ。」
ここでフランシスのが出たと言う事は、りせの料理はこの後に残る鈴花とリリィのどっちかが食べる事になる。
鈴花にも来てほしくないが、リリィには絶対来てほしくない。ここでリリィがりせの料理を食べると、恐らくまだ子供なリリィは盛大なトラウマを負ってしまい、かつジョーカーや烈が黙っていないだろう。
「リリィちゃんには出来るだけ美味いのとか、食べさせてやりてぇって思うんだよ…。」
「辛いの、嫌…。りせさんの、トラウマ的な辛さだって、セシルが言ってた…。」
「アレは大分トラウマになったわ…。」
「あ、氷海ちゃんも食べたんだよね…。でも氷海ちゃんが食べたのがりせちゃんの今までの料理の中で一番最悪な料理だと思う。」
こちらだけならば辛いだけで済んだものの、異世界でやったのはチーム戦。激辛生地に激辛カレーのコンボは史上最高で最悪なコンボだったろう…。それを食べた氷海は全身火傷を負い(しかも人体発火)、心にも癒えぬ傷を負っただろう…。
「けど、フランシスよりはマシよ。あれ以来お米が駄目になったのでしょう?」
「うん…。僕の家でもパン食が主流になった程だよ…。」
「お米タルでもプルプル震えて涙目になってた程だもんね…。96さん関連の曲だから謝ってくれたけど、気にしてないって言っといた…。」
どうやら異世界の料理対決は楽しかった者もいれば、心に盛大な傷を負ったのもいたようだ。
「まぁ、とにかく食うぞ。」
陽介はアワーグラスβで時間を動かし、食べ始めた。
お弁当箱の中身は卵サンドにハムサンド、カツサンドにレタスサンドとオーソドックスなサンドイッチ。それに、完熟の目玉焼きにきゅうりの浅漬け、鮭のホイル焼に大根の醤油煮だろうか。備えられた水筒には、お茶があった。恐らく緑茶だろう。
「…サンドイッチは卵にハムに…おっ、カツサンドにレタスサンドだ。うん、正直特別美味いって感じじゃないけど、安心して食えるな。」
「フランシス、基本、遊ばない。」
「うん! 不味いものをボク達に食べさせたくないからって言ってた!」
どうやら普段からも遊ばないのは、フランシスなりの気遣いなのだろう。
「もちっと遊んでもいい気がすっけどな。フランシスなら失敗してもゲテモノにしないだろうし、仮にゲテモノにしても反省すんだろ、アイツなら。」
陽介は全て完食し、評価用紙に記入し始めた。
☆
陽介:評価…三
不味くはなかった。けど特別美味いって感じじゃない。普通にレシピ見て作りましたって感じかな。お前なりの優しさはいいけど、もうちっと遊んでも構わないんじゃね? お前の腕なら多分ゲテモノにしないと思うし。
ゲテモノにしちまっても、お前なら反省するだろ…。ああ、風雅や葉月ちゃんみたく。
- 実食 裏回 鈴花 ( No.338 )
- 日時: 2014/12/30 00:08
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
お弁当箱を片付け、次なるランプが点るのを待つ鈴花。そう、次は彼女の番。
「リリィちゃんに酷いのが来ませんようにリリィちゃんに酷いのが来ませんようにリリィちゃんに」
「鈴花、願掛けすんのは結構だけど、端から見ると怖ぇよ…。ほら、鏡とローズが怯えてんぞ。」
リリィのために必死に祈る鈴花だが、完二にそう言われてちょっとばつが悪そうな顔をして大人しく待った。
「鈴花さん、大丈夫だよ? 私、何が来ても、食べる。」
「でもそれでもリリィちゃんには美味しいの食べてもらいたいよ…。それに、あと残っているのは…あ、ランプ点いた。」
運命の刻限だといわんばかりに、ランプが点る。鈴花はスタンバイしていたトレイを素早く入れ、届けられる品物を待った。
「(お願い、ここでりせちゃんのが来て! まだ来ていないのは彼の料理だもん! リリィちゃんには大好きな彼の料理を食べてほしいの!)お願い、りせちゃんの来て!」
ガコン、と音がして、待ち望んだものが到着する。鈴花は緊張した面持ちでそれを運んだ。
「お願い…!」
開けられた蓋の中にあったのは…!
「…! やったあぁぁぁっ!!」
まるで願いが叶ったかのように、そこにあったのは…紅いお弁当箱とスープジャー。
「おい鈴花、それで喜ぶなよ…。」
「だ、だって、嬉しいんだもん! 残っている人の事を思うと、ここでりせちゃんのが来てほしかったの! リリィちゃんには絶対残っている人の料理を食べてほしかったの! そう考えたら…私はここで倒れちゃうけど、嬉しいんだもん…。」
「鈴花…。」
残っている人物の料理をリリィにどうしても食べてほしい。そう願っていた鈴花は、願いが通じてホッとしているようだ。
「じゃあ…動かすよ。」
鈴花は意を決して、アワーグラスβを使って時間を動かした。
辺りに強い刺激臭が漂う。鈴花はここで鼻を押さえたい衝動に駆られるも、耐えた。それに、リリィにこの次に起こる出来事を考え、笑みすらも見せた。
中身は、もう何が入っているか区別がつかないが、紅いおにぎりと紅い炒り卵、紅い野菜炒めに紅い焼き魚(多分鱈)、そして、紅い豆腐があった。スープジャーの中身は、麻婆豆腐だろう。こちらも例の如く、紅い。
「…ごめんね、完二。ローズ。私…逝くね。」
鈴花はにこっと笑って紅い料理を一口含み…倒れた。
「鈴花あぁぁぁぁっ!!」
「鈴花さあぁぁぁんっ!!」
「鈴花ちゃん…散り際が立派だった…。けどここで死んじゃ駄目だあぁぁぁぁっ!!」
あまりにも立派過ぎる鈴花の散りざまに、陽介は一瞬感動しかけるが、すぐに【ディアラマ】をかけつつ、完二がお姫様抱っこで医務室まで運んでいった。
☆
鈴花:評価…零−
ねぇ、そろそろ自覚しよう? 自分がどんなものを作ってるかって。
それからさ、舌の病院、氷海ちゃんのお父さんに紹介してもらって? そしてその馬鹿舌治して?
これ、昴さん達が引いたらどうなると思ってた? 牡丹共々後で零距離恋閃繚乱。
- 実食 裏回 リリィ ( No.339 )
- 日時: 2014/12/30 00:03
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: f2zlL8Mb)
鈴花を医務室に送り届けた後、陽介の提案で全員でこれまで食べた料理を思い返していた。
「(リリィちゃんに酷いのが当たらないといいけどな…。でも鈴花ちゃんの口ぶりからすると、リリィちゃんにとっては嬉しい奴みたいだけど…。)完二のから振り返ってみるか。それで最後が誰か分かるしな。」
最後に残ったリリィに不味いものが当たらないよう、陽介は願っていた。
「オレのは葉月センパイ。…瓦礫混入はしてねぇけど、まな板をやっちまったんッスね…。」
「僕のはセシル。凄い盛り付け綺麗だったし。…後で謝らないと…。」
「オレのは凪! 凪も最近成長しているって聞いたもん! それに、直斗も言ってたし…。」
「クマ吉のは多分あの馬鹿だな。フランシスの二の舞になっちまったな…。クマも言ってたな。アレは好きだし楽しいが、あの塩はパスだと。あいつ、何気に料理はこだわるんだな…。」
四番目まで振り返った時、陽介はクマの事を心配していた。フランシスのように重大なトラウマにならなければいいがと。あと、リリィ達純粋組に配慮して裸族の事を明言するのは避けたようだ。
「ボクのは千枝! お肉ばっかだったけど、美味しかった! 陽介、出てきた瞬間にわかってたみたいだったね! さすが夫婦ー!」
「うるせぇよ、ローズ。六番は由梨ちゃんだって理乃ちゃんや牡丹が言ってたな。同じ食材だって牡丹が言ってたけど、それって多分…。」
「多分、正しいキノコと毒キノコは似てるんじゃないかな? 由梨姉の方が正しいキノコだったんだと思う。七番は…七姉…。」
「後で理乃先輩に切り刻まれて浄化されるでしょうね…。八番は雪花。お弁当は美味しかったけど、あのミスは何故したか気になるわ…。」
八番目まで振り返る。後で七海がボコボコにされるフラグが立った気がしたが、自業自得なので気にしない。
「九番が天城センパイッスね…。俺が様子を見に行った時、小さくなった直斗が医務室でシリンダーに弾込めてて怖かったッス…。」
「十番はフランシス。普通に美味かったし、それに…サンドイッチを使うような奴はあいつしかいねぇだろ…。パステルくんも許可したんだな、きっと…。」
「十一番はりせだよね…。鈴花、大丈夫かな…。何か、人を殺しそうな目をしながら運ばれていったけど…。あれ、最後ってまさか…!」
そして十一番まで振り返り、残りの人物を特定する。
最後の料理は…!
「お兄ちゃんの…!?」
「そうだ、烈のが今の今まで出てねぇじゃん!」
「よかったわね、リリィ。大好きな烈の料理よ! これは鈴花も願う訳ね…!」
「うん!」
リリィの大好きな引き取り手、烈の料理だった。これを知ったリリィは大喜び。そう、鈴花は自分の出番の際にこれに気づき、必死で自分にりせのが来る事を望んだのだ。
そんな中で、ランプが光った。
「昴さん達の方、準備できたみてぇだな。」
「私、入れてくる!」
はやる気持ちを押さえつつ、リリィはパタパタと走っていき、お弁当の入ったトレイを入れる。擬人化してもわずかに苦戦しているようなので、途中で氷海も手伝って。
そして入れ替わるように、蓋付きお盆が来た。リリィは氷海にそれを運んでもらい、席につく。
「んじゃ、オープンっ、と。」
陽介が開けてくれたお盆には、鶏肉が混ぜられたおにぎりに、ほうれん草の卵とじ、白身魚のフライ、肉野菜炒め、そして、カップグラタンがあった。
一緒に来たスープジャーには豚汁、そして水筒には、ミントの利いたハーブティーがあった。恐らくこちらは理乃に頼んで調合してもらったのだろうか。
「お肉、多い…。」
「烈らしいな、何か。アワーグラスで動かしてっ、と…。」
「いただきます。」
リリィはそう言った後、食べ始めた。大好きな人の料理だからか、一口一口、噛み締めながら。
「あ。」
が、急に手を止め、風花が待機する場所まで向かっていってしまった。
「あ、ちょっとリリィ! …どうしたのかしら…。」
氷海は追いかけようとするも、すぐにリリィが帰ってくる。手には、クッキーとタッパーを持って。
「早ぇな、リリィ。何か山岸さんに伝え忘れたのか?」
「ううん。伝える事、特にない。でも、烈君が食べてるなら、伝えてほしい事、できた。」
リリィはタッパーを開け、クッキーを半分にして入れ、完二にエレベーターへ入れるよう頼む。
「伝えてほしい事ってなんなの? リリィ。」
「…烈君、最近苦しんでる。毎日、うなされてる。」
「!」
うなされる原因に気付いたのか、陽介と風雅が肩を振るわせる。
「一人じゃない。側にいる。苦しみだって、はんぶんこにできる。私にも…辛い事、はんぶんこにしてほしい。それを、伝えてほしかった。」
「…優しいね、リリィ。」
鏡はリリィの頭を撫でる。その目には、うっすらと涙があった。泣かない烈の代わりに、泣いているのだろうか。
「…いつかきっと、烈から話されると思う。だから、気長に待ってあげて? ねっ?」
「うん。待つ。私から、聞かない。だって…烈君が思い出したくない事、でしょ?」
「…うん。忘れていたかった記憶。でも、時々思い出しちゃう記憶なんだ。」
「だから、無理に聞かない。無理に聞いて、お兄ちゃんが傷つくの、嫌。」
リリィはそういうと、再びお弁当を食べ始めた。
「…ありがとう、リリィ。」
鏡はぽつりと、礼を述べた。どうやらリリィは聞いていなかったようだ。
やがて完食したリリィは、評価用紙に向かった。
☆
リリィ:評価…四+
お兄ちゃんのご飯、美味しかった。ちょっとお肉多目だね。お店じゃちょっと出せないと思う。でも、お野菜も入ってて美味しい。
私のメッセージ、届いたかな? 届いてほしいな。
また、作って? 私も作る。
それで、二人で出掛けて、はんぶんこ、しよ?
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180