二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180
- 激突! パステルくんVSジョーカー その五 ( No.495 )
- 日時: 2015/01/17 21:09
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OR22W8s.)
誰もが、このまま和解へと進む。そう思った。
かと思いきや、ジョーカーは戦いへと引き戻す言葉を放つ。
「聞くに値せぬ戯言はやめよ。」
「!?」
冷たいジョーカーの言葉に、パステルくんは驚いた。だが、その瞳に映る迷いの色が消えていない事に気がつき、少しだけ悲しそうな表情を浮かべる。
「お前達がどう言おうと、どう思おうと、我はこのワンダークロックを破壊する。小鼠が真を述べている証拠もないのでな。」
「パステルくんが嘘をついているって言うの!?」
「確かめる術はこのワンダークロックを破壊しない限りはないという事だ。」
尚も続く、冷たいジョーカーの言葉。
「…ぼにゅっ!」
パステルくんは何を思ったか、再び赤い光を生み出し、ジョーカー目掛けて弾いた。
「その攻撃は既に見切って…!?」
ジョーカーは先程同様弾き返そうとしたが、同じ速度の光が三つ、連なって時間差で飛んできている事に気がつく。
(これを弾く時のジョーカーの力は大振りだ。これなら捌ききれないよね!)
(あの小鼠、我の力を見切って…! くっ、これでは全て弾き返せぬ! 弾けても、一撃のみ…!)
自身の力は強大な物程、どうしても大振りとなってしまう。しかし、この力は大振りな力を使わないと跳ね返せない。それに気付いているからこそ、全てを捌ききれないと確信するジョーカーは、一撃目を何とか跳ね返し、二撃目を別の力で消滅させようとしたが、既に目前に迫っていた。
「くっ! ぐあっ!」
目の前に来た光をガードして防ごうとするも、体勢を整える前に光が到達する方が早く、ジョーカーの体は光に直撃し、そのまま地面に吹き飛ばされ、体を強く打ってしまう。
「ジョーカー様!」
「! 来るな! お前達!」
心配して駆け寄ろうとしたセシルとフランシスを制し、ジョーカーは再び浮き上がる。
「で、ですが…!」
「そのお怪我では…!」
「掠り傷だ。心配ない。」
ジョーカーは強がり、心配させないように言う。本当は大きなダメージを負っているのに。
だが、ここでセシル達を戦わせたくはない。
(これ以上、我が子が傷つく姿など、見たくない…!)
血の繋がりはないが、自分の子供同然に思っている、子供達だからこそ…父親として、守りたいと思っていた。
■
その後も、光を飛ばしあったり、力でねじ伏せあったりと、攻防が続いた。
「はぁ、はぁ…。」
「ぼ、にゅ…!」
いつまでその攻防が続いていたのか分からないくらい長い気もしたし、すぐに終わった気もした。
いつしかジョーカーもパステルくんも、満身創痍となっていた。互いに後一撃、後一撃叩き込めば、それで決着がつきそうなくらい。
「くっ…!(恐らく、これが最後の一撃…!)」
ジョーカーは力を練り上げて作った見えない剣を構えた。
「ぼにゅっ!(ここまできたら、もう気合だ…!)」
それに対し、パステルくんもスパナを構える。
暫く睨み合った後、同時に地面を蹴る。
「…!」
ジョーカーとパステルくんがぶつかり合い、同時に地面へと降り立つ。
静かな時間が流れる。まるで、静止画を見ているかのような。
- 激突! パステルくんVSジョーカー その六 ( No.496 )
- 日時: 2015/01/17 21:15
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OR22W8s.)
「…見事、だ。」
そんな時間が続いたのち、ジョーカーの体が傾き、そのまま地面へと倒れ込んだ。
「ジョーカー様!」
セシルやフランシス、烈達の側にいたリリィやローズも駆け寄り、ジョーカーを心配した。
「…我が、負けた、か。」
上を見上げながら、ポツリと呟くジョーカー。その眼差しには、迷いの色はない。負けたと言うのに、どこかスッキリとしていた。
「…我はどうしようと構わぬ。だが、セシル達は…我が巻き込んだだけだ。何も、悪くない…。」
「ジョーカー様!?」
自分の身を差し出し、セシル達を不問にするよう頼み込むジョーカー。そんなジョーカーにセシル達は驚きを隠せない。
「…パステルくん。どうするの?」
「ぼにゅっ。」
氷海が問うと、パステルくんは首を横に振る。
『それを決めるのは、自分ではない。神だと言っている。…神の裁量に任せるようだ。』
「神…?」
ジョーカーはセシルの手を借り、痛む体を起こし、紅の言葉に首を傾げた。
『我らの住む世界を創りし創造神だ。何、事情を話せば、悪いようにはせん。』
「ああ、怒ると鬼のように怖いけど、悪いようにはしないと思うぞ。」
(烈、余計な事を言うな。神に殺されても知らぬぞ…?)
紅が何か言いたそうな表情をしているが敢えて無視し、ジョーカーは烈達の姿を見た。
…全員、ボロボロだった。
「…お前達を、そんなに傷付けても、か?」
烈達をこんなに痛めつけ、時間を滅茶苦茶にしようとした張本人を許してくれる神様などいるものか。そう考えたジョーカーは、烈に聞いた。
「んー…わざとじゃないし、大丈夫じゃね?」
だが、烈はそうあっけらかんと言った。他の三人も、否定しなかった。
ジョーカーはそんな烈達の態度を見て、何故だか力が抜けた。
『そうだな。さて、とにかく今は帰ろう。神も首を長くして待ち侘びているだろう。』
一同はとにかく、元来た道を戻ろうと歩を進める。ジョーカー達は抵抗を見せないので、特に縛り付けたりせずに一緒に帰る事になったようだ。
- 激突! パステルくんVSジョーカー その七 ( No.497 )
- 日時: 2015/01/17 21:22
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OR22W8s.)
そんな雰囲気の中だったのだが、諦めていないのがいた。
「まだだ! まだ俺達が残って」
「見苦しい。」
「ぐはっ!」
一人で戦おうと突っ込んでいこうとするフランシスだったが、リリィはそんなフランシスの上に宝石を落とした。
フランシスは頭を押さえ、蹲った。
「〜〜〜〜っ…! リリィ! 何をす」
「ジョーカー様、いい顔、してる。素直に、負けを認め」
「嫌だ! 俺は一人でも戦」
互いに台詞を遮りながら言うフランシスとリリィ。埒が明かないと判断したのか、リリィはフランシスを宝石の中に閉じ込めた。
「リリィ! 何をする! 出せ! 出さないかーっ!!」
「…うるさい。」
リリィはぎゃんぎゃん騒ぐフランシスに注意するも、聞く耳を持っていないのか、騒ぎ立てるばかり。
流石にイラッと来たのか、リリィは溜息を一つ吐き、烈を見た。
「…えっと、烈、君?」
「おう、何だ?」
突然リリィに名前を呼ばれた烈は軽く驚くも、きちんと答えた。
「…アレ、燃やして。うるさい。」
「…敵に味方を燃やせって頼む奴、初めて見たんだけど…。」
次の瞬間、リリィは躊躇いもなくフランシスを指差しながらそう烈に懇願する。これには烈も苦笑いを浮かべるだけだ。そしてフランシスは、声にならぬ声で何事かを叫んだ後、すぐに黙り込んだ。どうやら本気でリリィが怒っている事をようやく察したらしい。
「ようやく大人しくなった…。うるさかった…。」
「いや、リリィ。この場合、お前が大人しくさせたと言うんだ。…フランシス、気持ちはありがたいが、我らはこの小鼠達に負けた。弱者は勝者に従うべきだ…。」
「ですがっ、神などと得体の知れぬ者にジョーカー様が…!」
自分達の大切なジョーカーが、誰ともわからぬ存在に消滅でもさせられたらと思うと、気が気ではない。だったらここで抵抗し、ジョーカーを守りたい。そうフランシスは考えていた。
そんなフランシスの気持ちがわかったのか、ジョーカーは小さく微笑みながら頷く。
「大丈夫だ。きっと。この者達を見ていると、何となくだが、そう思う。…っと、そうだ。もし仮に我が消失してもいいように、返すべき物は返しておかぬとな。」
ジョーカーはパステルくんに向け、指をパチンと鳴らす。
「…? ジョーカー、何をし…って、あれっ!?」
「パステルくん、言葉がっ…! 言葉が戻ったのね! よかった…!」
「うわーい! やったー! ボクの言葉が戻ったよ! 氷海!」
自分の言葉で再び話す事ができるようになって嬉しいのか、パステルくんは氷海に飛びつき、喜びを露にした。
(あぁ、可愛いわパステルくん可愛いわ! もううちのパステルくんが一番可愛いっ!)
「えへへ〜、くすぐったいよ、氷海〜♪」
嬉しさのあまり、氷海はパステルくんを頬に当て、何度も擦り合わせた。
が、とても息を荒くし、若干恍惚とした表情だったのだ。あまりにも氷海らしからぬので…。
「ひ、氷海…? 何か、怖いよ…?」
「氷海ちゃん、息が荒いよー。氷海ちゃーん、もっしもーし。」
その光景を見ていた風雅は引き、鈴花は流石にまずいと感じたのか、声をかけるも、一切反応しない。
「…烈君が見てるよー。」
「!? えっ、み、見られてる!? 嘘っ!」
仕方がないので、鈴花は手法を変え、そう氷海の耳元で言うと、すぐに顔を赤くさせてパステルくんへの頬ずりをやめた。そして、烈の姿を探す。
「これで、ワンダークロックも元に戻ったんだな。」
「そうだな。」
その当の本人は、セシルとフランシスに預けた玉が再びはめ込まれ、元に戻ったワンダークロックを見ながら、ジョーカーと会話をしていた。どうやら先程の氷海は見ていないようだ。勿論、その事に氷海がホッとしたのは言うまでもない。
「…。」
パステルくんは再び時を刻むようになったワンダークロックを見てから、氷海を見た。
「…ワンダークロックの事も、昴さんと相談しないとね。」
「そうね。…あら? パステルくん、服が…。」
「えっ? あ…。」
氷海に指摘され、パステルくんは自分の服を見る。いつの間にか、ヴァリスの服ではなく、元々着ていた服に戻っていたのだ。
(…時間つきのプレゼントだったのかな?)
考えてもわからない。確かめる術は、昴に聞いてみる事だけ。帰ったら昴に聞いてみよう。そう、パステルくんは考えた。
『するべき事もしたし、まずは帰ろう。』
『そうだな。ふぅ…早く帰って父上殿と晩酌したい…あぎゃっ!』
「店の酒着服すんなよ!」
黒が突然悲鳴を上げる。どうやら烈が殴ったようだ。
『貴様はまず母上殿からこってり絞られろ。それを酒の肴に神と晩酌してやる。』
『分身の癖に本体の扱い酷くないかお前! 今に始まった事ではないが!』
『日頃の行いが悪い貴様が悪い。』
その言葉をきっかけに、鴉二羽の醜い争いが始まったのは言うまでもない。
「…。」
「ジョーカー様?」
「…案外、この者達の語る神という存在も…悪い奴ではない。そんな気がしてならないのだ。…あの者達を見ているとな。」
戦いを終えたが、敵がこうしてまだ目の前にいるにも拘らず、喧嘩を始める鴉達や、再び小鼠に頬ずりをしだす少女とそれを諌める少女と引きつつも眺める少年。そして、そんな光景を目の当たりにして苦笑いを浮かべる少年。不思議と、その姿が滑稽で…どこか、安らげる。そんな気がした。
そんな彼らの培った環境を創った神様。ジョーカーは少し、興味を持った。
(…きっと、大丈夫。そんな気がするな。)
ジョーカーは一つ頷き、セシルを伴って烈達の元へと向かった。
■
「諦め悪いなフランシス。」
ジョーカー達との対決を振り返り終え、昴は真っ先にそう言った。
「し、仕方ないだろう! あの時は、ジョーカー様が何されるか分からなくて…。」
「まぁ、子として、親を心配するのはいいが…もちっと親の意を組んでやれよ。」
「う、そ、それは…すまない。だが、あの時諦めても何の問題もなかったな。今思えば。」
「そうだな。昴殿はこんなにも優しいしな。」
「え、ジョーカー。優しいじゃなくてやかましいの間違いじゃ」
この後、烈に昴からの拳骨が飛んだのは言うまでもないだろう。
「…。」
「馬鹿は放っておいて、次行くぞ。」
机に突っ伏している烈を無視し、昴は次なるページをめくった。
- おかえりの味とただいまの涙 その一 ( No.498 )
- 日時: 2015/01/17 21:31
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OR22W8s.)
穴を潜り、外へと出ると、まだ、星の輝く夜だった。
だが、東の空はうっすらと明るい。恐らく、夜明けが近いのだろうか。
「俺ら、一晩中こん中にいたのか…。」
『戦いで緊張していたせいか、眠気を感じなかったからな。自覚がないのも当たり前だろう。…む?』
ふと、ザリッ、と言う感じの砂を踏む音が聞こえ、全員、そちらを注目する。
「よー、お帰り、お前ら。」
(おかえり、おかえり)
そこには、MZDと影がいた。さらに後ろには…。
「…。」
黙ったまま腕を組み、烈達を見る昴がいた。
「え、MZD!? 昴さんも!」
「いやー、案外早く帰ってきたな。別次元だし、もっとかかるかと思ったぜ。なぁ、昴。」
「…。」
MZDの問いかけにも反応せず、沈黙を貫く。
(あ、あれ? やっぱり怒ってる…?)
『…神。』
沈黙が怖くて、全員思わず身構える。そんな昴の肩に、紅が舞い降りた。
「事情は後で聞く。…スキルコンバート…。」
(や、ヤバイ!)
誰かのスキルで自分達を攻撃する。絶対ここで公開お仕置きをされる。
全員、それを覚悟して、目を瞑った。
「す、昴さん、待って〜!」
パステルくんは氷海の肩から降り、昴の前にやって来る。
「氷海達は着いて来ちゃっただけなの! 何にも悪くないの! 悪いのは、あの時全部話さなかったボクだけだよ! だから、お仕置きするならボクだけにしてっ!」
「ぱ、パステルくん…!」
必死で氷海達を庇い、自分一人だけに責を負わせようと訴えるパステルくん。
「…誰がお仕置きするっつった?」
昴の目の前に、カードが舞い降りてきた。…女教皇のアルカナが描かれた、一枚のカードが。
「来い、コノハナサクヤ。」
創世ノートをカードを挟むように閉じ、カードを破壊する。すると、昴の後ろに雪子のペルソナ、コノハナサクヤが現れた。
「【メディアラハン】。」
昴の命にコノハナサクヤは一つ頷くと、烈達が光に包まれる。同時に、痛みが引いていくのがわかった。
「こ、これは…!」
「凄い…。」
どうやらジョーカー達にも効果を及ぼしていたようで、初めて見る力に驚いているようだった。
「昴さん…。その、俺達…。」
「事情は後で聞くっつったろ? …全員、聖域に来い。ある程度は紅に聞いておくが、詳しい事情はそこで聞く。そこのちっこい奴等もだ。」
ただ、それだけを言って、昴は紅を伴ってさっさと帰っていった。
「や、やっぱ、これから怒られるのかなぁ…?」
「…あんまりオレも言いたかねぇけど、それだけの事を、お前らはしでかしたんだ。それはわかってるか?」
鈴花の不安そうな言葉に、MZDは先程のおどけた表情から一転、真剣な表情で全員に聞き返す。
「…今回は無事だったけど、もし、昴達よりも酷い事になって、帰って来なかったらどうなってたか分かるだろ?」
「はい…。反省しています…。」
「ごめんなさい…。」
氷海を筆頭に、全員がMZDに謝る。本気で心配をかけさせた事に、申し訳なく思っているようだ。
「オレに謝らなくていいから、昴に謝れ。アイツが一番心配していたんだからな。」
そう言ってから、MZDは東を見た。
いつの間にか、眩い光を称えている。朝が来たのだ。
「…。」
その朝焼けが、今の烈達には眩しかった。何故だか分からない。だが、眩しすぎて、目を細めていた。
「ほら、昴が待ってんぞ。」
(はやく、はやく)
ぼんやりと佇んでいた烈達に、MZDはそう促し、影が急かした。
「っと、そうだった!」
「早く行きましょう!」
「ジョーカー達も着いて来てね。」
「うむ。…もう、逃げも隠れもせぬよ。」
一同はそのまま昴の待つ聖域に向かっていった。
「…待つ方も辛いな、やっぱ。」
(…)
その姿を見送りながら、MZDはポツリと呟き、影が同意する。
「…もう、誰かが消えるのは無しにしたいな。ただ、悲しいだけだしな。…そう考えたからこそ、またあん時みたいに干渉したんだろ? お前は。」
「あー、やっぱバレちゃってたか。」
ふわりと風が舞い、MZDの側に黒いローブを着た何者かが降りてきた。
フードを外すと、そこにはパステルくんの夢に出てきた昴そっくりの人物が…この世界の創造“者”がいた。
「昴に似かよった気配が穴からしてさ。けど、昴はワンダークロックについて相談したくてオレを探しに来てから今まで、ずっと一緒に居たからな。考えられるのは、お前しかいねぇだろ。」
烈達を見送った後、昴がりせを伴いこの場を離れたのは、MZDを呼びに行く為だったようだ。
ワンダークロックについて、MZDと協議する為に。
「…悪いけど、あんまり干渉する気がなかったのも事実だし、今回も正直干渉する気はなかった。でも、ね。…この世界に生きる人達には、笑って過ごしてもらいたいんだ。もう、あの時みたいに悲しむ人達がいるのは、絶対に嫌だったから。」
真剣な表情を浮かべる創造“者”。眼鏡の奥に見える瞳は、どこか射抜かれそうで怖かった。
その表情を見て、MZDはいつものおどけた表情に戻る。
「我儘な神様なこって。」
「あら、神様は総じて我儘なものじゃないのかしら? それに、そんな我儘なら言ってもよくない?」
「ははっ、違ぇねぇ。」
MZDはそう言ってから、再び東の空を見る。創造“者”も、同じように東の空を見た。
朝日は、完全に顔を出していた。
- おかえりの味とただいまの涙 その二 ( No.499 )
- 日時: 2015/01/17 21:38
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: OR22W8s.)
神殿に辿り着いた烈達は、呼び鈴を鳴らす。
『来たか。鍵は開いてるから入ってこい。』
ただそれだけを告げられたので、早速中へと入る。
中は、いい香りが立ち込めていた。昴が鏡達の朝食を作っているのだろうか。
「えっと、昴さ」
「リビングで待ってろ。すぐ出来るから。」
すぐ出来る、の意味は分からなかったが、取り敢えずリビングへと向かう。
「…あっ…!」
そこには、既に料理が並べてあった。
ワカメスープにポテトサラダ。卵焼きにウインナー。朝によく並んでいそうな食事がパステルくんに丁度良いサイズの食器で六つ分。黒用にだろうか、野菜の千切りが盛られた物もある。
そして、四つのお弁当箱。一目見ただけで分かった。これは、自分のお弁当箱だと。
「ほい、出来たぞ。こっちはパステルくん達のな。お前等はそっちの弁当な。」
キッチンの方から出てきた昴が持ってきたもの。それは、小さなおにぎりだった。
「味は梅と塩。梅は種抜きだ。」
「昴さん、どうしてっ…!」
「昨日の夜から、まともに食ってないだろ?」
昴が言うと、誰かの腹の虫が盛大に鳴り響いた。
「…えへへ、お腹空いた…。昴さん、貰うねっ!」
腹の虫を鳴らしたパステルくんはおどけた表情で、おにぎりを手に取った。
「んじゃ、俺は洗濯物を干しに行ってくるから、食ってろ。事情はそれからだ。」
「あっ、昴さ…って、行っちゃった…。」
何故ここに自分達のお弁当箱があるのか問わねばならぬ気がして鈴花は引き留めようとしたが、昴はさっさと庭に向かっていた。
「…お説教、受ける気でいたけど…何だろう。何か、いつも通りだよね…。」
「だな。…食おうぜ。」
「そうね。折角作って貰ったしね。頂きます。」
『いっただっきまーす!』
パステルくんはおにぎりに手をつけ、食べ始める。黒も野菜の千切りに口をつけ、食べ始めた。
そして、烈達もお弁当箱の蓋を開け、食べ始めた。
「あれ? これ…。」
中身の違う品を食べた後、一斉に首を傾げるも、また食べ続ける。
「…。」
その様子を、ジョーカー達は少し呆気に取られながら見ていた。事情も聞かれず、裁きもなく、こうして温かい食事まで用意されるとは思わなくて、驚いているのだ。
「食わねぇのか?」
「い、いや…! ただ、あの神とやらの動向がわからなくて…戸惑ったのだが…。」
「昴さんの動向は、俺達にだってよく分からねぇよ。けど、事情は後でって言ってんだ。早く食わねぇとおにぎりなくなるぞ? パステルくん、結構食うから。」
ばっ、とジョーカー達が見ると、山のように積まれていたおにぎりは既に半分食べられていた。
「おいチビ! ボク達の分まで食べるなー!」
「早い者勝ちだよー!」
そして、パステルくんとローズのおにぎり争奪戦が始まり、ジョーカーがそれを諌める光景が巻き起こった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180