二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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神様のノート 一冊目
日時: 2015/05/12 18:40
名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346

始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。

基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。


とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。

それでは、よろしくお願いします。


※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。

昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。

そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。

色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。

昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。



—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。


「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」


5/12 最終更新


『目次』

☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186

〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43

〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123

〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671

〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420

〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848

〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました


☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506


☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585


☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835


☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276


☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589

〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319

〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888


☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649


☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!

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Re: 神様のノート ( No.245 )
日時: 2014/12/01 17:16
名前: ユリカ (ID: iqu/zy5k)

4番は裸族になりかけているのか…。りゅーとさんのルカリオ、気持ちは分かるぞ;私は「君に届け」という漫画が好きなんですが、それのヒーロー役が浪川キャラだったんです。同じ声のキャラは嫌だろうな…。

ユリカ「私は裸族ファンだが、風早君(浪川キャラ)を汚すなよ」
矢島「中の人繋がりでキレてるぞオイ。あと、裸族ファンを公言するな(^ω^#)」

そういえば、昴さんは理乃ちゃんらオリキャラのイメージボイスを決めていたりしますか?私は…、

・矢島→沢城みゆきさん
・美園→堀江由衣さん
・真理子→佐藤聡美さん
・凜音→花澤香菜さん

…ですかね。気になったので質問してみました。ちなみにゲストで向かっているマリーは丹下桜さんだったりします。どーでもよかったらごめんなさいOTL

22品中3つがポイズンクッキング確定ですか…;オシオキなら加勢しますぜ。反省してないようなら、ね。
あっ、宣伝になってしまいますが、私もカキコデビューしたので見に来て下さると嬉しいです^^

更新頑張って下さい!それでは!

Re:ユリカさん ( No.246 )
日時: 2014/12/01 20:07
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /B3FYnni)

ユリカさん:


はい、四番は同室のあの裸族のせいで裸族になりかけています。が、ちゃんとやる時はやる子なので、あの裸族よりは酷くありません。

昴「中の人繋がりの奴は絶対に今OTZしてんだろうな…。」

でももう後戻りはできない。つかしない。

昴「裸族のままいかせるんだな。うん、もうそうだろうと思ったから何も突っ込まねぇよ。胃薬片手に頑張るとするよ。」

苦労かけます。


理乃ちゃん達のイメージボイスですか…。

昴「そういうのはあまり決めてないけど、昔やってたセブンスドラゴンっつーゲームで理乃達作ってボイスを割り当てたな。」

それがこちら。

・理乃…花澤香菜さん
・由梨…日笠陽子さん
・葉月…竹達彩奈さん
・七海…伊藤かな恵さん

ですかね。
まぁ、サンプルボイスで決めた面もありますが。


まだポイズンは出てきていませんが、どうなるかわからないですよー。
オシオキはまだ未定です。
小説は見に行きますね。

では、これにて失礼します。

実食 五番&六番 前書き ( No.247 )
日時: 2014/12/06 22:45
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: EdfQYbxF)

採点方法
五段階評価を下す。内訳は以下の通り。

五、メニューに拘らず、遊び(アレンジ)を加えており、なおかつ美味しい。

四、メニューに依りすぎな所はあるが、程よく遊びを加えており、美味しい。

三、メニュー通りの品。遊びなどはないが、メニュー通りなので普通に美味しい。

二、メニューに沿ったのだろうが、ミスが目立ちすぎて美味しくない。が、まだ改善の余地がある不味さ。

一、救いのない不味さ。キッチンに立たせたら死ぬ。

零、食材を与えないで下さい。


新ルール:±要素
今回新制度として評価に加え、更に±要素を入れる。

・+…あともう一歩で上位のレベルに上がれるくらいにおしい品。五+は五段階評価じゃ足りませんレベル。

・無印…妥当なレベル。惜しい部分もなければ、マイナス要素も特になし。

・−…ミスが多いのでお情けでこの評価に。零−は自覚しましょう。


お題:『お弁当』
両端に留め具の付いたお弁当箱に以下のルールを遵守し、提供すること。

1.昴が出したお弁当箱を使用する事

2.昴が出したスープジャーか水筒に温かい飲み物を入れて使用する事(両方でも可。また、既製品やお湯を入れるだけで完成する物でも可)

3.お弁当の中身は固定審査員の望む卵料理、魚料理、野菜料理、おにぎりを絶対条件として入れ、残る一品自分の好きな物を作って入れる事

4.同じお弁当を六つ作る事。内一つは自分で必ず食べる事

5.BEMANI学園の調理室で作り、神殿まで運ぶ事



—前回は天国が二連続、と。


「三番の成長が著しいな。…あ、やばい、思い出したら涙が…。」


—泣くなよ…。

実食 五番 ( No.248 )
日時: 2014/12/06 22:56
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: TQ5WR7zN)

あの変態を打ちのめし、各々ポジションに戻った昴達は、一息ついていた。

「ふぃー。まったく、手間かけさせやがって。」
『本当ですよね。まった…えっ? あ、うん。伝えておくね』

突然、風花が誰かと話しているような声が聞こえ、昴は首を傾げて「どうした?」と訊ねた。

『クマ君が気分が優れないからと言って、凪君達の部屋で休むそうです。凪君が今、付き添っています。』
「クマが? …何があったんだろうな。」
『私も今、凪君から伝えられて…。結果発表までには回復していると思うそうです。』
「わかった。じゃあ、こっちはこっちで進めとく。…さて、次の奴を呼んでもらうか。」

昴はMZDに次なる人物を呼ぶよう頼んだ。
十分後…。

「ごめん、遅れたっ!」

メールで呼ばれ、やって来たのは千枝だった。

「おっす、千枝。ちょっと遅かったって事はトレーニングでもしてたか?」
「あはは…実はそうなんだよね…。ごめんなさい。」
「いや、丁度いいくらいの時間だよ。んじゃ、取ってくるよ。」

昴はその場を離れ、エレベーターに向かった。

「…ねぇ、さっきから鉄臭いんだけど。」
「あ、ごめんね、千枝。空調いれて…にゃぐわー、そこの生ゴミ外に出しといてー。」
「にゃぐー。」

千枝の言葉に、パステルくんは空気清浄機のスイッチをいれ、にゃぐわは隅っこにあった鎖で縛り付けられてモザイク処理された何かをポイッ、と窓から投げた。ちなみにここは二階である。

「パステルくん達も服が赤いから着替えてくれば?」
「あー、大丈夫だよ。審査に支障はないよ、多分。」

平然とパステルくんは言い放つ。千枝もそれを見て気にしない事にした。

『次は誰のかな? 楽しみだね、千枝ちゃん。』
「(なんか風花さんの声、心なしか弾んでない?)だねー。そう言えば当たりの状況って?」
「うむ。まだ二品しか出ていない。後は普通レベルと慌てた方のハズレだ。」
(慌てたって…ああ。)

ジョーカーの言葉に、千枝は頷いた。誰かわかったのだろう。
そんなこんなで、昴が戻ってきた。

「さて、千枝。準備は?」
「オッケーだよ!」

千枝はポケットから肉ガムと胃薬を出す。

「じゃあ、開けるぞ。」
(肉ガムは無視なのか、神。)

どうあっても千枝の肉ガムを無視する昴に、紅はもう突っ込む気持ちは失せた。
そんなこんなで、蓋は開けられた。中にはお弁当箱とスープジャーがあった。

「おっ、これはまた可愛らしいな。」

更にお弁当の蓋を開けると、赤パプリカとブロッコリーが中心の温野菜にヒラメの煮付け、黄色い炒り卵に桜の形に切り取られた人参が特徴の肉じゃががあった。おにぎりには桜でんぶが振りかけられている。見た目も華やかだ。

「おー、凄い可愛い! あたしもこんなお弁当作りたいなー。」
「千枝、お前の事だから多分食っただろうけど、どうだった? 自分の弁当。」
「あ、味は美味しかったけど…色、茶色ばっかなんだよね…。」

自分の作ったお弁当を思い出しつつ、目の前のお弁当を見て、千枝ははぁ…。と重い溜息をついた。

「茶色くても美味いならいい。次は、カロリーとか栄養バランスを考えような。そうすれば自然と緑が増えてくると思うぞ。」
「うん、そうだね。…緑、緑かぁ…。」
「千枝もここまで成長したか…。やっぱ誰か作ってあげたい人がいると成長するもんなんだな…。」

昴は感心したように頷いてから、いつものようにアワーグラスβで時間を進めた。
ほんのりといい香りが鼻をくすぐる。

「スープジャーは…おっ、ポトフか。…ん?」

スープジャーの方はポトフのようだが、昴の様子がおかしい。首を傾げて考え込んでいた。
中はジャガイモ、人参、玉ねぎ。それからベーコンと粗びきウインナーと…透明な何か。

「あれ? なんだろ、これ?」
「…白滝…ではないか?」
「え、白滝ってポトフにいれたっけ?」

そう、透明な何かは白滝で、普通はポトフに使わない代物である。

「うーん、よく見ると人参も変じゃない? 味は普通の人参だけど、形が変な気がする。」

千枝の言う通り、人参の切り方も何だかおかしい。
まるで、何か型抜きをしてから切ったみたいな…。

「…弁当の中は…うん、美味い。温野菜も最後に塩振ったんだろうな。あっ、足りない場合のマヨネーズも備え付けられてた。ヒラメも醤油が染みて美味いな。肉じゃがもジャガイモに味染みてて美味いしかつ見た目も可愛いし得点は高いな。卵は…ん、ちょい焦げてるな。」
「おにぎりにもお酢振ったのかな? ちょっと入れすぎで酸っぱいけど、許容範囲かな。桜でんぶと相性もいいね! ちらし寿司風にしても美味しかったかも!」
「にゃぐー…。」
『にゃぐわには物足りないようだな。』
「あたしもちょっとなー…もう少し肉がほしい。」

どうやらガッツリ系には少し物足りなかったようだ。確かにこれは一般的な女性向けの量であり、かつ肉はポトフのウインナーとベーコンくらいな物だ。
だが、全員完食はできた。満足したようだ。
さて、美味しいお弁当を堪能したところで、ポトフの謎に戻ろう。

「あ、わかったかも、俺。」
「へっ? 何かわかったの? 昴さん。」

千枝が訊ねると、昴はお弁当箱を指差した。

「ジャガイモ、人参、玉ねぎ。それから白滝。これはある食材と一緒だ。さて、千枝。それは何だかわかるか?」
「へ? えっと…。」
「あっ、ボクもわかった!」
「成程な、我もわかったぞ。」

昴の問いを千枝が考えている最中、パステルくんとジョーカーがポトフの謎を理解したようだ。

「…ジャガイモ、人参、玉ねぎ、白滝…あっ!」

空になったお弁当箱を見つめていて、思い出す。
あの可愛らしい人参を。

「わかったー! 肉じゃがだよね!?」
「正解。…さて、次だ。もし今のように型抜きをした野菜は、お前ならどうする?」
「あ、何だかわかった気がします。」
「にゃぐー!」
『にゃぐわもわかったようだ。成程…こやつは考えたな。』

見てるだけだったアイギスも、にゃぐわもわかったようだ。二羽の鴉も恐らく閃いたろう。

「あたしだったら捨てちゃうかな…。あっ、もしかして! このポトフの中…肉じゃがの再利用品!?」
「再利用って言い方は間違っている気がするが、取り合えず閃いてるみたいだから、話を続けるぞ。憶測だが、多分これは、型抜きした野菜や余って捨てる野菜を味付けして入れたものだ。捨てるのはもったいないって考えたんだな。食材を無駄無く使う、これこそ命を頂いている俺達は見習わなきゃいけないな。」
「だが、これは一体誰が作ったのだろうか…。」

作った人物の考察を始めるジョーカーだが、パステルくんと昴には何となく誰かわかった。

「ちょっとの焦げとかちょっと入れすぎとかやる子、ジョーカーの仲間にいたよね? ボク、その子だと思う。ほら、この間作って貰った親子丼も、お肉が許容範囲内で焦げてたし。」
「ああ…言われてみればそうかも知れん。…僅かばかりだが、この子も成長したようだな。」
「そりゃ、引き取り手が評価五の人間だし、この間の異世界での料理対決だって…。」

昴はそこまで言って、口をつぐんだ。と、同時に、席を立った。同じようににゃぐわとパステルくんとジョーカーも席を立った。

「皆さん、いきなりどうしたのでありますか?」
『あー…思い出しちゃったんだね…。あの一件…ごめん、私も…。』
『む? 風花もか? 何があったかさっぱりわからないのだが…。』
『風花、無理せず行ってこい。テレビ越しに見てたお前も辛いだろ…。それと黒、アイギス、お前達は知らない方がいい。』

バケツタイムを繰り広げたあと、一同は評価用紙に向かった。











総評:四


昴:個人評価…四
どんな食材も無駄無く使う。これはいい心がけだな。俺も見習いたい。
温野菜と卵と桜でんぶのおかげで色も鮮やかで見た目にも楽しめた。中でも桜形のニンジンはいいな。可愛らしい。
美味しかった。お前も異世界での料理対決で
※ここから先は書かれていない。理由はお察し下さい

パステルくん:個人評価…四+
ポトフに使われない材料が入ってたけど、肉じゃがの端材を利用したのかな? どんな屑野菜や端材でも、食べられるものだからね、無駄にしないその心意気は凄いよ!
見た目も鮮やかだし、美味しかった! 前回の異世界での料理対決で色々
※ここから先は書かれていない。理由は(以下略)

にゃぐわ:個人評価…三+
うーん、オイラにはちょっと物足りないけど、美味しかったニャ。これはガッツリ系の意見だから、あんまり宛にしなくていいニャ。
見た目でも楽しめるお弁当、ありがとニャ!
姐さん、パステルくん、思い出しちゃダメだニャ。アレはもう忘れるニャ。

ジョーカー:個人評価…四+
にゃぐわ、思い出させるな。アレもアレで悪夢だ。
お前も我の手を離れてから色々学んでいるようだな。料理の上達は見ていて嬉しい。これは我もうかうかしてられないな。親としてこれ以上子供に料理の腕を抜かれるのも悔しい。我も日々研究せねばな。
食材への心意気は我も見習わないとな。…子から教わる事は、沢山あるものなのだな。

千枝:個人評価…三+
あ、もしかしてアレかな…。うぅ、あたしまで気分が悪くなってきた…。
料理は美味しかったけど、やっぱりあたしもガッツリ系だから、少なく感じたな。肉くれ肉ー!
でも、参考にしないとダメだなって感じた。今度暇な時に教わりに行っていい? 人参とキャベツ持参するから!

実食 六番 ( No.249 )
日時: 2014/12/06 23:00
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: EdfQYbxF)

ちょっと気分が悪くなったのか、千枝はフラフラと出ていった。

(…うぅ、忘れよう。うん、忘れよう。…うぅ…。)
「おいっす、千枝…って、大丈夫か?」

千枝に声をかけたのは、由梨だった。

「うぅ…七海ちゃんがやらかしたって言うアレを想像しちゃって…うぷ…。」
「虫嫌いのお前には大ダメージだよな…。ほら、トイレ行って吐いてこい。多分医務室行った方がいいな…。アタシ、MZD達に話しておくよ。」
「う、うん、行ってくる…。」

由梨と別れ、千枝はフラフラとしながらトイレに向かっていった。
そして由梨は審査会場に向かう前に、MZDのいる医務室に向かった。

「…という訳なんだよ。」
「あー…うん、オレもちょっとは聞いたし、それは確かに虫嫌いの千枝には辛いよな…。わかった。頃合を見て影に迎えに行かせるよ。お前は昴んとこに行ってくれ。次だろ? 食うの。」
「ああ。…何だろうな、これ。なんかな、物凄く嫌な予感してんだけど。」
「…気苦労であることを願うよ。」

千枝の状態を話した後、MZDと二言三言そんな話をしてから、審査会場に向かった。
会場では、今か今かと待つ昴達がいた。

「おー、由梨。次はお前か。なぁ、由梨、千枝と入れ違わなかったか?」
「ああ、大分フラフラして参ってた。一応、MZDに頼んどいたよ。頃合を見て影に迎えに行かせるってさ。」
「よかった。何か大分参ってたみたいだから心配してたんだよ。」

安心したようにほっと溜息をつく固定審査員達。余程心配していたのだろう。鴉達やアイギスも安心したように表情を緩ませていた。

「さて、次の料理だな。取ってくる。」

そう言って次なる料理を取りに行く昴。その間にも、由梨の表情がどんどん険しくなっていく。

「…おい、由梨。どうした? 顔色が悪いが…。」
「…いや、気苦労であってほしいが…。何かな、凄い胸騒ぎがするんだよ。」
「胸騒ぎ?」

ジョーカーが訊ね返すと、由梨は頷く。

「やっぱさー、何度か死線を越えてくると、何か感じるんだよ。あぁ、これ死ぬんじゃないかなって言う予感をさ。」
「縁起でもない事言うんじゃねぇよ。第一そう言うの感じていたって、結局お前は生きてここにいるじゃねぇか。」

かちゃん、とお盆を置きながら、昴はそうぴしゃりと言いつける。

「死ぬ程のゲテモノは三人だけなんだ。きっと大丈夫だろ。」
「…そうだな。昴さん、開けてくれ。胃薬とかの準備は出来てっから。」

由梨はポケットから胃薬を出しながら、昴にそう促す。

「んじゃ、開けるぞ。ほいっと!」

お盆の蓋を開けると、そこには何の変哲もないスープジャーとお弁当箱と水筒が。
更にお弁当箱の蓋を開けると、そこには高菜らしきものを混ぜたおにぎりとほうれん草のようなものが入った炒り卵。そしてキノコの入った野菜炒めと鯛の香草焼。そしてキノコを丸々一本使ったホイル焼だった。

「…一見、なんか普通な気がするけど…。」
「由梨の言葉を聞いてから嫌な予感しかしないんだが。」
「キノコとか嫌な予感の塊なんだけど。」
「にゃぐー…。」

由梨が先程変な事を言ったので、昴達も不安になってしまったようだ。

「…分析完了。すみません、昴さん。こちらのキノコ、私のデータバンクにないようです。」
「は? データにないだって!?」
「うーん、アタシ、このキノコどっかで見た気がするんだよ…。」

アイギスのデータにないキノコを、由梨が見ている?
訳の分からない昴は、とにもかくにもアワーグラスβで時間を進めた。危険そうな香りはしない。

「スープジャーは…お吸い物のようだな。」
「水筒は…ハーブティー…かな?」

ジョーカーはスープジャーを、パステルくんは水筒の中身を見た。
どうやら何の変哲もないお吸い物とハーブティーのようだ。
ハーブティー、とくれば一同は思い浮かべてしまう。そう、あのゲテモノ組のラスボスを。

「…食ってみよう。大丈夫だ。きっと治癒術師いるから何とかなる。」

そう言って一同は黙って食事を始めた。

「…あ、おにぎり塩気効いてておいしいかも…。」
「卵も一見普通な感じだな…。ほうれん草の卵和えかな?」
「ふむ…野菜炒めも普通だ。醤油だな。」
「にゃぐー!」
『鯛の香草焼もほんのり香りがして美味しいそうだ。』
「ホイル焼のキノコも…普通に食えるな…。」

お弁当の中身を完食した後、スープジャーの中身に取り掛かる。

「…普通だ。」
「普通のお吸い物だな。」

どうやら普通のお吸い物のようだ。中のキノコも、普通に食べられるようだ。

「普通だったな。何か。」
「ああ。普通だっ…あ。」

そしてハーブティーでほっと一息ついている時、そこでやっと由梨は思い出した。

「どうした?」
「…昴さん、みんな。ごめん。やっぱりアタシの勘は当たってた。」

由梨がそう言うと、にこっと笑った。


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