二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
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- 実食 牡丹 ( No.70 )
- 日時: 2014/09/27 22:45
- 名前: 奏月 昴 (ID: P9eWmugO)
「なぁ、俺思ったんだけどさ。」
次なる審査員が来るまでの間、昴は全員に話しかけた。
「何? 昴さん。」
「五番の肉丼、覚えてるか?」
「ああ、味付けが醤油のあの肉丼だな。それがどうかしたか?」
ジョーカーが訊ねると、昴は難しそうな表情を浮かべながらまた全員を見た。
「あれ…もしかして、千枝の為に作ったんじゃないかな。」
「あ。」
肉好きな彼女の為に作られたであろう、五番の丼。憶測の域を出ないが、そう考えると、何故か五番が特定できる。
「…まぁ、憶測の域を出ないけど…。」
『だが、あり得ん話でもないだろう。』
「え? 千枝さんの食べた料理は陽介さんの? 花千枝キタコ痛ぁっ!」
「キテないしいつ来たんだよ来てたんなら来たって言えこの腐女子。」
昴はいつの間にか来ていた牡丹に創世ノートで一撃を与えてから、そう言った。
「ついさっき来ましたわ。…千枝さんが嬉々とした表情で帰っていったので、私はてっきり、陽介さんのが出たのかと…。」
「多分違う。陽介は精々レシピ見るくらいしか出来ない。応用するにも直斗と同じで自信が持てないだろうから難しいだろうな。」
「なぁんだ…。折角カップリングのお話が描けるかと思いましたのに…。」
「やめろ。…取ってくる。」
牡丹との話を無理矢理打ちきり、昴はいつものようにエレベーター前に向かった。
「むぅ、酷いですわ、昴さんも…。」
『まずお前は腐った思考を何とかしろ。ついでに料理の腕もだ。』
「料理の腕なら自信がありますわ!」
「ならここにいる貴方以外の審査員と鏡が倒れた理由を教えてくれないかしら?」
「すみません出すぎた事を言いました。」
女子化している戻ってきた昴に、牡丹は土下座で謝罪をした。
「さて、次は鬼が出るか蛇が出るか…。俺としては天使が来てほしい。ダメなら人間かな。閻魔様はいらん。」
『要約すると、当たりが来てほしいんだな。』
まどろっこしい言い回しの後、昴は蓋を開ける。
中にあったのは、青々としたキャベツや白菜、人参やら色々な野菜がご飯の上に盛られた、野菜炒め丼だった。
「…何か、普通そうだな。」
「うーん、普通でいいはずなのに、何だこの微妙な気持ち…。」
普通はいい方なはずなのに、何故か普通に満足できない気持ちになる昴達。
『きっと、男子が料理上手な奴が多いから、普通じゃ満足できなくなってるのだろう。』
「多分女子のゲテモノに混じってたら、喜んだかもね…。」
「にゃぐー…。」
「紅の言う通り、感覚がいい感じにおかしくなったのかもな…。だが普通そうなのには変わりないし、吐き戻すようなものじゃないだろうから、安心して食べようぜ。」
紅の言った事に同意しながら、昴はアワーグラスβで時間を動かした。
程よい塩ダレのいい香りがする。美味しそうなのに、昴達はどこかもの足りなさそうだ。
「食うか…。」
全員、いただきますと挨拶をしてから、食べ進めた。
「うん…。美味しいけど、それ以上の感想は抱けないね…。」
「そうだな。もっと遊んでもいいかもしれぬな。」
「なら、私が色々と遊」
「ふ ざ け ん な。」
この後、昴とジョーカーとパステルくんは自身の持つスキルで牡丹をボコボコにしたとか…。
☆
総評:三
昴:個人評価…三
うーん、普通に美味いだけ。普通が嬉しいんだが、この面子は普通から大当たりまでの人数が多いせいか、いまいちパッとしないんだよな。
多分女子のゲテモノにこれ混じってたら泣いて食って評価が高かったと思う。
パステルくん:個人評価…三
昴さんに完全同意。絶対これ女子のゲテモノに混じってたら四の評価あげてたかも…。
にゃぐわ:個人評価…三
昴の姐さんが的確すぎてオイラ書くのもうないニャ。
ジョーカー:個人評価…三
前回の葉月から牡丹コースでいけば四だったろうな…。
牡丹:個人評価…三
上記の皆さん酷くありません事? 味は美味しいですが、遊び心が足りませんわ。私がもっと漢方とか野草を入れて遊んでも構いませ
※ここから先は途切れており、赤い液体が点々と…。
- 実食 千枝&牡丹編 後書き ( No.71 )
- 日時: 2014/09/27 22:59
- 名前: 奏月 昴 (ID: P9eWmugO)
後書き de 雑談
私
—毒物って怖いよねー。
鏡
「ねー。りゅーさん(りゅーとさんの事)の料理対決スマブラ編を見てるとつくづく思うよー。」
風花
「だったら何故また書こうと思ったか教えていただきたいのですが…。」
私
—ごめん、単純に面白いから。
風花
「聞いた私が馬鹿だった気がします…。あれ? そう言えば昴さんと理乃ちゃんと由梨ちゃんは?」
私
—ちょっと別世界に出張中。多分しばらく戻ってこないんじゃないかな? だから今日は特別に鏡君呼んだのよね。りせちゃんと風花ちゃんだけじゃ何か物足りないし。…あ、やば。由梨ちゃんも昴もいないから今誰もツッコミ役いないや。
風花
「ああ…。ツッコミはスバルさんが何とかしてください。」
私
—ほーい…。
りせ
「毒物ってホント怖いよね。ゲテモノとかびっくりしちゃったよ…。」
鏡
「じゃあ自分の料理を見てビックリしてほしいかな、りせ。」
りせ
「酷くない鏡君!?」
鏡
「酷くない。あの後すーさんもジョーカーも大変だったんだからね。しばらく舌がおかしくなって、辛いものに敏感になったんだから!」
りせ
「わ、私のせいじゃないじゃん!」
風花
「刺激の強いもの食べさせたのはりせちゃんだよ…?」
りせ
「うぐ。」
私
—ホントにりせちゃんの味方がいないな…。じゃあ、この辺で失礼します。
■
感想OKです。
- 実食 理乃&りせ編 前書き ( No.72 )
- 日時: 2014/09/29 21:06
- 名前: 奏月 昴 (ID: yjRE1tvt)
採点方法
五段階評価を下す。内訳は以下の通り。
五、メニューに拘らず、遊び(アレンジ)を加えており、なおかつ美味しい。
四、メニューに依りすぎな所はあるが、程よく遊びを加えており、美味しい。
三、メニュー通りの品。遊びなどはないが、メニュー通りなので普通に美味しい。
二、メニューに沿ったのだろうが、ミスが目立ちすぎて美味しくない。が、まだ改善の余地がある不味さ。
一、救いのない不味さ。キッチンに立たせたら死ぬ。
お題:『丼』
アレンジは具材のみ。
ご飯へのアレンジは基本的になし。汁だくはOK。
理乃
「最後は私達ですか…。うぅ、待っている間が長すぎて怖かった…。」
りせ
「うん、わかるそれ…。」
昴
「もうすぐ終わるんだな。あの馬鹿が企画したこのふざけた料理対決も。」
私
—馬鹿とはなんだ馬鹿とはー!
- 実食 理乃 ( No.73 )
- 日時: 2014/09/29 21:08
- 名前: 奏月 昴 (ID: yjRE1tvt)
「命(みこと)を育む女神の抱擁…【キュア】!」
審査部屋にやって来た理乃は、早速上級治癒術の【キュア】でズタボロの牡丹を癒す。
現れた光に吸いとられるかのように、彼女の傷は瞬く間に塞がり、消え去った。
「…ふう、これでもう大丈夫です。」
「悪いな、理乃。出だしから審査と関係ない事を頼んで。」
「構いません。…それにしても、一体何があったのですか? 何だかこう、全員から一斉攻撃を貰ったような…。」
「気にするな。」
服がどこか赤い昴にそう言われ、理乃はこれ以上何も訊ねない事にした。
そして牡丹を由梨に任せ、昴は次なる料理を取りに向かった。
「んじゃ、取ってくるよ。」
「い、いってらっしゃい…。」
理乃は昴を苦笑しながら見送った。
「誰の料理かな? 次は。」
「うむ、楽しみだ。」
「取り合えずまずはお二人は着替えてきたらいかがですか…?」
同じく服を赤くしているパステルくんとジョーカーに、理乃は思わずそう言ってしまう。
『理乃ちゃん、気にしたら駄目だと思う…。』
「…わかりました。これ以上は気にしない事にします。」
風花に言われ、理乃はそれ以上気にしないように努める。若干、苦笑気味だがこれ以上気にしないでいるだろう。多分。
「ただいまー。」
そんなこんなで、昴が戻ってくる。手にいつものように蓋付きのお盆を持って。
「さて、理乃。胃薬と【リカバー】の準備は?」
「必要の無い料理だとよろしいのですが…いつでも大丈夫です。」
理乃は胃薬を取り出し、ペンダントの鎖を身の丈以上の杖に変える。魔力を高め、より威力を高めるのが目的だろうが、状態以上回復魔法はこれ以上強くなるのだろうか…。
「…よし、開けるぞ。それっ!」
昴はいつものように蓋を開け、中を見た。
中は…!
「にゃ…にゃぐうぅぅぅぅっ!!」
「こ、これは…!」
「わぁ…!」
「うわー!! 美味しそう! 美味しそうだよこれ!!」
眩いばかりに輝くように見えた、海鮮丼だった。美しく盛られた沢山の魚。そして、空気が入らないように密閉された醤油差し。山葵の盛られた小鉢。恐らく、これに醤油をたらして山葵を溶かしてから、山葵醤油を丼の中に垂らすのだろう。
魚の種類は沢山あるが、心なしか、イカが多い気が…。
「心なしかイカが多い気がしますが…。」
「…イカを見て作った人物が分かったぞ…。」
『イカに対する愛着は恐ろしいものがあるからな…。あとにゃぐわ、また涎。』
ジョーカーと黒は何かに気が付いたのか、苦笑を浮かべた。黒はにゃぐわの涎を拭きながら。
「…。」
だが、こんな美味しそうな海鮮丼なのに、昴の表情がおかしい。
ある一点を見つめ、固まっている。
「昴ど…ああ…。」
そんな彼女の異変に気が付いたジョーカーは、彼女を見てから再び椀に目を移し、理解した。
ジョーカーの視線の先には、黄色く輝く…ウニ。
「あれ? 昴さん、ウニも駄目なの?」
「あぁ、確かそうでしたね…。以前、ウニのパスタを出したら怒られた事を思い出しました…。」
「あの時は本当に悪かったな、理乃…。年甲斐も無く怒鳴っちまって…。でも南瓜同様ウニも駄目なんだ…。」
『苦手なものは誰にでもあるし、仕方なかろう…。』
ちょっと嫌な空気が漂ったが、昴はいつものようにアワーグラスβで時間を動かす。
危険な香りなど、一切しない。
『神、ウニは我と黒が食べよう。たまにはいいだろう? 食べても。』
「ああ。これは絶対当たり…いや、大当たりだ。食べても毒じゃないから心配ないだろう。」
昴は創世ノートの力で小さな皿を出し、ウニを乗せた。
「いいなー…。」
「アイギスもこれは食べたかったか?」
「はい、これは食べてみたかったです…。ちょっと、機械の体が恨めしいです…。」
「アイギスさんもきっと食事を楽しめるようになると思います。あ、なら私がそう改良を施し」
「理乃、その工具はそっと懐にしまえ。」
いつの間にか専門的な工具を取り出していた理乃に、昴は丼を目の前にしながらそうツッコミを入れた。
理乃は渋々工具をしまい、丼を前に置いた。そして全員醤油を溶かし、丼に盛られた魚の上に垂らした。
「じゃ、いただきます。」
「いただきまーす!」
全員、箸をつけて食べ始め、紅と黒もウニをつまんだ。
「…あれ?」
一口食べたところで、審査員全員一度動きを止める。
「どうかなさいましたか? 皆さん。」
「い、いや、大した事はないんだ、アイギス。…やばい、これは…!」
がつがつと、丼をかき込む一同。まるで丼に吸い寄せられるように、一気にかき込む。
「う、美味すぎて…美味すぎて箸が止まらない!」
「何これ!? 美味しすぎて食べるのやめたくない!」
「走り出した箸が止まりません…!」
「にゃぐー!!」
『今が旬の脂の乗った魚が多いが、大葉やツマでさっぱりと出来るから、飽きが来ないそうだ。それに醤油も山葵も、高級品だろうと言っている。』
『このこだわりようも恐らくあ奴だな。』
黒は確信を持ったのか、頷いた。
そんなこんなで即行で平らげた一同は、評価用紙に向かった。
☆
総評:五
昴:個人評価…四
魚の鮮度だけじゃなく、醤油や山葵にも拘ってて丸。特にイカの愛着が半端ないのはよく伝わった。走り出した箸が止まらなかったぞ。
だが、悪いとは思ったが、評価は四だ。ウニは勘弁して…。
パステルくん:個人評価…五
この評価つけるのが申し訳ないくらい美味しかった! 五段階評価じゃ足りないくらい!
昴さんの好みを知らないって事は、家事手伝い組に組み込まれてないのかな? でも、君ならもしかしたら、声がかかるかもね。
にゃぐわ:個人評価…五
もう書く事ないニャ。余計な感想はこの料理に失礼ニャ。
箸が止まらない程美味しかった。ただ、これに尽きるニャ。
ジョーカー:個人評価…五
にゃぐわと同じだ。感想はいるまい。ただ、美味かった。それだけだ。五段階じゃ足りない。
理乃:個人評価…五
にゃぐわさんもジョーカーさんもかっこいい…。
少食の私でもおかわりが欲しくなりました。
魚の鮮度や脂の乗りだけではなく、山葵や大葉、醤油まで拘っていますね。魚も沢山の種類があり、盛り付け方も美しいです。お店でこれが出てきたら、喜んでお金を払って食べますね。
今度、魚の目利きを教えてくださいませんか?
- 実食 りせ ( No.74 )
- 日時: 2014/09/29 23:30
- 名前: 奏月 昴 (ID: yjRE1tvt)
「…なぁ。」
理乃が帰り、次なる審査員が来る前。昴がその場にいた一同に話しかけた。
「お前等の大当たりだと思う人数、何人だ?」
「え? うーん…ペルソナ組のあの二人じゃないの?」
「…いや、一人、我の身内にも大当たりと呼べる料理を作る存在がいる。故に今回の大当たりは…三人だ。」
「…で? 今回大当たりである評価五を出したのは?」
昴が訊ねると、全員、顔を見合わせた。
…評価五を出したのは…二人だけ。つまり、最後である次の料理は…!
「やばっ、ちょっと遅れちゃった…!」
りせは審査部屋に向かうも、待っている間が少し暇だったので、音楽を聴いていたのだが、理乃に呼ばれて急いで向かう。
そして、部屋までやって来て扉を開けようとしたが…。
「よっしゃあぁぁぁぁっ!!」
「何!?」
昴のただならない声に、りせは驚いて扉を一気に開けた。
中では今、昴と擬人化したジョーカーとにゃぐわとパステルくんとアイギスと紅と黒が仲良く手を繋いで輪になって、スキップをしながらぐるぐると回っていた。と言っても、動物達は昴とジョーカーとアイギスに持ち上げられている形だが。
「嘘だよね!? こんな事ってある!?」
「いや、いまだかつて無いだろ!? 三度目の正直で俺達は助かるんだ!! 助かるんだあぁぁぁっ!」
「にゃぐうぅぅぅぅっ!!」
「たかが料理なのに、こんなに嬉しい事はない! あぁ、涙が出てきた…!」
「え? 何この状況。」
目の前の光景がよく分からなくて、りせは困惑する。
「あ、りせ。来たか。」
「取り合えず昴さん、状況説明をお願いしていい?」
「ん、ああ。ラストで大当たり確定。」
それを聞いたりせは、ほっと安堵の息をついた。
「よかったぁー…ゲテモノきたらどうしようかと思ったよ…。」
「ゲテモノ組の中ボスがそれ言うか。取ってくる。」
昴はそう言ってさっさと料理を取りにいった。
ちなみに最近昴は評価一を食らった人々を、ゲテモノ組とメシマズ組で区別をつけたそうで、メシマズ組には葉月と雪子が該当し、ゲテモノ組にはりせ、牡丹、七海が該当する。
ゲテモノ組は更に分類分けをされ、中ボスをりせが担い、ラスボスが牡丹。そして、裏ボス・隠しボスとして七海が君臨するとか。ほら、大抵のRPGって隠しボスとか裏ボスとかって呼ばれる存在が強いから…。
「なっ、何よゲテモノ組の中ボスって!」
「そう呼ばれるのは当然の報いだ。貴様の料理で一回目に審査員全員と悠が、二回目に我を含む審査員全員とセシルが死にかけたではないか。」
ジョーカーが淡々と語る。パステルくんとにゃぐわも冷たい視線を浮かべている。
「ジョーカー酷い!」
「酷くない。お前の料理はそれ程の危険が孕んでんだよ。」
戻ってきた昴が、ぴしゃりと言い放った。手にはいつものようにお盆を持っていた。
「牡丹や七海よりはマシだけど、お前のも辛すぎて舌がぶっ壊れるし下手すると高血圧で死ぬ程だ。自覚しろ。」
「むー…。」
昴はそう言いながら、むくれるりせを無視していつもの胃薬等用意が出来ているかの確認もせずに蓋を開けた。
中に入っていたのは、前回理乃が作った物と同じマーボカレーが丼に盛り付けられていた。別の小鉢には、卵があった。恐らく生卵だろう。
『皆さん、ラストの子から連絡です。“一応中辛の味付けで作っているが、それでも辛い場合は備え付けの卵で辛さを和らげてほしい。”そうです。』
「あ、確かに卵でまろやかになるし、関西の方ではカレーが辛い時にそうやってるって前に聞いた事があるな。…そう言えば、前回こいつ理乃からこれのレシピ貰ってたよな?」
「うん! 理乃が作るの難しいって言ってたけど、気合と根性で頑張ったんだね! 卵も昴さんが辛いの苦手だから、ちゃんと配慮してる!」
「にゃぐー!!」
『神、にゃぐわの涎が有り得ない程流れているから早く食べた方がいいだろう。』
見ると、にゃぐわの涎の量が黒が用意したタオルの量よりも多く、絞れる程になっている。確かに早く食べた方がいいだろう。にゃぐわの為に。
「いただきます!」
全員、スプーンを持って食べ始めた。
麻婆とカレーが合わさった程よい辛さが舌に伝わる。辛いものが苦手な昴でも、このままで食べれそうな気がした。
「美味い! 卵無くてももしかしたらペロッて行けそうだ!」
「うむ。では、我は卵を加えてみるか。」
ジョーカーは卵を割り、軽くかき混ぜてからマーボカレー丼にかけ、食べる。
辛さが和らぎ、優しい味が口の中に広がった。
「うむ、美味い。我もこの料理に対する姿勢を見習いたいな。…それで? りせは先程から何をしている?」
ジョーカーはむぐむぐと食べながら、りせの方を見る。
今、彼女はどこから持ってきたのか、タバスコや唐辛子フレーク、スパイスをマーボカレー丼に放り込んでいた。
お陰でりせのマーボカレー丼だけ、赤い。いや、紅い。
「だって辛さが足りないんだもん!」
「だからといって最高評価をゲテモノ化させるな。」
昴とジョーカーはりせを叱りつけてから、評価用紙に向かった。
☆
総評:五
昴:個人評価…五
前回と前々回とで二連続でゲテモノがシメで来たからりせに報い的な物でゲテモノ来ないかなーって思ったけど、そしたら俺達の命も危なかったな、ははは。
シメがコレってマジでありがたい。いい料理の先生がついたみたいで何よりだ。
味の感想なんか要らないだろ。美味かった。これからもメシウマ組で切磋琢磨して高めていってくれ。以上!
パステルくん:個人評価…五
辛いのが苦手な昴さんやあの一件からちょっと嫌になったボク達に素敵な配慮をありがとうございました。
理乃達が来てから、メシウマ組の料理がレベルアップした気がする! もうみんなでお店出しちゃえば?
にゃぐわ:個人評価…五
何だかパステルくんがみんなにお店を出させようとしそうで怖いニャ。いや、出したら出したで凄いお店になりそうで、それもそれで怖いニャ…。
味や細かな配慮は丸を飛び越えて花丸をあげたくなるニャ。麻婆とカレーがいい具合にマッチして美味しかったニャ。これ丼じゃなくてお皿で食べてもいいニャ! あ、カツとか加えてもいいかもしれないニャ!
ジョーカー:個人評価…五
ラストがこれはありがたい。辛さも申し分ないし、配慮もきちんとなされている。これは辛いのが苦手な人や小さな子供達でも満足して食べられるだろう。
前回確かレシピを貰っていたな。この短期間である程度物にするとは…。お前の料理に対する心意気には感服する…。
あぁ、りせの評価は無視していい。辛さが足りないと言ってタバスコや唐辛子を入れて味を思い切り変えていたからな。りせ、この料理を冒涜する気か?
りせ:個人評価…一
辛さが全然足りな…って、ジョーカー、無視していいって酷くない!? 料理も冒涜してないし! でもカレーなのに辛くないんだもん!
あと昴さんも酷くない!? 報い受けろって!
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