二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 一冊目
日時: 2015/05/12 18:40
名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。

基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。


とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。

それでは、よろしくお願いします。


※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。

昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。

そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。

色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。

昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。



—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。


「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」


5/12 最終更新


『目次』

☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186

〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43

〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123

〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671

〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848

〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました


☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506


☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585


☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835


☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276


☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589

〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319

〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888


☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649


☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!

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対決 五番の料理 ( No.785 )
日時: 2015/04/02 21:34
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: ijyp/C.M)

玄関口ではそんな話をしているのを知らない昴達は、各々武器を持ち、クトゥルベビーを薙ぎ倒していった。

「【魔神剣・双牙】!」
「【運命浄化】!!」

由梨と鏡が技を放ち、ベビー達に的中させるも、次々と増えていくのでキリがない。

「くそっ、分裂速度が早すぎる! もっと人手がいないとダメか!」
『…らしくないな、由梨。お前が人手を気にするなんて。』

冷たい空気と共に凛とした声が由梨の背後から響き、彼女は一つ溜息をついた。

「お前だってこの状況下ならそう思うんじゃないのか? セルシウス。」
『すまん、それには同意だ。しかも身内が作った…いや、錬成したものだから笑えないしな。』
「同意。」

凛とした声…セルシウスは、迫ってきていたクトゥルベビーを無詠唱の【ブリザード】で消滅させると、由梨と共に溜息をついた。

「お前も来たのか、ラフィー。」
『僕だけじゃないよ。みんな…あ、地下にぶっ込んどいたイフリート以外は来てるよ。』
「本当だ。気づかなかった。」
『戦いの最中だしね。余裕もないだろうし。』

由梨達とは別の場所で、ラフィーの姿に気がついた昴が辺りを見回すと、いつの間にかイフリート以外の精霊達がやって来ていた。

「何でこうなったのかなー…。料理バトルからの生死をかけたガチバトルって何なのこの茶番劇。」
『…何モ、返ス言葉、ナイ…。』
「うわっ、びっくりした…。シャドウ、君も来たの?」
『コノ状況…黙ッテラレナイ。シカモ、我等ノ馬鹿ガ生ミ出シタカラ…。』
「マスターの尻拭いって奴? ホントろくでもないのがパートナーだと苦労するよね、従者は。星よ、落ちて!」
『同情、スル…。【ブラッディハウリング】…!』

互いに苦労するパートナーがいる影コンビは乾いた笑いを浮かべながらベビー達を消していく。
だが、イフリートを除く精霊達が来ても、戦況は変わらない。

「まだ人手が足りないってか!?」
『分裂速度が早すぎます! これではただの消耗戦です…!』

大きな剣を振るい、クトゥルベビーを倒しながら昴のぼやきに答えたウンディーネの言う通り、クトゥルベビー達の分裂速度が自分達の攻撃よりも早すぎるのだ。精霊達がいても、まだ数が足りない。

「オレ…もう、ダメ…!」

体力の限界に来ていたのか、鏡が青い焔を消し、肩を大きく動かしながら呼吸を整える。
その隙を見逃すクトゥルベビー達ではなかった。大きく消耗している事に気がついたのか、一斉に鏡目掛けて飛んだ。

「! 鏡、危ない!!」
『いかん、鏡!』

昴がそれに気づいて駆け寄ろうとするも、鏡との距離が離れすぎていた。紅は鏡の限界が来ていた事で解除された精霊化を戻す事なく、鴉の姿のままで彼を庇うように包み込んだ。

「あ…!」

鏡はそこで、ようやく自分に敵意が向けられている事に気づき、しゃがんで頭を守るように踞った。

「鏡君!」

鏡のピンチは葉月の目にも映り、彼を襲うクトゥルベビー目掛けて矢を放つも、ベビー達は多すぎる。一発だけでは倒しきれない。
詠唱を唱えている間に襲われる。誰もが鏡はこのまま攻撃を食らう。

対決 五番の料理 ( No.786 )
日時: 2015/04/02 21:39
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: ijyp/C.M)

そう、思った。

「…?」

だが、いつまで経っても何も起こらない。
恐る恐る鏡は目を開けた。

「大丈夫か?」
「あ…えと、君は…!」

鏡の前には、男が一人立っていた。鉤爪のグローブを、鏡を襲おうとしたクトゥルベビーに食らわせながら、彼に問いかけた。
その首元に、どこかで見たようなペンダントが揺れていた。

「ふうかさん!」
「たすけにきたよ!」
「えっ、この声…。」

所変わって玄関口で、そう可愛らしい声が聞こえる。この声は、風花には聞き覚えがあった。

「フレイ君、コール君!?」

そう、あの第四回六番の悲劇の後、助けに来てくれた(?)エイヴさんのオリキャラ、フレイとコールの声だ。
可愛らしいふわふわした二匹が、風花のいる玄関口までやって来た。

「一応、僕も来たよ。笑えないくらい凄い事になってるね。」
「一体料理とはなんなのでしょうね。奥深いです。」
「明君、ネリアさんも…!」

同じくエイヴさんのオリキャラである崎本明とネリアもいた。

「崎本さん、あの、赤羽さんを助けてくれた彼は、お仲間さんですか? 首元に、あなた方と同じペンダントをなさっていますが…。」
「ああ、彼とは初めてだよね。彼は小賀匠。僕らの仲間だから心配しないで。」

理乃の疑問に、明がすぐに答えてくれた。

「崎本、話をしている場合じゃないだろう!」
「わかってるよ、匠! えっと、取り合えずあのちっちゃいのを減らしてあの大きいのを倒せばいいんだよね?」

明は男…匠の言葉に答えると、今回の目的を理乃に訊ねた。

「はい。ですが、攻撃は通りづらいですし、長期戦を覚悟なさってください。」
「わかりました。それと、これが私達が通ってきた扉の近くにあったのですが…恐らく、物資かと思われます。理乃さん、貴方に預けますね。」
「渡すものは渡したし、行こうか、ネリア! フレイとコールは危ないからここにいて!」
「うん!」
「はい!」

明は理乃に段ボール箱を渡すと、その身に似合わぬ大きな槍を持ってネリアと共に敵陣に突っ込んでいった。

「…少しだけ、天田君を思い出したな。明君を見て。」
「武器的にも似ていますからね。…物資はどうやらりゅーとさんからのようです。」

手渡された段ボールは、どうやらりゅーとさんからの物資のようだ。

「中身は…ヤンリンさんが購入したシャトー・ロマーニ(※体力全回復+魔力無限のチート的飲み物)と青い薬(※体力、魔力全回復アイテム。謎のキノコから出来ている)、それから、ファルコさんお勧めのブランデー…。(き、気付け用にかな? これは葉月に渡さないようにしないと…。)それから、機械いじり組が開発した料理対決用こっちで言うアワーグラスの設計図…。(あの、これ絶対βであれが動いたから…だよね。)あとは、カフェオレとえびせんべいと緑茶とクッキーとケーキ…これは口直し用かな。ん?」

理乃が次々と取り出していき、中身を見ていると、黒くて固い何かがついたとんかちのようなものが現れた。いや、とんかち以上にサイズはあるが。

「は、ハンマー…? まさか、SAN値ピンチになってたら使え…?」
「これって、あのはんまーかな?」
「あのはんまーかな? すまぶらのあのはんまーかな?」

風花の腕に抱かれているフレイとコールが何かを知っているのか、反応し出した。

「あ、そうか。もしかしてスマブラのハンマーなのかもね。」
「あきらもつかってた! かおがこうなってた!」
「ブフッ!!」

その姿を見ていたのか、明の真似をしたフレイの顔を見て、理乃は思いきり吹き出した。
ちなみに(ノ゜▽゜)ノ←こんな感じである。

「…そ、その顔を向けないで下さい…。プフッ…。」
「りのさん、どうしたの?」
「かおがへんなことになってるよ? だいじょうぶ?」
(うわあ、出たよ理乃の笑い上戸…。今出さなくてもいいのに…。)

葉月が心の中で呟くも、理乃はしばらくそのままだったとか。

対決 五番の料理 ( No.787 )
日時: 2015/04/03 00:06
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: yIdo4PTs)

『神、救援が来て少しは戦えるだろう!』
「ああ。更に攻めに入るぞ!」

明と匠と言う救援が来て、昴達はチャンスと思い、更に勢いづいた。

「由梨、赤羽さん、昴さん、これを! 小賀さんと崎本さんとネリアさんも!」

攻撃をする前に、ようやく笑いが止まった理乃はりゅーとさんから届けられた物資の中にあったシャトー・ロマーニを前衛メンバーに投げて渡した。葉月には既に渡しており、理乃自身も中身を飲み干した後である。少しだけ思い出し笑いをして吹き出したのは、葉月と風花、フレイとコールしか知らない。

「これ、シャトー・ロマーニって奴か!?」
「りゅーとさんのヤンリンさんからです! それがあれば、多分魔力を気にせず力を使える筈です!」
『ありがたいアイテムだ! 鏡、飲んでおけ!』
「うん! いっただっきまーす! ヤンリンには後でお礼を言わないとね!」
「牛乳一気飲みした後運動はちょっとな…。気持ち悪くなりそうだけど、仕方ない。」

由梨がちょっと苦い表情を浮かべるも、全員すぐにシャトー・ロマーニを一気に飲んだ。
すぐに受けた傷が回復し、更には内から溢れる魔力を感じた。…昴以外は。

「なんか、内側から力が湧いてくる気がしてきた!」
「内側から魔力を感じる…! これなら、いけるかもな!」
(みんな何らか感じてるけど、俺には全然…あ、そうか。俺の場合体力だしな。)

そう、彼女の力は体力を削り、放出される。全ては体力次第なのだ。
鏡のも厳密に言うならば魔力といった代物ではないが、魔力に程近いものなのだろうか。

「後でこの牛乳の謎を解明したいものだがな。」
「えと、気にしちゃ駄目な気がする。」
『こういう魔法アイテムはそう言うものだと思って見た方がいい。何となく。』

微妙な表情で言う鏡に、匠は黙った。

「由梨、低級呪文で詠唱時間を削って! 赤羽さんは焔を連続で飛ばして! 昴さんはとにかく無理せずに体術で何とかして! 小賀さんは地面を殴ってでもいいので広範囲の敵を一掃出来る技を! 崎本さんはその槍を振り回していて! 精霊達はとにかく一掃!」

初めて戦いを見せるのに、武器を見ただけでまるで全てがわかったかのような理乃の指示に、明は驚いていた。

「初めて戦う姿を見せるはずなのに、何か的確な指示をしてる気がするね。」
「彼女達は異世界を旅していたと聞きました。恐らく、同一の武器を扱う仲間がいてもおかしくありません。それを見てきた経験がそうさせるのでしょう。明さん、行きますよ!」
「うん!」

二言三言話してから、再び攻撃に転じた。応援も増え、心強いのだ。

『はーい、どいてどいてー♪』

フィアレスは大きな盾を構え、クトゥルベビー目掛けて突っ込んでいく。そして樹までそのまま連れて行き、押し潰した。

『一撃も体力も弱いが、分裂するのは厄介だな。【フィアフルストーム】!』
『【サイクロン】! もう、攻撃を放ってるしか方法がない事が一番厄介だよ! まったく、何でこんなの作る人がマスターの一番の親友な訳!?』
『二人共、話している場合じゃないでしょう!【タービュランス】!』

ユーティスとラフィーが話しながら魔法を放っていると、横からセフィーが現れ、何体かのクトゥルベビーをその身に似合わぬ大剣を振るい、薙ぎ倒しながら魔法を放ち、一帯のクトゥルベビーは消えた。だが、まだまだ奥に何百、何千といる。

『本当にジリ貧の消耗戦を強いられるって何。僕、本気であの馬鹿恨むんだけど。姉さんもよくこんなのに当たって生きていられたねー。』
『正直、ドロン玉様本気でありがとうございました状態だった。あれがなかったら終わっていたからね…。』

死んだ目をしながら、本来この料理を試食するセフィーは、末の妹の言葉に答えた。
匠や明、ネリアも奮闘するが、まだまだキリがない。

「もーっ、どれだけ消耗させれば気が済むのーっ!」
「知らないよー!」

聖域裏手の長老樹に続く道辺りで、槍を振りながらぼやく明に、鏡が泣きながら答える。もう、色々と限界のようだ。
無理もない。何時間戦いっぱなしだか分からない。ここまで苦戦を強いるこの料理を作った馬鹿に、本気で殴りたくなってくるくらい。

対決 五番の料理 ( No.788 )
日時: 2015/04/05 16:26
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: Ku3ByRAK)

「まだ、泣き言を言うのは早くないか?」
「えっ…? だ、誰!?」

その声が聞こえたと同時に、一本の槍が鏡と明の前に突き刺さった。その槍に貫かれたクトゥルベビーが、消失した。
一人の男が、その槍の前に落ちてくる。茶色い髪の毛を跳ねさせた、軽装をした男が。
登場シーンはカッコよく決まった。だが、その手に持っているものが明には見えてしまい、彼は盛大に吹き出した。一緒にいたネリアはというと、そっと鏡の目と耳を塞いだ。あぁ、純粋組の保護者だからわかったのだろう。鏡も同属性だという事が。

「ちょ、何持ってるのそれ!? R18の薄い本でしょ!? しかも鏡のベッドカバーとか昴さんが怒りそうなんだけど! 修羅場が起こりそう! あはははははは!」
「頼むからこれには触れないでくれ。マジで何で俺がこんなの持たされてんだよ畜生。」

ちなみに、彼が持っていたものは、三種類。
ひとつは純粋組が戯れている写真やビデオであるが、これはまだいい。問題が次からだ。問題ひとつ目が様々なNLジャンルの薄い本(しかもうちオリジナルの完鈴、凪直といったものまであるしスバルが好きなヴァイ烈のも)。二つ目が烈と鏡の痛いベッドカバーがある。

「ねーねーネリアー、見えないー。」
「見えなくていいんです。見えなくて結構です。」
『鏡、世の中には知らない方がいい事もある。』

興味があるのか、見ようとせがむ鏡をそっと留めるネリアと紅の会話を聞いた男は、

「後で作者をぶん殴りたい。ああ、割と本気で。」

と、誰にも聞こえないような声で呟いたとか。

「ロッシュさん!」

そんな呑気に会話をしていたら、上から声が聞こえた。見上げると、そこには段ボール箱を持った軍師風の女性と、ツインテールの少女が落ちてきていた。

「今はそんな事を話している場合ではないはずですよ。それは私達が持っていくので、貴方はすぐに救援をお願いします。」
「俺だって好きでこれ持ってたんじゃないんだけど!?」
「ロッシュさん、それは皆さんわかっていると思います。」

軍師風の女性が一喝すると、男…ロッシュが反論するが、すかさずツインテールの少女がバッサリと切り捨てた。

「えっと、君達、誰かな?」

ようやく笑いが収まった明が、突然現れた彼女達に問いかける。

「自己紹介が遅れました。私はルフリ。ユリカさんの世界から救援へと参りました。」
「同じくロッシュ。先にこっちに来たサイモンとは同じギルドの仲間だ。」
「同じく、木幡奏です。えっと、物資を持って来ました。それと、私とルフリさんは治癒術が使えますので、遠慮なく怪我をしたら仰ってください。」

どうやらユリカさんの更なる追加救援のようだ。軍師風の女性…ルフリ(女ルフレ)とツインテールの少女…奏は治癒術持ちのようだ。それと、ルフリの持つ段ボールには、FEシリーズの特効薬系等のアイテムがぎっしり詰められていた。

『救援はありがたい! 流石にそろそろまた押され気味になってきたのでな。すまないが、ルフリと奏はあの白い建物に行ってくれ。』
「わかりました。では、ロッシュさん、こちらの事はお願いします。」
「おう!」

ロッシュは槍を持ち直し、飛び出していった。
そして、素早くクトゥルベビーを消失させていく。

「…。」
「明?」

それを見ていた明は、鏡の問いかけに答えず、すぐに槍を持ってロッシュの近くまで行った。
ロッシュの元まで来るとすぐに、彼に迫っていたクトゥルベビーを切った。

「へー、お前も槍が武器なんだ。」
「まぁね。よければ君の戦術、見せてくれないかな?」
「俺のでよければ好きな、だけっ!」

二人はいつしか背中合わせになり、互いに迫るクトゥルベビーを消滅させていく。初めて出会った二人なのに、武器が同じと言うだけで、何か芽生えたようだ。

「何だか、世界を越えた友情が育まれそうだね、紅。」
『切欠がこれじゃなければどれだけよかった事だろうがな。』
「同意です。…鏡さん、来ます!」

そして再び、鏡達も迎撃を開始した。

対決 五番の料理 ( No.789 )
日時: 2015/04/02 21:57
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: mSRzWlsB)

だが、まだまだ沢山のクトゥルベビー達が蠢いている。

「だあっ、クソッ! 数が減らなさすぎる!」
「せめて、隙のない広範囲の強力な攻撃ができれば…!」

匠の言う隙のない広範囲の強力な攻撃、それは詠唱を必要とする魔法では難しい。
精霊達ならば無詠唱での上級魔法が扱えるものの、そう何発も放っていたら自分の存在できる魔力がなくなってしまう。

「…。」

由梨には、一つだけ心当たりがあった。
隙のない、広範囲の強力な攻撃。何度も手合わせをした同級生と後輩が使っている力。それならば、恐らく隙も少ないし、強力な攻撃が多い。
だが…ここにいるのは、攻撃系等ができるそれを使えない存在ばかり。いや、一人いるのだが、シャトー・ロマーニの効果がない以上、彼女にそれをさせるのは酷だった。

「ペルソナがありゃ…!」

由梨が真っ先に思い浮かんだ力、ペルソナ。
あれならば召喚に時間がかからない上に、強力な攻撃を放つ事が可能だ。スキルによっては、広範囲も放てるだろう。

「出そうか? ペルソナ。」
「えっ…?」

いつも聞いている、嫌な声が聞こえた気がした由梨は、驚いてそちらを見た。
そこには、いつも見る、嫌な横顔がいつの間にかあった。

「…多分、お前のクラスメイトを思っているんだろうけど、違うからな。」
「だよな。今の一言で違うってわかった。名前は?」
「威筑。青嵐威筑。」

いつも見る嫌な横顔を持つクラスメイトの悠…いや、威筑は、目の前にカードを出した。

「来い! イザナギノオオカミ!」

威筑がカードを破壊すると、目の前に白を基調とした服を着たペルソナ、イザナギノオオカミが現れた。

「【ヒートライザ】! からの…【メギドラ】!」

イザナギノオオカミは自身を高めてから、万能属性攻撃を放つ。その狙い済ませた強力な広範囲攻撃により、大半のクトゥルベビーは消え去った。

「大丈夫か?」

敵を一掃した事により、会話をする余裕ができたのか、威筑は近くにいた由梨と匠に話しかけた。

「ああ、なんとかな。」
「それより、お前も救援か?」

匠が聞くと、威筑は頷く。

「先に、アイギスがこっちに来ただろう?」
「ああ、ネールさんからの救援か。」

アイギスの名を出されただけで、由梨は納得した。そう、彼はネールさんの追加救援だ。

「一人か?」
「いや、まだ仲間はいるよ。」

そう言うと、威筑は後ろを顎でしゃくった。
匠と由梨がそちらを見ると、そこには大きな斧を振り回すコートの男と、左目が青い髪で隠れた青年がいた。

「みんな、がんばれー!」

その声が聞こえた神殿の方を見ると、八十神高校の制服に身を包んだ二人の男女が葉月と共に応戦しているのが見えた。
それを確認した時、威筑の後ろからクトゥルベビーが迫ってきているのが見えた。

「! 青嵐、後ろだ!」

匠が注意を呼び掛けるも、威筑は佇んだまま、動かない。
直後、一陣の風が吹きあれ、威筑の後ろから来ていたクトゥルベビーが吹き飛び、消滅した。

「ったく、背後には注意しとけよな、相棒!」
「お前がいるってわかってたから注意しなかっただけだけど?」

上空から降りてきた影に、威筑はそう声をかけると、由梨にとってはもう一人の見慣れた影は頭をポリポリと掻いた。

「はぁ、そんなんで大丈夫かよ、リーダー。」
「大丈夫じゃないからお前がいるんじゃないのか? 陽介。」

影…陽介は、盛大に溜息をついた。

「ははっ、こっちの陽介が威筑を見たら同じ反応しそうだな。」
「確か、裸族だっけ、そっちの威筑。こっちのと交換してくれとか言われそう。」
「あ、絶対に言いそう。」

まるで本当にクラスメイトかと思うくらいに、陽介と由梨は話す。が、すぐにクトゥルベビーが迫ってきていたので、匠の喝で再び戦闘体制に戻った。
所変わって、玄関口。ここでは葉月と共に、ボウガンを持った男子生徒と、そんな彼に守られている女子生徒がいた。

「へぇ、即席で作ったとは思えないね、そのボウガン。」
「玲を守る為に必要で、有り合わせで作っただけだ。誉められるような事じゃない。」
「善、葉月ちゃんは誉めてくれたんだから、素直にお礼を言っておこうよ!」

こちらに迫るクトゥルベビーを貫きながら、男子生徒…善と、女子生徒…玲は葉月と共に話し込む。即席ボウガンと矢の性能もいいが、善自身の命中率も百発百中と高い。葉月も葉月で命中率が高いのだが。

「ボウガンの精度も、善君の命中率も高いし、弓の名手とか言われそうだね…。」
「そうでもないとは思うがな。」
「善、誉められてるのにそっけなく返しちゃダメだよ!」

葉月が誉めているのに、善がそっけなく返すので、玲はプンプンと怒る。だが、葉月は対して気にしてはいない。

「あはは、落ち着いて、玲ちゃん。…怒るのは後だよ。」
「う、うん…!」

また新たに矢をつがえた葉月の目の前には、今にも玄関を突破してきそうなクトゥルベビーがいた。

「玲、君は下がっているんだ。」
「大丈夫。私も、戦える。善の力があるから、戦える!」
「…ならば、そこで私達を回復や補助を頼む。それだけで、私達は心強いからな。」
「玲ちゃんの声援で、頑張れそうだしね。」
「うん!」

玲は前に出る葉月と善を見送り、祈るような体制をとった。
更に後ろ…神殿内。

「…。」

風花は、高鳴る鼓動を何とか押さえ付けていた。

(違うって…わかってるのに…! あの二人は、私が知ってる湊君や荒垣先輩じゃないって、わかってるのに…!!)

彼女の乱れた心は、サーチに影響を及ぼし、精度が鈍った。
原因は、ネールさんが送ってきた残る二人…荒垣真次郎と神獣碧の存在だ。

「…。」

近くで見ていた理乃は、風花のこの行動が何を意味するか、わかっていた。

(…こちらのお二人は、原作通りに…亡くなったんですね。)

そう、真次郎はあの乾の母親の命日の日、ストレガの一人、タカヤの銃弾から乾を庇って死んだ。そして、碧…いや、こちらで言う、有里湊も、今は命の答えに辿り着き、その命を楔として、人々の心が死に触れぬよう、守っているのだろう。

「…山岸さん。」
「…うん、ごめん、理乃ちゃん…。ちゃんと、サーチ、しないと、って…わかってるのに…でも…。」
「…。」

無理もない。別世界の存在とはいえ、亡くなった大好きな仲間と先輩が一気に目の前に現れたのだ。戸惑っても、おかしくはない。

「…サーチとは行きませんが、私も風で気配を探れます。攻撃の準備等が来れば、風達が教えてくれますので、今は気持ちの整理をつけてください。…無理に焦ると、更に落ち着かなくなりますよ。」
「…ごめんね。理乃ちゃん、暫くはお願い。」

風花は気持ちの整理をつけるため、一度ユノを戻した。

(山岸さんはしばらくこのままにしておいた方がいいかな。…それまで、私が何とかしなきゃね…!)

理乃は全神経を研ぎ澄ませ、敵の大きな攻撃を警戒した。


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