二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 神様のノート 一冊目
- 日時: 2015/05/12 18:40
- 名前: 奏月 昴 (ID: rBo/LDwv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28346
始めまして、奏月昴と申します。
pixivでも活動していますが、別の所でも活動したくなり、こちらにやってきました。
基本pixivと同じものを載せていく予定なので、お好きな方を閲覧下さい。
とりあえず今は現在進めているシリーズ物を載せますが、ちょこちょことお引越しさせていく予定です。
設定わかんないけど興味がある方、pixivまでお越しいただけるとありがたいです。
何かいい加減ですみません…。
それでは、よろしくお願いします。
※ざっくばらんなあらすじ
会社から帰宅途中に何故か宙に浮いている少年、MZDと出会った私こと、創造者。
彼から貰った創世ノートを使い、世界と創造者の分身、奏月昴を生み出し、この世界の神様として中からの管理を命じる。
その際、昴と約束し、私の事は他言無用とすることになった。
昴は生まれたその日に、この世界で烈達つぎドカ!メンバーと出会い、仲良くなる。
ある日、創造者から教えられた創世ノートの機能である『召喚』を用い、烈達の記憶と姿、力を基にして鏡達を生み出す。
そして二学期が始まる頃、八十稲羽から悠達ペルソナメンバーが、ペルソナが現実でも呼べるようになり、流石に稲羽にはいられないという事で、烈達が通う学校に転校して来て、仲良くなった。
色々あり、十二月。烈達つぎドカ!メンバーがバトルしてから一年後、パステルくんはワンダークロックと呼ばれる巨大時計をジョーカー一味に壊されている事を思い出し、一人立ち向かおうとするも、それをつけていた烈達つぎドカ!メンバー。
彼等の力を借り、ジョーカーを倒し、ワンダークロックを無事直すことが出来た。
ジョーカー達とは和解し、現在はつぎドカ!メンバーの家に、ジョーカーは昴のいる神殿に住むことに。
ワンダークロックが壊れた影響なのか、全ての人々の体の時間が戻ろうとしており、現在、年齢はそのままで一年をやり直している。
昴の管理と私の監視、それに限界を感じた私は、MZDの提案で、戦い慣れた人をノートの世界に永住させる事を決意。
その時、私が高校時代に考えた理乃達が適任という事になり、彼女等の世界をノートの中に作り出し、全てを話した上で永住してもらう事に。現在は悠達と同じ学年で生活している。
私
—とまぁ、見て分かるかわからないけど、主要となる人物は、つぎドカ!、ペルソナ4、ジョーカー達、それからオリジナルキャラとして理乃ちゃん達になるかな。
昴
「あ、簡易的なキャラ紹介は、もう一個の“ノートに刻まれた一頁”に移したので、そちらを見てくれよな。URLからも飛べるぞ。」
5/12 最終更新
『目次』
☆料理対決シリーズ
〔第一回・可憐な乙女の料理対決〕
・栗拾いからの料理対決へ&華の乙女の料理対決! >>154-160
・実食 完二&烈&鏡&悠 >>164-168
・実食 凪&陽介&クマ&風雅 >>173-177
・結果発表からのO・SHI・O・KI・DEATH☆ >>180-186
〔第二回・続・可憐な乙女の料理対決〕
・料理対決・再び >>1-7
・実食 ローズ&鏡 >>8-11
・実食 完二&リリィ >>12-15
・実食 悠&風雅 >>16-19
・実食 凪&セシル >>20-23
・実食 陽介&クマ >>24-28
・実食 フランシス&烈 >>29-34
・結果発表と例のアレ >>35-43
〔第三回・豪傑な男の料理対決〕
・何でどうしてこうなった(By昴) >>44-49
・実食 氷海&雪花 >>50-53
・実食 七海&由梨 >>56-59
・実食 鈴花&直斗 >>60-63
・実食 葉月&雪子 >>64-67
・実食 千枝&牡丹 >>68-71
・実食 理乃&りせ >>72-76
・結果発表! >>77-86 ※募集は締め切りました
・O・SHI・O・KI☆前半戦 >>94-101
・O・SHI・O・KI☆後半戦 >>110-123
〔第四回・男女混合料理対決地獄編〕
・戦いをもう一度 >>203-209
・実食 一番&二番 >>222-227
・実食 三番&四番 >>233-237
・実食 五番&六番 >>247-253
・実食 七番&八番 >>260-264
・実食 九番&十番 >>286-290
・実食 十一番&十二番 >>301-306
・実食 裏回 >>326-342
・結果発表! >>384-398 ※募集は締め切りました
・賢者に慈愛を、愚者には罰を 賢者編 >>662-671
〔第五回・料理対決・頂上決戦!〕
・評価五のための頂上決戦! >>415-420
〔番外編・審査員一新!? 選抜メンバーの料理対決!〕
・死亡フラグ立たせた奴。前出ろ。前だ。 >>716-723
・実食 一番&二番 >>728-733
・実食 三番&四番 >>738-743
・実食 五番 >>751-756
・対決 五番の料理 >>784-794
・大団円と実食 六番 >>814-822
・実食 七番&八番 >>840-848
〔番外編・挑戦者=変動審査員!? ゲストもありな料理対決!〕
・概要と募集要項 >>856※募集は終了しました
☆言葉泥棒とワンダークロックシリーズ
・言葉が消えた理由 >>435-441
・異次元に突入! >>442-446
・激突! 鈴花VSローズ >>451-455
・激突! 風雅VSフランシス >>456-460
・激突! 烈VSリリィ >>464-469
・激突! 氷海VSセシル >>470-474
・激突! つぎドカ!VSジョーカー >>478-484
・揺蕩いから、覚醒めの時へ >>485-488
・激突! パステルくんVSジョーカー >>491-497
・おかえりの味とただいまの涙 >>498-506
☆マヨナカテレビ事件シリーズ
〔氷海編〕
・虚ろな映身は現身を打つ >>523-532
・穿たれた水器(みずうつわ) >>533-537
・囚われの氷硝 >>540-545
・冷酷なる御霊 >>546-553
・氷雪の女王 >>563-568
・悪夢の終わり >>569-578
・雲の向こうに捧ぐ向日葵の花 >>582-585
☆神様・悪夢相談室シリーズ
・悪夢:ケース「赤羽 烈」>>805-808
・悪夢:ケース「青柳 氷海」 >>831-835
☆もしももしものちいさなおはなしシリーズ
・カラオケネタ >>192-195 ※募集は締め切りました
・どっちの料理ショー >>274-276
☆ノートの世界のTwitter事情シリーズ
・アカウント一覧 >>589
〔本編〕
・その一 >>590-594
・その二 >>595-598
・その三 >>606-609
・その四 >>614-616
・その五 >>622-623
・その六 >>630-632
・その七 >>633-634
・その八 >>317-319
〔番外編〕
・Let's Twitter with JOMANDA >>602-605
・Let's Twitter with JOMANDA2 >>617
・Let's Twitter with JOMANDA3 >>776-778
・異世界の料理対決 その一 >>880-888
☆新・ワイルド能力者のコミュ事情シリーズ
・烈&氷海 ランク1 >>644-649
☆短編
・はんぶんこ >>128-129
・リミットブレイクと暴走娘 >>133-135
・フラワーギフト >>140-147
・年末恒例巫女さんバイト >>349-359
・玉より食物 >>365-371
・「リンちゃんなう!-Try to Sing Ver.-」 rejected by 相方の皆さん >>510-515
・没案「第四回料理対決六番の料理」 >>516
・思いつくままに書いてみた料理対決案 >>558
・没案「第四回料理対決・その後」 >>624 答え+α >>629
・バレンタインデー☆パニック! >>681-689
・猫の猫による猫のためのお花見 >>699-704
・お知らせと次々回予告(!?) >>708-709
・ほのぼの日和 >>770-772
・小ネタつめつめ >>863
・前奏曲・異世界の第六回目 >>866-868
・お知らせと紹介と >>891-893 new!
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- 栗拾い その一 ( No.155 )
- 日時: 2014/11/12 20:21
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7WYO6DME)
「こうなったら、料理対決しよっ!? 栗を使った料理で!」
「オムライスの悲劇を繰り返させる気かよ!」
今日は土曜日。敬老の日まで三日間、学校が休みだ。
なので、いつものように、聖域に集まる一同。
だが、今日はどこか、険悪なムードのようだ…。
■
事の起こりは、数時間前…。
「おっ、まためっけ。この辺けっこう栗落ちてんなー。」
「チビ達も拾っていいぞー。拾う時はいが栗に気を付けてねー。」
『は〜い!』
いつものように公園に遊びに来ていた保育園の園児達に便乗し、栗拾い大会と洒落混んでいた。
「しっかし、昴さんも太っ腹だよなー。ここに落ちてる栗全部拾って持って帰っていいって。」
「栗って調理する時間が長いからやなんだって。茹で栗だけでも面倒だし、ここにこんなにあっても食べきれないし、何ならいっそチビ達にあげちゃおうと思ったみたいだよ?」
「あー、わかるわかる。確かに柔らかくするだけでも一苦労だもんねー。」
鈴花が嬉しそうな顔をして、栗を丁寧にかき集める。
「けっこう長い間煮ないと柔らかくならないから、手間なんだよね。よくわかるよ。」
「ぼにゅっ。」
そんな鈴花の横で、パステルくんがうんうんと頷いている。
「…パステルくんも料理した事、あるのか? 栗。」
「ぼにゅっ!」
『さなえ殿から教わって、モンブランを作ったそうだ。』
烈の問いを、彼の肩にいた黒が答える。
「ふーん…。小さな体でよく料理ができるな、パステルくんは。やっぱり料理ができる奴っていいよな。鈴花とか憧れるよ、俺。」
「えへへ、ありがと、烈君! でも、烈君だって家庭科の成績そこそこいいよね? 調理実習も烈君と組めば普通の家庭料理が食べられるって評判だけど…。」
「…母さんの教育の賜物。」
「…ごめん、聞かなかった事にする…。」
菩薩のような微笑みに隠された鬼の形相を浮かべながらしごかれている烈を思い浮かべ、鈴花は視線を烈からそらした。
「へぇ、烈も料理ができるのか。」
「あれ? 先輩、知らなかったんですか? 烈君は凄く上手なんですよ。…この間の調理実習で作って貰った味噌汁、美味しかったです。レシピも分量も見ないであそこまでできるなんて、思わず感心してしまいました。」
「それは、今度食べてみたいな。」
話を聞いていたのか、近くで栗を拾っていた悠と直斗が合流する。
「鈴花も、凄く上手いよな。この間貰った唐揚げ、文句のつけようがなかった。」
「えへへ、ありがと、悠センパイ! お望みなら、もっと色々作ってきましょうか?」
「いいのか? ありがとう、鈴花。」
微笑ましい、悠と鈴花の会話を聞いた、さる方の一言。
「やっぱ料理できる女の子っていいよなー。鈴花ちゃんの爪の垢を煎じてうちの女子達に飲ませたいよ…。」
ガッカリ王子、陽介のこの一言。
「私だって料理できるもん!」
「あ、あたしだってあの時よりは進歩してるよ!」
「私、毎日練習してるのに…。」
その一言で、直斗以外のペルソナ女性陣の心に火がついたようだ。
「はぁ!? いやいや無理だろ。上達してねぇだろ絶対。クリスマスん時も直斗がいたからなんとかなったんだろ!?」
「うぐっ…!」
押し黙る女性陣。
「あの時は僕がいたから、と言うよりは、レシピを見ながら作った方がいいと提案したから、なんですけどね…。」
「だけど、アイツ等に作らせたままだったら、失敗作が増えたままだったんだろ? だったらレシピを見ようって言ったお前のお陰じゃん。」
「そうでしょうか…。」
「そうだよ。」
謙遜する直斗に、烈はそうはっきりと断言した。
- 栗拾い その二 ( No.156 )
- 日時: 2014/11/12 20:25
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7WYO6DME)
「むむむぅーっ! こうなったら、料理対決しよっ!? 栗を使った料理で!」
「オムライスの悲劇を繰り返させる気かよ!」
ムキになったりせが、そう宣言するも、ペルソナ男性陣についた傷が大きかったようで、断固阻止しようとする陽介。
だが、
「そうだね。今度こそ、一撃で仕留める。」
「なら、みんなでやってやろうじゃん! 鈴花ちゃんも氷海ちゃんも加わって! 勿論、雪花ちゃんと牡丹ちゃんもだよ!」
雪子も千枝も乗り気であり、更につぎドカ!メンバーまで巻き込む。
勿論、名指しされた四人はびっくりする。
「…悪いけど、りせちゃん達には負ける気はしないよ?」
「私に勝つ気でいるのですか? 面白いですね。受けて立ちますわ。」
だが、本気で来るとわかった料理の得意な鈴花と、その自信がどこから出てきているか分からない牡丹はそう宣言するも、氷海と雪花は乗り気じゃないようだ。
「わ、私はちょっと、その…料理は、その…。」
「苦手だから、遠慮したいわ…。」
自分で苦手な事は理解している為、ここは遠慮したいのが本音だ。
だが、それが許される訳がないようだ。
「氷海ちゃん、パステルくんに美味しいご飯を食べさせてあげたくないの?」
「う、そ、それは…。」
りせに痛い所を突かれ、悩む氷海。
「…雪花ちゃん、昴さんを見返してやりたいんじゃないの?」
「見返す、というより、少しは楽できるって思ってほしいというか頼ってほしいというか…。」
同じくりせに痛い所を突かれ、悩む雪花。
暫し、悩む二人。そして…。
「分かったわ。その話、乗らせて貰うわ。」
「毎日ご飯を作ってくれている昴さんの為にも、少しくらい、料理が上達したいから。」
「よーっし、決まり!」
「ぼにゅ…。」
りせが天高く拳を振り上げるものの、氷海の肩に移動したパステルくんは乗り気じゃないようだ。
「…パステルくん、私、あんまり上手く作れないかも知れないけど、精一杯、頑張ってみるわ。」
「…。」
パステルくんは不服そうな表情をしたが、頷いてくれた。
「で、審査員は誰にするんだよ。」
「勿論、ここにいるみんなと…昴さんにお願いしようかな。」
「!?」
身の危険を感じたのか、顔色を青くさせる一同。
だが、断れる雰囲気じゃないのも分かっている。
「そ、そもそも、何を作るって言うんですか!?」
「それはこれから決めて貰うの!」
直斗の問いに、そう言ってりせが取り出したのは、携帯電話。
どうやら誰かにかけるようだ。
- 栗拾い その三 ( No.157 )
- 日時: 2014/11/12 20:30
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7WYO6DME)
「…あ、もしもし、昴さん? お仕事ご苦労様!」
『どうした? りせ。何か用なのか?』
どうやら相手は昴らしい。
「帰ったら何が食べたい? 作ってあげる! あ、できれば栗を使った料理でお願い!」
『は? …あのさ、りせ。悪いんだが、烈か鏡か悠にかわってくれないか?』
「えっ!? いいですけど…。」
何かに気がついた昴は、自分が最も信頼のおける人物に代わるよう命じる。
そしてりせは悠に携帯を渡した。
「センパイ、昴さんが代わってって。」
「あ、ああ…。もしもし?」
『どうせ料理対決って流れになったんだろ?』
「…お察しの通りです…。」
開口一番にそう言われ、悠は昴の勘の良さに頭が下がる勢いだった。
『…とりあえず、何作るかは今からレシピ見て無難なものを選んどく。決めたら鏡のに折り返し連絡するから。』
「お願いします…。」
『…見つからなかったらごめんな。んで、その代わりと言っちゃ何だが、いくつか男共に頼みたい事がある。悠は、完二と烈を誘って、チビ達のおやつを作ってほしいんだ。確か中にさつまいもとか栗とかあったはずだから。そろそろ三時だし、丁度いいだろ。』
「わかりました。」
『あと、凪に代わってくれ。』
悠は言われた通り、凪に代わる。
「代わったよー、昴さん。」
『凪、メニューが決まったら連絡するから、お前は神殿に戻ってレシピを印刷してくれ。…見るかわからんけど。あぁ、悠達がチビ達のおやつを作る時、レシピがわからなさそうだったら調べてやれ。』
「うん、わかったー。」
『よし、次は鏡か陽介か、風雅で頼む。』
「はーい、じゃあ、陽介さんにかわるねー。はい、陽介さん。昴さんがかわってって。」
凪は陽介に携帯を渡す。
「もしもし。」
『陽介。お前は風雅と凪、クマと四人で手分けして買い出しと病院に向かってくれ。買い出し組はチビ達のジュースと…アレを。病院は…。』
「あぁ、何となくわかりました。風雅と鏡とで、手分けしてやっときます。(アレって、やっぱ太田○散とかの、胃薬系だよな。病院は…もしもの保険…。)」
『頼んだ。…あぁ、後で女子に買い出しに行かせるから、その間に一回帰っとけ。理由は…わかるな?』
「あぁ、わかってますよ。(保険証…だよな。)」
あらゆる手を尽くす昴に、もう頭が上がらない陽介。
改めてこの時、「神様パネェ。」と思ったそうな。
『じゃあ、俺は今から無難な物を選ぶから、一回切るな。次は、鏡のにかけるから。あぁ、何作るかわからないけど、鈴花にキッチンに転がってる大量の栗を茹でとけって言っとけ。時間かかるし。』
「頼んます…!」
そして、昴との通話が切れる。
陽介はりせに携帯を返し、悠を見た。
「烈、完二。二人とも、ちょっと手伝ってくれ。園児達のおやつを頼まれたから。」
「おう、わかった。」
「わかったッス!」
「作るものでレシピがわからなさそうだったら調べるから声かけてー?」
悠、烈、完二、凪の四人は神殿へ入っていった。
「おっし、クマ、鏡、風雅。俺らは買い出しな。」
「買い出しなら、私達が行くのにー。」
りせが少し膨れながら言うが、陽介がそれを拒否した。
「俺らが頼まれたの。ほら、チビ達のジュース、重いしな。お前らはメニューが決まったら買い出しにいって貰うってさ。あぁ、鈴花ちゃんにも仕事頼んでたよ。キッチンにある栗、茹でとけってさ。」
「あ、それもそうだね。じゃあ、茹でてくるね。氷海ちゃん達は保育園の子達の相手をしてあげてよ。お菓子ができるまで、時間かかるだろうし。」
「わかったわ。ほら、まだまだ栗は一杯あるからねー。」
鈴花の説得により、残りの女子達は園児達と栗のある場所に向かっていった。
「…買い出しの時、胃薬も頼まれたんですよね? それと、その…病院にいく事も。」
「あぁ、頼まれたよ。ありがとな、鈴花ちゃん。…アイツら…特にりせが何を言うかわからねぇからな。助かった。鏡、風雅、お前らに病院頼んでいいか? 氷海ちゃんの家族とも長い面識あるだろうしさ。」
「わかった。行こうか、鏡。」
「うんっ!」
陽介に頼まれた風雅は鏡を伴い、病院へと向かった。
「クマ、俺達は買い出しだ! チビ達のジュースと…アレを。」
「わかったクマー! それじゃ、レッツゴークマー!」
「うわっ! 引っ張るなよクマ!」
騒がしい中で、陽介はクマに引っ張られ、そのままずるずるとスーパーまで引きずられていった。
「…さてと。私もやるか! にゃぐわちゃん、手伝って!」
「にゃぐー!」
鈴花も、自分に頼まれた仕事を行う為、にゃぐわを伴い、神殿へと入っていった。
りせの提案から始まろうとしている、料理対決。
それがどうなるかは、
—…面白そうだから、もうちょっと見守っていようかな。
神でさえも、知らなかった…。
■
—あの時は確かに面白そうだと思ったけど、後にそれは間違いだと悟った。
「なら何故第二回、第三回と続いたんですか…。」
—見てる分には面白い。たぶん。…でもまさか七海ちゃんがあれ程とは…。
切っ掛けとなる場所を同期し終えた後、創造者は更に手帳に文字を書く。
「クトゥルフに設定したのはお前だろ?」
—私はただ馬鹿舌と設定しただけ。…だけのはずなのに何故こうなったし。
どうやら創造者にも予測不可能の事があったようだ。
—っと、続けるね。
そして創造者は再び手帳に当時の事を同期させる。
今度は調理風景を描くようだ。
- 調理風景 その一 ( No.158 )
- 日時: 2014/11/13 09:09
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 9RGzBqtH)
『…。』
現在、聖域のリビングでは、死刑の執行を待つかのような表情で、男子達と昴が座っていた。
女子達は現在、キッチンを占領し、ある物を作っている。
そう、昴が決めたメニュー、“栗のポタージュ”だ。本人曰く、これが一番無難に見えたらしい。勿論、女子全員にこのレシピを渡し、買い出しに行かせたが…正直、何名かは余計な物を買った気がする。
「…お前ら、保険証は?」
昴の呼び掛けに、全員が懐からある物を出す。
それは紛れもなく、健康保険証だった。
「よし。…陽介、病院側の協力は?」
「それは僕達が行ってきたよ。…氷海のお父さんも、できる限り力になるって。…昔、自分の奥さんの料理で死にかけた思い出があるから、目が死んでたけど…多分、大丈夫だと。」
「それと、氷海のお父さん、これくれた。」
鏡が何かが大量に入ったビニール袋から、ある物を取り出した。
子供向けの絵が描かれているパックに、“お○すり○めたね”と書かれている。多分、商品名だろう。
「…小児用オブラート…。」
「味、少しマシになるかも知れないから持っていけって。…不味いに苦いのコンボはきついだろうからって…。」
「あぁ、確かに…。」
目の前におかれた小児用オブラートを眺めながら、一同は運命の刻限まで待つ。
「そうだ。審査方法だけど…お前ら、これ引け。籤。向こう八人、こっちも八人いる。てな訳で、籤で出た順番で、一人ずつ、一人の料理を俺と一緒に食って貰う。犠牲者は少ない方がいいだろ?」
「えっ? すーさん、全部食べるの…?」
「そうしないと公平な判定ができないだろ?」
「昴さん…無茶をして…!」
何かを言おうとした悠だったが、あの酷そうな料理を自分一人が食べるのは嫌だった。
「ぼにゅっ!」
「にゃぐっ!」
そんな中、パステルくんとにゃぐわが手をあげた。
「パステルくん? にゃぐわ?」
『この二匹も、全て食べるそうだ。一人に任せてはおけん、と言っている。』
紅の通訳に、パステルくんとにゃぐわが頷いた。
「…わかった。ありがとな、パステルくん、にゃぐわ。」
「ぼにゅっ!」
「にゃぐっ!」
二匹は威張りながら、胸の辺りをトンと叩く。
「任せろ!」とでも言っているのだろうか。
「じゃあ、こうしよう。…紅、黒。お前達に一仕事…いや、二つくらいになるか? とにかく、頼みたい事がある。」
『うむ、我らができる事であれば。』
「簡単だ。…お前らは何も食わずに、パステルくんとにゃぐわの通訳と…もし、料理を食べた人全員に何かあった場合は、悠やクマを呼びにいく係だ。」
『成程。通訳と、救援係か。』
『簡単だ。任せてもらおう。』
二匹の鴉も、頷き返す。
「じゃあ、向こうにも伝えてくる。…お前ら、戸棚に饅頭あるから、気は進まねぇかも知れねぇが、その…食べて待ってろ。あと、籤も引いちまえ。」
昴はそう言うと、女子達のいるキッチンに向かった。
「…センパイ方、どうぞッス。」
「ああ。悠先輩、陽介先輩、先にどうぞ。」
「わ、わかった。よし、引くぞ、陽介。」
「…ああ。…里中とかの料理じゃありませんようにっと!」
「クマも引くクマー!」
悠の引いた紙には4、陽介の引いた紙には6、クマの引いた紙には7と書かれていた。
「およー? 数字が書いてあるクマ。」
「…食う順番か?」
「多分、そうだろう。…女子達が何番かわからないから、怖いな…。」
「うぅ、どうかりせの料理じゃありませんように…! ほら、お前ら。」
陽介は残りの紙が入った箱を、烈に渡した。
「鏡、先引いていいぞ?」
「えっ? うん、わかった。」
鏡の紙には3、烈の紙には2、完二の紙には1、風雅の紙には8、凪の紙には5と書かれていた。
結果、食べる順番は、
1.完二
2.烈
3.鏡
4.悠
5.凪
6.陽介
7.クマ
8.風雅
となった。
「…ある意味、ロシアンルーレットだよな…。」
「…まぁ、腹を括るしかねぇよな…。」
気が乗らないのか、男子全員、盛大な溜息をついた。
- 調理風景 その二 ( No.159 )
- 日時: 2014/11/12 20:41
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 7WYO6DME)
同じ頃、昴は女子達に審査方法を説明した。
勿論、犠牲者は少ない方がいいと考えたからと言う理由は伏せて。
まぁ、勘のいい直斗辺りは恐らく悟っているだろうが、黙っておいてくれたようだ。
「せっかく作ったのに…。みんなに食べてもらいたかったなぁ…。」
「俺とパステルくんとにゃぐわが全員分食うんだ。それで我慢しろ。」
「はーい…。」
りせは渋々引き下がる。
入れ違うように、鈴花と氷海がやって来た。
「昴さん、もしかして、にゃぐわちゃん達を無理矢理巻き込んで…。」
どうやら、パステルくん達が昴に無理矢理命じられて一緒に食べるのではないか、と思ったようだ。
昴は首を横に振る。
「…いや、最初は俺一人で食うつもりだったけど、あの二匹が自分達も全部食べるって言ってきてな。」
「…パステルくん達が立候補したんですか…。」
「あはは、にゃぐわちゃん達らしいや…。」
「…友達思いに育てられてて、俺も思わず涙ぐんだよ…。」
一人で全ての料理を食すと聞き、すぐに立候補してくれた二匹に、昴は年甲斐もなく涙が出そうになっていたそうだ。
「…っと、お前ら、まずは順番を決めるから、クジを引いてくれ。んで、自分の順番が書かれたこのメモクリップやるから、それを鍋につけて…。」
そこまで言ってから、昴はノートを開いた。
「…? 何か出すの? 昴さん。」
「ん? 食品用エレベーター。…神殿の間取りを変えて、っと…。ほらよっ。」
ボンッ! という音と共に、キッチンの一角に小型のエレベーターができた。
隣にはランプのような物がついている。
「そのランプがついたら、そのエレベーターに鍋入れろ。んじゃ、俺はもう行くから。」
それだけを言い残して、昴は部屋から出ていく。
残された八人は、箱をじっと見つめていた。
「…恨みっこなしで、全員まとめて引かない? ほら、丁度みんなの手が入るくらいの大きさだし。」
「そうだね。よーっし、せーのっ!」
雪子の提案に頷いた八人は、千枝の音頭で一斉に手を箱の中に入れた。
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